第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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原作と同じサブタイですが中身は大違いです。



第六話「合体せよ! 鋼鉄の戦士」

 蒼空を切り裂いて三機のジェットが飛ぶ。

 主翼の先に大型のリフトファンを持った青い一号機、ゲッター1。

 機首に巨大なドリルを備えた赤い二号機、ゲッター2。

 太い双胴で黒緑の三号機、ゲッター3。

 G鉱石で造られプラズマボムスで稼働する、神隼人が設計・製作したNISAR製のゲットマシンだ。

 

「よし、まずはゲッター號から開始しろ」

 通信機越しにハヤトの指示が飛ぶ。

「了解! フルパワーチャージング、セットアップ! チェーンジ・ゲッター號!!」

 操縦席にセットされている認証キー・カセットキーが操縦者の音声を認識し、機体を合体体勢へ移行させる。

 動力炉が出力を最大まで上昇させ、機体を電磁フィールドで包み込んだ。

 分離したパーツを浮遊状態で保持、再接続。そして磁石の反発のように各部がスルスルと可動、ロボットのパーツに変形してゆく。

 そのままゲッター1が上半身、ゲッター3が下半身を、ゲッター2がブースターユニットを形成し、電磁力が引き合うままに合体。

 ゲッター線によって変質した金属の持つゲッター効果による、驚異的な可塑性を持つ形状記憶合金、ゲッター合金や合成鋼Gのものとは全く違う、システマチックな変形合体。

 合体訓練は成功だ。完成した陸戦形態ゲッター號はブースターを噴射して着地、陸上選手のようなフォームで駆け出してゆく。

「次はゲッター翔」

「チェーンジ・ゲッターオフ!」

 助走をつけて跳んだゲッター號が三機に分離、上空へとまっすぐに飛び上がる。

「――――チェーンジ・ゲッター翔!!」

 ゲッター2機首のドリルが分離、上半身に変形した後右腕に接続された。

 ゲッター1が下半身に、ゲッター3がブースターユニットを形成し、ダイアナンAやビューナスAの系譜と言われたら信じてしまいそうなほど、女性的なフォルムの空戦形態ゲッター翔が完成した。

 超音速で空を駆けるゲッター翔は雲を貫いて上昇、限界高度まで達するとそのまま急降下してサロマ湖めがけて真っ逆さまだ。

「最後にゲッター剴」

「チェーンジ・ゲッターオフ!」

「――――チェンジ・ゲッタァァァァ(ガァイ)!!」

 ゲッター2がキャタピラ部分を、ゲッター1が砲塔と腹部を、そしてゲッター3が上半身を形成する半人半戦車の水中戦形態、ゲッター剴が完成し、水柱を上げて着水する。

 G鉱石製の強固なボディはこの高さから落ちてもびくともしない。

 ゲッター剴はウォータージェットを噴射して、鈍重そうな外見には見合わぬ俊敏さで水中を駆け巡り、キャタピラで大地を踏みしめて何事もなく上陸した。

 

「ああもうお腹ペコペコよぉ」

 訓練が終了し、ゲッターチームの三人は食堂で休息をとっていた。

 號と剴の手にはコーヒーとハンバーガーが一皿ほどだが、翔の皿にはサンドイッチが山と積まれ、デザートのケーキも数種類並んでいる。

 その様子を見てハヤトは、うちのベンケイを思い出すぜと笑みを浮かべた。

 もちろん號や由自のように口に出すなんてデリカシーの無いことはしない。

「この調子で実戦でも頼むぜ、三人とも」

「任せてください!」

 何度目かの実戦を潜り抜け、合間の訓練でミスも無く安定して合体できるようになった三人にハヤトは激励の言葉を贈る。

 

□□□□

 

 ――――数日前の夜のことだった。

 橘博士は自室で一人煙草をもてあそびながら、宇宙開発の拠点だったNISARが戦いの拠点と化していくことに思い悩んでいた。

 確かにランドウの悪事は許せないし、戦いの矢面に立っているのは神隼人のゲッターで、心血を注いだ自身のゲッターは何事もなく格納庫に鎮座している。

 だからといって娘をパイロットにされたり、NISARのあちこちにシールド発生器を据え付けられたり、発進カタパルトだのと戦いのために手を加えられてはいい気分はしない。

 もはや無人島の施設は当初のレーダー施設どころかハヤトの牙城と化していた。

 壁に飾られたゲッター……GT-R PT・1のデザイン画を見やる。

 こいつが宇宙開発の現場で活動できるようになるのは一体いつになるのやら……

 不意にドアが開き、Dr.ポチが酒瓶とグラスを携えてやって来た。

 小柄な彼は机の上へぴょんと飛び乗ると、グラスへウイスキーを注いで橘博士へ勧める。

「世の中にはどんなに冷静に考えても許せないことがあるワン。そういう時は、酒食らって怒ってもいいんじゃないかワン?」

 NISAR設立当初からの仲間の酒だ。

 お言葉に甘えて一気にグラスを空にすると、橘博士はふうと一息つく。

 橘博士はDr.ポチ相手に一晩中胸の内を語り明かし、翌日すっきりした顔で自身もランドウの暴虐に立ち向かう覚悟を決めた。

 

□□□□

 

 本当に最近の北海道で戦いなんてあったのかと錯覚してしまいそうな平和な昼下がり。

 普段ワンワンニャーニャーと賑やかな、NISARに所属する古参科学者のDr.ポチとDr.タマはG鉱石の補充のため、メタルビーストの残骸が散らばる戦場跡に出かけていて留守だ。

 その平和を切り裂くように上空をメタルビースト搭載のミサイルが飛び、札幌のど真ん中へ着弾した。

 メタルビースト・ザンの登場だ。

 被害を少しでも食い止め、市民が避難する時間を稼ぐため、スクランブル発進したゲッターM3がザンに立ち向かう。

「ミサイルが効かなくても、パワーなら負けないんだ!」

 操縦する兵士の巧みな手さばきで、キャタピラを唸らせて後ろへ回り込んだネイビーブルーのゲッターM3は、蛇腹の両腕を絡みつかせてメタルビーストの動きを封じにかかった。

「ええい、そのような雑魚、叩き潰してしまえ!」

 海底に陣取るジャイガン・シンから、邪魔者に苛立つヤシャ男爵の声が飛ぶ。

 ザン最大の武器、胸の高周波ビームは正面にしか撃てないのだ。

 現状抑え込まれているものの、しかしメタルビーストのパワーも相当なもので、ゲッターの腕の関節が軋み始めた。

 

「もう、ダメか――――!!」

『――――選手交代だぜ、兵隊さん!!』

 

 避難完了の通信とほぼ同時に拘束は振りほどかれるも、上空に救世主の影が差した。

 

「フルパワーチャージング、セットアップ!」

「チェンジゲッタァァァァ(ガァイ)!!」

 赤と青の下半身、黒緑の上半身のゲッター剴が地響きを立てて着地する。

「おお、これが噂のニューゲッターか!」

「さあ下がってください。ここはこの自分と、ゲッター剴が引き受けました!」

「すまない、あとは任せたぞ!!」

 M3に退却を促し、ゲッター剴がメタルビーストへ立ち向かう。

「やっと来たか、ザンよやってしまえ!!」

 コンピューターが倒すべき獲物を見定め、ザンの胸元から高周波ビームが放たれた。

「どぅわああああああああああああああああ!?」

 咄嗟に防御態勢をとったがかなりの威力だ。

 無防備に受けていたらG鉱石の装甲でもただでは済まなかっただろう。

「剴、こっちもビームで対抗だ!」

「わかった! ――――ブレストビィィィィィィィィムッ!!」

 ゲッター剴の胸からもメタルビーストめがけて熱光線が放たれた。

 一瞬遅れて放たれた高周波ビームとぶつかり、エネルギー同士が押し合うが、押し勝ったのはゲッターの方だった。

 ザンの高周波ビームは発射してから三十秒のインターバルが必要だったのだ。

 ダメージを受け、動きの鈍るザンを見て、剴は勝機を逃すまいとトリガーを引いた。

「トドメだ! ハープーンキャノン!!」

 ミサイル砲が切り替わり、その砲身からワイヤーアンカーが飛びだした。

 装甲に食い込んだアンカーはワイヤーを急激に巻き取られ、ゲッターとザンの距離はグングン縮まってゆく。

「Gトルネードアタァァァァァァァァァァック!!」

 ワイヤー巻き取りに加え、キャタピラの全力加速で突進する回避不能のゲッター剴のドリルに貫かれ、粉砕されるメタルビースト。

 こうして札幌の街に平和が戻った。

 

□□□□

 

 北海道の日高山系上空で続発する旅客機墜落事故。

 事態を重く見たゲッターチームは、早速偵察に出ることにした。

 全員が操縦席に座り発進する直前、NISARに何者かが通信を割り込ませてきた。

 管制室だけでなくゲットマシンまで、すべてのモニターに機械を頭部に埋め込んだ不気味な老人の顔が浮かぶ。

 Dr.ポチとDr.タマはおばけでも出たかとパニックに陥った。

 

『――――しばらくだな、橘君。わしだよ』

 

「――――ランドウ」

 敵の首魁、プロフェッサー・ランドウだ。

『覚えておったようだな、これ以上犠牲を払いたくなければ速やかに降伏することだな』

「――――断る!」

『いつまで続くかその強がり――――その自信、貴様のロボットもろとも打ち砕いてくれる……』

 

 フハハハハハハ……

 

 緊迫した空気をぶち壊す笑い声が響き、ランドウも視線を向ける。

 その先に居るのは愉快でならないといった様子の神隼人。

 いったん口を閉じたハヤトはニヤリと笑みを浮かべると、モニターのランドウめがけて言い放った。

「お初にお目にかかる、プロフェッサー・ランドウ」

『貴様は神隼人……』

「ほう……こちらをご存じらしいとは話が早くてありがたい」

 ハヤトはゲッターロボの操縦者として、科学者としても結果を出しているのだ。

 当然知っているものは知っているだろう。

「単刀直入に言うがお前さん、あのゲッターが橘博士のロボットだと本気で信じているのかい?」

『――――何?』

「あれは正真正銘俺が造った、G鉱石製の戦闘用ゲッターロボだぜ」

 似ているのはデザインと基礎設計を共有しているからに過ぎん。

 そのハヤトの発言に、ランドウは目に見えて顔面を紅潮させ怒りに表情を歪ませた。

『き、貴様のような若造にこのわしがしてやられたというのか!?』

 橘が果たしてそう簡単に戦闘ロボを造るのかという疑問が、最悪の形で氷解した。

 同じG鉱石とプラズマボムスを使っていながら、このわしの半分も生きていないような若造のロボットに、わしの可愛いメタルビーストたちが……!?

「実戦経験豊富だし、俺はまだまだ若いからな、頭のキレがちがうのよ。アンタも運動したり頭のメカに油でも差したらどうだい? 少しは回転が良くなるかもしれんぜ?」

 

『おのれええええええええええええええええええええええええええええええええ!!』

 

 世界が業火に覆われて崩れ去り、地球が微塵に砕けるかのような怒りが爆発した。

『今に見ておれ神隼人……! このわしが必ずや貴様と貴様のロボットをズタズタに引き裂いて、一片の肉片すら残さず葬り去ってくれる……!!』

 通信は切られ、モニターは元に戻った。

「うわあ~~~~強烈! ハヤトさんってあそこまで言っちゃう人だったんですね~」

「……惜しかったな」

「え?」

「あの爺さんの血管が切れてお陀仏になってくれるとよかったんだがな、なかなかどうしてうまくいかないもんだ」

 由自が先程のハヤトとランドウのやり取りに震えあがり、トドメの一言に笑い出した。

 

 それはさておき今はメタルビーストの対処だ。

 だが現場付近への飛行を中止するよう各空港へ連絡したものの一足遅く、東京での研修会を終えて戻って来たNISARのメディカルチーフ、リー・フォア・メイが乗った飛行機が日高上空へ差し掛かってしまった。

 獲物目掛けて雲海の中から飛び出す事件の犯人、飛行型メタルビースト・メイラ。

 鋼鉄の飛竜とでも呼ぶべきメイラの顎から高熱火炎が旅客機へと吐き出されんとした刹那、飛来したミサイルが間一髪、それを阻止した。

「メイをやらせるものか!」

「俺たちが相手だ!!」

 唸りを上げて飛ぶ三機のゲットマシン、ゲッターチームの登場だ。

「フルパワーチャージング!」

「チェーンジ・ゲッター翔!!」

 空戦形態ゲッター翔へ合体し、メタルビーストへ立ち向かう。

「ゲッターストリング! ストリングアタァック!!」

 リフトファンの軸から取り出されたグリップを振るえば、プラズマで形成されたビームリボンが鞭のように襲い掛かった。

 長い首に絡みついたビームリボンは、ゲッター翔がブースターを噴かすとそのまま犬のリードのようにメタルビーストをその場から引き離してゆく。

「メイの旅客機は無事に離れたようね……」

 安全を確認すると、翔がまなじりをキリリと吊り上げ、鋼の邪竜へ挑みかかる。

「ブレストボンバー!!」

 マジンガーのパートナーロボット同様に装備された、胸のミサイルが火を噴いた。

 メタルビースト・メイラは片翼を粉砕され、その機動力を失う。

「トドメよっ! トルネードアタァック!!」

 翔の叫びに応えるように、右手のドリルが唸りを上げる。

 大推力に物を言わせた突撃が大空の悪魔を貫き、悪の野望を粉砕した。




メタルビーストもプラズマ動力なのは独自設定です。
早乙女博士―国防軍に合成鋼G分けてあげてー
弓首相―予算ちょうだーい。
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