「な、馬鹿な、あれを受けて無傷だと、、、」
それは魔獣に向けられた言葉ではなく、魔獣の攻撃をまともに食らった筈のクライに向けられた感情だった
「にゃーごー」
猫のような声でノミモノはこちらに向かってくる、あの声、聞き覚えがある
ノミモノは再度こちらに飛びかかる、これは決して敵意のある攻撃行動でなければ、獲物に対しての捕食行為でもない
求愛行動なのだペットが飼い主に向けて甘えるアレである
ノミモノが甘えようと僕に飛びかかりセーフリングの一つが起動する
じゃれるという行為だけで僕はノミモノに殺されるのだ、実際鋭利な鉤爪は鉄を裂き、蛇にも即死級の猛毒らしい
これをペットにするシトリーに闇をかかえる、まぁ適当に答えた僕も勿論悪いんだけど
パンッと手を叩く音が洞窟内で不自然に木霊した
瞬間、閃光が僕を含めた盗賊団の視界を潰す
「にゃーごー」
真っ白の視界の中、凄まじい衝撃音が鳴り響く、だが僕のセーフリングは起動していない
だが音源はかなり近い、というか僕の正面だ
「え?」
視界が回復し、ようやく瞼を開けると、そこには死んだフリをしたノミモノの姿があった
ノミモノは目を瞑っているがパチパチと瞼が空きこちらをチラチラみて甘えるような声をだす
「くう〜ん」
くう〜んじゃないんだよ!くう〜んじゃ!
というか、ノミモノに死んだフリをできる人間は一人しかいない
僕は甘えてくるノミモノを他所に周囲を見渡す
賊が呆気にとられた表情をしているが今は気にしている余裕はない
どこだ、どこにいるんだ?
人混みの中、黒いフードを被っているが、見覚えのあるピンクのブロンド髪が目についた
みつけた瞬間、シトリーはまってましたよと言わんばかりに誰かにジェスチャーを送る
「すごーいノミモ、、キマイラを倒したーつよーい、」
わざとらしい台詞に、聞き覚えのある猫撫声、、リィズだな
「ありがとうございます、おかげで助かりました」
それに付け足すようにシトリーが僕を持ち上げる
(シトリィィィィィ!何やってんの?!)
こちらニッコリと笑顔を向け、ローブを外し手をふる姿に、僕は見覚えしかなかった
間違いなくシトリーだ、君、本当に何やってるの?
雑な変装しかしていないためすぐにわかった
というかわかる要素しかない
やっぱり今回の件はシトリーの仕業だったようだ
というかリィズも何やってるんだ
そんな僕をよそにシトリーは盗賊団をはやしたてる
何を言っているのかは周りが邪魔でよく聞き取れないがろくでもない事であることは想像できた
本当に何やってるんだよシトリー、、
何か僕に恨みでもあるのだろうか、正直心当たりがありすぎて逆に申し訳がない
「あれ、リィズとシトリーがいるってことは、、、」
足りないもう一人のメンバーを探すが、案の定すぐにみつかった
「ずるいぞ!俺も戦いたい!俺も、やる!」
子供のように駄々をこね、木刀をブンブン振り回す黒フードがいた
丁寧に仮面を被り、他の二人よりも精巧な変装をしている辺り、流石のシトリーもルークだとすぐにバレると思ってるようだ
てかルークは本当に何やってるの、、
リィズとシトリーの目的はわかったが、ルークに至ってはいつもと変わらない
木刀を持って暴れそうになるルークをシトリーとリィズが説得する
木刀にはべったり血がついているあたり、また誰かを斬ったんだろう
もう木刀も没収するべきだろうか、、、
「おいお前、あの化け物を倒すなんてすげーじゃねぇか!!」
「坊主名前はなんて言うんだ!」
「ありがとう、あんたのおかげで助かったよ」
色々感謝されているが、別に僕がやったわけじゃないし、元凶も僕の幼馴染なので感謝されるのすら申し訳ない
本当に僕の幼馴染が迷惑をかけてすいませんでした!!!
相手が盗賊だからまだいいが、普通なら僕は土下座するし
なんならゲロ吐きそうだ
「すまねぇ、だなこれはまだ序章に過ぎない」
喧騒を掻き分け、一際ガタイの良い男が僕の前に現れた
両腕には漆黒の入墨があり、肥大した筋肉を見せびらかすように男はピチピチのタンクトップを着ていた
カダイだけならガークさんに匹敵しうる、かもしれない
唯一違うところとしたらフッサフサの髪があるくらいだろう
うん、なんかガークさんに殺されそうだからやめとこ
「あの魔獣一匹のせいでアジトは半壊、怪我人も多数、そして仲間の情報では我らがバルバレに亜人が紛れこんでいると情報があった」
え?誰から?
シトリーが視界の端でヒラヒラと僕に手をふる
お前かい!!?僕は内心ツッコミをいれてしまうほど動揺してしまった
なんと僕の幼馴染のイタズラが元凶だ、亜人に責任転嫁する辺り流石ではあるが、
「そこであんたに頼みがある」
あ、嫌な予感
テンプレとも言えるフレーズに僕は動揺を隠せない
冷や汗をダラダラ通常ならかいているだろう
まぁ完璧な休暇を着ているので快適だが
「俺等はアジトの立て直しがあり動けません、ですのでアダマンタイト級冒険者の貴方に亜人連合討伐の依頼をしたいのです」
エセガークさんの後ろからいかにも悪そうな人相をした盗賊(頭脳派)が現れる
無理無理無理無理
いや君達さっきまで僕、捕虜だったんだけど、なんなら拷問しようとしたよね?
なんでそんなにフレンドリーに接してくるの?
というか盗賊団か依頼してくるってマジ?
「いや、、僕には荷が重、、、」
「勿論報酬は弾みます」
「請け負いたいのは山々だけど、僕も忙しいんだ、」
「でしたら、我々が体制を立て直すまで亜人共の足止めを!」
エセガークさんは僕の両腕を握り鼻息荒く頼みこんでくる
頼んでいるのは頭脳派盗賊だが、圧をかけているのはエセガークなのだ
こちらの顔をジーと見つめてくるが、辞めてほしい
僕にそんな趣味はないし、普通怖い
「頼む!」
「えー、、と、はい」
「おい、お前えらクライさんが亜人共は俺に任せろとよ!!」
本当は断りたかった、だがエセとはいえガークさんだ、断ったら何されるか
持ち前の筋肉で脅されるのは目に見えていた
というかその図体、ズルいだろ!誰だって断われんわ!
「亜人共は任せしましたクライさん」
何を言っているんだこの頭脳派は?無理に決まってんだろ
え?僕一人なの?仕事しろよガークさん
「助かるぞ流石はクライだ!」
話しきけよ!!それどこのクライさんだよ!そんなハードボイルドなクライさん僕も紹介してほしいわ
僕の静止を他所に盗賊団は勝手に盛り上がり、戦に勝ったみたいな雰囲気を出してはいるが僕はやるとは言っていない
「しかし、いくらなんでも彼一人では、、」
モブAが僕を、気づかって正論をぶつける
当たり前だろう、いくらなんでも僕では無理だ
「えぇ、なんせ実はあの人はアダマンタイト級冒険者嘆きの亡霊なんですから!」
「うぉぉぉぉぉお‼!!」
再度シトリーの声が洞窟内に響く、
アダマンタイト級冒険者は僕じゃない、幼馴染み達だ、一緒にされては困る
てかシトリー、、、
アダマンタイト冒険者であることを勝手に暴露された上に冒険者の討伐対象である盗賊団ガ何故そこまで盛り上がるのか?
逆だよね?
「まじかよ!アダマンタイトだったのか、あの強さにも納得だ」
「しかも一人で亜人連合の本拠地に攻め込むなんて」
「クライ!ズルいぞ!」
「クライ!!クライ!!クライ!!」
ルークは黙ってて、いや黙ってなくていいか、
最早止めるものは誰もいない、次第に盗賊団の盛り上がりはピークに達する
君達元気だなおい!?ルークもなんか混ざってるし
なんならルークだけでもいいから来てほしいわ!
戦いの好きだろルーク、、、僕の代わりに亜人をやってきてくれ
盗賊団の和の中、クライの反論は喧騒のなか誰の耳にも届くことはなかった
本当に何か僕に恨みでもあるのかシトリー、、、
人物紹介
リィズ・スマート
種族 人間
職業 盗賊(シーフ)
レベル72
転移ボーナスステータス
マナマテリアル吸収体
二つ名ボーナス《絶影》
武具
ハイエストルーツ(レア度不明)
・空を一度蹴れる能力
名匠の短剣(上級武器)
不浄なる短剣(上級武器)
・毒ダメージ付与
レガリア・グローブ(遺物級)
・???
宝具
少隕石の残火(A+)
・???
盗人の七光(ラックオブドロー)
・解錠専用アイテム