この海で一番ゴーカイな海賊団   作:木奉 間人

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最近季節の変わり目で、気温が上がったり下がったり大変です。

こないだ衣替えで服を整理したら次の日一気に気温が下がって、しまったダウンジャケットをもう一度引っ張り出しました。俺の労力返せ。

それでは衣替えと全く関係ない第5話をどうぞ。


第5話 嵐の前兆

「なっ……なんじゃこりゃあ……」

 

 どうもアカです。ゴールに向けて船を進めていると、なんだか沈んだ船が

 いっぱい見えてきたもんなんで、乱戦でもあったのかなと思ってました。

 

 

 と、思っていたらなんか目の前にえらいもんが見えてきてます。

 あれ、なんか海軍のマークが見えるんですけど……気のせいだよね? 

 

「なんで目の前に海軍要塞が……?」

「一体どうなってるんだ……?」

「多分、こういうことだヨ。ここの金具、とってみロ」

 

 そう言ってパロが持ってきたのは、レース開始前に胴元からもらったエターナルポース。

 言われた通りにゴーカイサーベルで地名の書いてある金具の部分を外してみた。

 そこには「パルティア」じゃなくて「ナバロン」と書いてある。

 

 

 

「おい、ナバロンって確か……」

「有名な海軍の基地ダ。通称「鉄壁の要塞」って言われてル」

「ガスパーデだな……こんなことするのは、きっとあいつだ」

 

 ガスパーデ……あのデコ助、こんなことまでやってるっていうのか? 

 でも何のために? 

 

「そうだと思うよ。ついこないだ船で、大量のエターナルポースが積まれてるのを見た。多分、それ」

「オマエ、ガスパーデの船にいたのカ?」

「うん、昔助けてくれたじっちゃんが、船で働かされてた……。

 病気なんだ。仲間じゃないってあいつら、薬もくれない。

 だから、おれ……」

 

 

「ま、君の事情はわかった。で、どうする?」

「え……?」

「ここは海軍の基地だ。ここで降りれば君は助けてもらえる。海賊船とはお別れだ。

 その代わり、おじいさんとも会えなくなる」

「うっ……」

 

 ちょっと厳しいかもしれないが事実だ。正直、これ以上この子を船に乗せているわけにもいかない。いくらなんでも危険すぎる。

 

「もしいかないんなら、俺は今からガスパーデのところに行くけど、君はどうする?」

「行く! 連れてけ!」

 

 よし、その啖呵やよし。んじゃ行きますか! 

 ガスパーデぶっ飛ばしに! 

 

 

「……ってどうやっていくんだよ。パルティアがどこにあるかもわかんないんだぞ。

 エターナルポースもないし……」

「ま、方法がないわけでもない。ゴーカイチェンジ!」

「ジューウオウジャー!!」

 

 

 ちょっと考えたけど、ジュウオウイーグルの視力が一番可能性がある。

 結構雲が濃くて薄暗いからうまくいくかな……んん? 

 

 

 

 ─────────────────────────────

 

「くそっ、あの賞金稼ぎと小僧のおかげで、釜炊きに格下げタァ……」

「ああもうやってられるか!」

「お主ら、何をしておる……? 誰の許可もらってボイラーに飯やってんだ!?」

「ウルセェな、好きでやってねぇよ!」

「アナグマはどこに行った?」

「アナグマ? ああお前の助手だっけか? 確か、海賊を殺しに行ったとかなんとか……」

「なんだと!?」

 

 

 ─────────────────────────────

 

 いやぁ、サラマンダー号見つかって良かった〜。正直結構ダメ元だった部分あったからな〜。

 あ、アナグマのやつ、パロと一緒に寝てやがる。こうしてみると、結構可愛いのに、

 まぁ海賊船で育ったらあんな風にもなるか。

 

「おい、見張りご苦労。なんか食っとけよ」

「ああ、悪いな」

 

 そんでコイツはガスパーデの船見つけてから一睡もしてないな。流石に少し休んどかないと、出会した時体力もたんだろうに。変に頑固なんだから。

 

 

「なぁ、少し聞いてもいいか?」

「……なんだ?」

「ガスパーデと、何があったんだ?」

 

 

 デリカシーがないかもしれない。でも、やっぱりずっと気になっていた。

 ただの賞金稼ぎのためとか、そういうあれではないのは間違いないし、コイツも

 俺がそれに気づいている事は、薄々勘付いてると思った。

 

 

「……お前には関係ないだろ」

「かもな、でも気になっちってよ」

「……まぁ。単純な話だ。お前の思ってる通り、賞金とかが目当てじゃねぇよ。

 俺はあいつに復讐するためにここにいるんだ」

 

 復讐ねぇ……あの目はやっぱりそういう事だったか。

 

「俺の生まれは造船所があった。親は船大工だった。

 

 小さい頃、蒸気船が珍しくて見に行ったことがあった。

 

 だがその日、ガスパーデがそれに目をつけて、奪いにきた。

 

 ついでみたいに、故郷を火の海にした。

 

 その時まだ3歳だった妹は、川に流されて死んじまった。

 

 家族も、友達も、みんなあいつに奪われた。

 

 だから……あいつだけは、俺の手で討たなくちゃならねぇんだ」

 

 ……思った以上に重たい話だった。

 だが、聞いたことを後悔はしなかった。

 持っていた酒瓶に、思わず力がこもる。

 

「聞かない方が良かったか?」

「いや、酒の肴にはなったよ」

「はっ、そうかよ」

 

「……くだらねぇと思うか? 復讐なんて」

「は?」

「俺はあいつを殺すために、なんでもやって来た。

 騙し、殺し……あげたらキリがねぇ。

 きっともう、元には戻れねぇだろうな」

 

「……俺が昔聞いた言葉でこんなのがあるんだけど、

 

 とある、自分の姉を殺した犯人を殺すためにわざと捕まって、刑務所に入った人がさ

 こんなこと言ってたんだよ。

 

『「復讐」とは自分の運命への決着をつけるためにあるッ!』

 

 ……だってさ」

 

 前世の兄貴の受け売りだけどね。第9部ちゃんと読みたかったなぁ……。

 

「だから、くだらないなんておもわねぇよ。

 お前は何も間違っちゃいねぇよ」

 

「運命への決着……か……」

「ああ、それに、乗り掛かった船だ。最後までとことん付き合うよ。

 あ、船に乗ってんのはお前か。なはは」

「へっ、物好きな奴だ」

「んだとぉ、飯下げるぞこの野郎」

「おいやめろ、食うよ食う食う」

 

 いつのまにか夜は過ぎて、俺たちはただただ笑い合っていた。

 利用とかが復讐とか……そんなしがらみは忘れて、ただただ、普通の友達みたいに。

 

 

「……これうまいな」

「だろ、俺特製手羽先だぜ」

 

 

 

 ─────────────────────────────

 

 

 

「……暇だ」

「ぐっ……」

 

 悔しそうに顔を歪ませるのは、優勝候補2番手、魚人海賊団船長ウィリー。

 いや、すでに彼は船長ですらない。なぜなら彼の一味は彼を残して、全て殺されてしまい、船の上で無惨な姿で散らばっているためだ。

 それもたった2人、ガスパーデとニードルスに完膚なきまでに壊滅させられていたのだ。

 

 レース途中、ウィリーは他の海賊船のグループから離れたサラマンダー号を怪しみ追いかけたが、

 そのまま戦闘になり、船員はおろか船まで全て壊されてしまったのだ。

 全く歯が立たなかった。魚人と人間の種族の差だとか、そんな小さな問題ではない。

 海賊としての、格の違いを思い知らされたのだ。

 

 

「少しは暇つぶしになると思ったが、これじゃおもちゃにもなりゃしねぇ。つまらない奴は、とっとと俺の前から消え失せろ!」

 

 

 そう叫ぶとガスパーデはウィリーの頭を掴み、海に向けて放り投げた。まるで気に入らないおもちゃに癇癪を起こす赤ん坊のように、彼のイライラは最高潮に来ていた。

 

「それとも……お前が遊んでくれるか?」

 

 そう言って彼が見たのは、自分の手下であるはずのニードルス。側から見れば、寡黙で冷静なガスパーデの右腕だが、彼の目的は、彼を近くから観察し弱点を見つけ、自らの手で殺すこと。

 ガスパーデもそれは承知の上で、むしろ殺して見せろと言わんばかりに彼を近くに置いている。その奇妙で狂った関係を見て、船員達は思わず身震いした。

 すると1人の船員から大声が上がった。

 

「ガスパーデ様! 船が一隻こちらに向かっています!!」

「どいつだ!」

「いえ、見たことのない船です! 船体が全部真っ赤で、2人しか乗っていません!」

「真っ赤……?」

 

 その言葉にガスパーデは、思わず反応した。

 間違いない。スタート前啖呵を切ってみせた、あの生意気な小僧。ニードルスの速さを見切り、宣戦布告してみせた命知らず。

 やっときたかと言わんばかりに、彼の口角はにんまりと上がっていく。

 さっきまで癇癪を起こしていたかと思えば、新しいおもちゃを見つけてうずうずするガスパーデを、ニードルスはただ静かに眺めていた。

 

 

 

 

 

 風が強くなる。嵐の予兆だ。

 この嵐が過ぎ去った後には、いったい何が残るのか、誰が立っているのか。

 それを知るものは、まだ誰もいない。

 

だが、そのうねりの中心にいるのは

 

 

「おおーい、アゴデカ将軍!!遊ぼうぜぇ!!!!」

 

 

 

…間違いなくこの男である。

 

 




なかなかうまい文章が書けず苦戦中。ランキング上位の皆さんの作品を少しでも参考にしてみようとしますが、なかなかうまく行きません。ちくしょう。
こんな駄文ですが少しでも読んでくださる方がいる限り続けていくつもりです。


次回、ついに全面対決!お楽しみに。
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