第二次小説スーパーロボット大戦   作:L田深愚

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へっへっへ……ハヤトォ……貴様を絶望のどん底に落としてやるぅ……


第九話「帰ってきたテキサスマック」

 異形の悪鬼、鋼の魔獣メタルビーストひしめくアラスカの大地を、真紅と漆黒のボディーを躍動させる二体のスーパーロボットが疾駆する。

「スピンカッター!!」

「ハンドカッター!!」

 叫びとともに振るわれたゲッタードラゴンの腕の丸鋸が、ステルバーの両手に握られた大型ナイフが、すれ違いざまにメタルビーストたちのボディーを切り刻んでゆく。

 

「一斉射撃!!」

 

 群がる敵陣を駆け抜けたドラゴンとステルバーが上空へ飛びあがったのと同時に、号令と共に火を噴いた戦車や自走砲、ミサイルトレーラーの砲爆撃が傷ついたメタルビーストに追い打ちをかけ、そのことごとくを粉砕。

 上空から兵隊ビーストたちを操っていた本体も、ゲッタービームとミサイルの一斉射撃を受けて打ち砕かれた。

 いかに強固なG鉱石のメタルビーストでも、内部メカなら破壊できる。

 数を頼みに一挙に送り込まれたメタルビースト軍団を一網打尽にするために考案されたこの作戦は、今まで散々煮え湯を飲まされていた国連平和陸軍の面目躍如、記念すべき勝利だった。

 

 一方シベリアでも――――

「サンダーブレーク!」

「テリブルサンダー!!」

 グレート・マジンガーのサンダーブレークと、ソ連のロボット・バロソフのテリブルサンダーの二大電撃が、かつてモスクワを襲ったメタルビースト・フロンを打ち砕いた。

 バロソフは全高百メートルという超大型ロボットで、そのサイズに物を言わせた重装甲に、大出力のエンジンと強力な武器を積んでいる。

 G鉱石や超合金でこそないものの、機械獣や百鬼ロボットのデータから生み出された特殊鋼をふんだんに使った分厚い複合装甲は、たとえメタルビーストの攻撃でもちょっとやそっとではやられないし、軍が敗走した際に敵に奪われぬよう発電所から確保してきたゲッター線発電機は、核融合以上のパワーという国家の電力さえ賄えるその威力を存分に発揮して、バロソフの巨体を軽々と動かしている。

 盾のように幅広な腕から生える触手めいた指は、ひとたび振るわれれば鞭となって敵を薙ぎ払い、その単眼から放たれるテリブルサンダーは、指向性プラズマの奔流でもってG鉱石の装甲だろうと原子の塵へと打ち砕く。

 G鉱石は加工できる。加工できるならメタルビーストといえども破壊できるはずだと、ソ連の科学陣はG鉱石用のプラズマ加工機を飛び道具へと応用したのだ。

 

 そうして国連平和軍がランドウから勢力圏を着々と奪還しつつある中、アラスカ方面の部隊に朗報が舞い込んだ。

 アラスカ側のランドウ軍拠点が発見されたのだ。

 その名は移動要塞ドラゴンタートル。

 キロメートルサイズの全長と、それに見合った大質量を誇る怪物だ。

 海の要塞ジャイガン・シンに対する、陸の要塞と言ったところだろう。

 決死の覚悟で偵察隊が持ち帰った情報を分析したところ、その装甲は核を使ったとしても破壊は難しいほど分厚く強固らしい。

 こいつを倒すにはシャインスパーク以外に無い。

 だがゲッターチームの脳裏に、かつて倒した百鬼帝国の要塞島が過ぎる。

 あの時も、ハヤトが内部から動力室を爆破して穴をあけてくれなかったら、強固な要塞島を破壊することは出来なかった……

 今回も同じことになっては勝ち目が無くなる。

 ゲッターの全エネルギーを使用するシャインスパークは、文字通り最後の武器。補給なしでは連射できないのだ。

 ドラゴンタートルはその火力もかなりのもので、失敗したらいちいちクジラに戻る余裕はないだろう。

 要塞の一部だけでも破壊できないか、この基地で保有しているミサイルや爆弾、砲弾に少しでも装甲を破壊可能な威力の物が無いかを調べ、無ければそれが可能な兵器を本国から送ってもらえないか作戦会議が続いた。

「こんなことなら研究所からナバロン砲弾も持ってくるんだった……」

 そんな中、総司令部とやり取りしていた通信オペレーターが歓喜の叫びをあげる。

「勝利の女神が我らに微笑みました……アメリカで最も強力な大砲を、超特急で届けてくれるそうです!!」

 

 ――――作戦決行当日、昇る朝日と共にアメリカ本土から作戦成功の切り札がやって来た。

 空駆ける鋼の黒馬に跨ったカウボーイ――――よみがえったテキサスマックだ!

「ジャック……! ジャックとメリーさんじゃないか!!」

「二人とも、怪我は大丈夫なの!?」

 リョウと元気は、旧友との再会に涙さえ浮かべて駆け寄った。

「心配かけてすまなかったな」

「ワタシたちもテキサスマックも、もう大丈夫よ!」

 実際に顔を合わせるのはミチルとハヤトの結婚式に出席して以来のキング兄妹は、ベンケイとも挨拶を交わすとシュワルツたちの下へ歩み寄る。

「君たちがシュワルツ君とランバート君だね……聞いているよ、ニューヨークの仇を討ってくれてありがとう」

「……当然のことをしたまでだ、礼を言われるようなことじゃない」

「こいつは素直じゃないだけなんで気にしないでくれ、共に戦えて光栄だ、ミスター・ジャック、ミス・メリー」

 不機嫌さを隠そうともしないシュワルツからの無言の肘打ちを笑顔でいなしながら、ランバートはキング兄妹と固い握手を交わす。

「テキサスマックの新たな力、このパスチャーキングが必ず皆を勝利に導いてやるさ!」

 テキサスマックの乗っていた馬ロボット・パスチャーキングが、合図と同時に変形を開始した。

 折りたたまれた四肢と首、代わりに飛び出した長い砲身――――ゲッター効果と共にみるみる姿を変えたそれは巨大ロボットサイズの高射砲、その名もテキサスナバロン砲が、アラスカの朝陽に照らされてギラリと輝いた。

 

□□□□

 

 時を同じくして、アメリカのサンフランシスコをヤシャ男爵が指揮するメタルビースト・ボルガが襲った。

 救援に駆け付けたゲッター號だったが、マグフォースサンダーを反射するミラーシールド、レッグブレードで切り裂いてもキリがないほどの、動きを封じる無数のワイヤー触手に苦戦する。

 その危機を救ったのは、メタルビーストを易々と両断する剣を振るう騎士ロボット・グレイドと、それを操る吉井レミ――――橘博士の旧友、吉井博士の一人娘だった。

 モニター越しにグレイドの振るう剣、()()()()()()()()()()()()()()()を目にしたハヤトの胸には、言い知れない不安が渦巻き始めていた。

「そうか! 吉井博士はSDTMHK(ソードトマホーク)理論を完成させたのか!!」

 レミとの会話で、橘博士は旧友の研究が実を結んだことを知り我がことのように喜んだ。

 かつての吉井博士は、G鉱石を結晶化する研究がうまくいかず資金繰りが悪化し、妻に先立たれ娘を連れて逃げるように家を引き払い、連絡を絶ってしまったのだ。

 

 ソードトマホーク理論とは――――

 

「S」aving(節約)energy(エネルギー)

「D」esign(設計)

「T」ransform(変化)&crystallize(結晶化)

「M」aterial(素材)

「H」ighquality(高品質)

「K」eeping(維持)

 

 の頭文字を組み合わせたものであり、まとめるなら「エネルギーを節約しつつ結晶化した素材を設計どおり変化させその品質を高いレベルで維持する」とでもなるだろう。

 鋳造でもプレス加工でも切削加工でもない加工技術。

 しかも結晶化したG鉱石は、超合金ニューZに匹敵する強度に変わるのだ。

 

 可憐なレミの姿に舞い上がる號。

 ゲッターチームは橘博士共々レミに招かれ、山々に囲まれた吉井博士の研究所へ飛んだ。

  雪深い山中に築かれた研究所のハッチが開き、ゲットマシンを迎え入れる。

 號は、ずいぶん辺鄙な所に研究所を建てたんだなあと首をかしげるが、レミ曰く、吉井博士は世間から離れるためにそのような辺鄙な場所を選んだらしい。

 NISARの方でも準備が終わり、橘博士とハヤトを乗せたヘリが、ゲッターチームと合流するべく飛び立ったが、そこへ血相を変えた由自の通信が。

「博士、大変です! ゲッターとの交信が途絶えました!! 気を付けてください、グレイドの装甲は……ザッ……ザザッ」

 画面越しのその様子と、不自然極まりない通信途絶にハヤトは感づいた。

「岡田! すぐ引き返せ!! 何かがおかしい!!」

 ヘリパイロットの岡田に叫ぶがひと足遅かった。

 レミのグレイドが襲来したのだ。

「アハハハハハハハハ……橘博士、神博士、お迎えに参りましたわ!」

 グレイドはソードトマホークを一閃してローターを切り落とすと、魚か鳥でも仕留めたようにヘリのテールを引っ掴み、研究所へ飛んだ。

 レミの正体はラセツで、グレイドはメタルビーストだった。

 由自はグレイドの観測データから、不自然なほど贅沢にG鉱石が使用されていたことでその正体に気づき、それを伝えようとしていたのだ。

 

「お喜びくださいランドウ様! ゲッターと橘博士、そして神隼人を捕らえることに成功いたしました!!」

「よくやったラセツよ……フハハハハハハ……ゲッターとソードトマホークが手中に収まった今、もはや我らに敵はいない……」

「ランドウ様……このような作戦だったのであれば教えていただければ……!」

「ボルガを失うことはなかったのに……」

「うるさい! 作戦は成功すればどうでもよいのだ!!」

「アハハハハハハハハ……メタルビーストより、アラスカに居るお前の部下を心配したらどう?」

「ぐぬぬぬ……俺のヘルレザーとキルは必ずや、アメリカロボットもゲッターGも蹴散らしてくれるわ!!」

 

 グレイドの操縦席でランドウたちと通信するラセツに、拘束された橘博士が声を上げた。

「ラセツ……吉井博士はどうした!? 彼以外にソードトマホークを完成させられる者はいない……!!」

「その通り、あの男はソードトマホークを完成させて死んでいった哀れな男よ……」

「なんということだ……」

 ソードトマホーク理論は、強固なG鉱石をより強固にしつつ自在に加工するために生み出された技術。

 その思いを歪められ、兵器に使われるとは吉井博士の悲しみはどれほど深いだろう……

 旧友が娘を人質に取られて働かされ、研究を悪事に利用された挙句に死んだと聞かされ、失意に顔を歪める橘博士。

 マシンごと拘束されたゲッターチーム共々、囚われの身となった三人は、知恵を絞って脱出せんと足掻く。

 ゲットマシンがエンジンを全開にし、立ち込めた噴煙で機体を包んでいたドーム状のバリアがたちまち不透明になった。

 その隙にゲッター2が、機首のドリルを駆使してバリア届かぬ地下へ潜り、そのまま空中へ飛び出してバリア発生器を破壊した。

「おのれ! だが博士たちを残して逃げられはしまい!!」

 研究所の外へ飛び出してチェンジしたゲッター號と、精悍な騎士ロボットから醜悪なメタルビーストの正体を現して追ってきたグレイドの一騎打ちが始まった。

 

 ゲッターの相手をしてラセツの注意が逸れた隙に、博士たちの脱出作戦もまた始まった。

 小柄で細身の岡田が頑張って腕を引き抜き、服を脱いで強引に隙間を作り拘束を抜け出すことに成功。

「岡田、俺のポケットに銃があるから使ってくれ!」

「わかりました神さん」

 レーザーガンが閃いて、博士たちの拘束をあっという間に解き放った。

 早速外を目指して駆け出す三人だったが、道中誰かが閉じ込められた部屋を発見する。

「おじさま……? 橘のおじさま!!」

「レミちゃんか!? よくぞ生きていてくれた……」

「父は……父は無理に研究をさせられて……」

 本物の吉井レミも、この研究所に囚われていたのだ。

 急いでロックを解除し彼女を連れ出すが、ハヤトは別行動を申し出た。

「レミちゃん、吉井博士が働かされていた研究室の場所はわかるかい?」

「ええ、こっちの方へ行って……」

「よし……岡田、二人を頼んだぞ」

「ハヤト君!」

「データをコピーしたらすぐ戻ります!!」

 

 研究室にたどり着いたハヤトは、コンピューターを立ち上げるとソードトマホーク関連のデータを探し始めた。

 幸い、すぐに見つけ出すことはできたのでデータディスクを挿入してコピーを始める。

 終わるまでの一分一秒がもどかしく感じたが、どうにか追手がかかることなくコピーは完了し、ハヤトは博士たちと合流に向かう。

 

 メタルビースト・グレイドとゲッター號の戦いは、ゲッター側が劣勢に追い込まれている。

 G鉱石から生まれたG鉱石以上の武器、ソードトマホークはまさに無敵の剣だ。

 マグフォースサンダーは避雷針のように吸収され、ローターはあっさり斬り落とされた。

 脛からレッグブレードが飛びだし、グレイドへ蹴りを見舞うが、鍔迫り合いさえできずに刃が失われた。

 ソードトマホークが振るわれるたびにゲッターは傷ついてゆく。

「接近戦は無理よ! ゲッター翔で空中から攻撃しましょう!!」

「合体は危険だ! ダメージが大きすぎる!!」

「じゃあどうするというんだ!?」

「ソードトマホークには勝てないわ!!」

「それでもやるんだ……ソードトマホークを奪ってやる!!」

 ゲッター號は、満身創痍になりながらも遂に真剣白刃取りに成功した!

「ええい、離さぬか!!」

「離すものか……離すものかああああああああああああああああああああああ!!」

 ソードトマホークに吸収されたマグフォースサンダーのプラズマエネルギーが解放され、電撃となって號たちを責め苛むが、號は死んでも離すまいと操縦桿に力を込める。

 肉を切らせて骨を断つ、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。

 ゲッター號は刀身を自らの腹に深々と突き刺し動きを封じると、グレイドへ渾身の鉄拳をお見舞いした。

 頭部操縦席のラセツは悲鳴を上げ、堪らずソードトマホークを手放してしまう。

「愚か者が……!」

 ランドウの静かな、されど地の底から響くような声がラセツを罵る。

 

「ラセツ! 覚悟おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 奪い取ったソードトマホークによる渾身の一斬。

 グレイドは真っ二つに切り裂かれて爆散し、ラセツ伯爵はヒステリックな恨み言と共に脱出した。

「ゲッターロボ、ありがとう……貴方たちなら父が命を懸けたソードトマホークを、きっと正義の為に使ってくれるわ……」

 父の遺産を取り戻し、勝利を掴んだゲッターロボの雄姿へ、レミの感謝の声が届けられた。

 

□□□□

 

 ヤシャ男爵に生み出され、移動要塞ドラゴンタートルを任されたキル、専用メタルビースト・バトルギガーを任されたヘルレザーの人造人間コンビは、散々煮え湯を飲まされてきた国連平和軍を叩き潰さんと決戦を挑んできた。

 超巨大なダンゴムシかフナムシとも形容出来そうな威容が、巨体に見合わぬ速度で土煙をあげて爆進する。

「進めぇ〜! ドラゴンタートルよ!! 目の前のすべてを踏み潰すのだぁ~~~~!!」

 戦闘機や戦車隊によるミサイルも砲撃も、その重装甲には通じない。

「このバトルギガーに立ち向かおうとはしないのか!? ゲッターロボよ、臆病風に吹かれたかぁ~~~~!!」

 両肩に恐竜の頭を付けた兵士といった出で立ちのメタルビースト・バトルギガーが、銃を乱射してゲッターロボを誘い出そうとする。

 その時、空の一角からジェットの轟音と共に漆黒の戦士が飛来した。

 

「このステルバーを忘れるんじゃねえぜ〜〜〜〜!!」

 

「お前はアメリカのロボット!!」

 ライフルで迎撃に出るバトルギガーだったが、ステルバーはそれをひらりと躱してミサイルを発射しながら変形。

 STブラスターを撃ち返した。

 ミサイルが着弾し、爆炎に包まれるバトルギガー。

 だが流石は専用機、銃撃を受けつつも炎の中から飛び出したバトルギガーは、両肩のダイナソーヘッドをマジックハンドのように伸ばしてステルバーを噛み砕かんとする。

「死ねええええええええ!!」

「お前がな」

 ステルバーも両肩のブーメランウイングを閃かせ、襲い来る恐竜の頸を刎ね飛ばした。

「ああ〜〜〜〜!?」

 着地し、STブラスターが本体とケーブルで繋がる。

「ブラストサクセション!!」

「お許しくださいヤシャ男爵様ぁ〜〜〜〜!!」

 振り向きざまにトリガーが引かれ、落下するバトルギガーへプラズマ弾の連射が炸裂し、ヘルレザーは散った。

 

「よくもヘルレザーを!!」

 ステルバーを踏み潰さんと、ドラゴンタートルが火器を乱れ撃ちにしながら迫る。

「テメエの相手は俺じゃねえんだ、あばよ」

 捨て台詞を残したシュワルツはステルバーを変形させ、あっさりとその場を離脱する。

 キルの視線の先には黒光りする一基の砲門────愛馬パスチャーキングの変じたテキサスナバロンに乗った鋼鉄のカウボーイ、テキサスマックが不敵な笑みを浮かべて待ち構えていた。

 

「テキサスナバロン砲――――ファイア!!」

 

 轟然一発、放たれた特殊砲弾は見事に炸裂し、難攻不落のドラゴンタートルの一角へ蟻の一穴を穿って見せた。

 

「ゲッターシャアアアアアアアアイン!!」

 

 アラスカの空に太陽がもう一つ輝いた。

 流星の速度で迫りくる太陽――――ゲッタードラゴンに、キルは死に物狂いで対空砲火を浴びせようとするが、あまりの速度に照準が合わない。

 

「ああ~~~~! ヤシャ様!! ランドウ様ぁ~~~~!!」

 

「シャイィィィィン! スパァァァァァァァァク!!」

 

 放たれたエネルギー球が狙い過たず開口部へ着弾し、ドラゴンタートル内部を蹂躙。

 ランドウ軍の誇る陸の大要塞は、強固な装甲を吹き飛ばしながら弾け飛んだ。

 

□□□□

 

「なんてこった……俺はなんて大ボケ野郎だったんだ……!」

 ビッグネイザー基地へ帰還したハヤトは、すぐさま自分の研究室で持ち帰ったデータの解析を行った。

 しかし吉井博士のソードトマホーク理論の詳細を知った途端、彼は打ちひしがれて崩れ落ちる。

 かつての未来世界で、再生あしゅら男爵・パリアッチョの繰り出した複製体のゲッターロボ號。

 奴が振るっていた、ダブルトマホークさえあっさり切り裂くエネルギー剣の正体こそが、ソードトマホークだったのだろう。

 プラズマエネルギーから生成される剣、それだけをヒントにハヤトはマジンガーのエネルギー物質変換器を参考にして、プラズマエネルギー対応型の変換器を設計した。

 必要な出力は足りなかったが、後々換装するためにより大出力のプラズマボムス反応炉の設計にも手を付けた。

 だがソードトマホーク理論を使えば、そんなもの必要ないほどに省エネルギーで想定より強力な剣の生成が可能になるのだ。

 

「俺がやるべきことは、まず吉井博士を救うことだったんだ! なまじ未来の知識があったばかりに!! ……許してくれ、レミちゃん……お父さんを救ってやれなかった馬鹿な俺を許してくれ……!!」

 

 おそらく本来の歴史では、ハヤトはゲッター號を開発するにあたって橘博士だけでなく、材料工学の権威吉井博士にも声をかけていたのだろう。

 神重工やNISARの協力を得て理論を完成させた吉井博士は、ランドウに利用されることなく科学者としての使命をまっとうしたに違いない。

 ボタンの掛け違いが呼んだ悲劇に、ハヤトは独り慟哭した。

イワン雷帝の英名、イワン・ザ・テリブルに由来する




 ソードトマホーク理論、どうしてもあの斧が付いた剣を平和利用する方法が思いつかなかったので、ソードトマホークとは略語で加工技術のことなのだと強引に解釈しました。
號28話でもG鉱石にプラズマ浴びせて形状を変化させる実験やってましたし。

パリアッチョあしゅら、旧ゲッターもおそらくゲッター號も、真ゲッターもムサシのクローン乗せてゲッターGにけしかけてきたんだよね。
ハヤトは造る予定だったロボの機能を最悪の形でネタバレされましたとさ。
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