では回想に入ろうじゃないか
何故僕が捕虜になったのか!
目が眩むほどの雲一つない晴天、普段は盗賊やら魔物やらに襲撃されるのが殆んどだが、そんな兆候は一切なく、久しぶり平和な旅路を満喫していた
道中ゴブリンやオーガが出たが、僕達(僕を除く)敵じゃない、リィズの蹴りで頭蓋が陥没、ルークの一太刀で両断、シトリーのポーションで爆散
なんなら僕の所有する宝具でも足止め程度なら可能だ
それほどまでにこの世界の魔物は弱い、まぁマナマテリアルによる強化や、幻影や幻獣の存在というのも
生態系全体の生物の基礎能力に関してある程度の影響もあるだろう
シトリーに聞いてみたがギガントバジリスクやデスナイトはランク3〜5宝物殿レベルだと言っていた
嘆きの亡霊は適正ランクは8の宝物殿を攻略している正直それに比べれば相手にはならない
「んーーいい昼寝日和だなぁ」
腕を伸ばし、大きく欠伸をしながら僕は馬車のなかでのんびり横になる
会議を終えたリィズ達は馬車から降りて走って法国へ向かっている、尚リィズはもちろんシトリーやルシアも後衛職であるにも関わらず馬車より早い
恐ろしい魔獣がいないのはリィズ達にとっては物足りないだろうが僕にとってはありがたいことこの上ない
「ヒヒーーーん!!?」
突如馬の劈くような叫びとともに馬車が大きく揺れた、ガタンッと車輪が何かに岩にでも当たったかのように
衝撃とともに昼寝していた僕は車外へと放りだされ地面へと激突、、はせずセーフリングが衝撃から僕を守った
「うわぁ、、?!なんだお前らは?!」
操縦手が悲鳴のような声をあげる、その視線の先には10人ほどの盗賊が僕達の進路を塞いでいた
僕はいつもそうなんだ、平和、なんて思っていたら不運が向こうからやってくる
幸いなのは彼があまり強くない賊ということくらいだろう
一人くらいなら拘束出来ただろうが、生憎それも無理そうだ
「おうおう、坊っちゃんいい馬車に乗ってるねぇ」
「どこに向かってるのかなぁ?」
「オジサンたちさぁちょっとお小遣いがほしくてさぁ」
「その身なりの良さからどっかの貴族だろ?」
「ちょっと一緒に来てくんないかなぁ?」
昼間なのにも関わらず黒いフードを被り、巨大なバスターソードを背負ったいかにも力自慢なガタイの良い男を筆頭に二振りのククリナイフや弓、杖をもった魔術詠唱者など盗賊にしてはバリエーションに溢れていた
「やれやれこのプレートが、、」
僕は首に下げたアダマンタイトのプレートを見せようとする
あれ?ない?ポケットや懐を弄るがそれらしきものがない、、
焦る僕を他所に賊はジリジリと距離を詰め寄ってくる
「抵抗するなら痛い目をみるぜ」
「ふ、やれやれ、」
もちろん、痛い目に会いたくないので抵抗しない
いくらセーフリングで攻撃を防げると言っても限界はある
僕がアダマンタイト級冒険者といっても信じては貰えないだろう、僕は弱いのだ、冒険者の風格や覇気は見に秘める力や身体に比例する、それは自身の力を証明する身分証なようなもの、強い冒険者は節穴な僕でもわかる、
だが今の僕にはそれがない、一般人程度の力しかない上にトレードマークとなる嗤う骸骨もない
あるのは貴族に見間違うほどの装飾品と馬車の中にあるミミッ君のみである
覇気や風格など今更言うまでもないだろう
幸いにも宝箱型宝具ノミミッ君は宝具により自在に縮小可能なため僕の懐にすっぽり収まっている
僕の宝具コレクションが盗られるということだけは回避できそうだ
見た目だけなら身なりの良い貴族に視えなくも、まぁないだろう
そんな僕はあっさりと賊に攫われた
まぁすぐにリィズ達が、助けてくれるだろう
そう呑気に思いながら僕の視界は布袋とともに真っ黒になった
〜〜〜
「ねーシトぉ、クライちゃん攫われたちゃったよーどうする?あいつら殺す?」
クライが攫われる様子を遠くから眺めながらリィズは今にも怒りが爆発しそうなのか、大地を踏み抜いた
強烈な衝撃から大地が抉れ、土埃が舞う
「お姉ちゃん、、、殺しちゃだめ、それにこれはクライさんの策なんだから邪魔しちゃだめ」
「むぅ、まだか、、」
シトリーはそんな姉を宥めるように足早に説得を始めた
「えーどーゆーことー?」
「私達、嘆きの亡霊は一度法国の精鋭部隊、陽光聖典とぶつかり、彼らのマジックアイテムを奪ってます」
「このまま法国にいっても賊として捕らえられるか門前払いされるのがオチでしょう」
「それならぶっ飛ばせばいいじゃん!!」
「お姉ちゃん、、、プレートをみせれば証明にはなるでしょうが、法国で活動する以上は何かしらの足枷にはなるでしょう」
「ですのでそのわだかまりを解く必要があります」
「うわーめんど、秘宝の一つくらいにケチケチシなくてもいいのに」
「そこで、クライさんが考えたのは法国が苦戦しているとされている亜人を討伐し手土産として持っていくことです、先程賊が逃げ込んだ森はその亜人の縄張りでもあります」
「法国に恩を売れる上に私達の力を示すこともできます」
「ふーん、それで私達はどうするの?その亜人をみつけて殺せばいいの?」
「いえ、ちょうどそれなりの規模の盗賊団もいますし、」
「えーどっちも潰しちゃえばいいじゃん」
それなりの規模の盗賊団、クライが攫われた盗賊団というのは「バルバレ盗賊団」という法国でも討伐をこまねいている数十人規模の盗賊団だった
全員が何かしらの魔法具で武装しておりミスリル級の戦闘力を有していると噂されていたとくにその頭目は帝国のアダマンタイト級冒険者【銀糸鳥】を撃退した猛者でありアダマンタイト級の力を有すると言われている
「とにかく私達は二つの勢力が衝突するように誘導していきますよ、双方どちらも互いの存在を認識した上で、法国という国があるため互いに不干渉を貫いているようですし」
「幸い亜人はキルキル君でどうにかなりますしバルバレ盗賊団もトレードマークである、プレートを装着すればバルバレの一員として偽装するのは容易いでしょう」
シトリーが話終わるとともに、シトリは懐から大銅鑼の模様が描かれた銀のプレートをかざす
長年使いこまれていたのかそのプレートには小さな傷がいくつかあったが手入れがされているのか錆は一切みられなかった
「プレートを左胸につけ、彼らと同じ恰好をすれば晴れて私達もバルバレ盗賊になれますね」
シトリー・スマートはどこから仕入れてきたのか、ニヤリと微笑みながらバルバレが着ている黒のローブと銀の大銅鑼プレートを人数分配った
「ふーん、まぁまぁ動きにくいけど我慢するか」
リィズは黒いローブのフードを被ると髪が擦れるからか少し不快な声をあげる
リィズはシーフだ、それ故にその装備はかなり薄い、衣服を胸元を隠すのみでヘソが丸見えだ、違和感があるとしたらリィズの武装であるハイエストルーツという宝具だ
デニムのパンツとつま先から膝頭を覆う中世の鎧を思わせる未知の金属で造られたグリーブ
本人の意思で形状を変化させることも可能であり、能力は空中を一度蹴れるという微妙な能力だ
リィズにとって丈の長い装備は動きの阻害になる、「絶影」の二つ名をもつ彼女にとっては動きを制限する装備は邪魔なのだろう
「それで俺はどうすればいいんだ?」
ルークは話の殆んどを聞いていなかったのか、腰に下げた木刀ノ柄を擦りながら頭を傾げた
「ルークさんはこの衣装に着替えて適当に暴れてもいいですが、合図をしたらちゃんと撤退シて下さいね」
「うおぉぉぉぉぉおやっとぶった斬れるのか!」
「ルークちゃん私の分もちゃんと残しておいてね」
「おう、わかった!早いもの勝ちってことだな!」
「お姉ちゃんもルークさんもあまり敵の数を減らし過ぎないで下さいね」