世の中は広いものだ
クライ・アンドリヒはつくづくそう感じていた
いきなり雷が自分目掛けて落ちてきたり、ドラゴンにクランが襲撃されたり、国王に招待された食事会に刺客が現れたり、自分がのる飛行機が墜落したりと命の危機に瀕するものに多く見舞われてきた
流石に異世界に跳んだのは初めてだが
そんなナレーションを勝手に僕がやっているが、先に断っておこう、これまで僕が生き残れたのは断じて運などではない(運があるならそもそもこんなめにはあってない)
無論僕個人の力で困難を切り開いた訳でもない!
全ては僕の幼馴染みたちとこの両手指に装着された指輪型の宝具、一個3000万円以上もする15個の結界指のお陰なのである
正直結界指の働きが7割を占めるだろう、なんせ襲撃されるような怨みを買うのも、僕の幼馴染みだし、結界指の数割を消耗させるのも幼馴染みなのだ
僕が狙われるのはお飾りのリーダーといえどもその肩書きのせいであった
まぁ結界指をチャージしてくれるのも幼馴染みなのでなんともなのだが
話を戻すが、自慢ではないが僕は弱い、はっきり言ってそこら辺の一般人のほうが強いだろう。しかも弱い上に才能もない
今までは仲間に助けて貰えていたが、仮に僕一人、仲間たちですら僕を見つけられない場所に迷いこんでしまったら僕はいよいよ死ぬしかない
「おい!ガキが!?聞いてんのかアァン!?」
つまりこんな状況になってしまったら終わり
なのである
「うんうん、そうだね」
こういうチンピラの相手はとりあえず肯定しておけばいいとシトリーが言ってた気がする
「テメェ舐めてんじゃねぇぞ!!」
「カテェ!?」
まぁ上手くいくはずもなく、無防備な僕にたいしチンピラは暴力を振るおうとする無造作に振るわれた拳は当たる寸前、鋼鉄の壁に弾かれたかのような金属音を奏でる
「やめなよ、自慢じゃないけど、僕は生まれてから一度も傷をおったことがないんだ」
そう今までで結界指が破られたことなど過去を振り返っても一度たりともない
当然、半ぐれの柔な拳などでは砕けるはずもない
彼らは僕ではなく、結界指という歴史と相対しているのである
ある種の余裕とも言える、この落ち着きは結界指のおかげだ
「ハッタリ噛ましてんじゃねーよガキ!?ならこれでも無傷なんて言えんのか!」
「その馬鹿な脳天に風穴開けてやるよ」
そのフォルムは初めてみるが見覚えはあった、白狼の巣のファントムが同じようなものを使っていた
額に押し付けられた銃口から火花が舞う、硝煙の臭いが鼻をつく
0距離で発砲された弾丸は青年を貫く前に弾かれる
まるでみえない壁で弾かれたかのように弾丸は反射し、弾丸は、銃口をつたい拳銃に着弾、
中の未使用の弾丸の火薬に引火したのかはわからないが拳銃が爆ぜる
だが結界指には距離等関係ない、「攻撃行為」に対し自動防御、防御は自身の周囲に障壁をはるような感じである、0~50cmに障壁を展開
一応だが結界指は毒や環境の変化は防ぐことは出来ない
故に食事に毒が盛られたり、火山等で放置されると僕は普通に死ぬしかない
幸いにもこの周辺にはそれらしいものもないし、毒に関しても僕は人体に影響を及ぼす薬品などを感知する宝具も持っているので問題はない
最悪リンチにされそうだったら夜天の羽衣(ナイトハッカー)か異郷への憧憬で逃げるつもりなので問題はない
自身に拳銃を突きつけていた半ぐれのうでは爆発の衝撃で吹き飛んだ
当然、僕への爆風は結界指が守ってくれる
やれやれ悪いことをするからこうなるんだよ、世の中争ってもいいことはない、僕の心情はラブアンドピースなのだ
だがこれはチャンスでもある、僕は心機一転、ふてぶてしい態度をとることにした
「だから言っただろ?やめときなって?」
「ヒッ?!」
先程の敵意は嘘のように消え、まるで化物でもみるかのようにその瞳には恐怖がみえた
「さ、僕は弱いもの苛めはしない博愛主義なんだ、今ならまだ怪我しなくてすむかもよ?」
僕は調子にのって腕を組みハードボイルドに答えた、
だがこういう、輩にはこれが一番効くのだ
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!!」
半ぐれ数人は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った
「はぁ~なんとかなったぁ」
危機が去った安堵に思わず息をはく
逆上して銃を連発でもされたら死んでいたのは僕のほうだったろう
最悪僕の一回限りの切り札「異郷への憧憬」を使うしかなかった、 まじでアブねー
もぬけの殻となった捕虜監視用の部屋に一人残った
まぁ特にやることないしどうしようか
僕はこういう状況には慣れている
それゆえにわかる、どうしようもないと
「ふわぁ、」
とりあえず考えていても仕方ないので僕はだらけることにした
幸いにもソファーもあるし
このあとことは起きたときの僕にまかせよう
そう考え僕の意識は闇へと消えた