第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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神隼人の無慈悲な煽りに、プロフェッサー・ランドウの怒りが爆発した!


第七話「NISAR基地壊滅作戦」

 国防軍基地の滑走路から、二頭の巨大な鋼の鯨が飛び立った。

 もちろん本物の鯨ではない。

 早乙女研究所が開発した宇宙開発用移動拠点、スペースシャトルであり宇宙ステーションであり修理工場でもある万能飛行ドック、コスモフリーダムの軍用モデル、クジラ2005Dだ。

「今度は永久凍土のド真ん中まで海外出張とは、子供の世話を任せっきりにしちまうジュンには苦労をかけさせちまうなぁ……」

 シベリア行きの機内で、剣鉄也は残してゆく家族を思ってため息をつく。

 長男は小学二年生で手もかからないが、次男はまだ甘えたい盛りの幼稚園だ。

 日本の守りはシローのマジンガーZとハヤトのゲッターロボ號に任せておけば心配はいらないが、それでも家族は気にかかる。

「リョウ君の所も子供が出来たそうだな……父親の先輩として後で電話してやるか」

 

 突如始まったランドウ軍の大攻勢によって、最初にメタルビーストの被害を受けた米ソ両国は存亡の危機に陥った。

 一体相手でさえ敵わなかったメタルビーストが、続々と襲いかかってきたのだ。

 破竹の勢いで蚕食されてゆく国土に恐れをなした両国首脳は、日本にグレート・マジンガーとゲッターロボGの派遣を要請し、今に至るというわけだ。

 日本の誇る二大スーパーロボットを載せたクジラは、吼えるエンジン高らかに一路アラスカとシベリアを目指して進む。

 

□□□□

 

「ようし、信一君、由自、訓練はひとまず終了だ」

「ありがとうございます!」

「あ、ありがとうございます……!」

 NISARの訓練室のシミュレーターからハヤト、信一、由自の三人が現れた。

 なかなかにハードな訓練だったようで、ヘロヘロな由自だけではなく、信一も疲労の色を隠せない。

「……いつ手が足りなくなるかわからんからな」

 ランドウ軍の大攻勢の情報を知り、万が一を危惧していたハヤトは、誰に聞かせるでもなく独り呟いた。

 

「へー、グレート・マジンガーとゲッターGが海外派遣か」

「ランドウが軍団を率いての世界侵略に本腰を入れてきたんだ、放っておく訳にもいかないからな」

「テキサスマックなき今、アメリカを守れるロボットは居ないのよね……G鉱石やジャパニウム合金とはいかなくても、せめて合成鋼Gの武器だけでも行き渡らないかしら」

 新聞を読みながら、號、翔、剴の三人はランドウ軍の動きに注目していた。

 産地を敵に押さえられているG鉱石や、レアメタルのジャパニウムを大量に使用する超合金は、量産するには厳しいものがある。

 その点、ゲッター線処理を施す以外はありふれた金属の合金でしかない合成鋼Gは、メタルビースト対策への福音と言えた。

 

「────親父の工場も頑張っちゃいるんだがな、さすがに作業用ゲッターを造りながら精鋼所を新しくするのには骨が折れるらしい」

「神博士!」

 食堂へ、信一たちを連れたハヤトが顔を出す。

「親父の工場……ってことは博士のお父さんは工場長?」

「馬鹿! 神重工の社長に決まってるでしょ!?」

「まったく、そんなことも知らんのかお前は……」

 不用意な発言で二人から責められる號は、明らかになった事実を繋ぎ合わせ、今更ながら驚愕した。

「デカイ会社の社長の息子で、天才科学者で、運動神経抜群で、ゲッターGのパイロットで……出来すぎだろどこのスーパーマンだよ……」

「オマケにハンサムで、美人の奥さんも居るって覚えときな」

 ニヤリと笑ったハヤトは、家族写真をヒラリと取り出し號たちに見せつけた。

「わ……ホントに美人」

 

 ゲッター號の活躍を報じていたテレビのニュースが、続けてアメリカでのレイナー博士失踪事件を報じた。

 レイナー博士は、橘博士も講義を受けたことのあるレーザー研究の権威だが、自身の研究が軍事利用されることを嫌って引退したそうだ。

 そんな彼が、孫共々行方をくらましたという……

「Dr.ポチ、レイナー博士失踪に関する資料を取り寄せてくれたまえ」

 嫌な予感がした橘博士は、すぐさま指示を下した。

 Dr.ポチが持ってきた事件の捜査資料に目を通した橘博士は、周辺で目撃されたロボット兵士という記述で確信を得た。

「やはりランドウの仕業か……」

 博士が気付いたのを見計らったかのように飛来した、高速の飛行物体がレーダーに反応し、警報が鳴り響く。

「大型ミサイルです!」

「シールドを張るんだ!!」

 危ないところで電磁シールドが間に合い、NISAR基地は守られた。

 速やかに弾道計算が終わり、発射地点が割り出される。

 場所は富士山麓、青木ヶ原樹海。

 海ではないので、ミサイルを撃ったのはいつものジャイガン・シンではなさそうだ。

 

 間髪入れずに新宿を、天空から降り注いだレーザー光線が襲う!

 高出力のレーザーが迸り、高層ビルを次々と真っ二つにしてゆく。

 レイナー博士の誘拐はこのためだったか……!

 レーザーの色を見た橘博士の脳裏に、以前読んだレイナー博士の研究論文が過る。

「あのレーザーはおそらく試し撃ちだ……本命の狙いはここ、NISAR本部だろう。ゲッターチームの諸君! 速やかにミサイルの発射地点を攻略してくれたまえ!!」

 橘博士の号令のもと、ゲットマシンが富士山麓へ急行した。

 

「言われた通りのレーザー砲は造った! もう儂と孫を解放してくれ!!」

 ラセツ伯爵の基地で、拐われたレイナー博士が解放を訴えている。

 孫の命を盾にされ、主義を曲げてまで自分の研究を兵器に応用したのだ。

 平和主義な彼の良心への呵責は、もはや限界に達しつつあった。

「いいえ、まだあなた達には役目があるの」

 だがラセツは冷酷な笑みを浮かべてそれを切り捨て、博士と孫のジャックに魔の手を伸ばす……

 

 青木ヶ原に到着したゲッターチームは、樹海の中に聳え立つ人工物を発見した。

 ランドウ軍のミサイル基地だ。

 早速ゲッター號へチェンジし、叩き潰そうとするがそうはさせじとメタルビーストが現れる。

 メタルビースト・シャガンリュウは、両腕の爪をドリルのように回転させ、ワイヤーアンカーとして撃ち出してきた。

 こちらの攻撃も高速回転で受け流す、攻防一体の強力な武器だ。

 その威力の前には、ナックルボンバーもブーメランソーサーも通じない。

「こうなったらゲッター翔にチェンジして、空から攻撃するぞ!」

「チェーンジ! ゲッター翔!!」

 シャガンリュウの攻撃が届かない上空へ飛び立ち、基地を真っ先に攻略しようとするゲッター。

 しかしそう上手くいくものではなかった。

『余計な真似をするな、博士たちがどうなってもいいのか?』

 浮かび上がったラセツの立体映像が、人質を盾にする。

 シャガンリュウの目の中にレイナー博士とジャックが、そしてシャガンリュウには自爆装置が組み込まれていたのだ。

 抵抗を封じられ、危機に陥るゲッター翔。

 そんな彼女らを嘲笑うように、基地から無慈悲な光の柱が立ち昇る。

 本命のレーザー砲が発射されたのだ。

 レーザーは軌道上の反射衛星によって向きを変え、NISAR基地を覆う電磁シールドへ襲いかかった。

 

□□□□

 

「シールド出力を最大にするんだ!」

 咄嗟に出力を最大まで上げても、耐え切れる物ではない。

 このレーザーは電磁気作用を妨害する特殊な波長を持ったアンチフレミングレーザー。

 レイナー博士が発見してしまった、電磁シールドを破壊するための殺し屋だ。

 シールドにたちまち亀裂が走り、負荷が飽和寸前となる。

「今だ! メタルビースト・ビーイン、ランドウ軍団出撃!!」

 沖合いのジャイガン・シンからヤシャ男爵の号令の下、メタルビーストと、ロボット兵を乗せた上陸用舟艇の大群が押し寄せた。

「いかん!」

 撃ちかけられる重火器の火線がシールドを穿ち、メタルビーストの体当たりがトドメを刺した。

「シールドが破られたワン!」

「逃げるニャア!」

「みんな! 地下へ避難するんだ!!」

「信一君、由自、来い!!」

 なすすべなく壊滅するNISAR本部。

 そして矛先は無人島施設へも向いた。

「やったぞ兄者!」

「向こうの基地もぶっ壊してしまえ!!」

 二発目のレーザーが降り注ぎ、火力が集中される。

 再び崩壊するシールド、ゲットマシン発進口を備えた無人島のレーダー施設もまた、メタルビーストの攻撃を受けて壊滅した。

「これで奴らの帰る家は無くなった! フハハハハハハ……」

『油断するな、しかと目にするまでは安心できん! 奴らの死体を草の根分けても探し出すのだ!!』

 現地のヤシャへランドウの指示が飛ぶが、一歩遅くNISAR跡地に異変が起きた。

「な、なんだ!?」

 サロマ湖の水面が渦を巻いて、崩壊した無人島を飲み込み、その中心から巨大な何かがせり上がる。

 頂上にはレーダーアンテナ、全体をドーム状に覆う装甲が下がれば、中には123とナンバリングされた発進口。

 その下には「NISAR」と書かれた大型ハッチが存在していた。

 

 ――――これぞ秘密裏に建造されていた新型基地、ビッグネイザーだ。

 

『ゲッターM2改、スクランブル! ゲッターM2改、スクランブル!!』

 大型ハッチが左右に開き、中から烏賊を思わせる白く尖った頭と胸、黄色い腹部に赤い下半身の細身のロボットが姿を現した。

 背中から真っ赤なマントを翻している以外は、円錐ドリルの左腕と、ペンチアームの右腕を持った初代ゲッターの陸戦形態、ゲッター2そのものの機体がそこにいた。

「今更そんなオンボロに何ができる! ビーインやってしまえ!!」

 昆虫めいた翅を羽ばたかせ、肉食恐竜のような逞しい脚を振り上げて、ゲッターM2改に飛び掛かるビーイン。

 しかし眼前からゲッターM2改は忽然と姿を消した。

 同時に吹き飛ぶロボット兵たちの上陸用舟艇と、はるか遠くに姿を現すゲッターM2改。

「な、なんだと!?」

「知らなかったのか? ゲッター2はマッハの速度で走れるんだ」

「このスピードなら」

「メタルビースト相手にだって負けやしない!」

 ゲッターからハヤト、由自、信一の声が響く。

 このゲッターM2改は、作業用のゲッターM2をハヤトが独自に武装改造を施した代物で、一人乗りのゲッターMとは違い、合体変形こそできないままだが本家本元の通り三人乗りだ。

 カラーリングも、民間用の黄色でも軍用のオリーブドラブでもなく、かつてのゲッター2に合わせてある。

「馬鹿め! どんなにすばしっこくても攻撃が効かなければ意味がない……」

「ドリルアァァァァァァァァァァム!!」

 次の瞬間、突き出されたゲッタードリルがビーインの右翅を粉微塵にしていた。

 ビーインが咄嗟に避けなければ、一撃でトドメを刺されていただろう。

「外したか」

「なん……だと?」

 ゲッター合金はG鉱石を破壊できないはずだ、なのになぜ!?

 動揺するヤシャの内心を知ってか知らずか、ハヤトは答える。

「驚いたろう? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 現状、ジャパニウム合金以外でG鉱石を破壊可能な数少ない金属。

 希少なレアメタルこそ使用していないが、普及しているゲッター合金に比べてコストがかさむため、未だ量産されていないはずだった。

「しまった! 大量生産はできなくても武器に使う分だけなら用意できたのか!!」

 刹那、ゲッターM2改が残像を残して疾駆した。

 迫りくる白い死神に能面のような顔を恐怖に歪めたビーインは、赤黒い何かを吐瀉物のように口から撒き散らす。

「往生際が悪いぜ、見苦しい真似をしなさんな!!」

 広がるそれを躱しざま、引導を渡さんと繰り出されるドリル。

 しかしその一撃はむなしく空を切った。

「何っ!?」

 それだけではない、周囲の景色が一変し、生物の臓腑を思わせる赤黒い軟体物が一面を覆っている。

「何だこれは!?」

「センサーが異常を……レーダーも完全に狂ってしまったようです!!」

 軟体物から触手が飛びだしゲッターを襲う。

 噴き出した溶解液が装甲を溶かし、操縦席内部にまで触手が入り込む。

「わああああああああああ!?」

 グロテスクな怪物の侵入に由自が悲鳴を上げた。

 打撃を受け、ゲッターが転倒する。

 メタルビーストは正面にいる、だが打撃が襲ってきたのは後ろからだ。

「敵は目の前なのに、一体どうなっているんだ!?」

 パニックになった彼らを見て、ヤシャ男爵はほくそ笑む。

「フハハハハハハ……見たかビーインの幻覚攻撃を」

「このまま何もわからぬままくたばるがいい!!」

 

 目を閉じて深く息を吸い、由自と信一をハヤトが叱咤する。

「落ち着け! これは幻だ、二人とも目を閉じるんだ!!」

 指示に従い、目を閉じて落ち着きを取り戻す二人。

 ハヤトはすかさず背中のマント、ゲッターウイングの反重力装置を起動し、大地を蹴って空を飛んだ。

 幻覚の範囲外へ飛び出してしまえば後はこっちのものだ。

 眼下には丸見えとなったメタルビーストが、獲物を見失って右往左往している。

「おどかしてくれた礼だ、これでも喰らえ!!」

 一本の矢となって急降下するゲッターM2改。

 ビーインが気づいて顔を上げるがもう遅い――――

「ぎゃん!?」

 高速回転するドリルが真っ逆さまに顔面に突き刺さり、ビーインを真っ二つにした。

 

□□□□

 

 ―――― 一方、青木ヶ原でも戦況に変化があった。

 メタルビースト・シャガンリュウの吐き出したマグマで火災が起こり、ゲッター翔は炎に囲まれる。

「ゲッター! 儂らに構わず戦ってくれ!!」

 囚われのレイナー博士も、その姿に悲痛な叫びをあげている。

 自爆装置の位置さえわかれば……!

「オホホホホ……二発目のレーザーを発射しなさい!!」

 ラセツ伯爵の無慈悲な指令で、再び光の柱が天を穿った。

「これでNISAR基地はおしまいね! アハハハハハハハハ……!!」

 高笑いするラセツの隙を突いて、光条がシャガンリュウへ走った。

 

「なるほどそこか! ――――冷凍光線発射ぁ!!」

 今度は青白い光線が照射され、シャガンリュウの下半身は瞬く間に氷漬けとなり、周囲の火災も消し止められる。

「ええい、何事だ!?」

「――――ああっ! あれは!?」

 こちらへ向けて駆けてきたのは、(くろがね)の城マジンガーZとそれを操る兜シローだった。

「マジンガーZのお膝元で悪さして、気づかれないとでも思ったのかよ!!」

 富士山麓の光子力研究所も、今回の事態を把握していたのだ。

「自爆装置は無力化した! 早く博士を助けるんだゲッターロボ!!」

 長年の改修で追加装備された透視光線が自爆装置の位置を突き止め、超低温の冷凍光線が爆薬を無力化した。

「おのれマジンガーZ!!」

「ありがとうマジンガーZ! ――――トルネードアタァァァァァァァァァァック!!」

 唸るドリルがシャガンリュウの首を抉り、博士たちを切り離す。

「ブレストボンバー!!」

「ミサイル発射!!」

 左手で博士たちの乗る頭部を確保し、ゲッター翔とマジンガーZはトドメのミサイルをメタルビーストと基地の両方へお見舞いした。

「おのれええええええ! 引き上げだ!!」

 崩れ行くレーザー砲とミサイル要塞。

 悪魔の計画は粉砕され、虜囚の身から解放された祖父と孫は互いの無事を喜び合った。

「僕、怖くなんてなかったよ。ゲッターロボとマジンガーZが助けてくれるって信じてたもん!」

 少年の純真な瞳が、手を取り合う二大スーパーロボットを見上げていた。

 




はい、オリメカ登場。
まあ外見は普通のゲッター2なんですが。
これに乗ったせいで由自がシャガンリュウ退治についていけなくなったので代わりにマジンガーが来ました。
あと基地を襲うメタルビーストがアニメ版のビーンから漫画版のビーインに変わりました。
チェンゲやスパロボにも出てくるあいつです。
どうしても幻覚ゲ□攻撃使いたかったんだ……!
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