ハイスクールD×D 最強を目指して   作:めたるみーと。

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恋……?

「あ、あの……付き合ってください!」

 

黒いロングヘア。

端正な顔立ちをしたその少女は、決して夕日のせいではなく、顔を赤らめながらもその好意をまっすぐに伝える。

はたから見ればこれまた微笑ましい光景であろう。

だがしかし、しかしである。

その相手が問題であった。

 

茶髪。

背丈や体躯は至って普通ながら、その表情は困惑に染まっている。

兵藤一誠。

この街、最強の不良と恐れられる、通称“死神”兵藤。

至って普通なこの少女が、何故最強の不良に交際なんぞ申し出たのか。

その真意は定かではない。

罰ゲームの類だろうか?それにしては顔の紅潮は恥じらい百パーセントに染まっているようだが。

これは演技だろうか。

策を弄するのはあまり得意ではなかったし、人の嘘を拳で捩じ伏せてきた一誠は、正当防衛以外で女性に手を挙げたことは未だかつてなかった。

自称フェミニストである。

世の中には女性だろうとなんだろうとぶん殴るウニがいるが、それには一応ちゃんとした理由があるのだ。

 

「……なんで俺?」

 

ウニには理由があるが、こちらに惚れられる要素なんてないだろうにと、一誠は問う。

恐怖の対象以外の何者でもないはずの一誠に寄ってくる人間は少なからずいた。

しかし、そのどれもが弱い。

媚びへつらう女ども。何とかして自分を守ってもらおうとする底辺の不良。

どれも一誠には、なんの価値も見出せなかった。

女どもには失せろと一声。底辺は少し撫でてやったら次の日から来なくなった。

この女も奴らと同じだろうか。

しかし、その予想は綺麗に裏切られる。

 

「え、あ、あの……」

 

慌てふためく少女。

全てが、自分の今まで出会ってきた女と違っていた。

なんでコイツは自分を前にしてこんな表情ができるんだろう。

 

「わ、笑わないで聞いてくれますか?」

 

そんなに変な理由なのか。

そう思いつつも笑わないと宣言した。

 

「ひ、一目惚れ……です……」

 

意味が分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠は、自称フェミニストだ。

故に、女子供を泣かすわけにも、拳で黙らせることもできず、結局黒髪の少女ーーーーーーー天野夕麻というらしいーーーーーーーーに対して反応に困る。

そのまま、2日が経過した。

放置しとけばその内消えるだろ。

そんな安易な考えからだった。

だが、良くも悪くもこの少女。つくづく一誠の予想を裏切ってくれる。

 

「あの、お弁当作ってきました……!」

 

ここは、駒王学園。

お前は制服が違うじゃないか。

可愛らしい小さな弁当箱を差し出してくる。

ここは、教室なのだが。

 

「おい……あれ……」「マジかよ……」「兵藤に春が……」「あんな可愛い娘どこで……」「マジファッキン」

 

最後のだけはっきりと聞こえてきた。

昨日は一日中背後を着いてこられた。

おかげで喧嘩はできないわ視線が気になるわ……挙句の果てには学校に乗り込んできた。

どうしてこの女は俺に執着するのだ。

すっと立ち上がると、屋上へと歩く。

 

「あ、待って!」

 

ニコニコと笑いながら、一誠のあとをついていく。

ついてこないで欲しかった。強いて言わせてもらうと、帰って欲しかった。

自分の弁当はすでにあるのである。

ほうれん草のソテーと適当にウインナーと。

塩昆布のごはん。

 

「屋上に行くのよね!私も行く!」

 

本当に帰ってくれないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、何故かお弁当の交換とかいうことをしたり、トレーニングしているところを見られたり。

それも、全て笑顔で、心底嬉しそうに笑いながら。

こんな俺といても楽しくなんかないだろうに。

 

「ねぇねぇ、今の逆立ちもう一回やって?」

「もうそろそろ時間だよ」

 

時計を見ると、既に昼休み終了五分前となっていた。

次の時間は数学。寝るには絶好の時間帯である。

 

「あ、ほんとだ」

「ほんとだ、じゃないだろ……お前さんのところは授業何時からだ?」

 

呆れながら聞く。

だが、彼女は焦る様子もなく、しかもにこやかに一誠に言う。

 

「でも、一誠君、不良なんでしょ?だったら、授業でなくてもいいよね?」

「……俺は、不良は不良だが、授業には出る」

 

今は少しばかり疎遠だが、高校の金を払ってくれているのは間違いなく実の両親である。

せめて、授業に出るくらいはしないと、一誠は親に対してそれくらいしかできないと思っている。

喧嘩に明け暮れる自分に、それでもお前は自慢の息子だと言ってくれる両親に対して。

近所の人の目は白い。

学校を守ったからとはいえ、高校生十数人を病院に送ってしまったのを人づてで聞いた者の目には、ただの喧嘩っ早い不良にしか映らなかったのだ。

 

「へー……えへへ」

「何がおかしい?」

 

突然笑い始めた夕麻に、怪訝な顔をして問いかける。

近辺の不良が見たら恐ろしさに逃げまどうであろう睨みを、くすくすと笑いながら受ける。

この女、なんと図太いのか。

 

「あのね、一誠くんのこと、色々知れて……ちょっとうれしくなって」

「…………」

 

なんなんだコイツは。

どうして俺相手にそんな顔ができる?

少し気まずくなった一誠は、夕麻に別れを告げると、足早に教室へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変な奴」

 

一誠の顔には、微かに笑みが浮かんでいた。




どうにも私の書く不良()キャラはツンデレになってしまいますね
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