やっぱり才能ねえな俺。
ブログに「今年の目標は速筆になることです(キャピッ」って書いたけどそんなことはなかったぜ。
もしも3ヶ月もの間待っていてくれた方、ありがとうございます。
もう見放してもいいんですよ?
追記:オリ神器とかオリ展開とかありますので嫌いな人はバック(遅)
廃教会の地下。
数十人の神父と堕天使の姿があった。
『……ドーナシーク。
そろそろ教えてもらうっスよ。
なんでうちらを捕まえたんスか』
奥に存在する十字架の前に、三人の女性が結晶のケースに捉えられていた。
一人は人間。アーシア・アルジェントという元シスター。
そして残る二人は堕天使。レイナーレとミッテルトと呼ばれる彼らの仲間だった者たちだ。
『ドーナシーク!!
いつまで黙ってるっスか!?
教会の皆を洗脳して、その果てにうち、レイナーレ様やアーシアまで洗脳しちまうつもりっスか!?
一体何がしたいんスかアンタら!!』
ミッテルトが叫ぶと、ドーナシークは自嘲するかのように苦笑いを浮かべると、呟いた。
「さぁな……。
お前は我々が何をしたいのかわかるかカラワーナ」
「いいや、まったく。
あのまま教会で暮らしていたほうがいいのではないかとも思える」
『なっ……!?
だったらなんで!?』
カラワーナと呼ばれた女性の堕天使がそれに答えると、ドーナシークはミッテルトと視線を合わせるようにしゃがみこむ。
その表情には笑みが浮かんでおり、カラワーナは階段下に集まっていた神父たちを見ていた。
「我らの目的はいくつかある。
まず第一にそこの女の神器を奪うこと。
聖母の微笑などというレア中のレア、欲しくないわけがない。
それに、色々と便利だろうからな」
『っ、ドーナシークッ!アンタそんなことをうちが許すとでも「黙れ」ッ!』
彼女の言葉を遮るように、ドーナシークは声を上げる。
『な、何をッ……!』
「レイナーレのため、レイナーレの命令といえば、お前はなんでも手伝ってくれたな。
さすがに神父たちの洗脳は私たちでやったが……あの人間を殺すのを手伝ってくれたことについては非常に感謝している。
まさかあそこまで私が苦戦するとは思わなかった。
まぁ、正直慢心があったことは否定しないが、な」
次々と口から出る言葉を前に、ミッテルトは青ざめた。
ドーナシークの体から、奇妙な気配がする。
何かと何かが混じりあった、そんなおぞましく、巨大な気配が。
「教会での日々のサポートもお前がしてくれたのだったな。
あの時は助かった。本当に感謝している。
だがな、あのままここであんな暮らしをしていたら、私は腐ってしまうと思ったのさ」
ドーナシークは自嘲気味に笑い、コートの左腕をまくった。
『ひ……ッ!』
その腕には、禍々しい気配を放つ刻印が刻まれている。
のたうち回る蛇のようなその刻印は、ゆっくりとではあるが、確かにドーナシークの左腕を這いずり回っていた。
ミッテルトは本能的にその刻印の驚異を感じ取った。
『そ、それは……一体?
どうしてこんな、なんでアンタから神器の気配がするんスか!?』
「……頭が悪いなお前は。
そりゃあ、私が神器を持っているからに決まっているだろうが。
さて、改めて自己紹介をさせてもらおう。
我が名はドーナシーク。横に居るこの女はカラワーナ。
ご覧のとおり……“悪魔”だ」
そう言うと、二人はその背中から、2対の翼を広げた。
漆黒の、カラスのような翼と、
『え……?
い、一体……どういう……』
「そうだな……まぁ、奴が来るまでのいい時間つぶしになる。
我々の始まり、我が悲願の理由……」
「我々の始まりは、ただ一つ。
人間から、悪魔に転生したあの時からだったか……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
もうどれぐらい前だったか思い出せないころのこと。
ドーナシークは熱にうなされていた。
妻であるカラワーナは懸命に看病に励んだが、一向に熱は下がらず、街の医者は原因は不明だと言う。
その次の日、ドーナシークの腕に、黒い刻印が刻まれていた。
ゆっくりと蠢くその刻印を邪なものだとし、教会は彼ら夫婦を街から追放した。
カラワーナが子供を産めない身体であったため、子供はいなかったものの、路銀も何もない彼ら二人は、完全に路頭に迷ってしまった。
彼らは、森に入り込んだ。
森には食料もある。ドーナシークは森で過ごした経験があり、有毒な野草も少し見分けることができた。
そのため、二人だけで過ごすのにはちょうどいいのではないかと考えついたのだ。
少し奥に入り、水場の近くに二人で過ごすための小屋を建てた。
小さな、本当に小さな家だったが、彼らはこれから始まる生活にわずかな希望を見出していた。
あくる日の晩、寝静まる彼らのもとへ、数人の悪魔が訪れた。
その悪魔は二人を殺し、無理矢理に駒を使って悪魔に転生させた。
以前飼っていた歩兵が死んだ。丁度いい場所に適当な奴がいたから転生させた。
魔王による統治が行き届いていない昔ならではの理由で、彼らは悪魔にその身を落としたのである。
いつの間にか悪魔に服従させられた二人は、強制的に戦い方を学ばされ、主の盾となることを命じられる。
慣れない戦闘行為を強いられる二人は、死を覚悟した。
だが、彼らはしぶとく生き残った。
ただで死んでやるには癪だったからだ。
彼らはあきらめが悪かった。死を覚悟して尚彼らは死なず、修行と銘打って殴りかかってくる主の下僕悪魔達を幾度となく退け、
カラワーナが子供を産めない身体であるとわかると、主である悪魔はカラワーナに乱暴をしようとした。
ドーナシークもカラワーナも必死の抵抗をしたが、悪魔としての差、そしてなによりも、悪魔の下僕である転生悪魔達に囲まれたドーナシークに抵抗する術はなかった。
だが、次の瞬間、奇妙な感覚がドーナシークを襲う。かつて熱に倒れた時とソックリな、熱い感覚。
するとどうだろう。腕に刻まれた刻印が浮き上がると、悪魔たちの胸を貫いたではないか。
ドーナシークは悪魔たちを刻印で喰い殺し、主を丸呑みにした。
その日から、二人のはぐれ悪魔としての生活が始まった。
襲い来る堕天使を殺し、はぐれ悪魔を狩り、天使を喰らった。
彼が手に入れた力は、神器であった。
刻印に触れたものを喰い、自分の力に変え、任意の相手に力を与える神器。
堕天使を喰らい、悪魔を喰らった彼らは、堕天使であり、悪魔でもある存在であった。
彼らは目標を立てた。それは、何者にも屈さない強い存在となることだった。
悪魔に眷属にさせられることもない。天使や堕天使、教会に迫害されることもない。
そんな世界で、彼らは二人で生きていくことに決めた。
ドーナシークが喰らった力をカラワーナと分かち合い、カラワーナはその力を振るってドーナシークを守ってきた。
―――そして、数十あたりの堕天使、数十のはぐれ悪魔を喰らい続けて、長い長い年月が過ぎた。
いつのまにか、彼らはA級のはぐれ悪魔にまで上り詰めていた。
三大勢力の戦を生き延び、ありとあらゆる動物を、人間を喰らいながら、ドーナシークとカラワーナは上を目指した。
“超越者”と呼ばれる魔王をも、“無限”と呼ばれる龍をも超える力を得るために。
喰らった力を足し算しながら、どこまでもどこまでもと進んでいった。
そんなときだ。
とある街で、彼らは堕天使と出会った。
『あなたたち、堕天使よね?
所属は?身寄りがないなら、私のところに来ない?』
堕天使、レイナーレ。
そのときの彼らは、非常に微弱な堕天使の気配を漂わせ、ほかの気配を神器によって喰らうことで隠していた。
みるからに下級の堕天使であるかのように振る舞えば、相手が油断してくれることがあるのだ。
その方が狩りが行いやすかったからであり、そこに他意は無かった。
だが、結果的に彼らはその計画に乗じた。
神器持ちの人間たちや、堕天使が多く存在するその勢力の末端に、身を置いた。
それら全てを喰らわんがために。
『……そんな……そんなのって……!』
ミッテルトが叫ぶ。
その目には涙がこぼれていた。
『カラワーナ、嘘っスよね?
うちら、仲良しだったでしょ?
一緒にご飯食べに行ったり、お花手入れしたりしたじゃないっスか……ねぇ?』
カラワーナはそちらに目線を向けることはなかった。
ドーナシークもまた、同じく視線は洗脳した人間たちのほうに向いている。
いや、恐らくは上につながる階段を見ているのだろうか。
「さて……先ほど言っていた第二の目的だが……。
早い話が、お前たちの力を奪うこと……だ。
キサマらの翼、そして魔力を我らが奪い、我々はもう一つ高みへと登る。
1対の翼から、2対の翼へ。下級の堕天使から中級の堕天使へ……そして、まだまだその果ての果てまで。
この身が朽ちるその時まで、私は強く在りたいのだ。たとえ何を犠牲にしてでも……!
周りを蹴落し!他人の力を奪い取ってでも!強く!ただ強く!」
ミッテルトの言葉を意にも返さずそう言うと、ドーナシークは無表情のままレイナーレを見た。
レイナーレの意識が、戻ったのを感じ取ったのである。
『ぐっ……!
ドーナ……シーク……!』
「お早いお目覚めだなレイナーレ。
いいや、この神器は拘束した者の意識を奪い取るわけではない。
ただ体の時間を凍てつかせるだけの拘束用の人工神器だからな。
意識だけはあったはずだ。我々の目的については聞いていたか?」
人工神器“
堕天使総督オリジナルの人工神器で、クリスタル上のケース内に神滅具の一つ“
未完成故に、未だケース内に人物や動物などを捉えた場合、意識などまで凍結させることができず、本人の意識はそのまま。つまるところ周囲の音やその視界に映るものは拘束した対象の記憶に残ってしまうという欠点があるのだ。
『私たちの……力を奪って、アーシアの神器を奪う……。
そして、成り上がるね……ぐっ……!』
『レイナーレさま!
ちっ!体が凍りついてなきゃあこんなガラスケースなんか……!』
三人は体を凍りつかせたまま“永の凍土”に捉えられている。
首から上だけが自由に動くのは、彼女たちが堕天使であるからだ。
現に人間であるアーシアは指一本動かせず、さらには声も上げられない。
「ひとつ勘違いをしているようだが、成り上がるのは主目的ではないよ。
私の目的はただ一つ。
強くなることだ。ひたすらに、何もかもを喰らい尽くして。
そのためには、まず総督や魔王に近づかなければならない。
“超越者”と呼ばれた者達を喰らえば、それに準ずる更なる力を得られるはずだ。
この私の神器“
名前を呼ばれたことに対して応えるように、黒い蛇がドーナシークの腕に巻きついた。
蛇は目の前の者たちに、ギラギラとした飢えた眼を向ける。
「まぁ、奴もまだ来ないようだし、とりあえずはお前達から食すとしようか。
我が蛇の餌食となって果てよ。
まずはレイナーレ……貴様からだ!」
『レイナーレ様ッ!!』
黒蛇が牙をむいて、レイナーレに襲いかかる。
身体は動かない。この拘束を破ることも叶わない。
覚悟を決めたその時。やはりというか当然というべきか。
その瞬間は訪れない。
こういうものは、相場が決まっているものだからだ。
「いってぇ……流石の俺も腕食われたことはなかったぞ……」
自分の女(予定)を庇って、片腕を大蛇に食われた主人公が、そこにいた。
まぁ、これからお仕事なんですけどね。
遅刻しそう。でも思いついちゃったからには……ね?書かないと、ほら、忘れちゃうから。
なんとか足りない脳で絞り出しましたのでお楽しみいただければと思います。
待て次回(いつ?)