高校日常伝タフ   作:イッチー団長

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最近やたら少女漫画にハマってるのは俺なんだよね
その割に愚弄してるんスけど……いいんスかこれで


少女漫画伝タフ

「なぁ春草、TOUGHが少女漫画雑誌に出張連載されるって本当か?」

「ああ。100ページ超の恋愛長編が掲載されるぜ」

 

 週刊プレイボ○イで連載されている大人気漫画、『TOUGH 龍を継ぐ男』。

 その人気を更に押し上げるため、集○社編集部は同社の少女向け雑誌『り○ん』にTOUGHを載せることを決定した。

 

 

 

────

「熹一クン、オハヨウヤンケ」

「あ、あぁおはようトダー……戸田」

 少年少女が二人、初々しく手を繋ぎながら朝の街を歩いている。

 熹一と戸田。二人は幼馴染みであり、最近恋人になった仲だ。

 同級生にからかわれながらも、二人は落ち着いた交際を続けていた。

 

「ネェ熹一クン、話ガアルヤンケ」

「な、なんや戸田、改まって……」

「実ハ戸田ハ……戸田ハ……」

 戸田の声に震えが混じる。

 

「戸田ハロボットヤンケ……ッ!」

 ◇衝撃の事実……!!

「知っとったわあーっ!」

 

 

 

「なんでやー! 何で折角の恋愛編なのにヒロインがトダーなんじゃあ!」

「お、落ち着けキー坊!」

 怒り狂った熹一をなだめるのは、トダーの開発者であるゴア博士だ。

 

「そんなに気に入らなかったか? このトダー(女子校生Ver)」

「気に入るわけないやろ! 制服着せただけで見た目めっちゃロボやし!」

「うむ……やはり黒髪ストレートヘアーは必須か……」

「まずは肌をどうにかせぇやあーっ!」

 

 何故熹一達はこんな言い争いをしているのか。原因は少女漫画雑誌に出張連載される『TOUGH』の漫画にあった。

「猿先生も苦しんだと思うよ。恋愛もの苦手なのに少女漫画を描くしかないんだから」

「じゃあオファー受けんなやあーっ!」

 

「仕方ない……キー坊の納得するヒロインを集めてくるか」

「頼むで! ホンマ頼むで!」

(というかヒロインなら優希ちゃんがおるやんけ……最近登場しとらんけど……)

 

 

 

 数分後、ゴアの集めてきた三人のヒロイン達が熹一の前に集合した。

「俺は“お節介焼きヒロイン”のバッキーだ」

「そして俺は“ロリ系ヒロイン”チコ」

『“クーデレヒロイン”ジョニー』

「三大ヒロイン揃い踏みか……ふざけんなよボケが」

 そこで熹一の怒りは頂点に達したのだった。

 

「ふざけんなっ! 何でよりにもよってシャノンだけおらんのやっ!」

「シャノンは置いてきた。“男の娘”というありきたりな属性では、とてもこの戦いについていけない」

「それでもお前らよりはマシやろが!」

 

 

 

────

「キーボー、おはよう♡」

 無理やりな裏声で挨拶をするバッキー。熹一は背中に悪寒を感じながらも、精一杯声を絞り出す。

 

「あ……あぁ、おはようバッキー。今日も早いな……」

「キーボーのお弁当も作るしかないからね♡」

 バッキーはエプロンを着けて台所に立っていた。トマホーク・アームで野菜(と台所)を斬りながら……。

(ツッコまへんぞ……)

 熹一は半ば諦めていた。

 

「っと、いけない! こんな時間だわ! 早く学校行かなきゃ!」

「もががっ!?」

 熹一の口にパンを突っ込ませ、バッキーは急いで身支度を整える。

 と、その時、玄関先でキキーッと車のブレーキ音が響いた。

 

「おはよう、お兄ちゃん達。遅刻しそうなら乗ってく?」

 レーザー・カーに乗ったチコであった。

「仮にも高校生設定なんだから車で登校すんなやあーっ!」

 

「レーザー・カーがあるならもう少しゆっくり出来るわね」

「私も朝食頂くわね」

「ア゛ッ」

 いつの間にか合流していたジョニーも加え、四人が食卓を囲むことになったのだった。

(なんやこの地獄絵図……)

 

 何だかんだ平和な食卓。しかし、ある一匹の虫が悲劇を産むことになるとは、この時の熹一は想像もしていなかった。

「な、なんやこの不吉なナレーションは……」

 

「あ……あれはっ!」

 チコが見つけたもの。それはカサカサと動く黒い虫であった。

「いやああああ! ゴキブリよぉぉぉ!」

 

 錯乱してトマホーク・アームを振り回すバッキー。その攻撃はゴキブリには当たらず、家や家具を破壊していく。更に、

「ぐえっ!」

「ア゛ア゛ッ!!」

 チコとジョニーの腹にもトマホークが突き刺さってしまう。

 

「やめろっ! フレンドリーファイアするな!」

 熹一の叫びも虚しく、二人はモツを飛び出させながら昏倒する。その様子を見たバッキーは、

「あわわ」

 と、おののいたのだった。

 

「あわわじゃないやろあーっ!!」

 

 

 

────

「何が三大ヒロインや。たった5秒で壊滅するなんて実質は最低のポンコツチームや」

「とにかく宮沢熹一は必死にヒロインを演じた俺達に文句ばっかり言う危険な男なんだ」

「ワシが悪いんかあーっ!」

 

「まぁまぁ、次はちゃんとしたヒロイン見つけてくるから……」

「ホンマか!? ホンマにまともなヒロイン出せるんか!?」

 

『つづきまして“相思相愛”の魅力を持つヒロイン。鉄宝流恋愛塾最高指導者木村大観十段』

「ま、またオッサン系か……」

 ゲタをゴロゴロと鳴らして熹一に歩み寄る大観。だが、次の瞬間、

「あへあへあへ……」

 大観の逞しい髭が、よだれでべっとりと濡れる。

 一瞬のことだった。達人である大観でも気付かぬ程の一瞬で、“ある男”の回し蹴りが撃ち込まれたのだった。

 その男とは……

「これで一人空きが出来たわけだ」

 “悪魔を超えた悪魔”宮沢鬼龍!

 

 

 

「熹一よ私に譲れ。少女漫画の主人公は最強の人間にこそ相応しい」

「誰が鬼龍主役の少女漫画を見たいんやあーっ!」

「いやお前が主役でも見たくないだろ」

「やめろっ! 正論を言うなっ!」

 

「というか主役になりたいんなら木村大観ボコらなくてよかったやろ!」

「あっ」

 

 

 

────

 宮沢鬼龍は最近流行りの“ちょいワル”な高校生。そんな彼は今、

「少女よ喜べ。お前は私の子を孕むのだ。“優秀な遺伝子”を残す。これ以上の女の幸福はない」

 彼女と教室でセ〇クスをしていました。

 

「ふざけんな! のっけから濡れ場やないけ!」

「あれ熹一、お前知らなかったのか? 少女漫画はセ〇クス描写や生理描写盛り盛りの超実践的フルコンタクト漫画なんだぜ」

「な、何で鬼龍はそんなこと知っとるのん……?」

「ククク……」

 

 

 

 そんな熹一達の様子を、物陰から不敵に見つめている男がいた。

 白いロングコートをたなびかせた青年であった。しかし、そんな厚手のコートも、彼の常人を遥かに超える体躯を隠し切ることは出来ない。

 美しい碧い瞳に殺気を籠めながら、彼……悪魔王子は熹一達の元へ歩いてきた。

 

「能天気だな。少女漫画界が大きく変わろうとしているのに」

「悪魔王子!」

 

 

 

「悪魔王子、少女漫画界が変わるとはどういうことだ?」

 悪魔王子が口を開くのを、熹一と鬼龍は固唾を飲んで見守っていた。

 彼の眉がキリッと吊り上がり、発された言葉は、二人の想像を遥かに超えるものだった。

 

『“あの男”がついに動き出す』

 

「あ、あの男って……ま、まさか……」

 冷や汗を流す鬼龍に、悪魔王子はコクリと頷く。

『大統領……?』

 

 日本の集〇社付近に13万人規模の軍隊を配備した。漫画家・脚本家・編集者・後方支援体制全てが揃っている。

 いつでも少女漫画に出演できる状態にある。“あの男”は本気だ。

 

「なんでやー! 何で“あの男”が少女漫画に出てくるんじゃあ!」

「国民の支持率回復とかでしょ?」

「何でそこは曖昧なんやあーっ!」

 

 

 

「ってわけで『TOUGH 少女漫画編』は“あの男”がヒロインに決定したから」

「はっきり言ってマジでヤバいから。〇英社死ぬよ」

「あかんやんあかんやんあかんやんあかんやん」

 そして集〇社は絶命した。

 

 BAD END

 

 

 

────

「……はっ!? こ、ここは……」

 見慣れない白い天井が見えた。身体を起こす熹一。自宅よりも遥かに広い部屋、豪華な飾りつけ、そして凍てつくような空気。頭はひたすらに混乱している。

 

「熹一さん、大丈夫ですか? うなされているようでしたが……」

「そうか、ここはR国か」

 

 ホワイト・ナイト・バトル。

 R国で開催される総合格闘技の大会に、熹一達は招かれていた。ここはその選手に与えられたホテルの一室であった。

 

「あれ? 少女漫画連載は? ヒロインの“あの男”は?」

「き、熹一さん変なクスリでもやってるんですか……」

 

「夢オチかい!!」




単行本派だからやっとホワイト・ナイト・バトルの触りまで読めたんだよね
次はスタンプ・ハウアーを出したいですね……ガチでね

ここまで読んで頂き、ありがとうございました
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