【第一章完】四国?五国で良いんじゃね?   作:阿弥陀乃トンマージ

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第1話(3)ウザい角

「ふん……獣と人のハーフか……」

 

「!」

 

 鹿の頭をした者が現れる。豚頭たちが声を上げる。

 

「シカオ様!」

 

「シカオ様がいらっしゃったぞ!」

 

「イノマル様が倒されましたが……?」

 

「僕をイノマルなどと一緒にするな……」

 

 シカオと呼ばれた者が豚頭を睨みつける。

 

「も、申し訳ありません!」

 

「し、しかし、あの銀髪、かなりやります!」

 

「所詮、パワーが少しばかり秀でているだけだろう……案ずることはない」

 

「は、はあ……」

 

「戦いはパワーだけではないということを証明してやろう……」

 

「おおっ!」

 

「頼もしいお言葉!」

 

 シカオの言葉に豚頭たちが沸き立つ。

 

「あの~盛り上がっているところ悪いんだけど……」

 

「ん?」

 

「次はお前さんが相手してくれるってわけかい?」

 

 タイヘイがシカオに問う。シカオが頷く。

 

「ああ、そうだ」

 

「そうか……大丈夫か?」

 

「大丈夫とは?」

 

 シカオが首を傾げる。タイヘイがシカオの体を指し示す。

 

「いや、結構、細い体つきだからよ……」

 

「なに……?」

 

「俺のパワーに耐えられるかなって……」

 

 タイヘイが腕をゆっくりと振り回してみせる。

 

「はっ、まさか心配してくれているのか?」

 

「ああ」

 

「何故に?」

 

「弱いものいじめはしたくねえからな」

 

「弱いものだと……?」

 

 シカオの目が険しくなる。タイヘイが頭をかく。

 

「あ、怒った?」

 

「ふっ……」

 

「ん? 笑った?」

 

「そうやって怒らせようとしても無駄だよ。そんな手には引っかからない」

 

「あら……」

 

 タイヘイが首を捻る。シカオが掌を広げて指をクイっとする。

 

「……かかってきなよ」

 

「へっ、行くぜ!」

 

「はっ!」

 

「なっ⁉」

 

 タイヘイがシカオに飛びかかるが、シカオの頭に生える長い角によって、タイヘイは体をすくわれ、地面に叩きつけられる。シカオが鼻で笑う。

 

「ふん……」

 

「ぐっ……」

 

「パワーにご丁寧にパワーで対応する必要などない……」

 

「ちっ……」

 

 タイヘイがゆっくりと立ち上がる。

 

「ほう、なかなかタフではあるね」

 

「くそっ!」

 

 タイヘイが再び飛びかかる。

 

「それ!」

 

「おっと!」

 

 シカオが再び足元をすくおうとしたため、タイヘイがジャンプして、それをかわす。

 

「む!」

 

「もらった!」

 

「甘い!」

 

「ぐわっ⁉」

 

 かわしたと同時に攻撃を繰り出そうとするが、シカオが頭を素早く振り回して、長い角を器用にタイヘイの顔を突く。タイヘイはバランスを崩し、攻撃を中断して着地する。

 

「そらっ! そらっ!」

 

「くっ……」

 

 シカオが間髪入れず、角による連続攻撃を行う。素早いラッシュにタイヘイはそれを防ぐのが精一杯という状況になる。

 

「おおっ! シカオ様が優勢だ!」

 

「あの銀髪野郎、手も足も出ないぜ!」

 

「やっちまえ!」

 

 豚頭たちが口々に快哉を叫ぶ。タイヘイが舌打ちする。

 

「ちっ……」

 

「ギャラリーの期待に応えて、そろそろ終わらせようか!」

 

「調子に乗んなよ!」

 

「む!」

 

 タイヘイがかろうじて角を弾いて、後方に飛び、距離を取る。

 

「くそっ!」

 

「うん?」

 

「はあ……はあ……」

 

「ははっ、何をやるかと思えば、呼吸を整えるだけかい?」

 

 シカオがタイヘイの様子を笑う。

 

「はあ……」

 

「自慢のパワーを発揮出来なければ、打つ手なしか……」

 

「……」

 

「本当に終わらせるとしよう……この角で串刺しにしてあげるよ」

 

 シカオが角をタイヘイに向ける。

 

「…………」

 

「行くよ!」

 

「……自慢はパワーだけじゃねえぜ?」

 

「なにっ⁉」

 

「そらっ!」

 

 タイヘイが両手を振るうと、斬撃が飛び、シカオの角が切断される。シカオが驚愕する。

 

「なっ……⁉」

 

「悪いな、その角を斬らせてもらったぜ、ウザいから」

 

「な、なんだ、その腕は⁉」

 

 シカオが指を差す。タイヘイの両腕が鋭利な刃物に変形していた。タイヘイは両腕をわざとらしく掲げてみせる。

 

「なんだろうな? 当ててみな」

 

「ま、まさか……『妖』の力か?」

 

「そのまさかだよ」

 

「ば、馬鹿な……人と獣の力だけでなく、妖の力まで……?」

 

「鹿に馬鹿って言われるとはな……はっ!」

 

「し、しまった⁉」

 

 タイヘイは相手の隙を突き、シカオの懐に入り込む。

 

「近寄ればこっちのもんだ!」

 

「がはっ⁉」

 

 タイヘイの膨らんだ腕から繰り出された強烈なパンチがシカオの腹にめり込み、シカオは力なく膝をついた。

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