第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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ロボが書きたかったので初投稿です。


第一章 グレンダイザーG
第一話「出撃グレンダイザーG(ゴロー)!」


 全国の学生たちが心待ちにしている夏休みを明日に控えた、熱く太陽燃える七月の昼、爆音と共に八ヶ岳学園から一台の二人乗りオートバイが飛びだしてゆく。

 型遅れと言ってもいい年季の入ったそれに跨る少年たちは、これから起こることが楽しみでならないといった表情で宇門宇宙科学研究所へとまっしぐらに、ようやくアスファルト舗装が済んだ田舎道を駆け抜けていった。

 

「よう! 吾郎、新一、今日は頑張れよ!!」

「二人とも、お昼は済ませたの?」

 研究所へ着くと、子供の頃からお馴染みの科学者夫婦が出迎える。

 かつてスーパーロボットマジンガーZで平和を守り、留学したアメリカでは宇宙の魅力に取りつかれNASAで円盤研究に勤しみ、招かれた宇宙科学研究所でもその腕を振るっていた兜甲児と、その妻で光子力研究所所長のさやかだ。

 吾郎――バイクの後ろに跨っていた方――は太陽にも負けない輝く笑顔で手を振った。

「甲児さん! さやかさん!!」

「お久しぶりです! 学校で済ませてきたんで腹具合もばっちりですよ、空腹で目が回ったり訓練前に食いすぎて腹痛になるなんてヘマはしません!!」

「まあ~偉いわ~新一君ったら若いころの甲児君よりよほどしっかりしてるじゃない」

「たはは……もう、あの頃のことはよしてくれよぉさやかさん!」

 かつて高高度戦闘の直前、せっかく用意してもらった航空食をさやかにぶちまけ、ラー油のたっぷりかかった餃子や肉料理をたらふく食べて腹痛を起こした話を持ち出され、マジンガーZの操縦者だった兜甲児は赤面した。

 

 俺たちにとっちゃ、甲児さんは研究所で仕事したりTFOやダブルスペイザーをかっこよく操ってる姿の方がなじみ深かったんだけど、そういう時期もあったんだな。

 少年二人は兜夫妻のやり取りに笑みを浮かべ、話を切り上げて所内へ駈け込んでいった。

 

「宇門先生! こっちの準備はできてます!!」

「俺の方もばっちりです!!」

「よし吾郎君、新一くん、それぞれ()()()()()()()とダブルスペイザーに乗り込んでくれたまえ」

 パイロットスーツに身を包んだ牧葉吾郎と渡辺新一は、所長の宇門源蔵の指示に従い壁に設けられたシューターへ飛び込んだ。

 赤いスーツの新一は搭乗チューブに導かれるまま、主翼の両端にリフトファンを備えた紅白の戦闘機ダブルスペイザーの操縦席へ。

「シュート・イン!」

 青いスーツの吾郎は、うつぶせになった黒いボディの巨大ロボット、グレンダイザーの背中へ搭乗チューブで操縦席ごと送り込まれると、掛け声とともに座席を口元の定位置へ移動させる。

 本来、シュート・インはオプションである合体円盤、スペイザー側の操縦席からグレンダイザー側へ移動するための動作なのだが、スペイザーは闇の帝王との戦いで失われ、現在この研究所が保有するのはグレンダイザー本体だけである。

 

「ダブルスペイザー発進!」

「グレンダイザー、ゴー!!」

 

 研究所上部に三つ並ぶ発進口のうち、中央からダブルスペイザーが、下部のダム部分に設けられた発進口からグレンダイザーが飛びだした。

「それではドッキングテストを開始する!」

 宇門博士の号令一過、吾郎の操るグレンダイザーは宙返りを開始した。

「――――スクランブルターン!!」

 余計な減速をすることなく相対速度を合わせるその動作に続いて、背後からダブルスペイザーが接近する。

 

「「コンビネーション・クロォース!!」」

 

 シミュレーターじゃ何べんも成功してるんだ……本番になって今更失敗なんかしないでくれよ新一……

 

 緊張の一瞬。果たして、ダブルスペイザーは見事ドッキングに成功し、その逆ガルの翼をガルウイングへ変形させた。

「「イヤッホォーゥ!!」」

 実機でのドッキング成功に、吾郎と新一はシミュレーターで磨きに磨いた様々な航空マニューバを実演し、全身で喜びを表現した。

 

「お見事! この牧葉団兵衛、せがれの晴れ舞台に立ちあえて感謝感激感無量……!!」

「こら吾郎! あんまり調子に乗ってるんじゃないの!!」

 息子の晴れ姿に涙すら流して誉めそやす父団兵衛と、弟へ厳しく釘を刺す姉ひかるの対照的な姿に、訓練を見守っていた所員たちや、兜甲児、さやか夫妻も笑みを浮かべる。

 

「続けて武器のテストだ、佐伯君ターゲットドローンの用意を」

「了解、ターゲットドローン射出」

 指示に従って的をぶら下げたラジコンヘリといった形状のターゲットドローンが十数機ほど飛び立ち、グレンダイザーを取り囲む。

 

「ハンドビーム!」「ダイザービーム!!」

 すかさず突き出した拳から、目から続けざまに放たれた光条が鮮やかに的を射抜いた。

「どうだい父上仕込みの早撃ちの技!!」

「俺だって! ――――サイクロンビーム!!」

 ダブルスペイザー翼端からの二本のビームが一つに合わさり、威力を増してターゲットを粉砕する。

「よしこっちも命中だ!!」

 

「上手いもんだなあ」

「吾郎君たちはシミュレーターだけとはいえ、小学生中学生の頃から乗ってるんだ、年季が違うよ」

「吾郎も新一のやつも立派になって……大介さんに知らせてやりたいぜ」

「甲児君の、もう一人の後継者ですものね」

 コピーマジンガーZを受け継いだ弟の兜シローに続く、甲児が愛機を託すに足る立派な若者の姿がそこにあった。

 

 所員たちの観測データと操縦する吾郎達、どちらのチェックでも性能の発揮及び各武器はいずれも問題なく作動し、訓練を終えたグレンダイザーとダブルスペイザーは研究所へ帰還した。

 

『吾郎君、新一君、そして所長! 訓練の成功とグレンダイザーの修復完了おめでとうございます!!』

「ありがとう、これも作業に携わってくれた諸君らのおかげだよ」

 

 休息をとった後、食堂で夕食を兼ねたささやかな祝賀会が開かれ、主役の三人は所員たちからの拍手と祝いの言葉に笑顔で答える。

「やったな吾郎、もう立派に大介さんの跡を継げるぜ! 新一もこれなら安心してダブルスペイザーを任せられるな」

「いやあそれほどでも……まあ大介さんがお迎えに来るまで姉上と地球をお守りするくらいはやって見せますがね?」

「ダブルだけじゃありませんよ? 俺、他のスペイザーだって乗りこなして、いつかは宇宙にも飛び出して見せます!」

「いいぞその意気だ! しっかりやれよ将来の宇宙パイロット!!」

 地球防衛の先輩からの激励を受け、若きパイロットたちは勇んで決意を新たにパーティーのごちそうへ挑みかかった。

 気をつかって昼食を軽めにしか食べていなかったのと、この訓練で二人のお腹はとっくにペコペコなのだった。

 それを見てひかるは、まだまだ子供ねえ……と呆れつつ、取り出した手帳に挟んでいる真っ赤な薔薇と写るデューク・フリード――宇門大介の写真に目を落とし、寂しげに微笑むのだった。

 

□□□□

 

 自宅で汗を流した後、興奮冷めやらぬ様子でベッドに横たわった吾郎は、睡魔の訪れを待ちながら昔のことを思い返していた。

 

 父上とシラカバ牧場を共同経営する宇門先生の息子として紹介された大介さん。

 真面目で優しく働き者で、姉上とも仲良くなって、それを小学生だった俺はまるで兄貴が出来たように嬉しく思ったもんだ。

 そのうちアメリカから甲児さんがやってきて、ベガ星人のUFOが攻めてきて、フリード星の王子デューク・フリードだった大介さんは、グレンダイザーで戦うために度々牧場の仕事を放り出すようになったっけ。

 大介さんの正体を知らない父上はそりゃあもうカンカンで、あんな奴に可愛い娘を渡せるか! なんてしょっちゅう息巻いてた。

 だけど一足先に大介さんの正体を知らされていた俺は、尊敬する兄貴分が馬鹿にされるのが悔しくてガツンと言い返してやったんだ。

 それからというもの、父上はすっかり大介さんたちの応援団長みたいになっちゃって、大介さんに妹のマリアさん、姉上に甲児さんたちダイザーチームの勝利を日々大騒ぎしてたもんさ。

 激しい戦いが終わって、ベガ大王をやっつけた大介さんたちが復興の為に故郷のフリード星へ帰っちまった後、一年もしないうちにぶっ壊れたグレンダイザーが研究所へ運び込まれたのを知ったときは目の前が真っ暗になったね。

 スペイザーや肩のハーケンも無くなってるし、あちこち傷だらけで首までちぎれたみたいにもげてるんだもの。

 大介さんの身に何かあったんじゃないかって、姉上もショックで気を失うところだった。

 甲児さんから、こいつは遠い未来のグレンダイザーで、大介さんのじゃないって聞かされるまでは気が気じゃなかったよ。

 そしてグレンダイザーの修理が始まってから、俺に一つの目標が出来た。

 グレンダイザーの操縦者になる。

 いつか大介さんがこいつを取りに来るまでは、俺がグレンダイザーを守る、って。

 幸い、操縦席には犠牲になったシオン・フリードの使っていた操縦ライセンスの指輪も、王家のペンダントも遺されていた。

 俺に王家の血なんて一滴も流れちゃいないが、牧葉家は腐っても武家の家柄。

 牧葉団兵衛(まきばだんのひょうえ)が長男牧葉吾郎、必ずや宇宙の王者の騎士になってみせる。

 そう誓ったあの日から、俺は牧場の仕事も勉強もおろそかにせず猛特訓を始めた。

 

 新一と出会ったのもあの戦いの最中で、小学校の同級生だったあいつは両親を亡くした悲しみのあまりいつも「宇宙人と友達なんだ」「今度円盤に乗せてもらうんだ」なんてホラばかり吹いてて、炭焼きやってる次平爺さんに叱られてやがった。

 ところがそのホラの相手はベガ星人で、騙された新一は宇宙に行きたい一心でTFOやグレンダイザーの居場所を探るためのスパイ行為をやらかした。

 騙されたことに気づいて人質にされた新一は無事グレンダイザーに助けられたんだけど、その時に本当にデューク・フリードと友達になっちまったんだ。

 宇宙科学研究所目指して猛勉強してた新一からそのことを聞いて、俺は腰を抜かしたね。

 そして俺は、次平さんが身体を壊して仕事が出来なくなり、進学が危ぶまれたあいつを牧場と研究所に誘ったんだ。

 学校は奨学金でなんとかなったが、牧場の仕事だけじゃなく宇門先生に頼み込んでスペイザーの操縦者候補にねじ込んだらさすがに訝しがられたよ。

 何でここまでしてくれるんだ? って。

 だから俺は新一に、デューク・フリードの友達なら俺の友達も同然だ、友達の夢を応援するのは当たり前のことだって胸張って言ってやったさ。

 そうして、俺と新一は大親友になった。

 

 そうそう、忘れちゃいけないのが中学に上がった頃だ。

 80年代に入り、早乙女研究所のゲッター線発電衛星が次々打ち上げられたり、日本単独での月面着陸や、作業用ゲッターロボによる月面での土木作業実験が成功したりと宇宙開発がどんどん進んだあの頃、遂にフリード星から通信が届いたんだ。

 そりゃあ向こうも大変だし、届いたのは電子写真と手紙(ファックス)くらいだったけど、それでも姉上は大介さんの元気な姿に涙流して喜んでたね。

 かくいう俺も、別れ際に渡した薔薇や花の種がしっかりフリード星の大地に根付いて立派に咲き誇ってる光景には心の汗が流れたもんだけどさ?

 ごめん、嘘。

 嬉しくて俺もボロボロ泣いてました。

 手紙によると征服された星々で降伏したベガ星連合軍から分捕ったミニフォーやミディフォーを、放射能を中和するマイナスベガトロン光線が撃てるよう改造したおかげで除染がものすごい勢いで進んだのだそうだ。

 それでも惑星丸まる一つ分、いくら放射能が弱まっていたとはいえ、そうすぐには終わらない。

 居住区や農地を優先して少しづつ、少しづつ範囲を広げ、浄水場を造り家を建て、町を作り直し、フリード星の人々は他の星の人たちとも力を合わせて、人が住める場所を増やしていった。

 そうして何年もかけてやっと花を育てる余裕が産まれ、俺のあげた種が芽吹いたんだ。

 フリード星の人たちは、美しく咲いたその紅薔薇をルビーナと呼んでいるらしい。

 

 ――――きっともうすぐ会えるよな、大介さん、マリアさん……

 

 二人に会える日を夢見ながら、俺は意識を手放した。

 

□□□□

 

 その夜、宇宙科学研究所で怪電波がキャッチされ、各地を磁気嵐が襲った。

「これじゃあレーダーが使い物にならないぞ……まてよ、この周波数どこかで見覚えが……データベースと照合してくれ!」

 レーダー担当の林所員の指示が飛び、コンピューター担当の所員たちが過去のデータと照らし合わせる。

「1975年3月21日に観測されたものと一致しました」

「なんだって!? まさかあの時の宇宙怪獣……早乙女研究所と光子力研究所、国防軍に連絡するんだ!!」

 度々通信妨害を受けてきた過去の経験を活かし、各研究所には非常用の有線通信が繋がっている。

 かつて工業地帯を壊滅させた、宇宙金属獣ギルギルガンを送り込んだ宇宙人の再来の可能性ありとの知らせに、早乙女研究所からゲッターロボG、国防軍からグレート・マジンガー、光子力研究所からゴッドマジンガーが出動した。

 

 磁気嵐が治まり、ようやくレーダーや無線がまともに使えるようになったおかげで、被害現場の詳細も把握することができた。

 吐き出された溶解液によってビルは倒壊し、鉄骨や自動車をはじめとする金属製品は次々と嚙み砕かれ、爬虫類と昆虫を合わせたような怪物の腹の中へ納まってゆく。

 下手人はやはりギルギルガン、しかも複数体が分散して各地に被害を出している。

 ようやくやって来た平和を乱す侵略者へ怒りを燃やし、スーパーロボットたちはそれぞれの地域で怪獣退治に躍り出た。

 

「あの頃のグレートとは一味違うぞ! サンダーブレーク!!」

 

「ゲッターGの力を見せてやる! ゲッタービーム!!」

 

「こいつが鉄也さんたちが戦ったっていう宇宙怪獣か、金属を食うっていうならこいつはどうだ? 光子力ビーム!!」

 

 街を燃やし闇夜を赤々と照らす炎の色を、降り注いだ裁きの雷霆がまばゆく塗りつぶす。

 

「所長、グレンダイザーは出撃させなくてもよろしいのでしょうか?」

「いや、とりあえず今のところは甲児君たちに任せようじゃないか、吾郎君たちを無理に実戦へ放り込むこともないだろう」

 所員からの疑問に、宇門は首を振ってそう返した。

 かつて甲児君たちが戦ったのは、彼らしか平和を守れるものが居なかったからだ。

 今や立派に育った彼らが居るのに、わざわざ経験の浅い二人を駆り出すのは気が引ける。

 

 だが、それがいけなかったのだろうか?

 突如レーダーに大型円盤の反応が現れ、一体の宇宙怪獣が投下された。

「――――ヤレ! グランゲン!! ギルギルガンタチガジカンヲカセイデイルウチニ、グレンダイザーヲタオスノダ!!」

 

 紫色の肌をした、むしろ宇宙人といった方がしっくりくる人型の怪獣、空魔獣グランゲンが宙を舞い、目から光線を放ちながら研究所へ迫る。

 

「いかん! 防衛システムを作動させたまえ!!」

 

 光線が研究所のあちこちに小爆発を起こすのを耐えつつも、起動した迎撃レーザー砲が上空のグランゲンへ撃ちかけられる。

 しかし空魔獣はその触手のような四肢をしならせながら、空中を泳ぐようにレーザーを躱してしまう。

 幸いにもその隙に防御シャッターを下ろして地上構造物を覆い隠すのが間に合った研究所は、持久戦を選択した。

「甲児君たちを呼んでもすぐには無理だ……やむを得んが吾郎君たちを呼ぼう」

 グランゲンの光線やブーメランカッターがシャッターを揺らすのを耐えながら、宇門所長は通信機に呼びかける。

 

「はい、こちら吾郎――――え!? 研究所を怪獣が!? わかりましたすぐ行きます!!」

 知らせを受けて飛び起きた吾郎は、すぐさまパジャマからチョッキにジーパン、テンガロンハットの普段おなじみカウボーイスタイルに着替えると、ブーツを鳴らして納屋へ走る。

 エンジン音を轟かせ、飛びだして来たのは真紅のトライク――――宇門大介の愛車デュークバギーだ!

 牧葉吾郎の誕生日は4月1日で、高校一年生でも来年にならなければバイクの免許も取ることができない。

 当然普通免許が必要なトライクを乗り回すのは違反なわけだが、シラカバ牧場から宇宙科学研究所へ向かう道一帯はいざという時の為に買い取られ私有地と化していたのだ。

 

「よしっ! 姉上乗ってくれ!!」

「ええ!!」

 タイミングを合わせて出てきたひかるを後部座席に乗せ、デュークバギーは颯爽と夜道を駆け抜ける。

 

「どうせ夜中にたたき起こされるんなら馬のお産のほうがよっぽどいいぜ!」

「同感! ふわぁ~~~~あ!!」

 

 道すがら合流した新一のバイク――こちらもかつて乗り捨てられてそれっきりだった大介のお下がりである――と共に、吾郎たちは研究所を襲うグランゲンを尻目に隠し通路から研究所へたどり着いた。

 

 ――――大介さん……どうか見守っていてください。

 パイロットスーツに着替えたほんの束の間、初陣に臨む吾郎はペンダントを握りしめ胸の中で呟いた。

 ガラス窓に移るその姿は、色以外はデューク・フリードそっくりで、まるで彼が無言で胸の内を見透かしているようだった。

 

「先にグレンダイザーを出動させて怪獣を引き付けてもらう、ダブルスペイザーとマリンスペイザーの発進はその後だ」

「ルート8、ゲートオープン」

 搭乗後、グレンダイザーを乗せた台座が下降し、ターンテーブルが指定された進路へ向きを変える。

「グレンダイザー、ゴー!!」

 台座両脇に増設された光量子ジェットエンジンが火を噴き、うつぶせで両拳を突き出したポーズのグレンダイザーをカタパルトのように加速する。

 カタパルト台座――大型化されたライドシューター、ビッグシューターによって、レールの上を飛ぶように滑走したグレンダイザーは、レール端で急停止したビッグシューターから慣性の法則に基づいて放り出されると、廃工場跡に偽装された発進口から飛び出し着地、一路研究所へひた走った。

 単独で長時間飛行できない、現在のグレンダイザーの泣き所である。

 

 吾郎を送り出した後の研究所では所員たちが必死にレーザー砲を操作しているが、ときたままぐれ当たりする程度で未だグランゲンへ有効打を与えることはできていない。

 幸い振動や衝撃こそ伝わってくるが、一向に防御シャッターが破られる気配はない。

 すばしっこいだけで、奴にこの厚さの超合金ニューZを破る力は無いようだった。

「皆、グレンダイザーが到着するまでもう少しの辛抱だ!」

 

「エエイナニヲシテイルグランゲン! ウエガムリナラシタノダムヲハカイシテモグリコミ、ナイブカラメチャメチャニシテヤルノダ!!」

 業を煮やした宇宙人がグランゲンに指令を下す。

 レーザーの死角となっている下方へひらりと潜り込んだ空魔獣は、丈夫だがシャッターよりは脆い壁面に攻撃を始めた。

 このままではグレンダイザーの発進口が見つかってしまう……!

 

「反重力ストーム!」

 

 虹色の光線がグランゲンを襲い、それをもろに浴びたグランゲンは突然宙返りしたかと思えば、飛び方を忘れたかのように真っ逆さまに墜落した。

 重力のベクトルを一瞬で反転させる反重力ストーム――――グレンダイザーの到着だ。

 

「今だ、シャッターオープン! 宇宙科学研究所、ジャッキアップ!!」

 

 この隙を逃す宇門博士ではない。

 防御シャッターが開放され、折りたたまれていた上部構造物が立ち上がる。

「ダブルスペイザー発進!」

「マリンスペイザー発進!!」

 速やかに二機のスペイザーが夜空へ飛び立ってゆく。

 

「吾郎、あの敵はすばしっこいわ! 時間差攻撃よ!!」

「了解姉上!!」

「よしきたひかるさん!!」

「マリンミサイル!」「ダブルミサイル!!」

 

 墜落から立ち直ったグランゲンが、撃ち込まれたミサイルを間一髪避けて飛び立つ。

 

「ダブルハーケン!!」

 

 グレンダイザーの両肩から両刃の鎌が飛びだすと、柄で連結されたそれはブーメランのように勢いよく投げ放たれた。

 ミサイルを躱した直後の致命的な隙をついて、回転する超合金ニューZの刃が空魔獣の胴体を両断する。

 

「マリンビーム!!」

「サイクロンビーム!!」

「スペースサンダー!!」

 

 分断されたそれぞれに必殺のビーム光線一斉射撃が襲い掛かり、その身体を跡形もなく爆散させた。

 

□□□□

 

 一方でギルギルガンと戦っていた各スーパーロボットも、決着の時を迎えていた。

 

「バックスピィィィィン・キィィィィック!!」

「ドリルプレッシャーパァァァァンチ!!」

 グレート・マジンガーの刃の生えた回し蹴りで首を刎ねられ、柔らかい内側へブレードと共に高速回転する鉄拳を打ち込まれ散々に内臓をかき乱され破裂するもの。

 

「チェンジライガー! ――――マッハスペシャル!!」

「チェンジポセイドン! ――――キャタピラ・オン! フィンガーネットォ!!」

「チェンジドラゴン! ――――ゲッターシャァァァァイン! シャイィィィィン・スパァァァァクゥ!!」

 ゲッターライガーのスピード戦法で足をもぎ取られ、ゲッターポセイドンのフィンガーネットで放り投げられ、必殺のシャインスパークでトドメを刺されたもの。

 

「ゴッドハリケーン!」

「スーパーノヴァ!!」

 そして――――ギルギルガンの巨体が、ゴッドマジンガーの口から噴き出す強酸突風で全身を爛れさせながら木の葉のように宙を舞う。

 トドメに放たれた胸からの白熱光線で、各地の都市を襲った最後の宇宙金属獣は欠片も残さず消滅した。

 かつての戦いでは、完全体へ成長を遂げたギルギルガン相手にグレート・マジンガーとゲッターロボが力を合わせてようやく紙一重の勝利を収めることができたが、あれから力を増した彼らをもってすれば、幼体相手などこんなものだ。

 

「宇宙科学研究所を襲った怪獣も、グレンダイザーたちに倒されたそうだぜ」

「こいつら……ベガ星連合軍がいなくなって、ようやく活動を再開しやがったのか?」

「やっと……やっとゲッター線と光子力が平和のために使われる時代が来たというのに、こいつらとまた戦わなければならないのか……!」

 

 鋼鉄の戦士たちは、救助活動を行う国防軍の作業用ゲッター部隊の活躍を消火剤の投下や冷凍光線で援護しつつ、やっと訪れた平和を壊す侵略者に静かな怒りを燃やしていた。

ネーミングはわざと

宇宙合金グレンは地球では作れないため、グレンダイザーの修理には超合金ニューZが使用されている




ダイザー後なのにグランゲンが初見扱いでおや? と思った方がいると思いますが、原作の小説スパロボでは武蔵は恐竜帝国との決戦で死んでるので空中大激突してないんですよ。
でもバレンドスやドラゴノザウルスとは戦ってます。

ちなみに吾郎の青スーツは宇宙円盤大戦争のデュークから持ってきてます。

あとゴッドマジンガーの武器で名称不明なものはまだ使っていないものも含め、マジンカイザーや鉄也のゴッドマジンガーから拝借しています。
どの武器が割り当てられるかお楽しみに。
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