第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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東映版ハヤトの居る東映版ゲッターロボ號、はじまりはじまり~
設定、描写の独自解釈が増えます。


第二章 ゲッターロボ號
第五話「無敵! ゲッターロボ號発進!!」


「――――ご覧ください! 今フリード星への使節団を乗せた日本の超光速宇宙船、白樺二世号が飛び立ちました!!」

 

 ベガ星連合軍から地球を守ってくれたUFOロボ グレンダイザーの生まれ故郷にして、復興が終わって以来民間レベルでは友好的な交流が続いていたフリード星に、遂に国連から正式な使節団が派遣されることになり、リポーターも大興奮で打ち上げの様子を伝えている。

 悪者ではない善良な異星人との交流に人々は沸きあがり、世界中で空前の宇宙ブームが到来した。

 

 北極で発見され、80年代に研究論文が発表された新素材、G鉱石により材料工学や電磁気学は飛躍的進歩を遂げ、人類の夢だった核融合エネルギーさえ従来の蒸気でタービンを回す方式より遥かに効率的なプラズマボムスという形で実用化することができた。

 そして90年代に入り、光子力やゲッター線エネルギー、光量子エネルギーの研究も進み、宇宙都市が建設されワープ機関を積んだ恒星間航行船さえ飛び立つようになった時代。

 G鉱石採掘を一手に担う多国籍企業ポーラー・ステイションが、突如連絡を断った数日後、事件は起こる。

 

 ロボット怪獣としか形容できない巨大戦闘ロボット、メタルビーストが、アメリカとソ連の大都市を襲ったのだ。

 そのG鉱石製の強固なボディーの前に、迎撃に出た国軍は全く歯が立たず壊滅し、アメリカの誇るスーパーロボットテキサスマックさえ敗退した。

 

『よく聞け者ども、私の名はプロフェッサー・ランドウ。全世界は、いや地球はたった今から私が支配する……!』

 

 全世界の通信に割り込んだ首謀者、プロフェッサー・ランドウの宣戦布告。

 彼――アルヒ・ズゥ・ランドウ――は五年前に姿を消したロボット工学、コンピューター開発の権威だったが、陰でこのような暴挙を企んでいたのだ。

 これを受け、次の標的は日本に違いないと踏んだ防衛庁長官は、総理大臣弓弦之助の命を受け、科学技術庁長官と共に北海道サロマ湖畔のNISARを訪れるのだった。

 

 ────NISAR(ネイザー)、日本国際航空宇宙技術公団。

 早乙女研究所、宇宙科学研究所に並ぶ、日本の宇宙開発の最前線だ。

 従来のゲッター合金、ゲッター線駆動とは違う、G鉱石製かつプラズマボムスで駆動する頑強さを重視した新型の作業用ゲッターロボが開発されている。

「何ですって!? うちのゲッターを出動させる!?」

「超合金Zに匹敵する強度を持つ、G鉱石で造られたメタルビーストに対抗できるのは、現在マジンガーZとNISARのゲッターロボしかないのです……」

 それを聞いてNISARを代表する橘彪(たちばな・たけし)博士は困惑する。

「ゲッターロボGと、グレート・マジンガーはどうしたのです!?」

 ゴッドマジンガーとグレンダイザーは、現在フリード星への使節団護衛で地球を離れていたが、国防軍のグレート・マジンガーと、早乙女研究所のゲッターロボGは地球に残っていたはずだ。

「グレート・マジンガーはオーバーホール中、ゲッターロボGも、重要な実験で手が離せないので万が一の時はNISARに頼るようにと……」

「軍のゲッターMも全力を尽くしますが、どうか……」

 ――――ドンッ!

「私のゲッターロボは、戦闘兵器じゃないっ!!」

 激高する橘博士。しかしそれを手を叩いて宥める者が居た。

「橘博士、勘違いしないでくださいよ……長官たちが用があるのは俺の方です」

「――――ハヤト君!」

 腕を組んで入口にもたれかかり、不敵な笑みを浮かべる青年の名は神隼人。

 ゲッターロボGのパイロットにして、早乙女研究所の後継者と言われる俊英だ。

 数年前からNISARに出向し、離れの無人島側施設で掘削用ドリルやプラズマジェットエンジン、溶断用ビームに高出力発電機など、G鉱石やプラズマボムスを利用した各種装置の研究を行っている。

「安心してください長官、()()()()()()が必ず奴らを蹴散らして見せますよ」

 

□□□□

 

 先ほどまで橘博士の息子、橘信一チーフの監督のもと、シミュレーター訓練を行っていたパイロットの一文字號、大道剴と、信一の妹でメカニックチーフの橘翔は、神隼人によって無人島側の施設に集められ、モニターの向こうで蹂躙される東京の姿に慄いていた。

 

 迎撃に出たゲッターMの攻撃はミサイルもドリルも、トマホークはおろかドラゴンに匹敵するはずのゲッタービームでさえメタルビーストに通用しなかった。

 これがゲッタードラゴンなら、合成鋼Gのダブルトマホークやスピンカッターで装甲を傷つけ、関節を断ち、内部へビームを浴びせることで勝利を掴めただろう。

 だが硬度に劣るゲッター合金製の武器ではそれは不可能だった。

 

「お前らに集まってもらったのは他でもない――――今からゲッターで出撃してもらう」

「そうか、メタルビーストはG鉱石で出来ている。武器が無くても俺たちのゲッターじゃなきゃ……」

「誰が橘博士のゲッターだなんて言った?」

「え……?」

 徒手空拳での戦いに覚悟を決めようとする號へ、ハヤトは眼光鋭く言い放つ。

 

「あるんだよ――――武装したゲッターロボがな」

 

格納庫に聳え立っていたのは、額に剣のような三本角という見慣れたデザインの、しかし青い上半身、緑の下半身に赤いブースターユニットという見覚えのないカラーリングのゲッターロボだった。

 しかも手首にはインテークじみた手甲、背中には一対のローターが追加されている。

 

「神博士……こいつは一体……?」

「こいつが俺のニューゲッター……ゲッターロボ“號”だ!」

「ゲッターロボ、號!?」

「そうだ號、お前が一号機、剴が三号機、そして翔……お前が二号機だ」

「自分が……」「僕も……?」

「こいつは早乙女研のゲッターと同じく合体変形で三つの姿になるが、操縦法は今までお前らが扱ってきたゲッターと、武器が増えた以外は同じだ」

 操縦法が同じと聞いて、號たちは勇気づけられた。

「合体訓練がまだなのでこの状態のまま輸送ヘリで出動する、全員乗り込め!」

「「「了解!」」」

 ハヤトの指示で、三人は弾かれたように所定の操縦席へ飛び込み、ゲッターを始動させると輸送ヘリの下へ向かう。

 

「由自、現場まで頼んだぞ。信一君はバトルヘリで援護を頼む」

「了解しました! ……緊張するなあ」

「不安がらなくていいぞ由自、ゲッターを下ろしたらすぐに離れればいいんだ」

 ハヤトと同乗するヘリのパイロットを務める眼鏡の少年武藤由自に、信一は少しでも実戦の不安を払おうと声をかける。

 自衛のために国防軍から貸与されている、戦闘ヘリへ乗り込んだ信一の準備も滞りなく完了した。

「バトル1、スタンバイ!」

「武器の使い方は道中伝える、しっかり頭に叩き込めよ」

「行くぞ……!」

 初陣の不安と、人々を救わねばという使命感をないまぜに、若者たちは飛び立った。

 

「フハハハハハハ……! メタルビースト・ギルガよ!! 徹底的に破壊しつくせ!! 我らの生みの親、プロフェッサー・ランドウ様の偉大な力を日本中の者どもに見せつけてやるのだぁ……!!」

 戦場をモニターする指令室に、メタルビーストの指揮を執る怪人の高笑いがこだまする。

 一つの体に赤と青の二つの頭を持ったヤシャ男爵だ。

 モニターに二機のヘリが姿を現すが、ヤシャはコバエが増えた程度気にするほどでもないと高をくくって、ギルガが暴れるさまを眺めるのみだ。

 

 蹂躙され火の海と化した東京上空、輸送ヘリの吊り下げたコンテナが傾ぎ、ゲッターが投下された。

 その両脚はしっかと大地を踏みしめ、その鋭い瞳は街を襲う悪魔を睨みつける。

 今ここに、平和を守る鋼の砦が聳え立った。

 

「號、奴の武器は腕のミサイル砲と鎌だ、まずはこちらもミサイルで対抗しろ」

「了解! ――――ハンディミサイルキャノン!!」

 ギルガのミサイルを躱しざま、ゲッター號も手首からミサイルを発射した

 直撃し、発射が不可能になったそれを忌々し気に睨んだギルガは、左腕の鎌を振り上げてゲッターへ突進する。

 そこへバトルヘリのミサイルが顔面に命中。

 目くらましにしかならないが、それでも隙を作ることはできた。

 すかさず体重を乗せた、ゲッターのキックが胸板へ突き刺さる。

 装甲を割られ、耳障りな悲鳴を上げて苦しむメタルビーストへ號はトドメを刺す態勢に入った。

 背中のローターが唸りを上げて高速回転し、生み出された膨大な電力が電圧を増し、磁場によって指向性を与えられ一気に解き放たれる――――

 

「マグフォースサンダァァァァァァァァァァ!!」

 

 闇夜を切り裂く眩い雷光が悪魔を打ち据え、裁きを下した。

 爆散するメタルビースト・ギルガ。

 新たな守護神の登場と勝利に、人々の歓声が上がった。

 

「奴は一体何者だ!? ええいこの手で八つ裂きにしてくれるわ!!」

「待て、ここはランドウ様の指示を仰ぐのだ!!」

 ギルガの敗北に激高する赤い顔の弟ヤシャは、片割れの青い兄に抑えられ、この事を報告するために帰路に就く。

 

 乗っ取ったポーラー・ステイションを禍々しく改造したランドウ軍の拠点、巨悪の城蛇牙城(ベガゾーン)に女の笑い声が響き渡った。

「オホホホホ……あれだけ大口を叩いておいて無様だこと」

「ぐぬぬぬ……」

 筋骨隆々鬼のような形相の双頭の男、ヤシャ男爵と同じく、ランドウによって生み出された長髪長身白皙の女、ラセツ伯爵の嘲りに、ヤシャは歯噛みする。

「まさかメタルビーストを倒せるゲッターが残っていたとはな……」

 頭頂部に左目と繋がる超小型コンピューターを乗せ、角のようなデバイスを耳元に取り付けた隻眼禿頭白髭の老人、ランドウの言葉に、ヤシャは驚愕する。

「ええっ!? プロフェッサー・ランドウ様、コイツはゲッターロボだったのですか!?」

「左様、橘博士が開発したG鉱石製の作業用ゲッターロボに瓜二つだ……」

 作業用ロボットに敗れたと聞き、ラセツの嘲笑はより大きくなった。

「だがこの武装が気にかかるな……我らの攻撃から作業したのではあまりにも準備が早すぎる」

「おそらく今までの異種族や異星人を警戒して、準備していたのでは?」

「ううむ……」

 

 あの平和主義者の橘が、そう簡単に自分の発明の武装化に応じるか……?

 ランドウは旧知の橘博士の性格を思い起こし、頭の隅に引っ掛かるものを感じていた。

 奴は元々早乙女研究所にいたが、争いを嫌ってNISARに移った筈だ……

 

 まあいい、目下の問題はいかにしてあのゲッターを片付け、日本を制圧するかだ。

 ゴッドマジンガーとグレンダイザーは宇宙へ飛び出し、グレートマジンガーは整備中。

 早乙女のゲッターロボも何やら手が離せぬ様子で、残るは旧式のマジンガーZのみという千載一遇の好機に立ち上がったのだ。

 この勢いを止められるのは痛い……

 

「ランドウ様、次は私にお任せを、必ずやあのゲッターロボを倒してご覧に入れます」

「何だと! でしゃばりおって……!!」

「ゴチャゴチャうるせえんだよ!!」

 ラセツの進言に食い下がるヤシャへ、彼女の胸元から飛び出した肉色の醜悪な顔が野太い男声で怒鳴りつける。

「良かろう、吉報を待っているぞ」

「ははっ!」

 

 メタルビーストの母艦、巨大潜水艦ジャイガン・シンがラセツ伯爵を乗せて北極のベガゾーンを出港し、北海道へ向かった。

 その名の通り蟹を模した、二本の鋏に重装甲のメタルビースト・クラブがサロマ湖北東沿岸部の町に牙を剥く……!!

 

「────號、溶解液は電気を通す、タイミングを合わせてやれ!」

「了解! マグフォースサンダー!!」

 ハヤト指示の下、指向性の電撃が溶解液の発射口を通じてクラブの内部メカを焼いた。

「トドメだ! ナックルボンバー!!」

 叫びとともにゲッターの拳がロケット推進で弾丸のように飛んだ。

 必殺パンチナックルボンバーは、狙いどおりクラブの弱点である顔面へと命中。

 そのまま内部メカを粉砕した。

 

「ええい! 忌々しいぃぃぃぃぃぃ!!」

 敗北に怒り狂ったラセツは、ヒステリックな叫びをあげ当たり散らしながら去ってゆく。

 

「どいつもこいつもだらしのない奴らだ……!」

 部下の敗北に怒りを募らせるランドウは、優先攻撃目標をNISARとゲッターロボ號に定めるのだった。

ゲッター剴のインパクトキャノンである。




橘信一生存!
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