第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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いよいよ最終決戦が間近に迫っております。


第十二話「帝王ランドウ消滅す!?」

 蛇牙城(ベガゾーン)の玉座で、プロフェッサー・ランドウはラセツ伯爵に積もりに積もったナルキス子爵への疑念を吐露していた。

 

「ラセツよ……ナルキスの振る舞い、怪しいとは思わぬか?」

 

 メタルビースト・ジュラの変貌によるヤシャ男爵の不審死に始まり、戦略的価値のないギリシャ、それも都市部でも工業地帯でも軍事基地でもなく遺跡への侵攻。

 それ以前のネパール前線基地壊滅の原因となったゲッターロボの転移など、数々の行動も合わせれば、ナルキス子爵を疑うなという方が無理がある。

 

「次に消されるのは、お前かもしれぬ……ナルキスには、気を付けるのだぞ?」

「ああ、ランドウ様……何とお優しいお言葉……」

 

 目を閉じて微動だにしないランドウの頭部コンピューターが光を放った。

 それに呼応するかのように、部屋全体の電子回路に光が走る――――

 

「ランドウ様!? どうなされたのですかランドウ様!?」

 

 その異変に、ラセツの悲鳴じみた呼びかけが響き渡った。

 

□□□□

 

 ビッグネイザー基地の自室で、ハヤトは光子力研究所から送られた資料を片手に今まで観測されたデータを分析していた。

 

 ――――妖怪参謀ピグマン子爵。

 ピグミー族の矮躯とマサイ族の巨躯を合体させた、ドクターヘルのサイボーグ。

 変幻自在の妖術を駆使し、最後は独自に世界征服を企んでドクターヘルを裏切った末、マジンガーZに倒される……

 

「――――何だこの符合は」

 

 眉目秀麗なナルキスと、まさに妖怪と言った風貌のピグマンとは似ても似つかない。

 しかし巨女のディアナを常に従える様は、腰から下に戦士の巨躯を繋げられたピグマンと不思議に被って見える。

 超能力と怪奇な妖術、おまけに授けられた爵位はどちらも()()

 親玉のランドウはヘルと同じくドイツ人のマッドサイエンティスト、古株のヤシャとラセツも男爵伯爵ときた。

 どう考えても偶然にしては出来すぎていた。

 

「そして――――」

 

 襲撃されたギリシャ遺跡の調査結果。

 現地へ持ち込まれた光子力レントゲン装置による分析の結果、あの遺跡からは巧妙に隠蔽された古代ミケーネ文明の機械装置が発見された。

 装置の正体はある種のエネルギー蓄積装置、中身が枯渇するつい最近まで稼働し続けていたそうだ。

 検出されたエネルギーの残滓に最も近かったのは、ゴッドマジンガーでおなじみの()()()()()()()

 

 まず、一般にオカルト扱いされてはいるが、超能力や魔法、呪術は実在する。

 ピグマン子爵をはじめとして、ミケーネ帝国の亡霊型戦闘獣に、それらを束ねる七大将軍の一人、悪霊将軍ハーディアス。

 全身が精神エネルギーで構成された、ミケーネ帝国闇の帝王の超能力には、ハヤトも苦しめられたものだ。

 

 そして、地球を支配した闇の帝王・ギャラハン皇帝に追い詰められ、超能力を発現せざるを得なかった未来世界のレジスタンス、ゼファ・ジタンヌの少女たち。

 

 最近でも、モンゴルの大草原で古来より超能力を発現させた一族が暮らしているのが発見されたこともある。

 

 判明した限りのナルキスの情報をまとめたなら、ミケーネ所縁の遺跡に眠るエネルギーを狙い、強大な超能力を操る、自身も繰り出すメタルビーストもギリシャ神話由来の名前で、世界中の戸籍や目撃情報にも引っかからなかった正体不明の存在となる――――これがミケーネの関係者でなければ、古代に来訪したどこかの星の異星人がギリシャ神話の神々のモデルで、奴はその一員か末裔だった以外に考えられない。

 

 あの暗黒の未来世界に分岐した世界線で、ゲッター號や真ゲッターの情報を得ていたパリアッチョ以外にも、ミケーネの手の者が二十世紀に暗躍しており、それがナルキスだったのかもしれない。

 ハヤトはあくまで仮説であるとしながらも、まとめたデータを光子力研究所のさやか宛てに送ることにした。

 

 ――――直後、モニターをジャックしたナルキスからの挑戦状がビッグネイザー基地に届いた。

 

□□□□

 

 口元から何本もの触手が生えたエイといった外観の、ナルキスの浮遊要塞ラビュリントスがオホーツク上空に鎮座し、ゲッターチームを待ち構えている。

 繰り出すのはメタルビースト・バケロース。

 獅子の体と蛇の尾、人間の頭を持つという怪物、マンティコアを思わせる人面獣身のメタルビーストだ。

 ナルキスが心血を注いだこの自信作に、いざ出撃命令を下そうとしたその時異変が起こった。

 格納庫の壁を破壊してナルキスの下へ現れたバケロースが、その長い舌を伸ばしてナルキスのペンダント、神秘の霊石ゴッドストーンを奪い取ったのだ。

 

「何をする!? 命令に従えバケロース!!」

 

 ゴッドストーンを飲み込んだバケロースの顔が、無機質な金仮面からランドウのものへ変貌する。

「ランドウだと!? どうして貴様が……」

「それがお前の本性かナルキス」

 慌てて表面上は冷静に取り繕いながら弁明するナルキスだったが、もはやそんな誤魔化しが通じる段階ではない。

 

 メタルビーストの爪が、尾が振るわれ、ナルキスとディアナはなすすべなく薙ぎ払われ倒れ伏した。

 

 魂を肉体から分離し、メタルビーストの身体を手に入れたランドウは、目星をつけていたナルキスの力の源であるゴッドストーンの奪取に成功したのだ。

 これで後はゲッターさえ叩き潰してしまえば邪魔者は居ないも同然。

 バケロース・ランドウは勇んで要塞を飛び出し、ミサイルや機銃を撃ち掛けていたゲットマシンを迎撃した。

 

「見て! あの顔……!!」

「ランドウじゃないか!!」

「どうしてナルキスのメタルビーストがランドウなんだ!?」

 

 四つ足で空を駆け、口からビームを吐くランドウの姿に、三人は困惑を隠せない。

 だがそんな動揺などお構いなしに、襲い掛かってくるスピードはかなりのもので、無理は禁物とゲッター翔へチェンジしたものの、瞬間移動めいた身のこなしに翻弄され、防戦一方だ。

 由自の分析によればランドウを模した頭部はG鉱石、間違いなくメタルビーストだった。

 要塞ラビュリントスに動きは無く、ナルキスも姿を現さない。

 しかしランドウだろうがナルキスだろうが、敵であることに変わりはない。

 ゲッター翔はブレストボンバーを、ストリングアタックを繰り出すが、そのことごとくを躱され、カウンターで振るわれる爪や尾の一撃で傷ついてゆく。

 

「フッフッフ……この程度のロボットにてこずっていたとはな……情けない話だ!」

 

「地上へ引きずりおろそう! ゲッター號に任せるんだ!!」

「由自! Gアームライザーを頼む!!」

 

 合体し、地上へ降り立つゲッター號とメタルビースト・ランドウの第二ラウンド。

 先手を取ったマグフォースサンダーも、ブーメランソーサーも通じない。

 そんな中、予想外の人物からの通信が届く。

 

「――――一文字君、苦戦しているようだね……私がアドバイスをしてやろう」

「ナルキス!?」

 

 意識を取り戻したナルキスが、ゲッターへ塩を送ろうというのだ。

 ランドウの弱点を教えようと語るナルキスに困惑し、號は撃ち掛けられたビームを避けそこなってしまう。

「ナルキスの野郎、邪魔しやがって……!!」

「聞くんだ一文字君! 奴の弱点は胸のランプだ!!」

 

 そうこうするうちにGアームライザーが到着し、ゲッター號はプロテクターを装着、G鋼剣を振りかざす。

 ランドウへ斬りかかったスーパーゲッターだったが、メタルビーストは瞬間移動と見せかけてその場で赤熱したプラズマ竜巻と化し、號たちを苦しめる。

 全身を傷だらけにされ膝をつくスーパーゲッターに、ナルキスの呼びかけが続く。

 

「一文字君! 嘘は言わない、ソードトマホークをアンテナにするんだ!!」

 

「噓ではありません、號さん!」

「號、この場は奴を倒すのが先決だ!!」

 不可解な利敵行為に二の足を踏む號だったが、由自とハヤトの意見で覚悟を決め、ソードトマホークの刃先に意識を集中した。

 

 G鉱石結晶は、強度のある素材というだけでなく高性能なアンテナにも応用できる。

 プラズマボムスで稼働し、強磁性体のG鉱石で覆われたメタルビーストの放つ電磁波を感知できないはずがない。

 

 剣の反応を信じて振りぬけば、ゲッターの背後へ瞬間移動したメタルビーストの爪が見事に斬り落とされた。

 ランドウは負けじと瞬間移動によるヒット・アンド・アウェイを繰り返すが、その度に角が、尾が斬り落とされてゆく。

 

「おのれ……このワシを舐めるなぁ!!」

 

 叫びと共に失われた部分が再生した。

 ソードトマホーク理論によるパーツの再生成だ。

 流石はナルキスが自信をもって繰り出すにふさわしいメタルビーストと言える。

 続けて、メタルビーストのボディーが火球と化して凄まじいスピードで宙を舞い、縦横無尽にゲッターを襲う。

 今までのメタルビーストとは比較にならないエネルギー量に、由自が悲鳴を上げた。

 このまま体当たりを受け続ければ、スーパーゲッターでも耐えきれない。

 

「あのエネルギーは、普通じゃありません!!」

 

「一文字君! ソードトマホークを突き刺せ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 正面から迫りくるランドウへ、乾坤一擲の一斬が決まった。

 胸のランプから入った刃はそのまま胴体を掻っ捌き、エネルギー放射の止まったメタルビーストは着地したまま微動だにしない。

 顔がランドウから、元の無機質なバケロースの顔へと戻ると、今だとばかりにラビュリントスからトラクタービームが照射された。

 

「おのれナルキス!!」

 

 ゴッドストーンを奪還され、吠えるランドウの魂はもはや機能停止したバケロースの体を捨て、ナルキスの下へ飛ぶ。

 目前でラビュリントスは転移し、取り残されたランドウは必死に蛇牙城へ急いだ。

 

「やったぞ! ランドウたちに勝ったぞ!!」

「ナルキスの要塞も消えたわ!!」

「……本当に、そうなのか? ……あの光がどうも気になる……」

 

 爆散したメタルビーストの姿に、勝利を喜ぶ剴たちを他所に、號だけは飛び去った光の行方を気にしていた。

 

 蛇牙城の玉座で眠りにつくランドウの身体の下へやって来たナルキスは、嘲笑と共にゴッドストーンから光線を照射し、ランドウの抜け殻を塵と化した。

 

「――――何をしておる!? ワシの、ワシの身体を!? おのれナルキスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ………………」

 

 戻るのが一歩遅かったランドウの絶叫が、無情にも蛇牙城に響き渡る。

 帰る肉体を失ったランドウは、もはや壁面の回路を光らせる以外に何もできなかった。

 

□□□□

 

「――――ランドウ様の玉座が!?」

 

 眠り続けているランドウの様子を見に来たラセツ伯爵は、主の姿が玉座ごと消えているのを目にし狼狽した。

 玉座があった場所にぽっかりと開いた穴から、せり上がってきたのはナルキスとディアナ――――その姿にすべてを悟ったラセツは、新たな支配者に跪き(こうべ)を垂れる。

 

「不服かな? ラセツ伯爵」

「いいえ、滅相もない! この蛇牙城はナルキス様の物、主の好みに合わせるのは当然の事でございます」

「ランドウ様亡き今、このラセツを好きなようにお使いください……」

 

 

「――――プロフェッサー・ランドウは、愚かにも世界の頂点に立ち人類を支配することを企んだ。それが彼の最大の不幸だった。だから私がその過ちを正したのだ」

「そう、ランドウはもう居ない。これからは私が地球の支配者、いや、地球の神となる」

「さて、聞いているかね一文字君。これからは誰にも煩わされることなく君の相手をしてあげられるよ?」

「私はランドウほど甘くはない、そのことを肝に銘じておくことだな――――」

 

「どういうことよこれ……」

「ランドウが死んで、ナルキスが跡を継いだってことか?」

「下剋上かもしれんぞ?」

 

 ポーラー・ステイション――――蛇牙城から送られた全世界への宣戦布告。

 橘博士は強敵プロフェッサー・ランドウの死に動揺し、號たちも困惑を隠せない。

 

(やはりナルキスも親玉を裏切ったか……)

 

 ただ一人、ハヤトだけはナルキスがかつてのピグマンと同じ道を辿っていることに納得していた。




次回ゲッター號編最終回!
「ゲッターよ永遠に眠れ」にチェェェェンジ・ゲッター號!!
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