舞い散る堕天使の羽根。
漆黒に染まる堕ちた羽根を、一誠は睨みつけた。
自分の後ろにいるであろう堕天使に、一誠は向き直る。
「堕天使……あの三人じゃねーってこたぁ……お前がレイナーレか?
それとも、他に堕天使が居たか?」
一誠は悪魔の翼を広げながら堕天使を睨みつけた。
露出の多い衣装を身にまとった女性の堕天使だった。
「あら、誰から聞いたのかしら。
まぁいいわ。私がレイナーレよ。よろしくね悪魔さん」
「よろしくされたくはねーが、名前は覚えておくぜ」
一誠は獰猛な笑みを浮かべ、右足を一歩下げて戦闘体勢に入る。
当然のことながら、目の前の堕天使をぶん殴る腹積もりだ。
あの三人であろうがなかろうが。っていうかコイツが頭張ってるってんならそのツケを払うべきだろ常識的に。と、一誠は心の中で頷いていた。
「あら、下級悪魔さんが頑張るのね」
「下級下級と、下に見てると足元どころかツラをぶち抜かれるぜ?」
互いに煽り、誘っている。
堕天使は光の槍を両の腕に展開し、一誠は
一切の油断なく。一誠はその眼を堕天使へと向けた。
「あ、あの……一誠さん?レイナーレ様?」
「アーシア、テメーはおとなしくしてろ」
「そうね、そこでじっとしていてちょうだい。
悪魔のぼーやにお灸を据えてから、帰りましょう」
「出来んのかぁ?」
「やれないとでも?」
アーシアはおどおどと二人を交互に見据えるが、二人はまったく目に入っていない。
なんだろう、二人だけの世界に入ってしまったようである。
ようやく初めての友人ができたのに、これではあんまりにあんまりだ。
「(ま、まぁ一誠さんを私のお友達だって紹介すれば……きっとレイナーレ様だって……)」
「オラァ!!」
「はぁぁぁぁぁっ!!!」
「も、もう始めてる!?」
喧嘩馬鹿と堕天使の戦いが、今始まった。
「ドーナシーク……」
「カラワーナ。
準備は整ったぞ」
「いよいよ、か」
「これで、我らは更なる高みへと登ることが出来るだろう。
神父や祓魔師どもを従え、
「上へと登ったあとは?」
「さて、な。
あの人間のように、格上に抗ってみるか?」
「最早、あれは人間ではない。
悪魔……それも、下級などとは比べ物にもならないほどの力を持っている」
「にわかには信じ難いが、お前の傷も、あの男の仕業であれば……報いを受けさせる。
神父どもを集めろ。
堕天使レイナーレ、並びに“聖女”アーシアを捕縛する。
「テメー降りて来いコラ!」
「あなたこそ空気を弾いて弾にするなんてどういう神経してるの……よっ!」
レイナーレの手から放たれた光の槍は、一誠へと一直線に向かっていく。
ギリギリのところで回避すると、一誠は空中に居るレイナーレに向かって腕を振るう。
腕を高速で動かすことによって生じる風を、レイナーレへとむけているのだ。
正直、人外にも程がある。
「上がってきたらいいのに」
「俺はまだこの羽で空飛んだことねーんだよ!
お前が降りて来いゴルァ!!」
「やだやだ、野蛮ですこと……早く落ちなさい!」
次々と放たれる槍をかわし続ける。
しかし、いつもなら強行突破する一誠が、何故回避という行動を選択したのか?
それにはいくつかの理由があった。
まず第一に、悪魔の弱点が光であるとリアスから聞いていたため。
光は毒であり、さらに光を受けて死んだものは消滅する。
陽の光に苛立ち、月の光を喜ぶ闇の住人。
それが悪魔であった。
問題は、今の自分に、目の前の堕天使の光がどこまで通るか。
「(まさか光を一撃食らっただけで即死とかあるのか!?
いや、それだったら現魔王なんかにもソレが効くってことにもなっちまう。
だったらちょいと不味すぎだ!魔王なんて光さえあれば消せるなんつー攻略方法さえわかれば楽勝のボスキャラ(笑)みたいになるぞ!)」
第二に、この槍。
跳躍し、近付こうとする度に休まずに避けなければならない場所に。
的確すぎるほどの投擲。それは見事に一誠の行動を読み、そして着実に追い詰めていくのだ。
この町の堕天使の頭だけあるらしい。そう一誠は彼女を評価した。
「でもなぁ……これじゃあ俺を殺せやしねえ!!
これでも喰らえ!!」
「ちょ!?」
一誠はしゃがみこむと、そばにあったベンチを引っペがした。
驚愕に染まるレイナーレだが、そんなことはお構いなしとばかりに一誠はそれを片手で投げた。
「このっ!」
投げられ、高速で迫り来るベンチを槍で切り裂き、粉々にする。
急いで下を見るが、一誠はすでに下にはおらず、代わりに、背中にずしりと重い何かを感じた。
「よう。
やっと捕まえたぜ堕天使!!」
「ッ……!?」
両翼を掴んでにやりと笑う一誠。
やはり堕天使相手にはこの戦法は有効だ。覚えておこう。
まずいと思ったのか、レイナーレは翼をはためかせて振り払おうとする。
しかし、一誠の剛力はその翼を決して離さず、逆に翼が痛むこととなった。
「っつーかさっきから遠くてツラがよく見えねーんだよ!
ツラァ見せな堕天使!!」
「きゃあっ!?」
肩を掴み、落下しながらこちらへと顔を向ける。
黒い長髪、可愛らしい顔立ち。少し前まで、毎日見ていたその顔。
「………………」
「………………」
鼻と鼻がくっつきそうなほど近くで、穴が空きそうなほどに見つめ合う。
レイナーレは顔を驚愕と羞恥で赤らめ始めた。
「……お前、まさか夕m」
「……貴方、もしかして一誠k」
ふたりの言葉は着水によって遮られた。
DATE・OF・FAGHTERSにおいて、一誠が食べていたハンバーガーとポテトのグルメ食材を書くのをすっかり忘れておりました。
追記させていただきましたのでよろしければ。