【第一章完】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!   作:阿弥陀乃トンマージ

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4本目(3)ネタ『女三人寄れば』

「はい、どーも~2年の凸込笑美で~す」

 

「2年の能美礼明で~す!」

 

「2年の能美礼光で~す!」

 

「『セトワラ』、今回はこの三人でお届けします、よろしくお願いしま~す」

 

「「お願いしま~す!」」

 

 双子の揃った挨拶に拍手が起こる。ひと呼吸おいて笑美の右隣に立った礼明が話し出す。

 

「いや~本当もうね……いきなりなんだけど」

 

「お、突然どうしたん? 礼明ちゃん?」

 

「かしましたい!」

 

「は?」

 

「かしましたいのよ!」

 

「な、何を言うてるの?」

 

 首を傾げる笑美の肩を左隣に立った礼光がドンドンと叩く。

 

「笑美ちゃん! 笑美ちゃん!」

 

「れ、礼光ちゃん、そ、そないドンドン叩かなくてもええから! 聞こえているから!」

 

「『女三人寄れば姦しい』とかって言うでしょ?」

 

「ああ……」

 

「礼明ちゃんは姦しい感じを味わいたいのよ!」

 

「あ、かしましたいってそういう意味⁉」

 

「そうよ~! 『姦しい』って形容詞と、『~たい』という希望・願望の表現を組み合わせた礼明ちゃんの造語よ、知らない?」

 

「造語やったら知る由もないがな!」

 

「かしましたいわ~! あ~かしましたい!」

 

 礼明が声を上げながら、シャドーボクシングを始める。それを見て笑美が戸惑う。

 

「身振り手振りが乱暴者のそれなんよ……なんかところ狭しと歩き始めたし……」

 

「礼明ちゃんがこう言うってことは、もうすっかりそういう時期なのね~」

 

「え? そんな季節恒例のことなん?」

 

「こうなったらね、笑美ちゃん」

 

 礼光が笑美の両手を握る。

 

「う、うん」

 

「礼明ちゃんのかしましたいって願望を叶えてあげないといけないわ」

 

「か、叶えてあげる?」

 

「そうよ、もし叶えてあげないと……これ以上は言えないわ」

 

「なんやそれ⁉ 気になるな……」

 

「とにかく、姦しい感じを出しましょう」

 

「姦しい感じって……」

 

「礼明ちゃん~!」

 

「なに? 礼光ちゃん?」

 

 礼光が礼明をステージ中央まで招き寄せる。

 

「こっちに来て、一緒にかしましりましょう!」

 

「ええっ⁉ かしましれるの⁉」

 

「ええもう! かしましまくりよ!」

 

「かしましり、かしましらせられるの?」

 

「そうよ~かしましるわよ~」

 

「造語変格活用のオンパレード! 全然わけが分からん!」

 

 二人に挟まれた笑美が思わず声を上げる。二人が黙る。

 

「……」

 

「………」

 

「あっ、ご、ごめん、いきなり大声出してもうて……」

 

「……良いかしましりね~」

 

「あ、合うてたんや⁉」

 

「え? 笑美ちゃん、中学とかでやってた?」

 

「やってない、やってない! そんな部活ないから! 『かしましい部』とか……」

 

「じゃあ、この三人で女子トーク、かしましって行きましょう!」

 

「イエーイ!」

 

 礼光の言葉に、礼明が反応する。笑美が戸惑いながら呟く。

 

「女子トークって言うたな……とりあえず女子っぽいトークをすればええんやな?」

 

「さば味噌がさ~」

 

「さ、さば味噌⁉ どんな話題⁉」

 

「あっ、ちょっとお手洗いに……」

 

 礼光がステージからはける。礼明が小声で笑美に語りかける。

 

「ねえ、笑美ちゃん、礼光ちゃんって、空気が読めないところあるわよね~?」

 

「え?」

 

 礼光が戻ってくる。

 

「お待たせ~なに話していたの?」

 

「いや、別に……あ、ちょっとお手洗いに……」

 

 今度は礼明がステージからはける。礼光が小声で笑美に語りかける。

 

「ねえ、笑美ちゃん、礼明ちゃんって、男子に媚びるところあるわよね~?」

 

「ええ?」

 

 礼明が戻ってくる。

 

「お待たせ~何を話していたの?」

 

「ううん、別になにもないわ……」

 

「……」

 

 両隣から礼明と礼光が笑美を見つめる。

 

「い、いや、ウチはいかへんよ、お手洗い! だって絶対悪口言うやん!」

 

「笑美ちゃん……」

 

「う~ん、全然かしませてないな~!」

 

 礼明が髪を激しくかきむしりながらステージを右往左往する。

 

「礼明ちゃん! 思う様にかしませないとああいう禁断症状が出るのよ~」

 

「禁断症状⁉」

 

「うあ~!」

 

「もうすぐ限界がくる! 私たちでなんとかしないと!」

 

「いや、しかるべき医療機関に相談しようや!」

 

「限界まであと一分!」

 

「急すぎる!」

 

「なにかかしましい感じを出さないと! 手遅れになるわ!」

 

「あ、そ、そういえばあそこの島にええ感じのカフェが出来たの知ってる⁉」

 

「!」

 

「礼明ちゃんの動きが止まった! いいわよ、笑美ちゃん!」

 

「そこのおすすめスイーツが絶品で、パティシエもすごいイケメンやねん!」

 

「そうそう、笑美ちゃんの言うとおりよ!」

 

「ス、スイーツ……パ、パティシエ……イ、イケメン……」

 

「礼明ちゃんの動きがかしましさを取り戻しつつあるわ!」

 

「かしましさって何?」

 

「ううっ……」

 

「ああ、でも礼明ちゃんまだ苦しんでいるわ! もっとかしましさパワーを送らないと!」

 

「かしましさパワー……?」

 

 礼光が両手を広げて念じる。

 

「かしまれ~かしまれ~……笑美ちゃんも一緒に!」

 

「ええっ⁉ かしまれ~かしまれ~……どういう状況なん! これは!」

 

「はっ!」

 

「あっ、良かった、正気を取り戻したみたいやわ、良かったね、礼光ちゃん?」

 

「あ~かまびすしたい!」

 

「えええっ⁉」

 

「礼光ちゃんのかまびすしたいって願望を叶えてあげないと! かまびすしいパワーを!」

 

「いや、こんどはこっちかいな! もうええわ!」

 

「「「どうも、ありがとうございました!」」」

 

 笑美と礼光と礼明がステージ中央で揃って頭を下げる。

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