第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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ゲッター號強化回です。


第十話「Gアームライザー発動!!」

 メタルビーストとの戦いで深く傷つき、大型ハッチからハンガーに格納されたゲッター號は、操縦者三人が降りた後ゲットマシンへ分離させられ、その周囲をロボットアームが忙しなく動き回り損傷した装甲を取り外してゆく。

「よし、プラズマ反応炉を交換するぞ」

 従来の反応炉が取り外され、新型反応炉が空いたスペースに収められた。

「接続作業開始」

 作業員が取りつき、配管や配線が繋がれてゆく。

 続いて、戦闘で断線した回路や油圧系統の修理も始まった。

「後は稼働テストで問題無ければ装甲を取り付け、ソードトマホークのテストをしよう」

「もしもの時は俺たちが出る、焦らず確実に作業を進めてくれ!」

「わかったわ兄さん」

 信一が翔へそう伝える。

 ランドウ軍は必ずやこの好機を逃さず攻めてくるだろう。

 作業が間に合わなかったときは俺が出る……!

 ハヤトは翔が指揮を執る作業員たちの仕事ぶりを眺めながら決意を固めた。

 

 直後、ビッグネイザー基地周辺に降り注ぐ高出力レーザー。

 幸運にも直撃はしなかったものの、いつ直撃をもらうかわかったものではない。

「攻撃は、大気圏外からです!」

 由自の分析によると、衛星軌道上に巨大な物体が発見された。

 公転周期は九十分で地球を一周、つまり次の攻撃は約九十分後。

 ゲッター號は修復作業の真っ只中。たとえ修復が終わり、翔にチェンジしたとしても設計上の都合で反重力機関の無いゲッター翔は、打ち上げ用シャトルに載せなければ宇宙へ飛び出すことはできないし、肝心の翔が宇宙飛行訓練を受けていない。

 かと言って反重力機関のあるゲッターM2改も出力が足りないし、NISAR保有のシャトルでは規格が合わないので飛ばせない。

 

「なら、一番手っ取り早くて確実な方法があるぜ」

 

 ハヤトと由自、橘博士は議論の末、アラスカの国連軍基地へ通信を入れた――――

 

□□□□

 

「フハハハハハハ……飛び出すこともできぬまま、焼き尽くされるがいい」

 損傷したゲッターの大修理を狙ったランドウ直々の大作戦。

 衛星型メタルビースト・ギガントによる軌道上からのレーザー攻撃は、このまま続けばビッグネイザー基地の電磁シールドを打ち破り、見事勝利を掴むかと思えた。

 

「……む? 地上から接近する飛行物体? ――――アラスカからだと!?」

 

 軌道上めがけてまっしぐらに飛んできたのは、北米攻略の要だった要塞ドラゴンタートルを壊滅させたことも記憶に新しいゲッタードラゴンだった。

 反重力マント・マッハウイングによる自慢の超加速で、悪への怒りを炎と燃やす真紅の竜がギガントへ突っ込んでゆく。

「撃ち落とせ!!」

「ま、間に合いません!!」

 

「――――ロングトマホォーゥク!!」

 肩口から射出され、柄が伸びるスピードさえ斬撃に加えたトマホーク、流一刀流免許皆伝の居合切りが縦方向への変型となってギガントを袈裟斬りにし、返す刀で横一文字に上下を泣き別れにした。

 盛大に角度が狂い、爆発に飲まれながら最後っ屁として放たれたレーザーは誰に当たることなく虚空の彼方へ飛び去ってゆく。

 

「おのれええええええ! ゲッターロボGィィィィ!! キルとヘルレザーを奪ったのに飽き足らず、ランドウ様の作戦までも邪魔しおってええええええええ!!」

 怒りのままに喚き散らすヤシャ男爵とは対照的に、ランドウの胸の内にはマグマのような憎しみが煮えたぎっていた。

 

□□□□

 

 その工場では、完成したばかりの真新しい鋼材が照明に照らされ鈍い光を放っていた。

 品質テストも終わり、後は出荷を待つばかり。

「工場長、合成鋼Gの生産に成功してくれてありがとう」

「いえ社長、ランドウ軍に苦しむ人々のためですからこれくらいは……うおっ!?」

「何だこの揺れは!?」

「社長! 工場長!! メ、メタルビーストです!!」

「なんだと!? すぐにバリアーを張れ!!」

 神隼人の父、神大造の経営する神重工業の製鋼所で、遂に合成鋼Gが造れるようになった。これで国防軍のゲッターMもメタルビーストに勝てるようになるはずだ。

 そこへ襲い掛かる謎の振動――――それを知ったヤシャ男爵により、メタルビースト・バーザスが送り込まれてきたのだ。

 

「ご覧くださいランドウ様! 国防軍の強化を阻止し、憎き神隼人めをも苦しめる一石二鳥の作戦を!!」

「これでノコノコ出てきた奴めのゲッターを叩き潰してやります!!」

 得意げなヤシャ男爵の指揮の下、工場に機関砲が撃ち込まれるが、それは間一髪展開が間に合ったバリアーによって阻まれる。

 神大造は、伊達に恐竜帝国や百鬼帝国との修羅場をくぐってきたわけではない。

 重要な施設にはゲッター線発電機とゲッター線バリアーの展開装置が用意してあるのだ。

「おのれ小癪な……!」

 バーザスは両腕の鋏に紫電を奔らせて突撃し、バリアーを破らんとする。

 

 電磁鋏がバリアーをこじ開けようとした瞬間、飛来した真紅のブーメランが両の鋏を斬り落とした。

「何奴!?」

 五指のマニピュレーターに掴み取られたブーメランはゲッター効果を起こしてマントへ変じ、バサリとその背にマウントされるや右手はペンチめいたゲッターアームへ変形する。

「おのれ神隼人!」

 空から舞い降りたゲッターM2改と、操縦桿を握るハヤトは、父を襲われた怒りに瞳を燃やし、左手のドリルで空気をつんざいた。

「勝てねえからって家族を狙うとは反吐が出るぜ!!」

 撃ちかけられる機銃掃射も、残像すら残す高速機動、ゲッタービジョンをもってすればそうそう当たるものではない。

 着地するまでに由自が割り出した位置取りは完璧だ。

 

「――――ドリルアーム!!」

 

 工場に被害を出すことなく、超音速のゲッタードリルはバーザスを貫いた。

「ハヤト……」

 息子の雄姿に胸を打たれた父の呟きを知ってか知らずか、ゲッターM2改は振り向くことなく右手を振って無言の別れを告げると、大地を蹴って空を飛びNISARへ帰還した。

 

□□□□

 

 作業開始から二日が経過して、ようやくゲッター號の改造と稼働テストが終了し、明くる三日目にソードトマホークのテストが開始された。

「よし號、始めてくれ」

「了解! ソードトマホーク!!」

 ゲッターの両拳にプラズマがスパークし、斧状の鍔を持った剣が形成される。

「成功だワン!」

「待つニャア、ちゃんと出来ているか検査しないとニャア」

 Dr.ポチ、Dr.タマが、形成されたソードトマホークを分析すると、確かに切っ先から柄の部分までお手本通りの強固な結晶構造が見て取れた。

 エネルギー物質変換器は、インプットされたデータを忠実に再現してくれているようだ。

 安堵の声を漏らす一同だったが、エネルギー残量を確認した翔が悲鳴を上げた。

「待ってよ! ゲッターのエネルギーが残り三十パーセントを切ってる!!」

「なんだって!?」

「新型炉に換えたのに、まだそんなにエネルギーを喰うのか!?」

 

「……まさに起死回生の必殺武器ってところだな」

 

 吉井博士の理論を設計段階から組み込めていれば……!

 ハヤトはシャインスパークもどきの最後の切り札と化してしまったソードトマホークに、内心で悔やみながら自嘲した。

「君が尽くせる手段は尽くした。後はみんなと知恵を寄せ合い、別のやり方を試してみる時だ」

「別のやり方……ええ! 俺は諦めませんよ!!」

 橘博士に励まされ、ハヤトはさらなる解決策を模索すべく立ち上がる。

 

 ランドウの下に、新たな幹部が加わった。

 その名もナルキス子爵。

 褐色肌の巨女ディアナを従えた謎めく銀髪の美少年にして、類い稀なる超能力の使い手。

 その威力は幻影に満ちた異空間へ引きずり込み、国連軍の部隊を同士討ちで壊滅させるほどだ。

 ゲッターチームも危うく罠にかかるところだったが、カラクリを見抜いた機転と號の精神力が逆転の鍵になってくれた。

 世界中のデータベースにアクセスしても正体が掴めないナルキスだったが、ハヤトはどこか引っ掛かりを覚え、光子力研究所と科学要塞研究所へ連絡を入れた。

 

 ――――ソードトマホークの問題解決にあたり、ランドウの下で吉井博士の助手を長年務めていたことから、ビッグネイザー基地に吉井レミが招聘された。

 監禁と父の死によって衰弱していた彼女の体調はもう万全だ。

「父の遺志を継ぐことができれば……全力を尽くさせてもらいます!」

 吉井博士の研究は、ソードトマホーク理論に基づくG鉱石の結晶化だけではない。

 産出地が限られるG鉱石の代用品となり得る複合素材もまた彼の生んだ功績なのだ。

 ハヤトの考案したソードトマホークを使うとエネルギーに余裕が無くなるというなら、その余裕を他所から持ってきてやれば良い。

 そこで橘博士が音頭を取り、大容量の蓄電層を備えたエネルギー増強プロテクターの設計開発が始まった。

 

 レミによって生産された複合素材の品質テスト────問題無し。

 強度、重量、耐熱性、耐蝕性共に、G鉱石と遜色ない性能を発揮。

 おまけに磁性も折り紙付きと、まさに人工G鉱石だ。

 だがいざ作業に入ろうかという時、メタルビースト出現の報告が入った。

 その名はメタルビースト・ヘラクルス。

 ナルキス子爵の超能力と、プロフェッサー・ランドウの科学力が融合した最強のメタルビーストにして、ナルキスからゲッター號への挑戦状だ。

「ゲッターチーム、出撃だ!」

 雲の上に陣取るヘラクルスを相手取るため合体したゲッター翔だったが、ヘラクルスはマントを翻して逃げ回り、フワフワと捉えどころがない。

 そのうち、ヘラクルスは急降下して市街地で建設中の高層ビルへ降り立った。

 後を追うゲッター翔。

 しかしヘラクルスが腕を一振りすると、工事現場から飛び出した鉄骨が次々と宙を舞い、ゲッター翔へ襲いかかる。

 

 ────念動力だ。

 

 ただの鉄骨などいくらぶつかってもG鉱石の装甲は傷一つ付かないが、衝撃は別だ。

 操縦席のある胸元を滅多打ちにされては堪ったものではない。

「キャアアアアアアアア!!」

「また訳のわからん魔術を使いおって……!!」

 地面へ墜落し、悲鳴をあげる翔に追い打ちをかけるかのように、ヘラクルスの陣取るビルの上から雨のように鉄骨が降り注ぐ。

 

「翔! フォーメーション・ゲッター號で行くぞ!!」

「チェンジゲッターオフ!!」

 

「フルパワーチャージング! チェーンジ・ゲッター號!!」

 

 分離して鉄骨から逃れたゲッターは、仕切り直しとゲッターチェンジを行い、ゲッター號がビルの屋上へ降り立った。

「いよいよ出てきたな、一文字君」

 基地から指揮を取るナルキスが笑みを浮かべ、ヘラクルスがマントを翻して突進する。

 ヘラクルスは騎士を思わせるデザインのシンプルな人型だが、ギリシャ神話の大英雄をモチーフにしたその名の通り、パワーもスピードもバランスのとれた強敵だ。

 繰り出されたレッグブレードも、マグフォースサンダーも、ナックルボンバーも通じない。

 ならばとゲッター號背部のローターが向きを変え、刃を飛び出させて丸鋸と化した。

「ブーメラン! ソーサー!!」

 それを手にして投げ放てば、数々のメタルビーストを切り裂いてきたブーメランソーサーが風を切って飛ぶ!

 しかしヘラクルスの念動力は回転する刃を空中で受け止め、逆に投げ返してきたではないか。

 泡を食ってジャンプし、ソーサーを回避した號だったが、足を踏み外しビルの空洞へ落下してしまう。

「駄目だ……ゲッター號の武器じゃ歯が立たねえ……!!」

「ハハハハハハ……私のメタルビーストは、お前たちの今までの武器の概念などは全く通用しないのだよ一文字君」

 クレーンがひとりでに動き出し、資材を吊り下げるワイヤーが鞭のようにしなりゲッターの首へと絡みつく。

 動きを封じられ宙吊りにされるゲッター號。

 念動力によるものか、ただのワイヤーの筈がゲッターのパワーでも引きちぎる事ができない。

 それを待っていたかのように鉄骨が周囲を包囲し、縦横無尽に飛び交いゲッターを打ち据える。

 

「うわああああああああ!!」

 

□□□□

 

 複合素材が加工機に飲み込まれ、瞬く間に部品へと加工されて吐き出される。

 そのパーツは一つ一つが強固な結晶構造に変化しており、組み立てればプロテクターとしての性能も申し分ない。

 この加工機は光子力研究所のせわし、のっそり両博士が近年発明した超合金光積層造形機、通称光子力3Dプリンターと肩を並べる材料加工の革命児、吉井博士の理論を形にしたSDTMHK(ソードトマホーク)造形機だ。

 一旦プラズマに分解された材料は、分子構造を組み替えられて結晶構造を成し、設計どおりの形状に成形されるのだ。

 ハヤトの操作するロボットアームがパーツを次々と組み上げ、作業員たちが仕上げをしてゆく。

 

 ────完成だ。

 

「よし、Gアームライザーをキャリアーマシンに積み込んで発進準備だ!」

 モニターの向こうで苦戦するゲッターに、ハヤトからの朗報が届く。

「完成したんですか! じゃあヘリで届けてくれるんですか? それとも取りに戻るんですか!?」

 

「────直接そっちに撃ち込む!!」

 

「ええ!?」

 

 ────空が吠えている、大地がうなっている

 ────風は龍巻で怒りを叫ぶ

 

  大型ハッチが展開し、カタパルトにキャリアーマシンが迫り出す。

 

 ────悪い奴らたち、地獄へ堕としてやる

 ────そうさ覚悟を決めたか

 

 だが飛び交う鉄骨が邪魔をして、ゲッター號の位置情報計算が出来ない。

 

 ────緑の地球から出てゆけ

 ────銀河系の外に出てゆけ

 

「さようなら、一文字君。短い付き合いだった」

 

「俺は博士たちを……レミちゃんたちを信じる!!」

 覚悟を決めた號は、レッグブレードを展開し勢いをつけて脚を振り上げ、ワイヤーを切断した。迫る障害物を振り切ってビルの外────遮蔽物の無い空中へ身を躍らせた!!

「……馬鹿が」

 

 ────光の刃には愛が

 

 ナルキスの吐き捨てるような侮蔑。

 だが一文字號の勇気に勝利の女神は微笑んだ。

「目標捕捉!」

「Gアームライザー発射ぁ!!」

 猛然と撃ち出されたキャリアーマシンが一直線にゲッター號を目指す。

 

 ────戦士は砂漠に夢を見て

 ────闘う!!

 

「G! アームライザアアアアアア!!」

 號の叫びに、キャリアーマシンが各部にマウントした紅白のプロテクターを射出した。

 腰に、脚に、そして胸に。

 電磁力で引き合い接合した勇者の鎧は、内に蓄えたエネルギーを解放し、ゲッター號に漲る活力を与えスーパーゲッター號へと生まれ変わらせた!!

 

 何事もなく着地したスーパーゲッター號は、振り仰いでビル上のヘラクルスを見据える。

 仕留めそこなったゲッターにトドメを刺すべく、ヘラクルスが地上めがけて迫る。

 すかさず振り上げたスーパーゲッター號の両腕に、眩いプラズマが迸った。

 

「G鋼剣! ソードッ!トマホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオクッ!!」

 

「何ッ!?」

 

「覚悟おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 光の刃が聖剣として結実し、メタルビースト・ヘラクルスを一刀両断にする。

 真っ二つ程度では油断ならぬと、返す刀で二度、三度と横薙ぎにされ、完全に息の根を止められたヘラクルスは爆散した。

 

「前回と言い今回と言い、二度のしくじりお恥ずかしい限り」

「奴らがソードトマホークを作り出せるようになるとは……」

「これで少しは面白くなってきました」

「負け惜しみを!」

「ここらでヤシャ男爵、ラセツ伯爵、両先輩の戦いぶりこの目で勉強させてもらいたいと思います」

「……フン」

 負けても余裕を崩さぬ優雅なナルキスに、ヤシャもラセツも面白くない様子だ。

 

 ――――ランドウたちがどんなに悪辣な作戦を企てても、ゲッターチームとゲッターロボは負けたりしない。

 新たな力、ソードトマホークで野望を切り裂け! 戦えゲッターロボ號!!

 負けるなゲッターロボG!!




ゲッター號挿入歌の「NISAR」名曲なのでぜひ聴いてみてください。
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