もしもウマ娘の世界で野球部が存在してたら… 作:ぽてとめぇん
「あ、ルドルフ様よ。その隣にはエアグルーヴ様に…」
「わぁ…すごいかっこいい…」
「かっこいいだけじゃないのよ。
ルドルフ様なんて全国大会を何度も優勝してるのよ。
そして、もうスカウトかかってるとか!」
「えぇー!すごい…」
この学園のスター選手が通ると毎回のごとくざわめく。
しかし、俺はそんなことを気にせずにグラウンドへ走っていく。
入部してからというもの、朝練を欠かさずやるようにしている。
自転車で朝早く来て、
置きティーや素振り、
フォームチェックなど基礎的なこともやっている。
「貴洋君、おはよう!」
「ん?おう、おはよう。」
「今日も、よろしくお願いします!」
ライス「わぁ…これが野球のグラウンドなんだ…」
貴洋「先生、新入部員連れてきました。」
先生「あら、そうなの。ようこそ、歓迎するわよ。」
ライス「あ、あの…よろしくお願いします。あ、これ入部届です。」
先生「その前に、見学していかない?貴洋君、メニューは決めてあるかしら?」
貴洋「はい、では俺は先に行ってます。」
そう言って俺はライスを先生に預けてグラウンドへ行った。
道具を出して、準備をする。
その後にホワイトボードに今日のメニューを書いていく。
ちなみに、今日のメニューは守備を中心にやっていく。
そうしているうちに部員は集まっていく。
部員A「今日はノックの日?」
貴洋「そうですね、今日は実戦に近い形にしようかと思ってるのでランナーの準備もお願いします。」
部員B「わかったわ、任せておきなさい。」
アップを済ませ、キャッチボールを終えた。
その後に全員でノックの準備をする。
その前に部員を全員集めさせる。
貴洋「それで今日は実戦に近い状態でやります。」
部員C「質問、それってどういうこと?」
貴洋「実際にランナーを走らせます。
そうすることでノックという形でより実践に近い練習ができるということです。」
部員C「ということは交代交代でやるの?」
貴洋「そういうことです。グループはこの小さいホワイトボードに名前がある人が最初守備。
それ以外がランナーです。
では、初めて行きましょう。」
俺は最初はノッカー。
ここに来てから指導者という立場になっている。
ライス「すごい…本格的だ…」
先生「そうですね…あの人が来てからそうなんです。
本格的な練習が始まって…本当にすごいと思います。」
ライス「…あの人が…そうなんだ。」
貴洋「サード、そこは少し待ってから捕球したほうが楽に仕留めれるぞ。
ショート、ベースの入りが少し遅いから気持ち早めに入って!」
部員Ⅾ「ハイっす!」
部員C「了解!」
そんな感じの練習を20分。
その後に3分間休憩を入れて別のグループがノックを受ける。
別のグループになったときにノックを交代。
俺が守備位置についていろいろ指摘しながらやる。
そんな流れである。
部員A「このゴロなら…ぎりぎり…!」
部員D「2塁むりっす!1塁に!」
部員A「えっ!嘘!?」
まだまだ、連携や野球感覚が養われてないのもあるが少しずつではあるが上達してきている。
正直、連携などは回数を重ねないとできない。
だから積極的にやっていきたい。
貴洋「守備練習終了です!3分休憩したら次はティーの準備をお願いします。
ピッチャー陣は軽くピッチャートレしてからやりましょう。」
部員たち「「はーい。」」
先生「みんなお疲れ様。はい、飲み物の差し入れよ。」
部員B「あ、せんせナイスタイミング。助かる~」
部員A「ありがとう、せんせ~。」
先生「うんうん、さぁみんなも練習頑張ろうね!」
先生から飲み物の差し入れがあった。
この調子で練習時間終了時刻までやっていった。
気が付けば日は暮れそうになっている。
時刻は18:30。
部活動は基本ここまで。
あとは自主練などである。
部員A「これで今日の練習終わります。ありがとうございましたー。」
部員みんな「「ありがとうございましたー。」」
部員のみんなは帰っていく。
しかし、俺は自主練習をするためにグラウンドに残る。
いつか来る試合の日まで。
それに向けて少しでも練習しないといけない。
俺は、ティースタンドを置き、ティーをする。
乾いた木製バットの音だけが鳴り響く。
「あ、あの…」
バッティングしていると後ろから誰かに話しかけられる。
振り向くとそこにはライスシャワーがいた。
貴洋「あれ、帰ってなかったんですか?」
ライス「うん、君だけ帰ってなかったから…今は何してるの?」
貴洋「見ての通り、ティーバッティングだよ。」
ライス「てぃー…ばってぃんぐ?」
俺は嫌な予感がした。
貴洋「…もしかして、野球経験は?」
ライス「…えっと…ごめんなさい、ないんです。」
嫌な予感、的中。
ティーはバッティングの基礎的な練習である。
貴洋「…どうして、野球部に入りたいって思ったの?」
ライス「…ライスね、ダメな子でいっつも下を向いてしまうの。
けどね、一回だけ甲子園をテレビで見て…そしたらみんな前向いて必死にやってたの。
野球をしたら、ライス変われるって思ったから…」
貴洋「…そっか。」
ライス「迷惑…だよね…ごめんなさい、入部したいなんて…」
貴洋「いや、立派なことだよ。自分を変えるためにチャレンジすることは。
…ほら、これつけてみて。」
そう言って俺は彼女に俺が使っているグローブを渡す。
ライス「えっと…これって…」
貴洋「あれ?左投だっけ?」
ライス「ううん、右投げだけど…どうしてライスに渡してくれたの?」
貴洋「やりたいんだろ?野球。じゃあ、一緒にやってみよう。
大丈夫、どこにでも投げてもいいし、怖いって思ったら逃げてもいい。
だから、思いっきり自分の思ったとおりにやってみて。」
ライス「う、うん。やってみるね。」
彼女がボールをぎこちない握りで持ち、投げる。
ライス「こうやって…えいっ!」
貴洋「っ!」
彼女の投げた球は俺の頭の上を過ぎていく。
ライス「あぁ!ごめんなさいぃ!」
貴洋「…あ、あぁ…大丈夫だよ。」
フォームは完全に素人だ。
だけど…あのフォームでありながら塁間を投げて見せた。
素人でありながら、鋭い腕の振り。
あとは体重移動や、腕も持っていき方、ステップの踏み方などやれば…
(外野…いや、サードとかもいけそう…)
ライス「…?どうしたの?」
貴洋「いや、何でもない。キャッチボールの続き、やろう。」
次の日。
ライスシャワーが入部した。
ライス「ら、ライスシャワーです。素人ですがよろしくお願いしましゅ!」
部員E「ライスちゃんっていうの?実は私も未経験だったの。
これから一緒にがんばろ!」
ライス「う、うん!よろしくね!」
早くもいい感じにチームに溶け込めたライス。
貴洋「それで…今回は、『肘や肩に負担がかからない投げ方』を教えていきます。
これは何度もフォームチェックしていかないと大けがにつながる可能性がありますので
しっかり聞いて実践してください。」
部員E「…ちなみに、どれくらいのけがに陥るの?」
貴洋「そうですね…最悪、もう野球できなくなります。」
ライス「えぇ!」
部員F「ちゃんと…覚えないと…」
貴洋「じゃあ、説明していくので実践しながらやってみましょう。
ではまず、体重移動について話します。
そもそも、ボールを投げるときは腕だけではいい球は行きません。
腕だけで投げれば、それこそ肘を壊したりしてしまいます。
だから、下半身や体幹を使って投げる必要が出てきます。
そうすれば、けがのリスクは低くなります。
では、口で説明しながら体を動かしていきますんで……」
一通り説明し終わったのでタオルを使い、シャドーピッチングをさせる。
貴洋「お、そうそう、うまいよ。」
部員E「本当!こんな感じなんだね…よし、忘れないうちに…!」
貴洋「あ~惜しい、あとは体の開きを抑えていこう。」
部員F「体の開き…もしかして、これのこと?」
貴洋「そうそう!今の状態に近づけれるように頑張ろう。」
指導しながら回る。
ふと、ライスのほうを見てみる。
ライス「……ふっ!」
彼女のタオルからパァンといい音が鳴る。
正しい投げ方ができている証拠だ。
正直、彼女のフォームは完璧と言ってもいい。
貴洋「すごいじゃん、その調子だよ。」
ライス「ほんと!ありがとう!」
部員E「ライスちゃん…すごいね…」
部員F「どうやってるの?教えて教えて!」
その後、ライスもたどたどしくも彼女たちに伝えていく。
他の子たちもだいぶいい音を鳴らせるようになった。
貴洋「よし、シャドーピッチング終わり。
みんなはティーに混ざって。ライスにも打ち方教えてあげてくれると助かる。」
部員たち「「はーい!」」
後のことは他の部員に任せて、俺は道具を持ってブルペンに行く。
ライアン「あれ、貴洋君もこれから?」
貴洋「おう、ライアンも?」
ライアン「うん。一緒に肩作ろ~。」
こうしてライアンとのキャッチボールが始まった。
キャッチボールをしていて感じたのは彼女は本格派の右腕だろう。
ストレートの威力が桁違いだ。
加えて、ノビや球威もあると来た。
これは…化けそうな予感…
ライアン「貴洋君、オッケー?」
貴洋「おう、あとは1人でもできるから。お先にどうぞ~。」
ライアン「え?うん、わかった。じゃあ、先に投げてるから。
アイネス―、準備オッケーだよ。」
アイネス「わかったの!」
俺はブルペンの後ろのスペースでさらに肩を作る。
俺は袋から6つのボールを取り出す。
このボールは1つ1つの重さが重かったり軽かったりしている。
このボールを使って、5つの種類の投げ方をする。
これをすることによって肘や肩をほぐすことができ、筋力強化も見込める。
さらに言えば、フォームチェックにもつながるのだ。
黙々とメニューをこなしていると、気になったのかライアンから話しかけられる。
ライアン「もしかして、それもトレーニングの一つ?」
貴洋「んー、そうとも言えるし、アップとも言える。
これやることによって体幹で投げるっていうのがわかりやすくなったんだよ。」
ライアン「へ~…後でやってみようかな?」
貴洋「おう、これプロ野球選手もやってたからオススメ。」
ライアン「そうなの!へぇ~、うん、やってみるよ。ありがとう!」
ライアンのピッチングが終わり俺の出番となる。
キャッチャーはアイネスフウジン。
ライアンと同じクラスメイトらしい。
アイネス「今日はよろしくなの!それで、今日は何を練習するの?」
貴洋「内角と外角の投げ分けの練習です。
球にはだいぶ慣れてきたので今回は変化球も使っていく予定です。」
アイネス「わかった。球種を教えてほしいの!」
貴洋「そうですね…
横スラ、縦スラ、カーブ、フォーク、チェンジアップ、ツーシーム…
ですかね?」
アイネス「…すごい投げるね。」
貴洋「そうですか?まぁ、とりあえずお願いします。」
そして、キャッチャーを座らせて本格的なピッチングに入る。
今回、アイネスフウジンと組むのは初めて。
まずはストレートを投げてみることにした。
アイネス「まずは、アウトコースなの。」
そう言って外角へ構えるアイネス。
俺は投球動作へと移る。
貴洋(足を高く上げて…そして、軸足にある体重を全部…左足にっ!)
「シュッ!」
バァン!
その球はアイネスが構えたミットへきれいに決まる。
アイネス「ナイスボールなの!」
貴洋「ありがとうございます。もう10球くらいアウトコースお願いします。」
その後、変化球含めた40球を投げ込んだ。
アイネス「ナイスボールだったの。すごいね、要求通りの場所に全部来たの。」
貴洋「ありがとうございます。次もよろしくお願いします。」
アイネス「はいなの!」
貴洋(…だけど、まだ体幹を使いきれてないような気がする。
さらに言えばもう少し地面を蹴れるはず…体重移動のほうも頑張らないとな…)
あの時の、県大会の時のようなピッチングにしないためにも…
貴洋「…もう1点も…取らせないようなピッチングにするために。」
練習が終わり、俺は今日も自主練をしていた。
バッティングがあまりできない分、この時間でいくらかやる必要があるのだ。
そうでもしないと、バッティング能力が下がってしまう。
黙々と1人で打っているとまた、声をかけられる。
ライス「貴洋君、ライスも一緒に打っていい?」
ライスだった。
貴洋「いいよ、トスしてくれる?」
ライス「うん、わかった。」
しばらく、木製バットの乾いた音とボールがネットにあたる音だけが響く。
すると、ライスが俺に話しかける。
ライス「ねぇ、貴洋君。ライス、上手になれるかな?」
貴洋「どうしてそう思ったんだ?」
ライス「周りのみんなはもうノックを受けてたり、たくさんバットに当てて打ってるのに
ライスだけ、まだ何もできてない。だから…」
貴洋「…ライス、考えてみろ。お前はいつから本格的に野球を始めた?」
ライス「え?…今日だけど。」
貴洋「だろ?ノック受けてるやつらはみんな野球経験がある。
そりゃできるさ。だけど、お前はまだ始めたばっかりだ。
できなくて当然。
誰でも初めて野球やった時からうまい奴なんていない。
みんな、失敗から始まってるんだよ。だから、焦んな。
1球1球、考えて、試行錯誤して、集中して何度でも取り組め。
そしたら自然にうまくなる。」
ライス「…本当?」
貴洋「本当だ。だから、甲子園で輝ける選手が出てくる。
誰よりも一生懸命に、努力して、考えて、血反吐を吐くくらい頑張ったからできるんだ。
だから、今は一生懸命に頑張りな。」
ライス「…うん、ありがとう。ライス頑張るね!」
貴洋「おう、がんばれ。
だけど、俺も負けないからな?」
ライス「うん、もちろん。」
今回、主人公君の投球前アップは大谷翔平選手のものを書かせていただきました。
その他にもいろいろなアップがあるので調べてみてくださいね。
けがをしないためにも、アップは丁寧にやりましょう。
次回もよろしくお願いします。