明日の君も今日のように笑えるように、
俺は。私は。
想いでを残し続ける。
伊地知虹夏と過ごす1日ではまず最初に決まってやることがある。
背負っていたリュックを前の方に持ってきて中身をゴソゴソ漁る彼女に合わせ、少し歩む速度を緩める。
「んーと……あった!えっとさ、私達の通ってる学校は下北沢高校、で合ってるよね?」
「あぁ、合ってる。ちなみに今日から──」
「今日から新学期!なんでしょ?えへへ、ちゃんとメモしてあったよほら!いやぁ〜昨日の私偉いね!」
俺の言葉に被せるようにして声を上げ、バッと開かれたノートを俺の前に突き出してくる虹夏。そんな彼女に俺は目線をノートから逸らして頷いた。
「はは、そうだな。今日から俺らは高校2年生、案外あっという間だったなぁ」
「そうなんだ、私にはよくわかんないやぁ〜あははっ!」
「……っ!わりぃ。そんなつもりじゃ……」
「ううん、いいの気にしないで!私こそなんかゴメンね、余計なこと言っちゃった」
俺の何気なく出た一言でお互い気まずそうに謝り無言の時間が生まれる。何をやってるんだと自分を思い切りひっぱたきくなる気持ちを抑えながら歩調を合わせ朝の下北沢を歩く。
俺達が最初にやること、それは彼女が記したノートと事実の確認である。
虹夏はほとんどの場合、眠ることでその日の記憶を失ってしまう。そのため彼女は明日の記憶を失った自分ができるだけ困らぬようにとその日の出来事や、関わりのある人物についてノートに書き留める。
まるで日記でも書くように。しかしただの日記とは思えぬほど熱心に、必死に書き漏らしてなるものかと必死にペンを走らせる。
そうして出来上がったノートを起きてから読み状況をできるだけ把握して俺達と問題の答え合わせでもするように聞いてくるのだ。
今でこそ、小学生の頃から続けている俺にとってももはや毎日のルーティンと言っても過言ではないくらい体に染み付いた作業だが、これを始めた頃はつらかった。俺達にとっては当たり前のことを虹夏は毎日同じように聞いてくるのだ。1週間経った頃には彼女がいないとこで少し泣いた。
そんな感じでいくつかの事項を確認した後、俺達は目当ての人物の家にたどり着く。そしてそのやたらと立派な家の前で俺は呆れたようにため息をつく。
「おいコラ、家の前で音楽聴いて優雅にジュース飲む暇があったら少しはこっちの方へ歩いてこいや。おめぇの家と学校真反対なんだから来た道戻んないといけねぇんだぞ……っておい聞いてる?イヤホン外せ山田ァ!」
「大丈夫、聞こえてる。朝から元気だね晴人。そんな叫んでたら喉壊すよ」
「いや誰のせいでこんな朝っぱらから声を荒げてると思ってんの?」
「あはは、ほんとにマイペースなんだね。おはよう……リョウ!」
「自分のやりたいことをするのが一番だからね。おはよう、虹夏」
もう一人の幼馴染、山田リョウとそんなやり取りをして挨拶を交わした。
リョウは元々虹夏と仲が良く、彼女から紹介されるような形で出会い3人で遊ぶことが多くなっていった。何かとマイペースで金使いが荒く、よく金を貸してくれと言ってきて、よく草を食べてる変わったヤツだ。
だが記憶を失ってしまった虹夏にそれまでと変わらずに接し続け、ずっと一緒にいるあたり、悪いヤツではないということは分かる。まぁ金に関してはもう少しちゃんとしてほしいが。
幼馴染にそんな願うだけ無駄な願いをしながら視線を移すと既に虹夏と学校までの道を歩き始めていた。
飲んでいたジュースに興味津々な虹夏に飲んでみるかとそれを手渡し、美味しいと笑う彼女に小さく口元を緩ませるリョウ。
なんてことないやり取り。いつでもどこでも見れる普通の高校生の日常にしか見えないあの光景が俺達にはとても大事で、絶対に失いたくなくて。
楽しそうに語らい笑う2人の幼馴染の後ろ姿をスマホ向けそっとシャッターを切って収める。
「晴人くんどうしたの?早く行こうよー!」
「あれだけ私に小言を言っていた晴人が遅刻へと私達を
「はっ、何言ってんだよ。こんくらいで遅刻なんてしないっての、すぐ行くよ」
少し先で立ち止まりこちらを振り返る2人にそう笑って駆け出す。
大切な思い出を忘れないために、今日もたくさん撮らなきゃいけないものがありそうだ。
3人肩を並べとりとめもない話をしながら朝の下北沢を歩く。
こうして俺達の何気なくも、大切にしなければならない日常が始まっていく。
1話を投稿してから山田含めた3人が揃ってるとこまでのほうがプロローグとしてちょうどいいんじゃね?と後悔しプロローグに2話も使うことになりまひた。
最初からガバガバで先が思いやられる。
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これからも感想や評価などを頂けると承認欲求モンスターが元気になって続きを書けそうです
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