第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

8 / 17
ゲッターGのアラスカ戦線です。


第八話「共に戦え! 我戦友よ」

 ゲッターロボGとゲッターチームの流竜馬、車弁慶と、神隼人からライガー号のシートを預かっている早乙女元気を載せて、アラスカ上空へ到着したクジラ2005Dは、メタルビーストに襲われる戦車部隊を発見した。

「国連軍の戦車隊を発見、メタルビーストに追われています!」

「このままじゃ全滅だ……ゲッターチーム、出撃してくれ!!」

 操縦士を務める国防軍のベテラン機長が、状況報告を聞いて出撃指示を出す。

「了解! ――――ドラゴン、発進!!」

「ライガー、発進!!」「ポセイドン、発進!!」

 クジラの口元が大きく開くと、内部から赤、青、黄の戦闘機が飛びだした。

「チェェェェンジ・ドラゴンッ! スイッチ・オン!!」

 地上めがけて急降下するゲットマシンは、一直線に距離を詰めると衝突するような勢いで合体し、一機のロボットを形作る。

「ダブルトマホォォォォゥク!!」

 合体したゲッタードラゴンは、肩から飛び出した二振りの両刃斧を手にし、戦車隊を襲うメタルビーストへ一気に斬りかかった。

 位置エネルギーを味方につけた唐竹割でメタルビーストは頭から両断され、返す刀で胴を薙がれて大地へ散らばり爆散する。

 助けられた戦車隊から歓声が上がった。

 

 不意に、ジェットの轟音が轟いて空の彼方から爆撃機と見紛うサイズの大型ステルス戦闘機が飛来すると、機首が放射状に展開して顔が現れ、主翼が前後に分かれて四肢となり、たちどころにロボットへ変形して着地、パイロットがゲッターへ文句をつけてきた。

「やいやいやい! 余計な真似してんじゃねえよ日本人!!」

「いきなりなんだ君は!?」

「俺はシュワルツ! アメリカを襲うメタルビーストは全部俺とステルバーがぶっ潰す!! 余計な手助けはいらねえ!!」

「いい加減にしないかシュワルツ! 彼らが来てくれなかったら、この部隊は助からなかったかもしれないんだぞ!?」

 喧嘩を売ってきたシュワルツを、年長なのだろう同乗者が叱りつける。

「うちのシュワルツがすまなかったな、ゲッターチーム。私はジョン・ランバートだ」

「ケッ……もうここには用はねえ、帰投する」

 サブパイロットのランバートに叱られ、不機嫌さを隠そうともしないシュワルツはステルバーを変形させ、基地へと飛び去ってゆく。

「なんなんだアイツは……」

「これは強烈なのが来たなぁ」

「こいつは到着早々、面倒なことになりそうだな……」

 かつてのテキサスマックとは大違いの、こちらへ敵愾心を燃やすアメリカロボット乗りとの邂逅に、ゲッターチームは眉をひそめた。

 

「すまんな、あいつも以前は愛国心とプライドは有ってもここまで排外的な奴じゃなかったんだが……」

 髭面の巨漢ランバートは、本気で申し訳なさそうに謝罪する。

「いったい彼に何があったっていうんです?」

 基地に到着し、改めて自己紹介しようという段になっても、金髪で目つきの悪い青年シュワルツの態度は改まらず、ランバートにゲッターチームの相手を押し付けてどこかへ行ってしまった。

 リョウに尋ねられたランバートは、知る限りの彼の過去を語る。

「シュワルツは、ランドウ軍のニューヨーク襲撃で妹を亡くしてるんだ」

「ええっ!?」

 

 プロフェサー・ランドウ操るメタルビーストが初めて人類の前に姿を現したあの戦い。

 軍は歯が立たず、テキサスマックさえも敗れ去り、ニューヨークをはじめ周辺の大都市は壊滅的な被害を受けた。

 テキサスマックを操っていたジャックとメリーのキング兄妹はかろうじて一命をとりとめたが、重傷を負って未だ戦線復帰は困難だそうだ。

 

「そんなことが……」

「だから、仇を討つのは自分だって気負ってるのかもしれんな」

「そりゃあ怒りたくもなるだろうけどよ、一人だけで戦おうなんて無茶ってもんだぜ……」

 

□□□□

 

「あたし、大きくなったらにいさんといっしょにテキサスマックみたいなロボットに乗って、正義の為に戦ってみたいわ!」

 それがメリー・キングに憧れる妹、ハニー・シュワルツの、子供の頃からの夢だった。

 俺とおそろいの金髪で、近所でも評判な美人の自慢の妹。

 俺は妹の夢を叶えてやるために努力して軍のパイロットになり、続けて入学した妹も軍学校を無事卒業した。

 そして卒業記念に遊びに出かけた矢先に攻めてきたのがあいつらランドウ軍だ。

 軍は勝てなかった。

 頼みのテキサスマックも負けちまった。

 ニューヨークは蹂躙され、メタルビーストは悠々と引き上げていきやがった。

 アメリカ軍は世界最強じゃなかったのか?

 テキサスマックは無敵のロボットじゃなかったのか?

 俺は目の前が真っ暗になった。

 はじめは妹が、ハニーが死んだなんて信じたくなかったさ。

 きっと避難出来たはずだ、怪我くらいはしてるかもしれんが生きてるはずだって。

 だが犠牲者名簿が公表されて、希望は脆くも打ち砕かれた。

 

「テキサスマックの役立たず! 能無しのカウボーイ野郎が!!」

 

 憧れも、大事な家族も散々打ち砕かれて、俺は荒れた。

 なのに日本じゃあっさりとメタルビーストを倒しちまったと聞いて、俺の心に嫉妬の炎が燃え始めた。

 

 ────お前らがもっと超合金や強力なエンジンを寄越していれば、奴らと戦える武器だって揃えられたんだ!

 ────自動車や家電製品はじゃんじゃん売り付けるくせに、肝心なものは寄越さねえケチンボ共!!

 

 軍で新型ロボットの開発計画が進んでいると聞きつけた俺は、真っ先にパイロットに立候補した。

 あのランドウとかいう耄碌ジジイを、クソッタレメタルビーストをこの手でぶちのめしてやらなきゃ気が済まねえ。

 その気持ちだけを支えに他の候補者を蹴落とし、テストを乗り越え俺はステルバーのシートを手に入れた。

 コイツは最新の戦闘機も目じゃねえすげえ奴だ。

 G鉱石の装甲をぶっ壊せる新型ミサイルを山程積んだ、空飛ぶ弾薬庫。

 もちろん格闘戦でも負けやしねえ。

 ナイフも翼も、特製の超合金で出来てやがるからG鉱石だろうが超合金Zだろうが真っ二つだ。

 背中を預ける相棒のランバートも、ガミガミと口うるさいがベテランの頼りになる奴だ。

 コイツらとなら俺はやれる、メタルビースト共をぶちのめしてハニーの仇をとれる。

 そんな中やってきやがったのが日本人共と忌々しいゲッターロボだ。

 俺の獲物を横取りしやがって面白くねえ……!

 

□□□□

 

 ────到着して早々、ゲッターチームはカナダ上空を飛行していた。

 司令部が、キャンプ中の子供たちからのSOSで、侵攻したランドウ軍がブリティッシュコロンビア州のプリンス・ジョージに前線基地を建設しているとの情報をキャッチしたからだ。

 アラスカ基地も万全ではない。

 空と陸はまだしも海からカナダへ侵攻されたり、開戦直後の混乱した状況下で広大な北米大陸に潜伏されていては探し出すのは困難だった。

 アラスカに侵攻しているランドウ軍迎撃の最中に後背を突かれてはたまらないと、ゲッターチームにカナダ救援の命令が下った。

「子供たち、無事でいてくれるといいなぁ」

 ポセイドン号のベンケイが、夕飯のハンバーガーをパクつきながら呟いた。

「ああ、通信の発信源はもうすぐの筈だ」

「あ! ランドウ軍のロボット兵を発見!!」

「よし来た! 行くぞぉー!!」

「おい待てベンケイ!!」

 ライガー号の元気が敵兵を見つけるが早いか、ポセイドン号は急降下、子供たちに迫るロボット兵たちを機銃掃射で薙ぎ払った。

「おーい坊やたち、大丈夫かーい?」

 着陸してキャノピーを開け、呼びかけるベンケイの側をレーザービームが閃き、ドサリと生き残りのロボット兵が倒れる。

「油断するなベンケイ!」

 遅れて着陸したドラゴン号の操縦席から、油断なくレーザーガンを構えたリョウのお叱りが飛んだ。

「あ、悪ぃ悪ぃ」

 そんな彼らをうかがう影が、月明かりに照らされて不吉に伸びる。

 カナダの前線基地を防衛する半獣半人のメタルビースト・ニンジャだ!

 リョウたちは子供たちを安全な場所に避難させると、ゲットマシンへ飛び乗りメタルビーストに立ち向かう。

「チェェェェンジ・ドラゴンッ!!」

 ゲッタードラゴンがダブルトマホークを構え、斬りかかるがニンジャは素早く立ち回り、その姿を捉えさせない。

「こいつすばしっこいな……」

「リョウさん! 俺に任せてくれ!!」

「わかった! オープン・ゲット!!」

「チェンジ! ライガー!!」

 刀を抜いて飛び掛かったニンジャを、分散して躱したドラゴンは、その背後でゲッターライガーに変形する。

 ライガーが駆け出せば、たちまちその速度は音速を超えた。

 ニンジャの身のこなしでも追いつけるものではない。

「チェーンアタック!」

 普段ドリルを覆う爪が固く閉じられたまま、チェーンアンカーとなって飛んだ。

 メタルビーストの体を貫通したそれはすぐさま開いて抜けなくなり、ライガーは速度とパワーに物を言わせてメタルビーストを振り回し、空高く投げ放つ。

 ゲッターGの馬力もあるが、強度同様、ジャパニウム合金に匹敵するG鉱石の軽量さのおかげだ。

 十倍近いウェイトの差は伊達ではない。

「ライガーミサイル!!」

 開いた爪の中央に存在する発射口から、小型ミサイルがマシンガンのような速度で撃ち出された。

 小粒でも強力なライガーミサイルに打ちのめされ、メタルビースト・ニンジャは夜空を彩る花火と化した。

「やったか?」

「――――まだだ!!」

 爆炎の中から、損傷した四つ足の下半身を切り捨てて、完全な人型となったニンジャが刀を手に飛び出してくる。

 だがそうやすやすと斬られるわけにはいかない。

「マッハスペシャル!!」

 ニンジャが刃を振り下ろした瞬間、ライガーの姿がぶれて忽然と姿を消すと、無数の残像が周囲を取り囲む。

 混乱するニンジャの一瞬の隙を突いて、背後から繰り出されたゲッタードリルが奴の胸を貫いていた。

 

□□□□

 

 ────夜空を切り裂いて、雲海を眼下に見下ろしながら漆黒の翼が飛ぶ。

 飛行形態のステルバーは、発見された大型飛行メタルビースト迎撃のため北西へ向かった。

 分析によれば、そいつは爆撃機の役割を持った空爆型と推定される。

 進路から見て、空爆ビーストを見逃せば国境に集結しつつあるカナダ軍が危険だ。

「レーダーに反応! 見つけたぞ!!」

「派手に花火を打ち上げてやろうぜ!!」

 ステルバーがミサイルを発射した。

 だが放たれた電撃がミサイルを迎撃し、すべて撃ち落としてしまう。

「防がれたか!」

「生意気な! ――――なら懐へ飛び込んでぶちのめす!!」

 エンジンを噴かして急接近、角を生やした悪魔のような顔を持つ、まさに超重爆とでも呼びたくなる巨体の空爆メタルビーストの死角を狙う……

「――――!!」

 悪寒に従って咄嗟に舵を切り、翼を翻したすぐそばを、無数のニードルが飛び去った。

 シュワルツの心臓が、ドクンと跳ねた。

 今の攻撃は、何があろうと忘れはしない、穴の開くほどニュース映像や資料写真を睨んで目に焼き付けた妹の仇!

 かつてニューヨークを襲った単眼二脚のメタルビースト・ガンマが、雲間から覗く地上から空爆ビーストの護衛についていたのだ!!

「シュワルツ! 冷静になれ!!」

「わかってる! このデカブツを叩き落として、地上のアイツもぶちのめすだけだ!!」

 地上へ向けてミサイルを数発牽制射撃、ガンマが怯んだその隙に空爆ビーストの対空火器を掻い潜り、真上をとった。

 これで終わりだと残りのミサイルをすべて叩き込もうとする寸前、空爆ビーストが動きを見せた。

 主翼が腕に、後部エンジンが脚に、巨大爆撃機が人型ロボットへ姿を変えたのだ。

 ラリアットのように振るわれた剛腕が突風を巻き起こし、ステルバーは距離をとる。

「こっちのマネをしやがって! 猿真似は日本人だけで充分なんだよ!!」

 ランドウの名誉に誓って言うが、あくまで収斂進化、偶然の一致である。

 変形(ファイトアップ)して真の姿を現した空爆ビースト、メタルビースト・サタンガイラーは、まさにその名の通り悪魔の如き姿でステルバーの前に立ちはだかる。

 近づけば叩き落とさんとその剛腕が唸り、離れればサタンガイラーの電撃が夜空を切り裂いて、地上からはガンマの援護射撃。

 空陸同時攻撃にさらされたシュワルツたちは、この窮地にも恐れず果敢に立ち向かい、ニードルと電光の嵐を搔い潜ってミサイルを全弾発射した。

 迎撃されながらも数割は命中したミサイル群の爆炎が一面を覆い隠し、ダメージを受けたサタンガイラーはステルバーを見失う。

 それが命取りだった。

 バトルモードへチェンジしたステルバーが背後に現れ、その両肩にマウントされたウイングが高速回転を始める。

「ブーメランウイング!!」

 耐蝕性耐熱性は劣るものの超合金Z以上の硬度を誇り、かつては一部機械獣の武器や超合金用の切削工具にも使われていた合金Xでコーティングされた鋭利な翼が、回転鋸となってG鉱石のボディをズタズタに斬り裂いた。

 

「――――お次はテメエだ!!」

 

 大爆発するサタンガイラーから飛び退いてフライトモードへ再変形、真っ逆さまに急降下しながらニードルやミサイルによる攻撃を巧みに躱し、もう一度バトルモードになってマシンガンを構える。

 専用銃STブラスターが火を噴いて迫る攻撃を撃ち落とし、脚部のスラスターと併せて自由落下の勢いを射撃の反動で減速させてゆく。

 間合いに入った、モード切替。

 

「――――ブラストサクセション!!」

 

 STブラスター・バーストモード、必殺のプラズマ弾の連射がメタルビースト・ガンマを捉え、完膚なきまでに粉砕した。

 メタルビーストを二体とも撃破したステルバーは地表に激突する直前、危なげなく変形して急上昇。

 周囲を警戒したのち基地へ帰投した。

「――――ハニー、テキサスマック……仇は討ったぜ……」

 雲が月を覆い隠す中、シュワルツの呟きをランバートだけが聞いていた。

 

□□□□

 

 カナダとアラスカ双方で作戦を成功させたゲッターGとステルバー、帰還した二機のスーパーロボットの操縦者たちは、タイミング悪く格納庫でばったりと遭遇してしまった。

 ベンケイなどは、面倒なのが来ちまったと元気と顔を見合わせ露骨に困り果てた顔をしているし、ランバートはいつでもシュワルツを止められるよう身構えている。

 そんな彼らにお構いなしに、ズンズンとリョウの方へ歩を進めるシュワルツは、不敵な笑みを浮かべると挑戦状を叩きつけた。

「おい日本人! BARに来い、俺と勝負しやがれ!!」

「勝負だって!?」

 すわ喧嘩かと思いきや、勝負の内容は吞み比べだというではないか。

「よし、乗った!!」

 九州男児の血が騒いだリョウは、すぐさま賛同してシュワルツについてゆく。

 それを見たランバートは笑みを浮かべ、拍子抜けしたベンケイと元気たちは、互いに顔を見合わせた。

 

 ――――激闘の末何本もの酒瓶が空になった頃、限界を迎えて床にひっくり返った二人は互いに健闘を称えあった。

 結果は見事引き分けである。

「やるじゃねえか日本人……」

「……流竜馬だ」

「特別に覚えといてやるぜリョウマ……お返しに教えてやるから覚えとけ。俺はダニエル、ダニエル・テネシー・シュワルツだ!」

 妹とニューヨーク、そしてテキサスマックの仇を討って、晴れやかな気分のシュワルツが祝杯ついでの気まぐれに、日本人のおっさんが酔い潰れるところを見て笑ってやろうと吹っ掛けた呑み比べ。

 そんな運命のいたずらが、日米の雄に奇妙な友情を芽生えさせた。

 

 二人の前途に祝福有れと、普通のジャックダニエルに交じって転がるテネシーハニーの空き瓶が、照明を反射してキラリと光った。




ステルバーの武器名はゲッターロボ大決戦!から。
なぜ號のシュワルツコフではなくチェンゲのシュワルツかというと、妹がいたからです。
フルネームも勝手ながらつけさせてもらいました。
由来はもちろんジャックダニエルテネシーハニー。
空爆ビーストは漫画版のアラスカ戦線に登場する敵ですが機能盛りましたしこちらの名前も勝手につけさせてもらいました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。