【第一章完】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!   作:阿弥陀乃トンマージ

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8本目(4)ワールドワイド

「お疲れ様でした!」

 

 講堂の舞台袖に司が入ってきて、四人に声をかける。笑美が問う。

 

「……えっと……」

 

「はい?」

 

「どうやったかな?」

 

「いやいやいやいやいや、今回も最高でしたよ!」

 

「ほうか……それは良かった。ふう……」

 

 笑美が椅子に深々と座る。司が尋ねる。

 

「ど、どうされたんですか?」

 

「ん?」

 

「いつもよりお疲れのようでしたので……」

 

「そりゃあ決まっとるやろ……」

 

「?」

 

「トリオ漫才だってこないだほとんど初めてやったのに、カルテットって!」

 

「あ、ああ……」

 

 司が頷く。

 

「カ、カ、カルテットって!」

 

「……それ言いたいだけでしょう?」

 

「バレたか」

 

 笑美が笑みを浮かべる。

 

「でも……」

 

「うん?」

 

「元はと言えば、笑美さんが言い出したんですよ、アンタらの価値観をぶっ壊してやるって啖呵を切って……」

 

「あ、ああ、そうやったけな……」

 

 笑美が苦笑する。司がぼやく。

 

「ネタを考えるのも大変だったんですから……」

 

「いや~日本の笑いは低レベルだとか言われたらな~」

 

「ああ……」

 

「柄にもなく燃えるやろ、お互い?」

 

「まあ、それは……否定できないです」

 

「せやろ?」

 

 笑い合う笑美の下に、オースティンたち三人が近寄ってくる。司が声をかける。

 

「あ、あらためてお疲れ様。ど、どうだったかな?」

 

「……スティック」

 

「え?」

 

「ファンタスティック!」

 

「え、ええっ⁉」

 

「ギャグがビシっと決まったときの笑い声! ボケとツッコミ、それぞれの掛け合いが上手くハマったときに起こる爆笑という名の化学反応! そして終わった時のオーディエンスからの拍手と歓声と絶賛のハリケーン! あれは本当に……言葉にならないデース!」

 

 オースティンが興奮気味にまくし立てる。司が戸惑う。

 

「そ、そう……結構言語化していると思うけど……」

 

「……ミーはお二人に謝らなければならないことがあります」

 

「うん?」

 

「日本のお笑いが低レベルだと言ったこと、謝罪シマス……」

 

 オースティンは深々と頭を下げる。笑美が戸惑う。

 

「い、いや、そないなことせんでもええから……頭を上げて……」

 

「……まさしく新しい価値観を得たようで、生まれ変わったような気分デース!」

 

「また大げさなことを……」

 

「二人はどうでした? エタン?」

 

「日本のお笑い、恐るべし! ……ダ」

 

「マリサは?」

 

「とっても楽しかったネ~♪」

 

「それは良かった……」

 

 笑美が頷く。オースティンが話を続ける。

 

「実は、早期ではありますが、留学を切り上げようかと三人で話していたんデス……」

 

「え、そうなんや?」

 

「ですが、考えが変わりました。日本のお笑いをもっと深く学ぶため、留学を継続シマス!」

 

「そ、それは良かった……司くん」

 

 笑美が司に目配せする。司が頷く。

 

「そ、それじゃあ、今後もセトワラの一員として、活動を期待しても良いのかな?」

 

「オフコースデース!」

 

「無論ダ……」

 

「頑張っていきましょうネ~!」

 

 司の問いに三人が揃って頷く。司が笑顔になる。

 

「それは良かった……」

 

「ツッコミセンパイ……」

 

「いや、凸込やけど、なんや、オースティン?」

 

「マンザイは素晴らしいデース! 是非このコンテンツをワールドワイドにシマショウ!」

 

「ワ、ワールドワイドとはまた随分と大きく出たな……でも、面白そうやん」

 

 オースティンのスケールの大きい申し出に対し、笑美が笑いながら頷く。

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