***
ドロホフとハリー達の戦闘はついに最終局面を迎えた。均衡が崩れたのは、操られていた一般人達が起き上がったことだった。
起き上がった人々は、先程までとはうって変わった険がとれた表情で、ハリー達の戦闘を眺めた。
「おい!!どうなってるんだこりゃあ!?」
インペリオの効果は、術者の力量と受け手の精神状態よって変化する。インペリオを受けた人間は強い幸福感に包まれ、その幸福感に包まれるために自らの意思を術者に明け渡す。しかし、ここで抵抗に成功した人間は、支配されたとしても人形のように命令を遂行するだけに留まる。そういう人間は幸福だった。己のしたことが何なのか具体的に記憶していないからだ。彼らは状況に戸惑いながらも、ガーフィールの先導に従って他の被害者達を救護せんと立ち上がることができた。
しかし、精神状態が弱まっている人間や、何らかの悩みを抱えている人間、酒などによって抵抗力が弱まっている人間は、己の意識を残したまま命令を遂行しようとする。倫理観や価値観などは元の己のままであるのに、普段の自分ならばしないような行動を取り、しかもそれが幸福だったという記憶まで残っているのだ。
インペリオの被害者の矜持や、それまで培ってきた人間性、社会的な尊厳、良心や常識すら粉々に打ち砕く悪魔の所業である。フレッドとジョージのように、己の意識を残したまま操られた記憶を保持していた被害者達は、救護を受けて起き上がったあと立ち上がれなかった。
「……わ、私は……子供を襲うなんて……何てことを……」
壮年の男性はうずくまったままうちひしがれていた。フレッドやジョージ、シェーマスのようなグリフィンドール生も同様だった。
グリフィンドール生は、勇気を尊ぶ。恐怖に抗うことが困難で難しいからこそ、恐怖に抗う勇敢さや騎士道精神を尊び、そして臆病者を嫌悪し忌み嫌う。その精神が気高く高潔であればあるほど、己がそれに操られたという事実に衝撃を受け、戸惑ってしまう。
しかし、これは責められるものではなかった。フレッドもジョージもまだ五年生であり、闇祓いの教育カリキュラムであるインペリオに対する抵抗訓練も受けてはいない。だから操られたことは恥ではないのだ。しかし、闇の魔術を嫌悪し、闇の魔法使いを嫌悪してきた真人間ほど、それに敗北したという事実から立ち直るまでには幾ばくかの時間が必要だった。
「考えるのは後です。全部闇の魔法使いのせいなんですから、皆さんが責任を感じる必要はありません。それより、ここにいたら危険です。さあ、早く避難しましょう!」
バナナージは元気付けるように声をかけて避難を促すが、フレッドは逃げなかった。
「操られた上におめおめ逃げろって言うのかよ?」
フレッドが立ち上がると同時に、ジョージも立ち上がり、空を見上げた。空中では、ハリーたちがダフネを抱えたまま激しい戦闘を繰り広げていた。
「弟や兄貴を置いてきぼりにして?」
フレッドとジョージは、敗北やショックを怒りに転じることが出来る人間だった。それは間違いなく強者の資質だった。立ち上がらずうずくまったままでは、逃げることすらかなわないのだから。
しかし、逃走という選択肢が存在しないことは明確に短所でもあった。バナナージは慌てて声を荒げる。
「!?……おい、待て。待ってくれ!余計なことは考えずに逃げるんだ!今君たちは怪我をしてる!本調子じゃないんだぞ!」
災害現場において最も難しいことに、被災者の避難誘導が挙げられる。フレッドとジョージの言葉を皮切りに、意識を取り戻した大人達も空に向けて杖を掲げた。バナナージの制止も、群衆の前には効果はない。
「……ああ、そうさせて貰うよ。あの子達を助けた後でな!」
操られた人々はバナナージの言葉に首を振ると、フレッドやジョージと一緒に、杖を取り出してハリ-達を護らんと魔法を打ち出した。白い障壁が、動き回るハリー達を護るように現れる。間が悪いことに、その障壁はちょうどハリーからドロホフへ向けて放ったステューピファイ デュオ(失神呪文連射)を阻み、ハリーとドロホフとの間に壁を作り出した。
「……きゃあ!今度は何よ!?」
ダフネはハリーの背中にしがみつきながら叫ぶ。ハリーにしがみついた姿勢でのハリー頼りの長時間の飛行でダフネの腕は痛みを訴えていたが、応援が来た時に位置を変えて、ハリーの背中に乗ったことで幾分か楽になっていた。それはハリーも同様で、動きのキレは一段と上がり、ドロホフとシトレの攻撃も当たる気配はまるでない。ダフネは奇しくも、死の呪文を目の前にしながら生き残っている人間となっていた。
「これは……!?援護だ!」
彼らの行動にハリーは勇気づけられた。もし、操られていた人達が加勢に加わってくれれば、この状況のまま、ドロホフとシトレを殺害できるかもしれないと。
***
ダフネはハリーの背中に乗っているとき、恐怖が和らいでいくのを感じた。空の上から見下ろすドロホフは小汚ない犯罪者で、シトレは時代錯誤の仮面をつけた愚かな魔女でしかなかった。
おかしなことに、犯罪者と戦っているのは粗にして野な教師として有名なハグリッド先生と、闇の魔法生物である筈の人狼だった。ダフネは人狼がシトレらしき女の放ったアバダケタブラからダフネ達を変身呪文で護る瞬間を目にし、己の信じる価値観が分からなくなった。
(どうして……?どうして守ってくれたの?私は人狼は滅ぶべきだって思っていたのに、どうして……)
それは良心からくる葛藤であり、人狼を排斥すべきとハリーに言った自分が人狼から守ってもらっていいのだろうかという思いだった。ここに来て、ダフネの中に己がいかに矮小で視野が狭い人間かという自覚が芽生え始めていた。
操られていた一般人達は明らかにハグリッドと人狼を恐れて足並みを乱し、一人また一人と数を減らしていった。インペリオで操られ、かつ己の意識を残した人間は、恐怖だって感じる。人狼とハグリッドは、操られた被害者達を牽制し、少しずつ戦況を有利にしていった。
ダフネにとって確かなことは、目の前のドロホフやシトレらしき魔女が言語道断の犯罪者ということと、ハリーが自分を守ってくれているということだった。犯罪者のせいで自分もハリーも殺されかけた挙げ句、パンジーまで操られた。そしてダフネの中に芽生えた良心は、ロン·ウィーズリーやハーマイオニーグレンジャーの無事を祈り続けていた。目の前で何度も命を救われたことで、はじめて心の底から、出自に関係なく感謝の気持ちが生まれようとしていた。
だからこそ、ダフネはダフネは冷や汗をかき、震えながら言った。
「右よハリー!プロテゴ!」
ダフネはハリーの背中で、ハリーに声援を送り続けた。ハリーの妨げにならないよう、背中側にプロテゴを展開しながら。ダフネは熟達したハリーやハーマイオニーとは違い、数秒しかプロテゴを維持できない。それでも、空中飛行が続く限り、ハリーの側としてハリーを護ることを決めた。ハリーとダフネは、今この瞬間運命共同体なのだから。
「プロテゴ!……お願いハリー。あんな奴らになんて負けないで!」
ダフネはハリーを護ることで、己の命と、そして何かもっと人として大切なものを護ることが出来るのではないかと思った。そんな思いに応えるように、ダフネの杖は少しずつではあるがプロテゴを維持し続けられるようになっていった。
***
ドロホフは歯ぎしりをした。自分の盾である奴隷達がハリーの救援に出てきた魔法使いを襲おうとしていないからだ。さらに悪いのは、支配していた筈の一般人達が敵となってハリー達に加勢し始めたことだった。プロテゴの障壁が、暖かな人の護りがハリー達を包み、ドロホフ達の有効手段が闇の魔術だけになっていく。社会に弾かれた犯罪者の限界を象徴するかのように、ドロホフ達は劣勢に追い込まれていく。
(ええい、忌々しい!!)
ドロホフの顔に明らかな怒りが浮かんだ。これでハリー達に対抗するための盾がまたひとつ消えた。子供相手に姿を晒し、死の呪文まで使いながら標的を殺せないとなれば恥さらしもいいところだ。
そんなとき、フィーナは紫色の髪の魔女から失神呪文を受けた。赤い閃光を胸に受けたドロホフの相棒は、真っ逆さまに地面へと墜落していく。
「フィーナ!!!」
ドロホフは戦友が呼んで欲しいと頼んだ名前を呼ぶと、自分の杖をシトレに向けて叫んだ。
次の瞬間、失神呪文を受けたシトレはドロホフの元にテレポートする。闇の印の力を使い、強制的に闇の印を刻んだ仲間を己のもとへテレポートさせたのだ。近距離でしか使えず、一度使うと闇の印が高熱を発するため一時間は使えないが、緊急回避や離脱にはもってこいの切り札だった。
***
失神呪文を胸に受けたシトレの脳裏には、生まれてから今までの走馬灯が流れていた。シトレはマグルの父と魔女の母との間に生まれ、何不自由なく暮らした。父に似て美しい容姿の彼女を、魔法も使えない父は溺愛し、母は若干の嫉妬を混ぜ込みながらも愛した。何不自由なく愛されて育った彼女は、ホグワーツではハッフルパフに所属し、そこでも恵まれた容姿とそこそこの成績を武器に何不自由なく過ごした。純血主義や反純血主義という柵はハッフルパフにはない。余計な柵を背負わず、獅子と蛇の諍いを遠目から眺めるだけで、シトレ自身には思想らしい思想もなく、恋人にも恵まれ、友人達とそれなりに優秀な成績でホグワーツを卒業することができた。
ホグワーツにいた時、シトレは優秀だった。少なくとも自分自身が優秀であることを疑うことはなかった。それが与えられた仮初めの幸福でしかなかったとしても、学生時代のシトレは何不自由なく愛され、そして出来る限り他人を愛し、慈しんだ。
彼女に転機が訪れたのは、魔法省へ就職してからだった。魔法生物規制管理部に配属された。花形の魔法法執行部ではなかった。それでも、魔法省で二番目に大きな部署であり、出世の見込みも充分にある。ハッフルパフでの、誰からも注目されない生活に飽いていたシトレにとって、身が入る思いだった。
私はこんなものではない。
キャリアを積み重ね、誰からも羨まれるほどの栄達を遂げて、何なら今よりもよい彼氏を見つけるのだ。
その時シトレはそう思っていた。
そこでガマガエルのような醜い容姿で、鬱陶しいほどに甘ったるい声の上司に出会った。彼女はいい年をしてピンク色のローブを身に纏った魔女ではあったが、シトレは彼女を上司に持ったことを幸運に思った。シトレの上司であるドロレス·アンブリッジは出世競争の最前線に立つ魔女で、同僚からの評判は芳しくない。そういうアンブリッジを上司に持てて、シトレは幸運だと思っていた。
ハッフルパフでは、誰も彼もが勝利への意欲に乏しかった。寮杯で勝つという目的意識もなく、競争を悪と見なし、競い合うことすらしない。ただただ無為に時間を重ねていくだけの同寮生をシトレは内心で見下してもいた。そのくせ、そういう連中は勝利を目指す連中の足を引っ張るのだ。まさしく負け犬の思考だとシトレは思っていた。
それに比べれば、アンブリッジの姿勢はシトレには好ましく見えた。同僚の評判が芳しくなかろうが、自分の部署の仕事が円滑に進むように調整してくれる上司ほどありがたいものはない。シトレはアンブリッジの手足となって働いた。ある時、シトレはアンブリッジにそれとなく純血かどうか聞かれた。そうではないと答えた時、アンブリッジのシトレを見る目は変わった。すぐにシトレは訂正し事なきを得た。
アンブリッジは、甘ったるい声でシトレに囁いた。
『わたくし、貴方には期待をしておりますの。……ここで出世をしたいのであれば、貴方のお父様に関しては聞かなかったことにしますわ、シオニー』
魔法省に跋扈する純血主義。それに染まらなければ出世が望めないと言うのなら、シトレは染まるつもりだった。シトレはアンブリッジの従順な部下として働き、年齢にしては高い地位も得た。それと引き換えに、シオニーは両親との関係を断絶した。何一つ不自由なく育てられながら、シトレという姓で生まれたことを、シオニーは恥じたのだ。まさしく厚顔無恥の愚か者の所業だった。
シオニー·シトレへの罰はすぐに下った。純血主義を信仰したふりをし、上司のアンブリッジの話に合わせ、同僚や同期の弱みを握り、出し抜く日々。気がつけば、シトレもアンブリッジに負けず劣らず嫌われていた。しかし、シトレはそれでも構わなかった。両親と縁を切ってでも出世すると決めたのだ。他人からの評価など気にしている場合ではなかった。
ある時、シトレはアンブリッジの指示のもと、反人狼法の草案に関わった。人狼の魔法省への届け出を義務化し、就労を制限するという法律に、アンブリッジは執心だった。シトレは機械のように何も考えず、唯々諾々とアンブリッジに従った。両親との一件がなくてもそうしていただろう。元々、シトレは人狼など闇の魔法生物でしかないと認識していたのだから。滅びて構わないとすら考えていた。
そして、ついにそのしっぺ返しは訪れた。アンブリッジの目論見は崩れ、議会では多くの議員が反人狼法に反対票を投じた。シトレには何が何だか分からなかった。気が付けば、シトレはアンブリッジから冷たい目で見られていた。
『……わたくし、貴方には期待していましたの。けれど、どうやら思い違いだったようね、シトレ』
そして気が付けば、シトレは業務上のミスを理由に左遷されていた。出世の見込みもなく、何の仕事もない事実上のリストラ部署。ケンタウロス室にだ。出世の芽が潰えたシトレを、ホグワーツ時代からの男はあっさりと見限り出ていった。
シトレはアンブリッジの不興を買ったことが原因だと思っていた。あるいは、反人狼法が成立しなかったことの当て付けに左遷されたのだと。
しかし、実際にはシトレが反人狼法の草案作成を急ぐあまり、規制管理部の同僚が推し進めていた新種の魔法生物創造案件をアンブリッジに報告しなかったことが原因だった。アンブリッジがその事を知っていれば、管理できるかどうかもわからない新種の魔法生物など作らせはしなかっただろう。己の人脈全てを駆使して止めにかかったのだ。しかし、シトレは報告義務を怠った。シトレ本人が認識していなかっただけで、シトレのミスはこれ以外にも積み重なっており、社会人として、上司としてアンブリッジは適切な判断を下したに過ぎなかった。
ある時、シトレは魔法省のトイレで噂を聞いた。ケンタウロス室には何の仕事もなく、給料泥棒と揶揄する視線に耐える日々のシトレは、体調を崩しがちになっていた。個室のトイレにいるとき、トイレの外の声は嫌でも耳に入った。
『聞きましたか先輩、シリウス·ブラックの噂を』
『……ええ。純血の魔女と政略結婚をしたって噂よ。やっぱり純血主義なのね、この魔法省は』
『先輩、その噂には裏があるそうなんです』
シトレは個室の中で、じっと耳をそばだてていた。純血主義も純血の魔法使いも、今のシトレにとっては空虚なものだった。
『裏って何よ?』
『気にくわない法律を潰すために政略結婚したって噂ですよ。実際、ある時期から議員達への政治献金が増えたのは事実上ですから』
『貴方ねえ、そんなことここじゃあ日常茶飯事じゃない。ルシウス·マルフォイと同じ金持ちの税金対策でしょうよ』
『そうでしょうか?反人狼法、不自然に不成立になりましたよね?』
その言葉に、シトレは動揺した。頭の中が真っ白になる思いだった。
『そういえばそうだったわね。あれは……ああ、アンブリッジの草案だったわね』
『人狼なんて滅んでも別にいいですけど、何を考えてるんでしょうね、シリウス·ブラックは?金持ちの道楽ですか?』
『社会的弱者を支援せず排斥するだけだと、無敵の人を産み出して破綻するだけよ。もう少し勉強をなさいな』
外から聞こえる声は、シトレの耳朶をうった。まるで、アンブリッジとシトレの安易な行動を責めるような声だった。
『……すみません。でも、ブラックのお陰であのドロレスが悔しがる姿を見れましたよ。そう思うと、純血主義も悪くありませんね』
『でも……お相手のマリーダ·ジンネマンは大変ねえ。シリウスには女の噂が耐えないと言うし……』
外の話題は、シリウスの女性問題へと移っていった。しかし、シトレの脳内には、今までの自分のやってきたことは何だったのだろうかという虚無感が広がっていた。
心血を注ぎ、寝る間も惜しんでサービス残業をして法の成立を目指そうと、財力を持つ純血一族の意向には無力だ。力のある純血、例えばシリウス·ブラックやルシウス·マルフォイの機嫌次第で容易に覆すことが出来る。
(……馬鹿馬鹿しい。私の人生は何だったんだ?)
そう考えたとき、シトレの脳内には英国魔法省、ひいては英国魔法界への怒りと、憎しみだけが広がっていた。空虚な器に泥のような憎しみと怒りが満たされ、気付けばシトレはこの世界や、自分自身すらも憎しみの対象となっていた。
シオニー·シトレという混血の魔女として産まれていなければ、自分にはもっといい人生があった筈だと、シトレは信じて疑わなかった。純血や財力に依らない圧倒的な力をシトレは望んだ。そのために必要な存在こそ、ヴォルデモートに他ならないとシトレは思った。
英国史上最悪の闇の魔法使い、ヴォルデモートが、有能であれば、誰でも受け入れることは一部では有名な話だった。ヴォルデモートの部下として名を馳せたデスイーターには、マグル生まれの魔法使いや魔女も少数ながら存在する。この期に及んで、シトレは自分が有能であると疑っていなかった。無能は世間であるということを証明し、マルフォイやブラックのような純血を排除するために、シトレはアズカバンに侵入した。
そこでシトレが選んだ相手は、アントニン・ドロホフだった。有名なベラトリクス·レストレンジは、シトレが唾棄するブラック家だった。シトレにとって、たとえ異性であったとしても、ドロホフは親近感を覚える相手だった。聖28一族ではなく、純血ではない可能性が高かったからだ。
ドロホフは、シトレの内心を察してかシトレとは適切な距離感を保った。うまくシトレを立て、シトレの能力を褒め、闇の魔法をシトレに教えることでシトレをより強くしてくれた。
シトレにとって、ドロホフは師であり、同僚であり、そして父のような存在となった。ドロホフはシトレの正体が発覚した後もシトレをフィーナと呼び、ハリーに敗北したことを責めず、シトレの傷を癒した。ドロホフと共に、シトレはより後戻りできないような悪事を共にした。しかし、シトレは幸せだった。ドロホフと共にいることを幸せと思い込むことによって、人として捨て去った良心から目を背けていた。それは行き場を捨て去った悪党達にしかない仲間意識であり、共依存だった。
「エネルベート!!」
そして、シトレの意識は愛する師の言葉によって引き戻された。闇の魔女としての使命を果たすまで、ブラックやポッターや、狼人間を殺すまで、シトレの戦いは終わらないのだ。
ドロホフはすぐにシトレを蘇生させる。その杖さばきに淀みはない。シトレは胸を痛みで押さえながらも、確かに復帰した。
「さあ、フィーナ。遊びはまだまだこれからだ。分かっているな!!!」
ドロホフは戦友の名を呼ぶ。シトレは確かにドロホフの信頼に応えた。彼女がハリーの殺害に失敗してから再起し、そして今日ハリーを見つけ殺害計画を実行するまでの間、ドロホフとシトレには確かな絆が生まれていたのだ。
「ええ、もちろんよ!『プロテゴ ディアボリカ!!!』」
青い炎が、一人の闇の魔女から展開されようとしていた。
今回大分貶されていました。アンブリッジファンの方はすみません。
シトレは世の中に一人はいる自己評価だけ高いタイプです。アンブリッジじゃなくてもどこかで失敗はしてました(断言)。
シトレはトムくんに夢を見たけど、恵まれた環境から自らの意思でそれを投げ捨てたシトレのことはトムくんが知ったとしてもあんまり好きじゃないと思う。