異世界おじさん 難易度『ハードモード』が選択されました。 作:醤油味のぽんず
たくふみ宅にて
「はぁ〜。今日の分の編集終わり!」
「おつかれ、おじさん。なにか飲む?」
「なら、お茶で」
「オッケー」
「ていうかさ、なんでゲームの中だと思ったの?」
「ん?どういう意味だ?」
「だから、普通、この世界と違う世界に行ったら異世界だと思うじゃん。おじさんがいたの、剣と魔法のファンタジー世界だったわけだし」
「別にゲームの中でも異世界でもそんなに変わらなく無いか?」
「そうだよ。でも、だからこそなんでゲームの中って言い切れるのかなって思って」
「あー。俺、何度でも死ねるんだよ」
「へー、それなら確かに、異世界じゃなくてゲームだね」
「──ッ!?」
「おじさん、もう一回言って」
「だから、俺何度でも死ねるんだって」
「、、、ちなみに、どんな感じで?」
「どんな感じって言われてもなぁ。自動でセーブポイントが更新されるんだが、その地点に何度でも記憶を持ったまま生き返れるって感じ?」
「、、、おじさん、復活するときになにかあった?」
「ちょっと心臓が痛くなる」
「あーね」
「──」
(リゼロ世界きたァ!!)
「おじさん!それ多分、立派な異世界だよ」
「いやいや、そんな訳ないって普通に考えてみろ。どんな世界だろうと、全自動で死んで生き返るとかおかしいだろ」
「それはそうなんだけどそうじゃないんだって!」
「それに、もしほんとに異世界なら言葉が通じるわけ無いじゃん」
「仕方ないじゃん!そういう世界なんだから。銀髪のハーフエルフとか、青髪と桃髪の美少女メイドとかいたでしょ!!」
「いや、メイドはいなかったけど、エルフならいたぞ」
「エルフじゃなくて、ハーフエルフなんだけど」
「なら、やっぱり知らないな」
「うーん」
(○ムとレ○にあってないってことはほんとに異世界じゃない?でも、生き返る系の有名所って言ったらリゼロだしなぁ。IF√か?)
「ちなみに、どんな子だった?俺の思ってるとおりなら、天然で優しい女の子のはずだけど」
「あー、じゃあ絶対に違う。そいつ、結構性格きつかったから」
(だとすると、リゼロ世界じゃないのか。てことはほんとにゲームの中?)
「俺がなんかするとすぐよってきて『あんたのために助けたんじゃないわ。勘違いしないで』とか、『あんたみたいなオーク顔と一緒にいて履かないでいてあげられるのはあたしぐらいなものね』とか」
「初めてあったときなんかは、助けてやったのに『誰も足すっけてなんて頼んでないわさらわないで』ってにらみながら言ってくるんだぜ」
(ツンデレだ!)
「やっぱりそれ、異世界だよ!!!」ガツッ
「いやいや、たかふみの言うような女の子はいなかっただろ」
「じゃあ、ゲームの中におじさんの友達がいなかったのはなんでなんだよ」
「それは──なんでなんだろうな?」
「てことは、異世界だね」
「そうだな」
(SEGAしか見てないのかおじさん)
「と、とりあえず、そのエルフさんと初めてあったときのこと見たいな」
「えー。いいけどさ、あんまり見て楽しいものじゃないよ」
「万が一、俺が思ってたのと同じかもしれないじゃん」
「はぁ、思い出したくないんだけどなぁ」
(ツンデレ♫ツンデレ♫)
【イキュラス・エルラン】
──はぁはぁ
──はぁはぁ
疲れる足を必死に突き動かしながら、囚われていた見世物小屋から逃げ切る。何度も死んでしまったが、やっとあの動物たちの範囲から逃れることができた。結果オーライ。
ゲームの中なのに、こういうところはシビアだな。体力ゲージがあるタイプのゲームなのか。ずっと走れれば楽なのに。それかずっとコントローラーラ押し続けてるか。
そうやって、走って走って走り抜いた。
何時間も何千回も腕を振った。
2キロメートル
『おじさん、もっと走れるでしょ!何時間もって書いてあるよ!!』
『このときは来て9日だったし、それまで動いてなかったから体力がなくてなぁ。200mおきに休憩挟んでたらこうなった。ていうか、俺にしては頑張ったほうだろ』
『命の危機に瀕して何時間も走ってるのに2キロはひどいって。それじゃ、振り切れないでしょ』
『それがな。逃げ切れたんだよ。だって、』
ドラゴンがいたから。
蛇のような体躯で這い回る魔毒龍ベェノムドラゴン。体中から突起をはやし、見るものすべてを威圧する鋭い眼光。常に体から名前の由来ともなる紫色の毒を出ており、無垢な人々を蹂躙して回る世界の脅威の一つ。
そんな世界的な化け物に挑んでいたのは、うら若き見た目のエルフ。服は破け、ところどころの皮膚は美しい白から禍々しく変色していた。
どうする、助けるかべきか助けないべきか。
俺は武器を持っていない。あるのは何度でも死ねる能力だけ。死ぬのは怖いし、できることならやりたくない。さっき、檻から逃げてきたばかりなんだ。あのエルフさんだって、足手まといが増えたらめんどうくさいだけだろう。おそらく、あのエルフはこちらに気がついていない。恨まれることだってない。助けなきゃいけない理由なんてどこにも見当たらなかった。
けど、それでも、
──気がついたときには足が動いていた。
あの子を助けなければならないと本能で自覚していた。頭が命じるよりも早く、彼女の下へと駆けつけたかった。
なにより、人を助けるのに理由なんていらない。
『おじさん、カッコいいね』
『だろー。このときはゲームだと思っていたからな。心のなかでもそれなりのナレーションをしてみたんだ』
『うん、それ言わなきゃもっとかっこよかったよ。そんなときからYOUTUBER気にしなくていいから。でもおじさん、なんだかんだ言ってそのエルフさんをはじめは助けたいと思ってんだ』
『そうだな。だってあの子絶対にネームドキャラだと思ったもん』
『え──ネームド?』
『ああ、あいつ顔はいいからな。もし俺がこのゲームを作ったやつなら、絶対にこの子になにか仕掛ける。そう思ったから、命を顧みずに助けに行ったんだ。ちなみに、俺の予想通りこの子は何度かあとから出てくるから、俺のゲーム予想は当たったってわけだな』
『(この人、ゲームフィルターかけなきゃ何もできないのか、、、)』
『ちなみに、その後どうなったの?』
『ああ、切られて瞬殺された』
『魔毒龍に?』
『いや、』
「おーい、大丈夫か!!」
大きく声を出すも、エルフに気づいた様子はない。魔毒龍に集中していてこちらに構う余裕なんて無いらしい。
「クソッ、近づくしかないか」
俺はできるだけ魔毒龍に近づかないように、エルフの後ろへとまわった。そして、無防備な肩を叩いて──
「おい、大丈夫か?」
「オークッ!?」
切られた。
『エルフに』