オーバーロード 嗤う骸骨は帰りたい   作:嘆きのラジオ

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邂逅

〜これはクライ達が法国へ向かう前の話

 

クライ達から離れ、嘆きの亡霊(ストレンジグリーフ)の一人【万象自在】ルシア・ロジェはフォーサイトとともに帝国の外れに発見された

 

なぞの地下大墳墓の探索に訪れていた

夜中4つの馬車が帝国外れの草原をかける

 

「うぷ、、気持ち、、わる、い」

「大丈夫?ルシアちゃん」

「ん、今、酔い止めの魔法かける」

「ありがとうございます、アルシェさん」

「しっかし、あの完璧なルシアさんでも苦手なことってあるんだなぁ」

「ヘッケラン、からかうのは止めなさい」

「じょーだんだよ、ロバーテイク」

 

ヘッケランがルシアに笑いながらからかい、ロバーテイクが注意する、イリーナとアルシェはそんな様子を苦笑いしながらみていた

 

のっぺらぼうのような黒い仮面、腰まで伸びた黒髪に黒い魔術帽とローブを身に纏う、第3位階までの魔法を使いこなす「黒魔導のルシア」それが帝国においての彼女の呼び名だった

 

この世界に飛ばされたルシアは仲間を探す、、、必要はなかった(既に悪名が広まっていた、ため)のでまずこの世界について、そして魔法知識を学ぶことから始めた

 

ワーカーになり単独で依頼をこなしているときに声をかけられた、それが今、彼女が行動を共にしているフォーサイトだった

 

彼等から得た情報は大きかった、転移する前の世界では悪くも名を挙げたことについて、反省があったため、この世界では隠密に徹すると決めた

 

故に単独で依頼をこなすよりはチームでこなしたほうがルシア個人に対する評価は、チームとしての評価になり、隠れ蓑としてはピッタリだった

 

今回の依頼はある貴族からの新たに発見された墳墓の調査依頼、前金だけでもかなりの額だったのがかなり怪しいがフォーサイトの面々が乗り気だったので渋々依頼を受ける形になった

 

大墳墓から数十mほど離れた位置に馬車が止まり、それぞれの馬車からワーカー達が降りる

 

「天賦」「フォーサイト」「老虎」「グリンガム」

ワーカー界では有名な実力者らしいが、転移したてのルシアは知る由もない、だがこの世界の基準を測るには十分だった

 

彼等はランクでいうならミスリルやオリハルコン級らしい

上位の冒険者だが、実力はルシアより遥かに劣っていた

 

この世界では蓄積されたマナマテリアルが抜けない上に大気にはマナマテリアルに似た魔力が確認できた

 

マナマテリアル込みとはいえ、接近戦で魔法を封じるという縛りプレイをかけてもルシアに負ける要素は一切なかった

 

ただ一人を除いて

 

一際豪華な馬車が目につく、話ではアダマンタイト級冒険者、漆黒の英雄モモンが同行しているらしい

 

モモンについては帝国でも観る機会はあった

 

異質、ただそれにつきた

 

強い、、、それはわかった、問題なのはそれは剣士としての強さではないという部分にあった

 

モモンは近接職、既存のアダマンタイトとは比較にならない程の実力を有していることがわかった

 

だがルシアにとって彼は、長年、剣を振るっていた剣士にはみえなかった

 

ルークやリィズ、アーク、名高い実力者が集まる始まりの足跡、その中でも幼馴染と勇者

 

系統は違えど同じ努力の人として、同じパーティメンバーとして

 

生来の才能もあるかもしれないが、鍛錬、潜ってきた修羅場による努力の積み重ねは見るだけでわかる

 

ルークは幾重の流派を融合した我流剣術、リィズは絶影と呼ばれる一子相伝の技術、アークは伝説の勇者の末裔として

 

足運び、姿勢、目線、歩行に至るまでなんてことはないことにさえ染みついた所作は日常にも反映される、いわば癖のようなもの

 

熟練の音楽家の指にたこがあるように、陸上選手が走る際のフォームが日常生活にも表れるように、一流の盗賊(シーフ)が日常においても足音消すように

 

熟練の剣士ならそれは日常生活においても顕著に表れる

 

だからこそルシアは疑問に思った

 

モモンは本当に剣士なのか?

モモンにはそれがなかった、実力者なのはわかった、だが剣術家としての癖は一切感じられなかった

 

入門したての門下生、剣を振るった経験があまりないかのような

だからこそルシアは疑問だった

 

天賦、老虎との道中での試合、実力差は明確だった、だがモモンから感じたのは剣士としての技術の高さではなく、身体能力の高さにあった

下手をしたらマナマテリアルを十分に吸ったランク6以上かもしれない

 

「気になる?」

遠目からモモンと老虎の試合を眺めているなか、フォーサイトの魔術詠唱者アルシェが声をかけてきた

 

若くして第3位階魔法を使い熟す秀才らしい

 

「もちろん気になります、アダマンタイト最強と揶揄される漆黒の英雄モモン」 

右耳碧につけた碧色のピアスを擦りながらルシアは答えた

 

仮面を少しずらしながらルシアはモモンをみる、黒いフルプレートアーマーに二振りの漆黒の剣

 

真のアダマンタイトと称される英雄の中の英雄、短期間ながらも数多の功績を残し、高難易度依頼の達成率、王都では魔皇ヤルダバオトを撃退し市民を救ったと語られている

 

「ルシアちゃんもモモンのことが気になるのかよー、やっぱり強いとモテるんだなー」

「ヘッケラン、、、」

「ヘッケラン?」

「冗談だよ、、、イリーナ、」

「矢を向けるのは冗談になってないから勘弁してくれ」

「あら?私はそんなつまらない冗談は言わないけど?」

「ま、、ロバーテ、」

「私はもう一度くらい射抜かれてもいいと思いますよ?」

「ん、、ヘッケランは反省すべき、」

「それ射抜かれるの意味は違くないか?物理的なんだがこれ」

暗い平原のなかフォーサイトの笑い声が夜空に消え、一陣の冷たい風が吹く

不吉な予感、確信に近い、デジャブのようなものをルシアは感じていた

 

「みなさーん、集まってください!!」

遠くから組合員の声が響く、

 

「どうやら集合のようだぜ、」

「ヘッケラン?これで終わったなんて思わないでね?」

「イリーナ、、、わかったよ、」

「相変わらず熱いですね、二人とも」

「ん、仲良し」

「ルシアー?何してるのー?早く行くわよー!」

 

イリーナが振り返りルシアに手をふる、憎まれ口を叩きながらもヘッケランと一緒にいる彼女はとても楽しそうだった

 

そんな円満な関係に笑みが溢れる

 

「ふふ、わかりました、今いきます」

 

願わくばそんな幸せが続きますように、そう思いながらルシアは皆のもとに走った

 

 

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