ようこそTSメスゴリラのいる教室へ   作:薔薇尻浩作

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森羅万象チョコ。というシール付きお菓子がありましてね?
その付録シールのキャラクターに『蛮勇妃ゾルダ』というキャラがいましてね?
検索をしてみると良いかも知れませんね?


自己紹介と生徒指導室

 

 

「いきなり時間を取ってもらって済まない。だが入学式まではまだ暫く時間があるだろう。そこで、この空き時間の間に各々の自己紹介をしたいと考えたのだが、どうだろうか?」

 

 

立ち上がってそんな提案を掲げたのは目立つ男だった。なんつーか、存在感がある。

ツルッツルの禿頭もそうだし、そこそこ鍛えられていてゴツゴツとした身体。

それに落ち着いた喋り方から、己への自信っていうのが嫌味にならない程度には溢れていた。

 

 

「賛成です葛城さん‼︎ クラス替えが無いってことは3年間この面子で過ごすってわけですから、やっぱそういうの必要ですよ‼︎」

 

「弥彦、俺に敬語は必要ないと先程も……まあ良い。彼、戸塚の意見は尤もだと思う。とは言え、だ。大勢の前で話すのが苦手な人間も中には居るだろう。これは、あくまで俺の我儘であり、何の強制力も無い、ただの提案だ。拒否してもらっても何ら問題はない」

 

 

俺が教室に入る前に既に友達作りは終えていたのか、ヤヒコ? なる人物がすかさず同意する。

にしてもヤケに持ち上げられているな? カツラギって男は。

数人の男子達がヤヒコに同意するようにウンウンと頷いているし。

 

何となーくだが将来的にはこのカツラギがクラスのリーダー的なポジションに着いたりする予感がする。

日本もアメリカ程じゃなくてもスクールカーストには五月蝿そうだし、特に反抗してまで喧嘩売る必要もないよな。

 

 

「良いんじゃねーの。やっぱクラスメイトの顔と名前が一致しねーってのは不便だしな」

 

 

金髪のツーブロックをオールバックに流した、いかにもチャラそうな男子が明るくそう言うと、周りの人間も男女問わず賛同の声を上げ始める。

まあ余程のコミュ障でもなければ悪態ついて、これから長い時を共に過ごすクラスメイトに悪印象を与える様なバカバカしい真似はしねーよな。

 

 

「どうやら全員賛同してくれたようだな、ありがとう。では提案者として俺から始めさせて貰おう。」

 

 

そう言うとカツラギは教卓の前に立って俺たちを一瞥した。

何つーか、ただ立っているだけなのに大木のようなドッシリとした貫禄を感じさせる男だと思う。

 

 

「俺の名前は葛城康平。中学時代は生徒会長を務めており、機会があればこの学校でも生徒会に立候補するつもりだ。このような見た目で近寄り難いと感じるかもしれないが、どうか気軽に話しかけて欲しい。これから3年間、どうぞ宜しく」

 

 

そう言って頭を下げた葛城にクラスメイトがパチパチと拍手する。もちろん俺も悪目立ちしない程度にはパチパチしといた。

しかし頭は見事にツルッパゲなのに姓はカツラギなのね。ある意味覚えやすいわ。

そんな失礼なことを俺が考えている内に、葛城が主導する形で席順に自己紹介は続いた。

 

さっきからやけに葛城をヨイショしていた短髪のヒョロリとした男は戸塚弥彦。

先程のチャラ男は橋本正義。ワカメみたいなヌラヌラとした黒髪を無造作に伸ばし、ホラー映画のエキストラに出てきそうな顔面をした厳つい男は鬼頭隼。

周りの女子からハートマークが浮かびそうな熱っぽい視線を集めているイケメンの里中聡。

煙が出そうな程にホットなスタイルをしているが、とっつきにくそうな神室真澄。

顔は可愛いのに、死んだ魚の目で何か色々と台無しにしている山村美紀。

 

と、まあ葛城に勝るとも劣らず、といった個性的な面々が揃っていた。あれだな、国営のエリート校は成績よりもキャラの強さで人選を決めている疑惑が出てきたな。まあ、俺も人のこと言えねーけどよ。

そして葛城が1人の生徒に声をかけた。

 

 

「次は君……杖をついているようだが大丈夫か? 無理に立ち上がる必要はないぞ?」

 

「御心配どうも。ですが歩行する程度なら問題ありません」

 

 

 

妖精さんみたいな見た目の小さな姿はまさにニンフェット。

身体が虚弱なのか杖をついてる。のはイイんだが、何でガーターベルトとベレー帽を装備しているんだ?

まあ、アレだ。色んな意味でインパクトの強い娘だ。

 

 

「皆さま初めまして。私は坂柳有栖と申します。先天性疾患を患っており、ご覧のとおり歩行の際には杖をついています。クラスの皆様に補助をお願いする機会もあるかもしれません。ご不便をおかけしますが、どうか暖かい心持ちで接して頂けたら幸いです。これから3年間、共に切磋琢磨して互いの実力を高め合い、素晴らしい学生生活を送れるよう、どうか宜しくお願いします」

 

 

雪のように白い肌と薄紫色のセミロングヘアがチャーミングなホワイトロリータはやけに丁寧な仕草でマナー講師さながらの礼をした。

当然、拍手喝采である。葛城は「いつでも力にならせて貰う」と頷いてるし、男子はその美貌に、女子はその庇護欲をくすぐる見た目に好感を抱いているっぽい。

きっと育ちが良いんだろう、なんつーか、こう、気品みたいなものが滲み出てる。

……俺も結構、イイトコロの育ちなのに何で中身はこんなに違うんだか。

 

 

「では、次に……その、一番前の、君。お願い……出来るだろうか」

 

「OkieDokie」

 

 

さて、そんな事を考えてる内に俺の番だ。

葛城の言葉に素直に従って立ち上がった俺のことを周囲の生徒は興味深く見つめている。

……ごめん、嘘。ちょっと見栄張ったわ。

普通になんか怖いモノを見るような目で見られてるのが悲しい。

特に女子の反応は酷い。青褪めて今にも泣き出しそうな娘までいる。と言うか坂柳以外の女子は全滅。男子もビビってるのがバレバレだ。

何だったらさっき葛城が呼び掛けてくれた時も微妙に声が震えてたしな。

……いや、むしろ今もこうして面白げにニコニコと微笑んでいる坂柳が異端なのか?

ちいちゃい見た目の割に肝が据わってるんだなー。

 

 

「剛力だ。剛力オーガスタ。スペルはA・U・G・U・S・T・A……出身はアメリカのニューヨーク州で、パパンが日本人、ママンがスパニッシュ系アメリカ人のハーフ。ずっと向こうで暮らしてたから正直な話、日本語にあんま自信は無いんだ。オマケに見た目通りの脳筋でな。運動はともかく勉強は苦手ってわけ。まあ、そんな馬鹿な俺でも見捨てないで仲良くして欲しい。これから宜しく」

 

 

最後に「Thank you」と締めると拍手かパチパチ……ってなんか少なくね? 何でみんな不自然に机の方を向いてるわけ? 震えてるやつまでいるし。別に喧嘩売られでもしなけりゃ、わざわざ取って食ったりしないぞ?

そんでもって何故か坂柳はニコニコ度合いが更に増している。何だ? あのロリっ娘に気に入られるようなポイントがあんな無難な自己紹介にあったとは思えないんだが。

まあ、とは言え自己紹介の時間は普通に終わった。

 

 

そんでもって残念なというか、全くもって予想通りというか。

自己紹介の時間が終わった後、何となーく友好を深める雑談タイムができた訳だけども、クラスメイト達は誰一人として、俺に話しかけてはくれなかった。ちょっと疎外感。

それどころか目も合わせようとしてくれない。

って言うか視線が合いそうになるとビュンッと勢いで首を振るのはやり過ぎじゃね?

 

ちなみに唯一、俺に対しての好感度が高そうだった坂柳はすっかり人の輪に囲われている。

うーん、話をしてみたかったんだが残念だ。流石にあそこに割って入るのは空気が読めないってもんだよな。

 

しかしこのままじゃボッチってやつの仲間入りか? 向こうじゃ結構人気者だったんだけどなー俺。

やっぱ見た目に威圧感があるのかね?

 

まあ別に時間は腐るほどあるし、ゆっくり仲良くなっていけばいいか。特に女子だよ、女子。

このクラス、異様なまでに顔面偏差値の水準が高いんだよ。卒業までに何人かと深い仲になれたら最高だな。

あーでも不純異性交遊は禁止なんだっけ? 同性同士ならセーフだろ。多分。

 

そんな事を考えてるうちに教室に戻ってきた真嶋のオッサンの号令の下、入学式の為に移動が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しゃーす」

 

 

長ったらしいだけで何の中身も無い入学式が終わってようやく放課後。流石に入学初日に授業はないから午前中で解散。

クラスメイトが交友を深めるためか楽しそうに笑顔で寄り道する中、俺だけ1人寂しく職員室だ。嫌になるね、全く。

それにしても、何でどいつもこいつもお偉いさんって言うのは話が長いのかねぇ? ここら辺は日本もアメリカも変わらないんだなー。なんて考えながら俺は真嶋のオッサンを探した。

室内を見回すと、想像以上に広い。やっぱ国立だし給料いいのかなー。なんて考えているとオッサンとは存在価値が桁違いの瑞々しい美女が近寄って来た。

 

 

「えーと、新入生の子? で、いいのよね? 名前と用件を聞いてもいいかしら?」

 

 

肩まで伸びた茶髪がゆるくパーマを巻いている。瞳は大きく、顔立ちは整っていて、華奢で巨乳。声色はふんわりとしていて一見馬鹿っぽく見えるが……こりゃ計算でやってるっぽいな。

つまり頭が良くて男を掌で転がすのに長けてるタイプだ。

うーん、イイね。是非とも俺の事も転がして貰いながらベッドの上で仲良くしてもらいたい。そう思わせるほどの美人だ。

そんな彼女の可愛い顔がちょっと引き攣ってるのは……まあ仕方ない。このガタイだし無駄に怖がられるのは慣れている。

毛を逆立てた子猫ちゃんをゆっくり口説き落としてベッドの中で鳴かせる事が、俺の生き甲斐って言っても過言じゃないしな。

 

にしても生徒だけじゃなくて教師もレベル高いのか。最高だなこの学校。

内心でそんな歓喜に浸りながら、なるべく威圧感を出さないように挨拶しとく。

 

 

「Aクラスの剛力っす。真嶋のオッサンに顔出すように呼び出されたんで顔出させて貰いました」

 

「お、おっさん……真嶋くんがおっさん……」

 

「あ、すんません。真嶋のセンセーでしたね、先生。俺、留学生なもんで、まだ日本語に不慣れでして」

 

「う、うん。目上の人にそんな言葉を使っちゃダメだから気をつけた方がいいわよー……いや、本当に」

 

 

何か真嶋のオッサンのことを話題に出したら目の前の女教師の顔色が急に悪くなったんだが。もしかして、このゆるふわ巨乳ちゃんの元カレだったり?

それとも年齢が同じだから凹んでるとか?

実は同級生とかだったらダメージがデカそうだな。

見た目から判断するなら20代半ばぐらいか?

まあ、俺はルックスと身体の相性さえよければ年齢なんて気にしねーけど。巨乳なら更にGood‼︎

 

 

「何をしている星乃宮」

 

「ま、真嶋くん。こちらの剛力さんがあなたに用事だって」

 

「うん? ああ、剛力。今朝の事か」

 

 

何かダメージ受けちゃってるホシノミヤ? 先生に怪訝な視線を送るもサラッとスルーする真嶋のオッサン。出来る大人は違うねー。

 

 

「入学式も終わったんで、とりあえず顔出したんすけど……都合悪かったっすかね?」

 

「いや、細かい時間を指定しなかった此方の落ち度だ。気にすることはない。では早速、生徒指導室の方へ移動しよう」

 

「ウッス」

 

「……返事には、はい。と言いなさい」

 

「はいっす」

 

「……ハァ」

 

 

呆れたように溜息を吐くオッサンに連れられてトコトコ向かったのは教室よりも小ぢんまりとした部屋だ。

椅子とテーブル。それだけがポツンと置かれた寂しい光景は昔しょっぴかれた取調室に似てる。

あっちはデカいマジックミラーが付いてたけど、こっちは小さい外出し窓が付いていた。

 

こんな部屋で何すんのさ。と思っていると「少し待っていなさい」と言い残し、真嶋のオッサンはそそくさと出て行ってしまった。

えー、呼び付けておいて何だよ。とも思ったが大人しく椅子に座って待機。何か目つけらてるっぽいから暫くは大人しくしておいた方が安全っていう判断だ。

 

とは言え安っぽいパイプ椅子ではやっぱり俺の下半身は収まらない。

ギチギチ言ってるけど壊れたりしないよな?

最近体重測ってないから詳しくは分からねーけど、少なくとも160キロはあるんだよな、俺。

あ、別にデブってわけじゃねーぞ? 余分な脂肪は尻と胸以外はついてないし。重いのは筋肉のせいだ。

 

なんて誰に言ってるのか分からない弁解を脳内で繰り広げていると真嶋のオッサンが紙袋を持って帰ってきた。

 

 

「待たせたな。これがスラックスだ。入学前の身体データに合わせてサイズ合わせをしている。大丈夫だとは思うが万が一サイズが合わなかった場合は教員、もしくは寮の管理人に申し出てくれ」

 

「ウッス。ありがとうございます」

 

 

何とまあ、わざわざ持ってきてくれたらしい。これは素直に有難い。やっぱり元男という前世のせいか、どうにもスカートは股ぐらがスースーして好きになれないんだよなぁ。

それにしても、言い出した直後の即日で渡してくれるとは準備がいいな。

サイズ測定やらなんやらで1週間ぐらい掛かると思い込んでたんだが、流石は名門の国立校‼︎

……いや冷静に考えれば、ここら辺はあんまり国立とか関係ない気がするけど。

 

 

「さて、それで。ソファーだったか?」

 

「あ、そーです。校則的には大丈夫っすかね?」

 

 

対面に座った真嶋のオッサンは相変わらずの仏頂面で俺の顔を睨むように見詰めている。

ぶっちゃけ俺の方が全然タッパがあるから、見上げられているこっちとしちゃあ、威圧感とかは特に無いんだけどな。

 

 

「ソファーの購入は問題ない。だがそれを教室に持ち込んで、授業を受けるとなると。な」

 

「あー。駄目な感じっすか?」

 

「まあ、本来ならな。だが備品の椅子では剛力、君の身体に負担がかかるのだろう?」

 

「そうなんすよ。俺って体重も規格外なら尻のデカさも規格外なもんですから。最後に測ったのかなり前だから流石に詳しいサイズまでは覚えてないっすけど」

 

「言わんでいい……ハァ。剛力。君は社会的なマナーの前に女性としての慎みを覚えなさい」

 

「ベッドの上のマナーなら免許皆伝レベルなんすけどね」

 

 

ギロリ。と音が鳴りそうな鋭い睨みをプレゼントしてくれた真嶋のオッサンに降参とばかりに両手を挙げた。

俺のジョークのセンスが悪いのか、真嶋のオッサンのノリが悪いのかは微妙なところだ。

 

 

 

「先程の戯言は聞かなかった事にしてやる……さて。備品の椅子ではお前の負担になる。結論から述べよう。上層部に掛け合った結果、条件付きだがお前の主張は認められることになった」

 

 

いつの間にか二人称が君からお前に変わってるなー。と思いつつも、どうにかソファーの件は認められそうだ。

にしても、たかが学生のワガママ一つで態々、上層部に掛け合ってくれるとは、見た目以上に教育熱心だったりするのか? このオッサン。

 

 

「そりゃ、良かった。って両手を上げて喜びたいところっすけど、条件っすか?」

 

「ああ、その通りだ。さて剛力、お前は今朝の俺の説明を覚えているか? ポイントについての話だ」

 

「へ? えーっと。施設の利用や商品の購入に必要で、この学校内においては何でも買える? でしたっけ?」

 

「その通りだ」

 

 

若干喰い気味に俺の言葉を肯定したオッサンはゲンドウポーズを取って益々、視線の圧を強くした。

 

 

「剛力。この学校内においてポイントで買えないものは無い。そう、文字通り。買えないものは無いんだ」

 

 

一言一句噛み締めるように。重厚な圧を含んで先程の説明を繰り返す真嶋。

……いや、うん。そりゃ現金代わりの電子マネーなんだから当たり前じゃね?

 

 

「そっすか」

 

「ああ、買えないものは無いんだ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

えっ? 何この無駄な沈黙。

 

 

「……ハァ」

 

 

おいこらオッサン‼︎ なんだその失望したと言わんばかりの馬鹿でかい溜息は⁉︎

 

 

「いや、何でもない、話を戻すぞ。条件についてだが二つだ。先ずは5000ポイントを使用料として学校側に支払う事だ」

 

「ん? 学校側にって事はソファーの代金とは別口で。って事っすか?」

 

「ああ。本来なら備品の椅子を此方が用意しているにも関わらず私物の椅子を。ましてやソファーを持ち込むなんて事は許されない。が、事が生徒の健康上の問題に関わる。となれば話は別だ。備品に拘り、生徒の健康を害してしまえば本末転倒だからな。だがしかし、お前だけを特別扱いするのはコレも不味い。内心で学校の備品や設備に不満を持っている生徒は少なからず居るだろうからな」

 

 

まあ、そりゃそうだ。俺は単純にタッパと筋肉のせいで椅子が小さく感じるが、単純にデブの人間や、腰痛持ちのやつなんかも居るかも知れないし。

ウチのクラスで言うなら坂柳も障害の関係で椅子や机にちょっと不満を抱えてるかも。

杖とか置きづらそうだし、立ち上がる時にちょっとメンドそうだ。

 

 

「そこでポイントだ。お前は『学校の備品の代わりに私物を使用する権利』を買い取った。学校側としてはそういう形に収めるならば、ソファーの持ち込みを認めるという結論に至った。ちなみに毎月5000ポイントだからな。払い忘れの無いように」

 

「うーん。まあ、分かるような分かんないような理屈っすね」

 

「朝に説明した通りだ。『この学校内においてポイントで買えないものは無い』とな」

 

 

ほーん。文字通り権利を買うってわけね。

何かトンチみたいな話の気もするけど……まあ、実際の社会でも〇〇権の購入。なんて聞いたこともあるから、そんなもんなのか。

 

 

「っつか毎月5000って高くないっすか?」

 

「金額については一切の減額に応じるつもりはないぞ。この値段を決めたのは学校運営側の人間だ。あくまでも一担任でしかない俺に変更権は無い」

 

「まあ、そりゃそうっすね」

 

 

生徒と教師の関係だけで考えりゃ、担任教師なんてのは権力持ってるように感じるけど、実際はセンセーだって唯の雇われにしか過ぎない訳だからな。

お上の決定には逆らえないって事だ。世知辛いねー。

 

 

「そして二つ目。俺が許可をするまで『先の条件、及びこの指導室内で話した事を一切公表しない』事だ。これだけは、絶対に。何があっても守ってもらう」

 

 

ん? つまり口止めって事か?

そこまで念押し。っつーか条件に含めてまでこの件を拡散して欲しくないって事?

いや、何でそこまで?

 

 

「はあ? 別に黙ってろっつーなら黙ってますけど」

 

「軽く考えてるなら認識を改めろ剛力。条件を呑んだ場合は契約書を渡すので、そこにサインして貰う。この契約書は学校側が用意した正式なモノだ。万が一契約に反いた際には、非常に。非常に重い罰則が下ると思え」

 

「非常に重いって、まさか停学とかっすか?」

 

「学生の身分において最も厳しい処分とはどのようなものか考えろ。自ずと分かるだろう?」

 

 

学生で最も厳しい? つまり停学以上?

……もしかして、ソレって実質一択じゃね?

 

 

「あー……まさか退学とか、除籍とかって言いたいわけじゃないっすよね?」

 

「ふむ。残念ながら俺の立場ではその質問には答えられないな」

 

 

ちょっと待て‼︎ ソレって答え言ってるようなもんじゃねーか‼︎

おいおいおいおい⁉︎ 何で『ソファー持ち込んで良いか』っていう軽い質問が退学やら除籍やら物騒な話題になるんだよ⁉︎

 

 

「え、えーと。なーんか話の雲行きも怪しくなって来たんで、やっぱりこの件は無しって事に……」

 

「ちなみにお前がソファーの持ち込みを諦めたとしても、この部屋の中での会話を漏らさない為、こちらが用意した契約書にサインはして貰うからそのつもりで考えるように」

 

「おいコラ‼︎ 実質、選択肢が無ぇじゃねえか‼︎」

 

「これが大人のやり方というものだ。一つ学びになったな」

 

「高校ってそういう事を学ぶとこなのかよ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局あーだこーだとゴネたところで結果は変わらず。とりあえず俺はソファーを持ち込む許可をポイントで買い取り、おまけにヤケにビッシリと文字が書き詰められた契約書にサインした。

……いや、喋るなって言われたら別に言いふらすつもりとかも無かったんだが。

何で私物の持ち込み一つでこんな仰々しい話に発展しちまったんだか。

 

にしても、毎月5000ポイントか。年間で6万ポイントって考えるとやっぱ割高だよな。

まあ、毎月10万貰えるんだから、そこら辺は我慢しろって事なのかねぇ。

 

 

「にしても、なーんかキナ臭え気がすんだよなぁ。この学校」

 

 

素晴らしい学校。だなんてパパンは言ってたけど普通の学校とはナニかが違うのは確かっぽい。

そんな事を考えながら俺は学生寮へと足を進めるのだった。

 




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