【第一章完】凸込笑美はツッコまざるを得ない……!   作:阿弥陀乃トンマージ

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2本目(3)ネタ『節度あるお付き合い』

「はい、どーも~2年の凸込笑美で~す」

 

「3年の屋代智です……」

 

「『セトワラ』、今回はこの二人でお届けします、よろしくお願いしま~す」

 

「お願いします……」

 

 借りた講堂内に拍手が起こる。ひと呼吸おいてから笑美が話し出す。

 

「いや~ウチもJKになって2年目を迎えまして……」

 

「ああ、折り返しの年だな」

 

「そうそう……って、4年通わんわ! 留年前提で話しすんなや!」

 

「未来は誰にも分からないだろう……」

 

「カッコええ感じで言うな! って、そんなことはどうでもええんですよ! JK2年目ですよ! 花の高校2年生!」

 

 笑美は右手でピースサインをつくる。

 

「ああ……」

 

「いやあ~高2にもなったならね? あれですよ……彼氏!」

 

「彼氏?」

 

「そう、彼氏の1人や2人も欲しいな~なんて」

 

 笑美は両手を組んで胸の前に置く。

 

「……2人いたら駄目だろう」

 

「え?」

 

「彼氏と彼女は1人ずつだ、どっちか2人いたら浮気になるだろう」

 

「いや、言葉の綾やないか……」

 

「1人に絞れ」

 

「は?」

 

「仮にA君とB君がいるとしよう、どっちだ?」

 

「はあ?」

 

「どっちを選ぶ?」

 

 屋代が笑美にグイっと迫る。

 

「え……じゃ、じゃあ、A君で……」

 

「A君で良いのか?」

 

「ええよ」

 

「……本当か?」

 

「ああ」

 

「……本当にA君で構わないのか?」

 

「なんなん、A君⁉ なんか訳あり? ほんならB君でええわ!」

 

「B君にするのか」

 

「うん」

 

「B君か……ああ見えて結構優柔不断だぞ?」

 

「ああ見えてってなんやねん! 仮の話やろ⁉ やっぱりA君でええわ!」

 

「……C君という選択肢もあるが?」

 

「ええねん、もうそれは! 早く話進めさせてや!」

 

「……まあいい」

 

 屋代が腕を組んで頷く。

 

「……やっぱりデートしたいな、デート」

 

「高校生らしい節度あるお付き合いをしろよ」

 

「父親か!」

 

「デートプランは? どこに行くんだ?」

 

「え? まあ、ベタにカラオケとかかな~?」

 

「カラオケか、1曲目は何にする?」

 

「え、ええ?」

 

「誰でも知っているような曲じゃないと盛り下がるぞ」

 

「そこまで決めなアカンの……?」

 

「ああ、大事なことだ」

 

「ほんなら……Aboの『ちっせえわ』!」

 

「ああ、あれか……」

 

「そうや、あれはみんな知っとるやろ?」

 

「でもあの曲……結構声を張るだろう?」

 

「え? ま、まあ、そうかもな……」

 

「まだ喉が温まっていない状態ではやめておけ」

 

「ええ? じゃ、じゃあ、ヒアソビの『昼に出かける』!」

 

「それも却下だ」

 

「却下⁉」

 

「A君には少しキーが高い。一緒に歌える曲にしておけ」

 

「ええ……じゃあ、定番のアニソンとかどうや?」

 

「アニメソングか、良いかもな」

 

「せやろ? 世代を超えて愛されているもんな」

 

「じゃあ、それを2曲くらい続けて……」

 

「そこで胸毛ダンディズムの『ミックスチーズ』や!」

 

「3曲目はバラードでしっとりさせないと……!」

 

「なんでガチの選曲せんといかんねん!」

 

「あともうちょっとB君の歌いやすそうな曲を選んでやれ」

 

 屋代が手振りでB君を指し示す。

 

「B君おんのかいな⁉ ま、まあ、ええわ、4曲目は『ミックスチーズ』でええな?」

 

「盛り上がっているところに店員さんが飲み物を持ってくるから気まずくなることを考慮して、どうでも良い曲にしておけ」

 

「もうカラオケええわ! 映画、映画見にいくわ!」

 

「映画か……」

 

「そう!」

 

「……どんな映画を見るんだ? ジャンルは?」

 

「え~ホラーとかかな?」

 

「怖いだろう」

 

「そら怖いよ、でも『キャー♡』とか言うて、密着出来るやん!」

 

「下心ダダ漏れだな」

 

「下心って言うな! ……ダダ漏れもしてへん!」

 

「あまりイチャイチャするなよ……」

 

 屋代が小声になる。

 

「なんで?」

 

「逆隣に座っているB君の気持ちも考えろ」

 

「なんでB君おんねん! もうええわ、カフェに行く!」

 

「カフェ?」

 

「せや、オシャレなカフェで、美味し~いパフェを一緒に食べんねん」

 

「……正気か?」

 

「なんやねん?」

 

「……B君、甘いの苦手なんだぞ!」

 

「だからなんでB君おんねん!」

 

「もっとB君のことを考えてやれ!」

 

「だから、なんでついてきてんねん、さっきから!」

 

「ああ、ちょっと待て……」

 

「ん?」

 

 屋代が端末を確認する。

 

「……そうか、分かった」

 

「どないしたん?」

 

「……C君は少し遅れて合流するらしい」

 

「C君も来るんかいな⁉」

 

 屋代が両腕を腰につけて告げる。

 

「……というわけで高校生らしい節度あるお付き合いをしろよ?」

 

「出来るか! もうええわ!」

 

「「どうも、ありがとうございました!」」

 

 笑美と屋代がステージ中央で揃って頭を下げる。

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