この海で一番ゴーカイな海賊団   作:木奉 間人

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なかなか筆が進まず、前回からかなり間が空いちゃいました。
これからも忙しくあるのでかなり不定期になります。すんません。

今日の話題だと、リタ様の推しがSNSにわんさか発生してますが、自分も例に漏れずその1人です。

ではリタ様にそこまで関係のない第6話をどうぞ。


第6話 Substitution

 

「お前、何を叫んでんだよ! あいつの怒り買う気か!」

「え、もう買ってんじゃん。だったら逆にあいつの冷静さを奪うためにさ……」

「余計に怒らせるだけだろ、どう考えても!」

「おいお前ら、ケンカしてる場合かよ!」

 

 どうもアカです。ようやくサラマンダー号に追いつきました。

 遂にガスパーデと対決かと思ったら、船の上でシュライヤに怒られてます。ごめんて。

 ほらアナグマも止めてるしさ、ね? 

 てことでガレオンのイカリを降ろして、お船にじょーせーん! あよいしょー。

 

 

「おうお前ら、あの時は世話んなったな!!」

「今度は覚悟しろよ! 数が違うんだよ! 数が!」

「たかが2人に何ができる!」

 

 うわっ、なんかいっぱいいる。ハンニバルで見たのもちらほらいるな。この数はちょーっと骨が折れそうだ。だけどシュライヤはそんな奴ら見向きもせずに、どっかから持ってきたスコップを握りしめながらガスパーデとニードルスの方しか睨んでいない。まぁそりゃそうか。

 そんでアナグマ、ズボン引っ張りすぎ。落ちちゃうでしょ。

 

「よし、アナグマ。とりあえず俺らで隙を作るから、その隙にパロと一緒にお爺さん見つけてきな。

 見た感じそれっぽい人いないから、ボイラー室でしょ」

「う、うん。でも大丈夫か? あの2人だけでも大変なのに、下っ端もあんなに……」

「どのみち君に今できるのはここで戦うことじゃない。合図したら、一気に飛び出すんだ。

 パロ、頼んだぞ」

「オウ!」

 

 そもそもこの子がここにいても、正直足手まどいだ。2人で守りながら戦えば間違いなく負ける。

 だったらこっちの方が都合がいい。ちょっと言い方は悪いが事実だ。

 

「で、役割分担はどうしよっか?」

「……あの2人は俺がやる。それだけは譲れねぇ」

「そ。じゃ俺はこいつらかな」

「1人でやる気か? 随分な自信だな。やられんなよ」

「確かに厳しいかもしれないけど、やるだけやるさ」

 

 そして俺たちは背中合わせかつ小声で、互いの獲物を定める。と言っても、シュライヤの目的は最初から目の前の2人。流石にあいつらを相手にするのはシュライヤでも厳しいだろうが、あいつらの性格上、2人同時になぶり殺しにするということはない。

 だったらこいつが戦っている間、この雑魚たちが邪魔しないようにするのが俺の役目だ。

 

「んだとぉ! ガスパーデ海賊団は、てっぺん2人だけじゃねぇぞ! やっちまえ!」

「「「「うおおおお!!!!」」」」

 

 1人の合図を皮切りに、一気に海賊が攻めてくる。数が多いからなんだ。

 こっから先は一歩も踏み入れさせない。あいつの邪魔をさせるわけにはいかない。

 

「ゴーカイチェンジ!」

「ゴォーカイジャー!!」

 

 

「行くぞ!」

 

 

 その合図を皮切りに、俺たちは3手に別れて走り出した。

 アナグマはパロと一緒にボイラー室に向かって走り出した。まだ海賊達がくる前に下の階に行けば爺さんを見つけられる。

 シュライヤはガスパーデとニードルスに向かって一気に進み出した。おそらく先に来るのはニードルス、勝てるかどうかは賭けだが、長引けば1人で戦うのが厳しい。

 だから俺は、その時間を少しでも稼ぐ! 

 

 ─────────────────────────────

 

 

 

「おらぁ!」

「くそっ、こいつやっぱり強い!」

「だったらなんだ! たった1人なんだぞ!」

「どんだけわいてくんだよテメェら、1匹みたら30匹いんのか!?」

「「「人をGみたいにいうな!!!」」」

 

 ああもう数が多い。ハンニバルの時の比じゃない、下っ端全員引っ張り出てきやがったなこいつら。カッコつけたのはいいけど、このままじゃあいつのところに辿り着かれるのは時間の問題じゃんかよ。どこぞのお猿の船長みたいに「ゴムゴムの鞭!」とか言って一掃できればどんだけ楽か……ん? お猿? 

 

 

「そうだ! こいつを試してみよう! ゴーカイチェンジ!」

「カァークレンジャー!!」

 

「姿が変わったからなんだ! 一気に畳みかけろ! くらえ!」

「ぐはっ!!」

「よっしゃあ! ついに倒した……ぞ……?」

「うわぁ、こいつ増えたぞ!」

「まさか、分身の術か!!??」

「な、なんだこいつ!? 忍者なのか!?」

「「「「「「「「へっへーん、隠流・分け身の術だ!!!」」」」」」」」

 

 カクレンジャーの必殺技 隠流・分け身の術。攻撃を受けたふりをして、最大8人まで分身する技である。この人数差を覆すには、これしかない。

 てか何人か目ぇ輝かせてんなぁ。やっぱワンピース世界でも忍者大人気なんだな。ローやゾロですら興奮してたもんな、そりゃそうか。

 原作ではない戦い方だ。使ったらどうなるかわからない。だけど後のことを考えてたら、きっとこいつらを倒しきりことはできない。やってやるぞ、ちくしょう! 

 

「そんでもっていくぜ! みんな!」

「「「「「「「おう! ゴーカイチェンジ!」」」」」」」

「ゴォーレンジャー!!」

「ジューウレンジャー!!」

「ガーオレンジャー!!」

「マージレンジャー!!」

「デーカレンジャー!!」

「シーンケンジャー!!」

「キーラメイジャー!!」

 

 昔べ○10っていうアニメで分身した後別々の姿に変身する話があったから真似してみたけど、なんとか成功した。でもこれ、戻った後どうなるか俺にも想像がつかない。正直賭けである。

 

「こ、こいつ、いやこいつら何しやがった!?」

「1人だろうが8人だろうが知るか! 人数はこっちの方が多いんだぞ!」

「でもあいつ1人でも強いんだぞ! それが8人って……」

「ここで逃げたらどのみちガスパーデ様に殺されるぞ! いけ!」

 

 

「「「「「「「「さぁ、派手にいくぜ!!!」」」」」」」」

 

 ─────────────────────────────

 

「ふっふっふっ、あいつら、派手にやってるな」

「……」

 

 シュライヤはスコップに力を込めながら2人を睨む。

 目の前にいるのは、自分の故郷を焼き、家族を殺し、全てを奪った男達。

 遂に、遂にここまで来た。

 

 あいつは、俺の復讐を否定しなかった。

 利用されていたことを知っても、あいつは手伝うと言った。

 ただのお人好しかもしれない。それでも、自分を信じてくれたアカのために、

 そして、自分自身の運命のために。

 

「いくぞ……ガスパーデ……」

「ふっ、いいだろう……といいてぇ所だったんだが、ニードルスがどうしてもお前を消したいと言っていてな。見物させてもらうぜ」

「どっちが先かってだけだ……テメェも標的の1人だ!」

 

 そう言うと2人は一気に接近し武器をぶつけ合った。鉤爪とスコップは互いに火花を散らし、縦横無尽に動き回る。互いに素早い動きを武器にするタイプということもあって立体的に飛び回りながら相手を攻撃する。しかしシュライヤに比べてニードルスの方が経験値と腕力が幾分か上である分、シュライヤは防戦一方。ニードルスは自分たちの船のことなどお構いなしに攻撃する。すでに数発もらったシュライヤの体はボロボロだが、船もあちこち穴だらけになっていく。

 

 

「おい、船を壊すんじゃねぇよ」

 

 そんなガスパーデの声も虚しく、船はどんどん壊れていく。そもそも元々ガスパーデの船でもないわけだが。そうしているうちに、ニードルスの剛腕がシュライヤを襲い、床に叩きつける。

 

「がはっ……!」

 

 だが次の瞬間ニードルスの顔が歪み、シュライヤを蹴り飛ばし距離を作る。気がつくと右腕の骨が折れ、感覚が無くなっていた。

 

「へっ、まず一本……」

 ─────────────────────────────

 

「ボイラー室はこっちだ!」

「あとどれくらいダ! 時間あんまりないゾ!」

「もう少し!」

 

 

 アナグマとパロはボイラー室に向かって走る。すでにほとんどの船員は戦闘に出ているため、船内には人が今の所見当たらない。上から聞こえる音からして、かなり激しく闘っているのが伝わる。下手をすれば船ごと沈む可能性もある。それを考えると、自然と足が早く動いた。

 

「……ん? 誰じゃ?」

「あ、じっちゃん!」

「お、おめぇアナグマか! 今まで一体……!?」

「じっちゃん!! じっちゃあん!」

「バカモンが……無事でよかった……」

「ごめんよじっちゃん……」

「オイ、感動の再会は一旦後回しにしロ!」

「そうだ、じっちゃん! 急いでこのふねをでよう!」

「え、なんじゃと? と言うかその鳥喋っとらんか?」

 

 

 状況が掴めずあたふたするビエラの腕を掴み、アナグマは出よう出ようと急かす。一体何があったと、ビエラはただただ焦る一方である。

 

「今上で俺が乗せてもらってる船の海賊と賞金稼ぎがガスパーデ達と闘ってるんだ! あいつら強いんだ、きっと助かるよ! だからここを出よう! 生きるんだ! じっちゃんいっつも言ってたじゃんか!」

「あ、ああ……、そいつらは一体……?」

「来てよ! 見ればきっとわかるよ!」

「あっ、おい!?」

 

 アナグマに引っ張られ船上に出たビエラが見たのは、ニードルスと戦うとある青年だった。8年前、自分がいた島で見た覚えのある顔。その男を見て、ビエラはパロに問いた。

 

「お、おい。あの黄色い服の男の名は!?」

「エ!? えっと、シュライヤ・バスクードだけど……」

「……っ!」

 

 その名前を聞いた瞬間、ビエラの顔が変わった。何かを決意したような、緊張感のある顔だった。アナグマも長い付き合いで始めてみる顔だ。

 

「アナグマ、お前は先に戻ってくれ」

「え、じっちゃんは?」

「ワシはやることができた。なぁに、すぐに追いかけるわい」

「でもぉ……」

「頼む、このおいぼれの後生の頼みだ」

「……わかった」

「鳥さんや、この子をどうか頼めるか?」

「ソ、ソレはできるけド……、アンタ、まさカ……」

「何も言うな。どうか宜しく……」

「オ、オウ……」

 

 ビエラの真剣な顔つきに、アナグマもパロも思わずたじろいた。強い決意をしたその声に、自分も応えねばと思ったからだ。もしかしたらビエラはかなり危険なことをする気なのかもしれない。下手をすれば死ぬかもしれない。それでも「わかった」としか答えられないと言わざるを得ない凄みだった。

 

「行こウ、オレたちはアイツらが勝った後すぐに帰れるよう準備しないト!」

「え、どういうこと!?」

「あれを見ロ! ハンニバルで小耳に挟んでたんダ! この辺は……

 

 

サイクロンの名所ダ!!」

「んな──────!!??」

 

 

 ─────────────────────────────

 

「はぁ……。いい加減くたばれよ……」

「……」

 

 もうどれだけ撃ち合い、殴り合ったかもわからない。そう思うほど、ニードルスとシュライヤの戦いは均衡していた。腕一本折れたニードルスと、全身打撲のシュライヤ。外輪の上でどちらがいつ倒れても、全く不思議ではなかった。

 

「あの男は俺が殺す……。渡さん……」

「変態野郎が……」

 

 再び2人は動き出す。思い切り振り上げられたニードルスの左腕をシュライヤが反射的にスコップでガードするが、ニードルスの腕力はそれをものともせず、そのまま脳天に一撃を打ち込み、シュライヤは気絶してしまう。そしてニードルスは終わりと言わんばかりに、鉤爪を振りかぶり、シュライヤに振り下ろす。

 

「トドメだ!」

 だがそこでニードルスにとって誤算があった。一つはシュライヤにはまだ意識があったこと。

 鉤爪が刺さる前に、シュライヤは横に転がり、ギリギリで攻撃を避けた。そのまま鉤爪は外輪に巻き込まれ、ニードルスを腕ごと引き摺り込もうとする。思わず焦ったニードルスは鉤爪を外し、一息つく。

 だがそこでもう一つの誤算が起きる。それはシュライヤの予想外の一撃。普段の冷静な自分なら躱せていた攻撃だが、さしもの彼でも死の恐怖には勝てなかったようで、そのまま攻撃をモロに受け、海に落ちていった。誰よりも冷徹な海賊の人生は、あまりの滑稽に幕を閉じた。

 

 ついに1人復讐の相手を仕留めたシュライヤは息を整え、ガスパーデにスコップを向ける。すでに体はボロボロだが、ニードルスを仕留めたことで彼自身無意識のうちに興奮していた。今しかない。今こそ、奴に一矢報いる時だと自分に言い聞かせる。当のガスパーデはただニヤつきながらこちらを見つめている。余裕綽々と言う表情だが、そんなものは関係ない。

 

「次はテメェだ!! ガスパーデ!!!!」

 

 勢いのままにスコップをガスパーデの顔面に振り下ろす。だがその瞬間、シュライヤは絶望する。なんとガスパーデの顔は緑色の水飴のようになっており、スコップで裂けた顔はまるでハエでも止まっているかのように笑っている。シュライヤにはまるで悪魔の微笑みのように見えた。8年越しに喰らわせたと思った一撃は、血の一滴すら流させることはできなかった。

 

「ニードルスをやったのは見事だったが残念だったな……。俺は昔、アメアメの実っていう悪魔の実を食った。その能力は、体を水飴のように変化させること。溶ければあらゆる攻撃をいなす最強の盾のなり、固まれば……」

「ぐはっ!」

「こうして相手を殺す最強と矛にもなるのさ」

 

 拳を硬質化した飴にした一撃はシュライヤの腹を直撃する。そのあまりにも重い一撃に、シュライヤの意識は飛びかける。一気に近づいたことで間合いが縮まっていたことで、ガスパーデの強力なカウンターを食らったのだ。肋骨の2,3本は折れているだろう。だがシュライヤの執念がなんとか意識を保たせた。

 

「ほぉ、まだ意識があるのか。だがこれはどうだ!」

 

 シュライヤと言うおもちゃが一撃で壊れないことに気づき、目を輝かせるガスパーデ。

 首根っこを掴んだまま一気に拳を振り上げ、そのまま顔面に振り下ろす……

 

 

 

 だがその拳は突如2人の間に現れたサーベルによって防がれる。

 鉄の如く固まった拳とサーベルのぶつかった金属音に近い音が、雨の中響き渡った。

 サーベルの持ち主は赤いコートを靡かせ、ニヒルに微笑む。それに返すように、ガスパーデもまた思いっきり口角を上げた。

 

 

 

 

「選手交代だ」

「テメェ……!」

 




ちなみに題名のSubstitutionはスポーツ用語の「選手交代」と言う意味です。

次回もお楽しみに。
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