園崎霧彦は異世界でガイアメモリを売りまくって罪を数えます。 作:エターナルロード
「あ、その前に一度ギルドに寄ってもよろしいですか?」
「ギルド……? ええ、もちろん」
ここでまた新たな用語だ。
あまり詳しくは分かってはないが、とりあえず知ってるふうを装っておこう。
大方想像はつくが。
これからもきっとこの世界での常識を問われる場面に遭遇するだろうが、このように営業スマイルを保っていれば大体は乗り切れるだろう。
それにしても賑やかな街だ。
まさに異世界ファンタジーという街が目の前に広がっており、純粋な感動を覚える。
ここが今後、私の拠点となるかもしれない。
得られるだけの情報を得なければ。
「着きました。外で待っていますか?」
「いえ、私も同行させてもらおう」
「分かりました。くれぐれも気を付けてください。冒険者はとても荒っぽいですし、あなたが商人と分かれば襲ってくる可能性もありますので」
「…………心得ておくよ」
中に入ると、途端にガヤガヤとした雰囲気が霧彦を飲み込む。
荒くれ者のような男共が酒を片手に騒いでいる。
正直、霧彦にとっては苦手だ。
(園崎家の食事が恋しいな…………なんて)
笑えない冗談だ。
気づくとリムは受付らしき女性と話をしている。
先刻倒した怪物の体の一部を引き渡しているようだ。
概ね想像どおりだ。
ここは冒険者ギルド。
怪物、いや、魔物と呼ぶべきか。それらの素材を換金し生計を建てる者共の集まり。
ますますファンタジーとなってきた。
「よおうニイチャン。調子はどうだぁ」
思考に更けていると、荒くれの1人に絡まれてしまった。
だがこんな時こそ営業スマイル。
「ええ。絶好調ですよ。とても。お客様はいかがですか?」
「はっ! あんた、やっぱ商人か?」
荒くれは返しにも答えず話を進める。
これは少々厄介なことになりそうだ。
「何のようで来てるかは知らねぇが、とにかく金だしなぁ」
「ハッハッハ……これはこれは随分と、歯に衣着せ言い様ですね」
「商人なんかにいちいち媚び売ってられるかっ! 黙って俺ら冒険者にヘコヘコしてればいいんだよ!」
まぁ理解出来なくもない。だが浅はかで愚かだ。
「待ちなさいっ! あなた達、何をしているのですかっ!」
どうやらリムが戻ってきたようだ。
一応叱ってくれるんだなと、霧彦は思った。
「ああん? なんだ小娘。てめぇに関係あんのかよ」
「私がどうこうではなくて「あぁリムさん。大丈夫です。少しお話をしていただけですから。さぁ行きましょうか」
さっさと退散しようと思ったが…………
「おいっ! 何逃げようとしていやがるっ! 商人の分際で俺に歯向かうかっ!」
ヒソヒソ「またあいつやってるよ……」
ヒソヒソ「あいつも被害者になるのか……かわいそうに……」
ふむ、これは面倒なことになった。
まぁいい。私自身とメモリの力を試してみるのもいいかもしれません。
「はぁ……では、1つ確認させて頂きたい」
「あぁ!?」
「あなたは……私よりも強い、ということでよろしいのですか?」
その時、その場の人々の動きが凍り付いたのを感じた。
「てめぇ……殺すっ」
「やってみたまえ。猿……いや、さしづめ魔物、かな」
言い終わる頃には、男が拳を振りかざしていた。
「キリヒコっ!」
ガシッ!
「ぬっ……!?」
見切った、といわんばかりに拳を受け止める霧彦。
「ふむ。やはりこの程度か。こちらの世界の人間より多少は強いようだが……」
すかさずカウンターを腹にお見舞いする。
「ぐわぁっ……!? な、なんだこいつぅ、なんてっ、力……」
怯んだところに回し蹴りを一発、顔面に食らわす。
相手はどうやら気絶したようだ。
「…………」
「…………」
「…………」
しかし、依然としてギルドの様子が変わることはなかった。
そんな中、最初に口を開いたのはリムだった。
「あなたは……一体……?」
「私は少し、特殊な力を持っていてね。私の世界、いや、町では私のような人間はこう呼ばれていた」
「ハイドープ、とね」