この海で一番ゴーカイな海賊団   作:木奉 間人

4 / 9
遅れながらWBC 日本優勝おめでとうございます!
まじで大谷選手がストライク決めた瞬間、頭で「心絵」が流れましたね。

ソレでは、野球と全く関係のない第4話をお楽しみください。


第4話 小さな密航者

 

 海賊たちが各々の支流から山の頂上を目指し、一気に駆け上る。海流と風が船を押し上げて、後ろも振り返らせずまっすぐに突き進んでいく。

 

 どうもアカです。たった今レースがスタートして、船が一気に山を登っています。いやぁ風が気持ちいいね。このまま一気に頂上まで一直線だぜ! 

 と、言いたいところだけど……

 

 

「オラァ! そこの小さい船! ジャマだ! どきやがれ!」

「優勝すんのは俺たちなんだよ! 前を行くんじゃねぇ!」

「その真っ赤な船、血でもっと赤くされてェのか!?」

 

 なんか、支流の中でもライバルがかなり多いところを選んじゃってたみたいで、ものすごい喧嘩売られてます……。

 てかやっぱこの船目立つから、目ぇつけられまくってんな……。正直そのうち色変えようか迷い始めてるけど、流石にこの伝説の船の色を変えるのは気が引けるんだよね……。

 もう左右と前に合計3隻、すっかり囲まれちゃったよ。四面楚歌一歩寸前。どうしましょ。

 

「おい、どうすんだよ!? このままじゃガスパーデ云々以前にお陀仏になっちまうぞ!」

「ピャアアアア!!!」

「こうなったら迎え撃つしかないね。とりあえず、優勝有力候補はこの支流にはいないみたいだから、なんとか突破するよ!」

 

 

「言ってくれるじゃねぇか! だったら遠慮しねぇぞ! 撃てぇ!」

 

 げげっ、左の船、いきなり大砲打ってきやがった! 船体の横に食らったらひとたまりもないぞ! 

 そっちがその気なら、こっちも容赦しねぇぞこのやろう! 

 

「ゴーカイチェンジ!」

「ゴォーセイジャー!!」

「ウィンドライブカード、天装!」

『スプラッシュ、スカイック パワー」

 

 ウィンドライブは風に乗せて物を運ぶゴセイレッドの天装術。大砲を打ち返すことぐらいならわけはない。店員さーん、クーリングオフじゃコラァ! 

 

 

「うわっ、弾が返ってきたぞ!」

「な、なんだ、風!?」

「「うわぁああ!!!」」

 

 よっしゃあ、まず1隻! どうだ、こんにゃろめ! 

 

「なっ……なんてやつだ」

「ヨッシャア! よくやっタアカ!」

 

 

「だったら海戦じゃあ! 野郎ども、相手は2人と1匹だ! 乗り込んで捻り潰せ!」

「「「「「「「「おおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」

 

 

 うわっ、なんてヤケクソな作戦。こんな奴らに俺の船を踏ませてたまるかこのやろう! こんな時は乗せる前に海に沈めてやる! 

 

 

「ゴーカイチェンジ!」

「マァージレンジャー!!」

「マジ・マジカ!!」

 

 

 飛んで火に入る夏の虫ってね、汚物は魔法で消毒じゃあ!! 

 うははは、燃えろ燃えろぉ! 

 

 

「ぎゃああ、アチいいいい!!!!」

「海に飛び込め! 燃えちまう!」

「うわっ、船にまで燃え移ったぞ!」

 

 よし、右も撃破、残るは前の1隻のみ。さぁどうお料理してくれようかしら。

 って、もう向こうの船長目に見えてアタフタしてるよ。

 あんなでかい図体に似合わず面白いな。

 

 

「せ、船長! どうしましょう!?」

「え!? えーと……こうなったら……こいつだぁ!」

 

 

 げっ! なんじゃあのイカリ! 10mはあるぞ! まさかあれ投げる気かおい! 

 

 

「おいどうすんだよ! あんなの食らったら船なんざ速攻で沈むぞ! なんかないのか!?」

「いやいくらなんでもあれは……あ、あれだ!!」

「くらえやああああ!!!!」

 

 うおおキタァ!! 急げ急げ! 

 

「ゴーカイチェンジ!」

「パァートレンジャー!!」

「そんでもって!!」

『クレーン パトライズ 警察ブースト!』

 

「なんだその腕のゴツいの!?」

「まぁ見てろ! ストロング撲滅突破ぁ!」

 

 

 腕についたクレーンの中からドリルが出てきて、クレーンの先に接続される。

 そしてそのままイカリに向かって一気に勢いをつけ、そのまま粉々に破壊した。

 

 

「「「うっそーん!!!」」」

「あ、やべ。ドリルとまんね」

 

 

 そのままドリルは一直線に船尾につきささり、大きな穴を開けた。

 そして船はそのまま音を立てて沈んでいった……。

 

「「「「「ぎゃあああああ!!!!!」」」」」

 

「……南無」

「南無じゃねぇヨ! オマエがやったんだロ!」

「……もうなんでもありだな……」

 

 そうこうしているうちに山が近くなり、そのまま船が一気に上を向き始めた。

 船は加速し、そのままジェットコースターが如く一気に急上昇する。

 そしていよいよ頂上についた。

 

 

「いよいよスタートだ! しっかり捕まっとけ!」

「言われなくても!」

「ピャー!」

 

 

 

 その瞬間、船は真っ逆様に落ちていった。これがこの島でも有名なグランドフォール。

 山を水流が駆け上がり、そのまま滝となって降り注ぐ。

 これがデッドエンドレースのスタート。下手をすれば、地面と激突しそのままゲームオーバー。

 

 

「「「うおあああああああ!!!!!」」」

 

 

ザッパーン……

 

 

 

「な、なんとか着水できたな……」

「死ぬかと思っタ……」

「お前は飛べるから良いだろオウム……」

「オウムじゃねぇヨ、パロだヨ……」

 

 

 って、休んでる暇もなさそうだな……。

 

 

「うおおお!」

「オラァ殺してやる!」「ぎゃああ!」

「おお〜やってるやってる」

 

 

 バラバラの支流から海賊が一気に集まり、そのまま乱戦状態。海賊達のレースにルールなんてない。

 一斉に潰し合いが始まった。

 因みにウチの船の周りは幸いさっき3隻沈めたのが見られていたみたいで、今のところ挑んでくる奴はいない。

 とりあえず海流の激しいところはとっとと抜けてしまおう。

 あ、巨人族の船が大破してやがる。ラッキー。

 

 ─────────────────────────────

 

 

「くそっ、サラマンダー号はあんなに遠くに……」

「まぁ進んでりゃそのうち合流すんだろ」

「オレ、ちょっと中で休ム……」

「おうそうしな」

 

 

「さてと、俺は見張り続けっからお前も休んでいいよ?」

「むしろお前が休めよ。ほぼずっと戦いっぱなしだったろ」

「交代で見張れば良いでしょ」

 

 

「ビャアアアアア!!!」

「な、なんだ!? あのオウムか!?」

「中で何かあったのか?」

 

 

 二人で船の中に入ると、小さな子供がパロを掴んで銃口を向けていた。

 でかい帽子をかぶっていて、なんか生意気そうな顔をしている。

 

 

「おい、動くな! 動いたらこいつを撃つぞ!」

「子供……? いつの間に乗り込んでいたんだ?」

 

 

 昨日紛れ込んできたのか? またいつのまに……。

 

「おい、聞いてんのか! 撃つって言ってるだろ!」

「え、良いよ別に」

「え?」

「オイコラ! いい訳ないだロ!!」

「お、おい? あの鳥仲間じゃねぇのかよ?」

「良いよ別にあんな穀潰し。煮るなり焼くなり親子丼にするなりご自由にどうぞ」

「ぶっ殺されたいのかオイ!」

 

 ウルセェ! 捕まってる分際でガタガタ抜かすな! 

 全くこないだも捕まってたのに、良い加減にしろよ! 

 

「お前ら! 本当に撃つぞ! お前も喋ってないで……

 え? 喋った? こいつ喋ったぞ!?」

「「いやおせぇよ」」

「え、なんだよこの鳥気持ち悪りぃ!」

「なんだとこのヤロウ!」

 あ、手ェ離した。アホだこの子。

 

 

 

「はい確保〜」

「わっ、離せ! 離せよ!」

「そんな危なっかしいもん持って、君一体どっから入ってきたんだ?」

「ウルセェ! お前らに関係ないだろ!」

 

 いや関係ありありだよ。こっち襲われた張本人なんだけども。

 第一こんな子供がこんなところによく一人で忍び込めたな。

 

「まぁいいや、何しにきたの? これ一応海賊船だよ?」

「黙れ! 金がいるんだ! お前らを殺して、金を作るために来たんだ!」

「金ねぇ……わかりやすくていいや」

 

 つっても俺まだ懸賞金かけられてないけどね。絶対乗る船間違えたなこの子。

 

「くそっ……殺せよ!」

「はあ?」

「生きてたってしょうがないんだ……希望だってない……だからとっとと……」

「……」

 

 

 その瞬間、シュライヤは思わず息を呑んだ。パロも思わず冷や汗を流した。

 ソレほどまでに、アカが発した気迫が凄まじかったのだ。

 

 

「殺さねぇよ。お前には殺す価値もねぇ」

「なっ……」

「いいか、一つ教えといてやる。

 

 

 

 

 弱い奴は、死に方も選べねぇ」

 そういうと、アカは銃を持って外に出ていった。

 

 

 子供は思わず涙を流した。自分が乗った船は間違いなく海賊の船。

 自分が思っていたよりも、ずっと恐ろしい海賊の船だったのだ。

 

 

 ─────────────────────────────

 

「意外だな、お前はもっとお人好しな奴だと持ってたぜ」

 

 シュライヤか。できれば外で一人になりたかったんだけどね。

 

「そんなんじゃないよ。ただ、ああいう命知らずのガキは、あんまり好きじゃねぇんだ」

「……そうかよ。まぁお前もなんかあった口みたいだな」

 

 

 ま、確かに色々あったよ。俺も転生前の記憶を思い出すまで、結構荒れてたからな。

 

 

 

「まぁいいや、飯作るよ。見張りよろしく」

「……ああ」

 

 

 

 

 ─────────────────────────────

 

 

 

「お頭! もうこの船はもうダメだ! 逃げよう!」

「なんでこんなことに……」

「お頭!」

 

 

 

 

 

 

 

「ここは、ゴールのパルティアじゃなかったのかよ!!!!」

 

 

 

 その叫びを最後に、船が一隻また沈んでいく。

 

 参加した海賊たちはなぜか、次々にやられていく。

 

 そしてガスパーデは、その断末魔を想像しながら、一人ほくそ笑んでいた。

 

 

 




低気圧のせいで偏頭痛がきついです。

主人公の過去は、機会があれば書くかもしれません。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
次回もよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。