ごめんねバイサー。
使い魔にする案もあったんだけど、一誠が止まらないから。
溶解液が一誠へと向かう。
それをかわすと、一誠は高く飛び上がる。
「ヒャッホォォォォッ!」
「『ギャアアアァァァァァァッ!!?』」
そのままバイサーの下半身の体に膝をぶち込む。
べきべきと骨の折れる音がした。
当然のごとく、のけぞるバイサーの下半身の宝石の周囲の毛をつかんで無理矢理体を上に押し上げる。
「よう」
「『ひっ』」
バイサーは恐怖を感じた。
それは一誠との力の差を感じ取ったかもしれないし、それとも一誠の無慈悲な攻撃に恐れをなしたのかもしれなかった。
しかし、そのどちらでもないことをバイサーは感じていた。
それは、眼前の悪魔の眼。
戦いを心から楽しむ狂った眼。
「俺はフェミニストだからよ……女の部分は傷つけないでおいてやるよォ!」
「『ガァァァァァッ!!』」
下半身の宝石を蹴りぬく。
その巨大な身体が壁まで吹き飛び、廃墟に大きな穴をあける。
一誠はバイサーが吹き飛ぶ寸前に前足をつかみ取って一緒に吹き飛ばされていた。
「まだまだこんなもんじゃねえぞ!」
これこそが一誠の喧嘩。
相手の腕やら服やらをつかむことで、こちらに引き寄せて殴る。
何度でも、相手が屈服するまで殴る。
「オラオラァ!」
前足にかかとを落とし、一撃でその前足ごと屋敷の床に鎮めた。
最早バイサーには断末魔を上げる体力も残ってないらしい。
「ありゃ、床に穴開いちまった……こりゃ弁償か?
んなこたぁどうでもいいかァ!?あは、アハハハハハハハハ!!!」
「『アガ……ッ!』」
しかし、バイサーは立ち上がる。
よせばいいものを、立ち上がってしまったのである。
一誠のテンションは最初から振り切れていた……が、さらに加速した。
「ひひ、ヒヒヒヒヒ……。
よく立ち上がれるじゃねーか……もう死んだと思ってたぜバァイサーちゃんよォ。
んじゃあ、とっておきのもん持って、あの世に行け。
これから最恐で最狂で最強になる悪魔からの、地獄への片道切符だ……!」
一誠は理解する。
まるで、RPGの登場人物のレベルが上がった時のように、一誠の脳裏に浮かんできたものがあった。
それは、とある呪印と、自らに眠る龍。
素で強力すぎる一誠の力を抑え込む
そしてもう一つは、龍を封じ込めた神器。
「来い、神器」
それは、籠手。
真紅に染まる籠手である。
緑色の宝石が手の甲の部分にはめ込まれ、周囲を明るく照らし出す。
『Boost!!』
「ほう……!
こいつはいい……俺の力を二倍にしてくれるってわけか……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!
「何……この揺れ……?」
いままでポカンとみていたリアスも、驚愕の眼差しを一誠に注いでいた眷属たちも、困惑する。
その屋敷を覆う揺れは、
一誠が放つ純粋な闘気そのもの。
腕に、体に、暴虐の呪印が刻まれていき、そのうちの一つが今、解き放たれた。
「見せてやるよ……最強の暴力ってやつをな」
まさに満身創痍。
そして、その醜い本性をもさらけ出したバイサーは後悔する。
しかし、もう遅い。
何故なら、兵藤一誠の前に立ったその瞬間から、一誠の獲物となることが確定していたのだから。
「ブラックホーク……」
「『オ……オオオオオオォォォォォォォォォッ!!!』」
最後の力を振り絞ってか、バイサーは一誠に突撃する。
一誠はそれに目もくれず、籠手の付いた左手を身体ごと大きく反らす。
「あぶない!兵藤君!」
「スティンガー」
廃墟の外。
いや、廃墟の中であった場所といったほうがいいか。
周囲には瓦礫の山。
そう、一誠の一撃で崩れ去った廃墟である。
「ゲホ……こ、こんなこと……!」
木場も、小猫も。
その表情は驚愕に染まっている。
何故ならば、パワーに優れる小猫でさえ、ただの一撃でこうまではいかないからだ。
瓦礫の山のてっぺん。
一つの影が紫煙を燻らせてこちらを見下ろす。
「どうだい部長。
俺を、従えるかい?」
月を背にこちらを見下ろす一誠に、リアスはただ微笑んだ。
ゆっくりと、自分のペースで。
夏休みが終われば、普通に死にますので。
その時はゆっくりと、月一以下のペースになります。
こんなペースで書けんの今だけよマジで。