***
アルバス·ダンブルドアの校長室で、アラスター·ムーディはダンブルドアと話し込んでいた。
「……私は闇の魔術『インペリオ』を今度の授業で生徒に使うつもりだ。今年の四年生には、その備えがなくてはならない」
「そう……か。君ほどの者が言うのであれば仕方ないが……」
ダンブルドアは頷いた。ダンブルドアには、生徒を守りたいというムーディの熱意が痛いほど分かった。ヴォルデモート失墜後から引退に至るまで、ムーディは若い闇祓いの育成に従事し続けた。若者の死を見たくないという思いは痛いほど分かるつもりだった。
(……しかし、早すぎる……)
「……何を考えているか当てようか、ダンブルドア」
ムーディは魔法の目でダンブルドアを見た。魔法の目と、ダンブルドアの澄みきった碧い目があった。
「……ダームストラングのイゴール·カルカロフ。かつて闇の魔法使いだったあの男がここにやってくる。今も闇の魔法使いかもしれん。カルカロフや、闇の魔術を知るダームストラングの小僧どもから生徒を守るためには、無理矢理でも、たとえ時期尚早であっても生徒にインペリオ対策を教えざるを得ない」
ダンブルドアの愛鳥が、その翼に宿した炎を煌めかせた。校長室の冷たい雰囲気を壊すかのようにフォークスが身を震わせるが、ムーディは構わず言った。
「ポッターやその周囲がインペリオで操られでもすればホグワーツは終わりだ。ポッターが闇の魔術を夜間に使えば、スリザリンの生徒を皆殺しに出来る。レイブンクローも可能だろうな」
「……ポッターは闇の魔術を知りすぎた」
ダンブルドアは、重々しくムーディの言葉に頷いた。
仮にハリーが闇の魔法使いとして操られてしまえば、周囲の生徒達にどれだけ甚大な被害が及ぶか分かったものではない。ダンブルドアが把握しているハリーの能力だけでも、悪魔の護りと悪霊の火を使えば大抵の生徒を殺害できる。最悪の事態を防ぐためにも、ムーディの指導を許可するより他に手はないのだ。
ヴォルデモート全盛期の暗黒時代、バーティ·クラウチの手によって、命の危機に際して闇の魔法使いに対する闇の魔法の行使は合法とされた。これは緊急時における魔法族の命を保護するためのものだが、この法は戦後になっても撤回されず残っている。この法律によってハリーは退学を免れたと言っていいが、未熟な、まだ少年と言ってよい年齢の魔法使いが闇の魔法に手を出すというケースはさすがのクラウチも想定外だった筈だ。大抵の少年少女は闇の魔術を使えない。万一発動しても高確率で事故死してしまう。人より聡明なクラウチは、人より闇の才能がある馬鹿がこの世に存在するなど思いもしなかったのだろう。
「私はポッターが闇の魔術に打ち勝てるよう指導するつもりだ。もしもポッターに自制心がなく私の期待に応えられんなら、インペリオで管理下におくことも想定しなければならんがな……」
その言葉に、校長室の肖像画達がこぞってムーディを詰った。肖像画のディペットは肖像画達を止めようとしたものの、聞き入れる肖像画はなかった。
ムーディの指導とは、生徒にインペリオをかけ、快楽に流されず行動できるよう訓練させるというものだ。
言うだけならば簡単だ。自分はそんなものに屈しない、と言える人は多い。しかし、それが実際にできる人間は少ない。闇祓い志望者でも、精神訓練を積み重ねた上で徐々に心の余裕を作り上げ、地道に訓練していかなければならないのだ。生半可な精神でインペリオを受けてしまえば、生徒が闇の魔術に対して恐怖心を抱く可能性すらある。
それでもダンブルドアはムーディの指導を許可した。それは、アラスター·ムーディに対する絶対の信頼がそうさせたに他ならなかった。ホグワーツに闇の魔法使いが来訪する以上、生半可な措置ではなく緊急時の対応を行なわなければならないのだ。
「君のことだ。生徒にかけるインペリオが強力すぎないようにしてくれると思う」
ダンブルドアは冷徹な目でムーディを見た。生徒を支配するなどあってはならないと、
「何か必要ならいつでも管理人のフィルチに言ってくれたまえ。君の言葉を最優先するように言っておく」
「無論だ。……助かる、アルバス」
ムーディは魔法の目をギョロつかせて言った。
「正直なところ、ポッターの話を聞いたとき私は担がれていると思った。見えない敵が私を陥れるために、ありもしない荒唐無稽な少年の話をでっち上げたのだと思った」
「無理もないことだ。私も君の立場なら信じなかった。そもそも、闇の魔術が必要な状況そのものが本来ならあってはならないことだ。全て、私の不徳の致すところだ」
ダンブルドアは珍しくそう言った。ダンブルドアがそう言うとは想定していなかったのか、ムーディは驚きに本物の目を見開いた後、携帯していた小瓶を口に寄せ、中身を飲んだ。
「…………だが、ポッターを見て私は考えを改めた。あれは危険だ。平凡な精神の子供に過剰な力が宿っている。周囲は英雄と持て囃してはいるがな。容易に闇に転じるぞ」
「……」
ダンブルドアはハリーを擁護しなかった。闇の魔法使いを相手にする闇祓いにとって、闇の魔術に手を出す一般人など害悪でしかない。暗黒時代が終息した後最初は自衛のために闇の魔術を行使してきた人間が、戦後闇の魔法使いとして犯罪に荷担したケースは多かった。ムーディはそういった連中も逮捕しなければならなかったのである。
「……嫌な仕事を押し付けてすまない、アラスター」
ダンブルドアは眉間に皺を刻み、苦悩を滲ませながら言った。暗黒時代を見た大人は、闇の魔術に手を出すことは推奨しない。闇の魔術に必要なのは本気の悪意である。端的に言えば、闇の魔術に手を出した魔法使いは人として最低最悪の下衆の極みなのだ。少なくとも、その尻拭いをさせられた闇祓いにとっては。
「アルバス。私は引き受けた仕事はこなすつもりだ。しかし」
ムーディは皺を浮かべ、覚悟を滲ませた顔でアルバスに言った。
「あのポッターには破滅の兆候がある。分かっているだろう?純血の一族と懇意にし、マルフォイと親しくしながらウィーズリーやマグル生まれの生徒と交流を続けている。長続きする筈もない」
ムーディの指摘は当然の言葉だった。ダンブルドアはムーディの言葉を否定せず、ただ黙って頷いた。
「スリザリン生と、被差別階級のマグル生まれとの間で健全な関係が構築できる筈もない。スリザリン生は上から目線で『マグル生まれに対して尽くしてやっている』からだ。鼻持ちならない傲慢な姿勢だ」
それは悪意ある見方ではあったが、一般的な視点から、ハリー達の人間関係がどれだけ異様なのかを示していた。経緯を知らなければ、スリザリン生が無理矢理マグル生まれやウィーズリー家を従わせているとしか思えないからだ。
「ポッターも、その周囲のスリザリンの友人達も気付いてはいないふりをしているが。マルフォイとの交流を続けている時点でマグル生まれの生徒に対する差別に荷担している。ポッターを指導せずによいのか?ダンブルドア。生き残った男の子だぞ」
「アラスター。彼らの間には、我々の理解の及ばぬ絆があるのだよ。それこそ魔法のような友誼が」
「生徒同士の関係に我々が口を挟むべきではない。それは過干渉となるよ、アラスター」
ダンブルドアはムーディに、教師として過度な干渉は控えるよう促した。
「破滅すると分かっていてもか?」
「そうなったのであればそうなったで、生徒達にとっての気付きとなるよ。教育の機会を奪ってはならない」
ダンブルドアは穏やかに言った。しかし、ムーディは納得しなかった。
「私が見る限り、ポッターは餓えたけだものだ。際限なく全てを欲しがり、捨てることも選ぶことも出来ていない。そんな子供が、手に入れた玩具……友人といってもよいが。それを失ったらどうなると思う?」
ダンブルドアは玩具という言い回しに眉根を寄せた。ムーディはあえて挑発的に言いきった。
「………闇に転げるのは容易いだろう。ポッターが私の授業でインペリオに打ち勝ったとしても、感覚的にインペリオの使用方法を理解してしまうかもしれん。……支配の呪文の力で、周囲の人間を友とすることを覚えるかもしれん」
それは友ではなく、人形遊びに過ぎない愚行だった。
「将来…闇の魔法使いを生むことになるやもしれん。それも覚悟しておけ」
アラスター·ムーディが校長室を去った後、アルバスはフォークスに語りかけた。
「私は彼が闇の魔法使いになると心配していない。なぜならば……
彼程度では、なったところでたいした脅威にはならない。いや、なれないからだ」
それは、自分自身に言い聞かせるようなか細く、弱々しい声だった。
***
「やるじゃねーか。お前今回ばかりはやったじゃねーか!すげぇぞ!!マジでよっ!」
ザビニの言葉を皮切りに、スリザリンの同級生はこぞってハリーを称賛した。
「ハリー、よく頑張ったな!」
「天才だ。君は天才だ」
「よかったぜ!本当に!!スリザリンの誇りだよ!」
「いやまってくれ、今回のは何か違うんだ、本当に。ムーディが手加減したんだよ!……聞けって!」
ハリーはDADAの授業後、スリザリンの談話室で人に取り囲まれていた。ムーディのかけたインペリオ(支配)に、五回目でハリーが打ち勝ったからだ。
はじめて体験したインペリオには、心地よい浮遊感と解放感があった。ハリーは全てを任せて楽になりたいという気分に襲われたが、他人から命令されるなんて真っ平だという内心が膨れ上がった。ファルカスやダフネの前で無様な真似は出来ないという思いもあった。
そういった思いのお陰か、ハリーはムーディの命令に対して反抗できた。最初は軽く反抗するだけだったのが、二回目で痛みを機転に意識を保つ術を覚え、五回目はすべての命令を無視して行動できた。
しかし、五回受けたというだけで抵抗できたことが自分でも意外でハリーは戸惑っていた。
ハリーはトンクス先生からメンタルコントロールの方法を学んではいた。しかしムーディ先生の前で反抗的になったように、本当の意味で自分を制御し、律することが出来ているとはとても言えない。ハリーは自分が人より自制心が強いなんて口が裂けても言えなかった。それどころか、感情的で自制心の弱いタイプだという自覚があった。
「ムーディ先生は手加減していたに違いないよ。あの人はきっと僕に忖度したんだ」
そうでなければ、五回受けただけで服従の呪文に打ち勝つことなど出来るはずがないのだ。大の大人でも操られてしまう魔法なのだから。
しかし、そう言ったところで皆はハリーの言葉を信じなかった。インペリオへの対抗訓練は今回がはじめてで、ハリーがムーディに抵抗できた最初の四年生ということもあり、スリザリン生たちはハリーが手加減されていたという主張を笑い飛ばした。
「君はもっと誇るべきだよ。スリザリン生として闇の魔術に勝ったのはむしろ誇らなきゃダメだよハリー。そうしないと、スリザリンへの偏見をなくすなんて出来ないよ」
ファルカスはハリーに強く言った。
闇の魔術に屈しやすく闇の魔法使いを輩出しやすいという偏見のあるスリザリンにとって、インペリオに勝った同級生というのはそれだけで名誉なことなのだ。他の寮でもまだインペリオへの抵抗に成功した生徒がいなかったことから、スリザリンはその後数日お祭り騒ぎだった。
***
「ねえザビニ、ダフネ。精神力って何なんだろうね。僕はヴィーラにも愛の妙薬にも負けたっていうのに」
授業が終わった後、ハリーはザビニやダフネ、ファルカスやアズラエルなどいつも一緒にいる面々と固まって廊下を歩きながら言った。ムーディの授業以降、ハリーは他の生徒からインペリオ対策について質問攻めにされっぱなしでうんざりしていたのだ。スリザリン生から、徐々にハリーの噂は広がっていった。
それを聞いたダフネとザビニはお互いに目配せをし合った。
「オーケー、親友。それはお前にとって、愛がインペリオの支配より重いってことだ。良かったな」
ザビニがニヤッと笑って言った。
「獣ごときに支配力で負けるなんてね。闇の魔術も大したことないのね」
ダフネもくすくす笑いながらそれに続いた。
「インペリオも愛の妙薬も、人を魔法でコントロールすることに変わりはないだろ?僕は前者に抵抗できるのに、後者に出来ないのはおかしいと思うんだよ。ムーディ先生が手加減してないと説明がつかない」
ハリーは二人の言葉を聞いて目を細めた。薬物による興奮状態に負ける闇の魔術というのはなかなかに馬鹿馬鹿しい話だった。実際のインペリオも、その程度の大したことがない魔法であればよかったのだが。
ムーディ先生の訓練でスリザリンの同級生達が普段なら絶対にしないような行動をさせられるのはハリーにとって気分がよいものではなかった。闇祓いを目指し、精神訓練を始めていたファルカスですら操られ国歌を歌い出したのを見て、闇の魔術の悪質さをハリーはまざまざと実感せざるを得なかった。
***
ハリーはムーディ先生のもとで新しい魔法を教わりに行くわけではなかった。いつものハリーはそうしたかもしれないが、今は別の用件があった。ハリーはハーマイオニーの運動に賛同したわけではないが、自分でハウスエルフについて知ろうとした。セドリック·ディゴリーに頼んで、ハリーはハウスエルフの働く厨房を訪れた。
「……厨房ってハッフルパフの談話室のすぐ側なんですね」
「そうだよ。だけど珍しいね、厨房に行きたいなんて。空腹って訳でもないんだろう?」
「いいえ。僕たち育ち盛りなので」
セドリックが嘘をつけ、という目でハリーを見たので、ハリーは慌てて付け加えた。
「ただ、厨房を訪れるついでにハッフルパフの談話室も拝見出来ればな、なんて」
ハリーが意地悪く笑いながら言うと、セドリックは微笑んで言った。
「スリザリン生なのにハッフルパフに興味があるなんて珍しいね。君は、というかスリザリン生は僕たちに興味ないと思っていたが」
「そんなことありませんよ。ロンやハーマイオニー以外のほとんどのグリフィンドール生よりは話せますよ」
ハリーは顔をしかめて言った。しかし、セドリックはハリーの言葉に反対するどころか、うんうんと頷いた。
「わかるよ。僕も何故かフレッドとジョージには嫌われているみたいでね。……ああ、着いたよ!ここが厨房だ」
厨房には屋敷しもべ妖精たちが何人かいて、ハリーを見ると怯えたように顔を手で覆ったり引っ込んだりした。忙しく夕食の準備をしているハウスエルフの中で、ハッフルパフの女生徒が一人、ハウスエルフと話をしていた。
女生徒の方がハリーとセドリックに気づくと、話をやめて急いでセドリックに頭を下げた。
「こんにちはセドリック先輩!……どうしてハリーがここに?先輩もこちらに用があったんですか?」
「ああ、ハリーがちょっとここに用があってね。僕はその付き添いさ」
「へぇ、そうなんですかぁ!」
その女生徒はブロンドの髪をきっちり三つ編みにしていた。少しそばかすがあるが顔立ちは整っている。スーザン·ボーンだった。
彼女はなぜか怯えたようにハリーをちらちら見ながら早口で話した。
(……なんだろう。ザビニと何かあったのかな……?)
何か困らせるようなことをしたかとハリーは思ったが思い当たる節はない。しかし今はハウスエルフの話を聞きたかったので、ハリーはスーザンの横にいたハウスエルフに言った。
「ここで手が空いてるハウスエルフさんはおられますか?ちょっと頼みたいことがあるんですが……」
「た、直ちに!ハリー·ポッター!少々お待ちください!」
そのハウスエルフが甲高い声で言った。ハウスエルフは瞬時にテレポートしてしまった。
(なんなんだ、さっきから)
ハリーは顔を顰めたが、ハウスエルフに聞くことがあったので我慢した。やがて、ハウスエルフは同僚をつれて舞い戻ってきた。連れてきたハウスエルフは、厨房にハリーがいると分かっては嬉しそうにハリーのローブの裾に縋った。
「ハリー·ポッター様!またお会いできる日を待っておりました!!」
ハリーは『出来れば会いたくなかったよ』という言葉を飲み込んで微笑んだ。
「僕もだよ、ドビー。……元気そうだね」
そのハウスエルフはドビーだった。厨房にいた他のハウスエルフと違って、上下でちぐはぐな洋服を身に付けている。
(……いや……僕が話したいのは君じゃ……)
ハリーは一般的なハウスエルフの話を聞きたかったのだが、ドビーはハリーに会えたことを嬉しがっていた。ドビーには苦手意識があったが、あまり邪険にするのも悪いとハリーはドビーの話に付き合った。
「……じゃあ、きみは前の主人に暇を出された後は苦労したんだね?」
「はい。一般的な魔法族の方々は、ハウスエルフに賃金を、という概念はございませんので……」
ドビーの隣にいたハウスエルフは、当然ですと憤慨した。
「ドビー!!貴方というものは何というはしたない!奉仕に対価を求めるなど恥を知りなさいっ!!」
元々ここで働いていたハウスエルフ達は、無給の労働に不満はないようだった。ダンブルドアの待遇がよいのだろうとハリーは思った。
(……はじめて見たときのドビーより、ここのハウスエルフは目が輝いてる。生き生きとしている……)
「ディア、その辺にしてあげなさい。僕たちも、君たちがいつも頑張ってくれていることに感謝しているから」
ディアというハウスエルフはガミガミとドビーを叱りつけていたものの、セドリックの言葉に感激して涙を流した。自分たち魔法使いと似た感情や知性、理性はあるが、根本的なところが違うとハリーは思った。
(……ハウスエルフにとって、労働は喜びなんだ。)
「大変申し訳ございません、ポッター様、ディゴリー様、ボーン様!!このドビーはダンブルドア校長先生のご厚意によって雇われたもの。私達は、そのようなものがなくとも誠心誠意勤め上げております!!」
「分かったよ、ディア。ドビーもパイを焼いてくれてありがとう。部屋の皆で食べるよ」
「あ、あのポッターくん」
スーザンはハリーにそっと尋ねてきた。
「…………ザビニくんの好物って言うか……好きな食べものって知ってるかな。あ、好きなお菓子とか。もしよかったら教えてくれない……かな?」
(……ザビニ。お前……)
ハリーはザビニはそろそろ刺されるかもしれないと思った。決闘クラブで別の女子を口説いてデートの約束を取り付けていたのをハリーは知っていた。
「本人に聞いたら?」
「うーん、前聞いた時の料理を見せてみたんだけど、本当はあんまり好きじゃなかったみたいで……」
スーザンは少しうなだれていた。三つ編みがしょぼくれたように連動して下がる。
「あ、えーと……無理して言わなくていいよ。言いたくなかったら……私、我慢するから……」
(……ザビニ。もしもの時は屍を拾ってやる)
「あいつは旬のものが好きなんだ。今ならパンプキンケーキが好きだよ。ちょっと焼き色の濃いやつがね」
ハリーはしばらく言うべきかどうか悩んだが、にっこり笑って答えた。ザビニは季節によって好みの食べ物が変わるのだ。
「……!!そう!そう言うことだったのね!ありがとう、助かったわ!」
「……まぁ頑張ってね」
スーザンは目を潤ませてハリーの両手を握った。ハリーは若干の後ろめたさを感じながら、ザビニがスーザンに刺されないことを祈った。
そんなやり取りをしながら、ハリー、セドリック、そしてスーザンはドビーの案内で厨房を見て回ることを許された。厨房内のハウスエルフ達は、ホグワーツの全校生徒千人弱の食事を毎日途切れることなく用意し、ホグワーツ城が清潔に保たれるよう担当を決めて働いているようだった。ハリーは働いているハウスエルフ達の表情が充実していて、苦しんでいるようには見えないと思った。
(……うん。……来て良かったな)
「ハリー·ポッターに会っていただきたいものがいるのですが、よろしいでしょうか……?」
「いいよ、誰だい?」
「こちらです……」
厨房を進んでいたハリー達は、奥で飲んだくれている一人のハウスエルフに出会った。そのハウスエルフは、自分で衣服を買っていたドビーとは違い主人から渡された帽子を被ってはいたが、見るからにボロボロになっていた。さらにウイスキーの瓶を握りしめ、周囲に酒の匂いを充満させていた。
「……貴女は……ウインキーさんですね?」
ハリーは後ろめたい気持ちを抑えて言った。
「……はい。わたくしめは、ご主人様の命令もこなせなかった無能なハウスエルフでございます……」
ウインキーは酒瓶をドンと置いて、力のこもらない声で挨拶した。
「ウインキーさん、その節は……僕の魔法で怪我をさせてしまって、申し訳ありませんでした」
「いいえ!とんでもございません!!悪いのはわたくしめです!!ご主人様の命令を無視したわたくしめが悪いのですっ!」
ハリーはこんなに落ち込んだ様子のハウスエルフを見たことがなかった。ドビーも、ハリーに初めて会った時よりもよっぽど深刻そうな顔をしていた。セドリックは気の毒そうにウインキーを見ている。スーザンは事情が飲み込めないのか、きょとんとしていた。
「……貴女は自分が出来るつとめを果たした。けれど、それでも出来ないことはあった。それでいいんじゃないですか?」
ハリーの言葉は、ウインキーには何の慰めにもならなかった。彼女は自分の父母も祖母も祖父も代々クラウチ家に仕えてきたことを話し、最後まで主命を果たせなかったことを悔やみ尽くしていた。どんな言葉も慰めになる筈がない、とハリーは思った。
「……今日はありがとう、ドビー、ディア。ウインキーには……悪いことをしたよ」
ハリーは安易に足を踏み入れたことを後悔していた。ウインキーの心の傷を開いただけだとハリーは思った。
「いいえ。ポッター様、あれこそ主に仕えるハウスエルフのあるべき姿です」
ディアはきっぱりと言い切って、ドビーと共に深々とハリー達にお辞儀をしていた。ディアは、ハリーに深くお辞儀をしながらハリーに対して、ハーマイオニーの行動を止めて欲しいと訴えた。
「彼女はあちらこちらに洋服を放置して、我々を解き放とうとしてきます。……このままでは、グリフィンドール寮の掃除が出来なくなってしまうのです!」
ディアの頼みは深刻で切実だった。ハリーは、ディアに対して約束した。
「分かりました。……ハーマイオニーを説得できるかどうかはともかく、貴女達が困っていることは伝えます。彼女もそう言えば耳を傾けてくれる筈です」
***
ハリーは厨房を出ると、セドリックに尋ねられた。
「……ハッフルパフの寮を見るのは今度にするかい、ハリー。正直なところ、そんな気分でもないだろう?」
「そうですね。……セドリック先輩、今日はありがとうございました」
セドリックはウインキーの様子に心を痛めていた。一方で、スーザンはザビニに宜しくとハリーに念を押してきた。
「ハリー。見たいものは見れたかい?」
「ええ。目的のものは頂けました」
セドリックは笑っていたが、ふと真顔になって言った。
「君が厨房に来た理由はなんとなく察しがつくよ。ハウスエルフのことが気になったんだろう」
「……流石ですね。分かりますか?」
「この間、きみの友達がハウスエルフ運動をしていたからね。気付くよ」
セドリックは察し良く言ったが、少し考えてからさらに言葉を続けた。
「……ハウスエルフにとって、僕たちはお客様なんだ、ハリー。だから僕たちに見せるものもきれいな所が中心だ。ドビーやウインキーのように、彼らの基準でダメなやつは見せしめにもする。彼らはそういう生き物なんだ」
「……そういうものですか」
セドリックは、ああ、と頷いた。
「ハウスエルフは絶対に善良って訳じゃない。彼らにも僕らに干渉されたくない世界がある。ディアを見れば、それは分かるよね?」
「……僕らの価値観でハウスエルフを判断しちゃいけないということですか」
セドリックは会心の笑みを浮かべた。
「……ああ。物分かりが良くて嬉しいよ。ハウスエルフのことはハウスエルフに任せるべきだと僕は思う。……それじゃあ、グレンジャーのことは頼んだよ」
そしてセドリックはハリーに背を向けた。セドリックは、善良で、常識的な魔法使いだった。彼はウインキーという個人に心を痛めはしたが、SPEWに理解は示さなかった。彼は常識というものの重要さを理解していた。常識外れの改革が物事を良くすることはないと認識していたのだ。
***
「セドリック先輩。ハリーとの話って終わりました?」
「ああ、終わったよ。スーザンは話さなくて良かったのかい?」
ハッフルパフの談話室で、セドリックは後輩にハリーとの会話を聞かれた。スーザンは何度も首を縦にふった。
「はい!私はハリーの友達が目当てでしたから。……話を聞けたのは偶然ですけど、聞いておいて良かったです」
「そうか。きみの作戦がうまく行くことを祈ってるよ」
セドリックは後輩の恋路を素直に応援した。ハリーの友人に一人評判の悪い女たらしがいることは有名だったが、こういうものは当人の気持ちが大切なのだ。
「応援しておいて下さいね。でも、先輩はハリーは大丈夫だったんですか?」
「大丈夫っていうのは?ハリーがどうかしたのかい?」
「ええ。私、ディアからハリーがウインキーってハウスエルフを焼いたことを聞いたんです。実際、本当に焼いたみたいでしたし……」
どうやらハリーに対する悪い噂を聞いたようだった。ハリーがウインキーを焼いたのは事実だが、不可抗力であることを知っているセドリックはハリーを擁護した。
「それは事故だよ、スーザン。彼は無闇に傷つけたかった訳じゃないさ」
「そうですか。……そうですよね?有体のパトロナスを出せるって話でしたし……」
セドリックは黙って頷いた。そして、有名になったハリーに対し少し同情した。
(……彼は本当に不運の星に憑かれているみたいだな……やることが大体裏目に出ている)
「最近も、スリザリンの中でハリーだけムーディ先生に支配されなかったって噂がありました。…ハリーのことを闇の魔法使いだって言ってる人も多いですけど、一体どっちなんでしょう。……ザビニくんが変な闇の魔術とかに関わるんじゃないかって私不安で……」
(きみはザビニの何なんだい、スーザン?)
セドリックは目の前の後輩の真意を内心で面白がりながらも、ハッフルパフの監督生として、そして誠実な先輩としてアドバイスした。
「ハリーが闇の魔術を使ったっていう噂はあるね。でも、実際に使ったところを見た人はいない。噂で人を判断するのは良くないよ、スーザン」
「で、ですよね!」
「ザビニも……うん、闇の魔術に手を出すような子じゃない。それは保証するよ。ザビニ君の前で、ハリーのことも信じてあげるのが一番なんじゃないかな。友達を褒められたら悪い気はしないだろう?」
「!それいい考えですね!採用させてもらいます!」
(……報われるかどうかは保証できないけれど。きみが、きみ自身の判断で進むべきだ)
セドリックは笑顔のスーザンに対して当たり障りのない言葉をかけた。スーザンがザビニに恋心を抱くことと、その恋心が報われるかどうかは全く別の話だ。セドリックに出来ることは、その思いが結実するにせよ破綻するにせよ、スーザン自身の決断と行動を支持することだけなのだ。
ひとしきり笑った後で、スーザンはセドリックに問いかけた。
「今日の厨房ではハウスエルフをたくさん見ましたね。……飲んだくれてる子がいましたけど、いいんでしょうか、あれ」
飲んだくれている子とは、ウインキーのことだ。セドリックは黒髪をかきながら困ったように言った。
「いいんだろう。これから先、トライウィザードのために留学生が来れば、あのウインキーの手も借りなければホグワーツが回らなくなるよ」
「あ、そのために雇われたんですね。納得」
スーザンはぽん、と手を叩いた。セドリックはさらりと言った。
「まぁ、ダンブルドアとしては哀れなハウスエルフに手を差し伸べただけなんだろうけどね」
(今のホグワーツに、ハウスエルフを解放する余裕なんてない筈だ)
セドリックはそう推測した。これは実際的外れではなかった。今年のホグワーツは、二校からの留学生と校長や引率の教師を加えれば百人近くもの人数が増えることになる。一年でそれだけの人数が増えるということは当然、ハウスエルフの負担も増えるということだ。
ハウスエルフ達がハリーにした頼みは切実だった。来るべき日に備えて一人でも多くの戦力(人手)を確保しておきたいハウスエルフ達は、ハーマイオニーに『解放』されている場合ではなかったのである。
***
「……ハウスエルフについてどう思うか、ですって?おかしなことを聞くのね、ハリーは」
「ほら、ワールドカップでの一件もあっただろう?最近ハーマイオニーもおかしなことを言い出したし。皆がハウスエルフのことをどう思ってるのかなってふと気になったんだ。」
休日のホグズミードで、ハリーはダフネと一緒に喫茶店を訪れていた。美術館に行った帰りだった。ダフネはハリーの問いかけに対して、不思議そうにハリーを見た。彼女はその後笑って言った。
「彼らは奉仕種族よ。私たちに尽くすために生まれてきた生き物よ。当然じゃない?」
「それは、家を守り、君たちみたいな魔法族に仕えるための妖精ってこと?」
ハリーはダフネに言った。彼女は黒髪を撫でながら、それが当たり前であると疑わずに言った。
「ええ。私達が奉仕されるのは当たり前のことでしょう?なんでそんなことに疑問を持つのか分からないわ。ハウスエルフだって、大きな家に尽くせることは嬉しい筈よ」
ダフネは「でも」と言葉を続けた。
「ハーマイオニー……いえ、ミス·グレンジャーもバカなことをしているわね。奉仕種族から奉仕を取ったら、なにも残らないじゃない」
(……でも、良かったわ。ミスグレンジャーが隙を見せてくれて……)
ダフネはハーマイオニーの行動を愚かだと思っていたが、一方で安心もしていた。三年生のとき命を救われてから、ハーマイオニー·グレンジャーという存在がいかにハリーにとって大きいのかをダフネはまざまざと実感していた。彼女が完璧超人ではなく等身大の人間であり、ハリーをうんざりさせているという部分は、ハーマイオニーには悪いがダフネにとっては朗報だった。
ハリーはそんなダフネに少し意地悪を言った。
「けどきみは、ウインキーを治療したじゃないか」
「私が生物の死体が見たい性悪だって言うの?目の前で死にそうなものに手を差し伸べるのと、奉仕種族全体への扱いとは別の話よ。混同しないで」
「なるほど。そうだね。僕はダフネを見誤っていたよ」
「もう少し私を敬いなさい」
フフンと胸を鳴らすダフネに笑いながら、ハリーは言った。
ハーマイオニーがダフネの言葉を聞けば、ダフネのことを軽蔑し、怒りを顕にしただろう。しかし、ハリーはダフネの言葉をおかしいとは思わなかった。ハリー自身は気付いていないものの、スリザリン的な考え方が染み付き始めていた。無意識のうちに、ハリーはハウスエルフより魔法族を、身内のダフネ達を優先したのである。
「……僕がハウスエルフのことが気になったのは、彼らに同情したっていう部分もあるけれど、彼らが僕らよりも強いからだよ」
「強い?冗談でしょう?ハウスエルフが強いわけがないわ」
ダフネはハリーの言葉を笑い飛ばした。ハリーはダフネの態度を見て、根本的な部分で、ハウスエルフと僕たちは相容れない存在だと思った。人間とハウスエルフではそもそもの価値観が異なるのだ。
(……僕らはハウスエルフを対等の存在だとは見てないんだ。多分、僕も含めて魔法族皆が)
「……ハウスエルフは……マグルの世界で言うところの、下の階級の存在なんだね」
とハリーは言った。しかし、ハリーの言葉はまだ認識が甘かった。
「そもそもハウスエルフは人ではないわ」
ダフネはバッサリと切り捨てた。あまりに危険な考え方だと、ハリーは内心で思った。
大多数の魔法族は、ハウスエルフには出来うる範囲で優しくはするだろう。粗雑に扱えば自分が不快になるからだ。しかし、わざわざ干渉しようとは思わない。ハウスエルフの側も、魔法族からあれこれと言われたいとは思っていないのだ。大多数の幸福なハウスエルフはハウスエルフとしての幸せを望んでいる。
ハウスエルフは、ある程度優しく、有能で、自分たちを迫害しない主人に奉仕できればそれでよいと思っているのだとハリーは思った。
しかし、善良な魔法族がいつまでも善良でいつでもハウスエルフに優しくするわけではない。ハウスエルフはどこまでも下の階級でしかなく、自分たち魔法族の都合で虐げられても誰もそれを気にもとめない。だからこそ、ハーマイオニーは憤っている。
(……ダフネにも、ハーマイオニーにもどう言えば伝わるかなー……)
そもそもハーマイオニーが暴走するきっかけになったのは、魔法族側のハウスエルフの扱いがきっかけだ。魔法族側の意識が錆び付いた金属のように老朽化しているのも、ハーマイオニーの側にハウスエルフへの理解が足りないのも事実だ。
ハリーはせめて、ダフネにはある程度ハウスエルフに優しくしてもらいたいと思った。ハリーはダフネに何気なく言った。
「ハウスエルフは強いよ。そして、怖いんだ」
ダフネはハリーの言葉の意味を分かろうとしていたが、分からないと首を横にふった。
「彼らには心があるんだ。ひどい扱いを受ければ、人間にだって反抗するよ」
「そんなハウスエルフには洋服を与えるしかないわね。当然でしょう?雇い主の言うことを聞けないハウスエルフなんて要らないわ」
「……」
(これが……普通の感覚なんだろうな)
要らない。目の前で死にそうになっていれば手を差し伸べるダフネでも、無意識のうちにハウスエルフを物か何かのように扱っているのだ。根本的な部分で、対等の存在とは見ていないのだとハリーは思った。
ダフネは残酷な性格ではない。ただそうあれと育てられた純血の魔女だ。そんな彼女でも、ハウスエルフの労働は、彼らの奉仕は『当然』だと思って疑わない。その労働のお陰で生活できているのに、それに対するこれっぽっちの感謝すらないのだ。
(……常識。これが常識なんだろうけど……それはまずい気がする)
「僕らが、ハウスエルフの奉仕は当たり前って思ってるところに落とし穴があるのかもね」
「落とし穴になんて落ちないわ。貴方なら飛び越えてしまえるし、私は落ちるようなバカなことはしないわ」
(ああ、一回ひどい目にあわないと分からないやつだこれ)
ハリーは力なく笑った。そして、そんな日が来ない方がいいとハリーは思った。ひどい目というのは、食うにも困るほどの虐待であり、終わりの見いだせない痛みの伴う時間なのだ。そんな目にあって欲しい訳がない。
ダフネは馬鹿馬鹿しいと笑って、すました顔で注文したアイスクリームに手をつけた。ハリーは注文したバタービールを口に運びながら、ハーマイオニーの理想がどれだけ高いのかを改めて実感していた。
***
ハーマイオニーとハリーとの関係は、月曜日以降少しぎくしゃくしていた。ハリーがハーマイオニーに、SPEW活動のやり方を変えるよう説得したからだ。
「正直、今の僕には代案があるわけでもないからこれを言うのは卑怯だと思う。でも、今のきみのやり方は変えた方がいいよ、ハーマイオニー」
ハリーは、ディアをはじめとしたハウスエルフ達がグリフィンドール寮に近づけなくなっていることを言った。ハーマイオニーとハリーは、二年生のとき一度喧嘩をした。ハリーが闇の魔術に手を染めたことがきっかけだった。三年生のとき、ハリーが密漁者退治に出掛けようとしたときはハーマイオニーが止めた。そして今回は、自分がハーマイオニーを止める番だとハリーは思った。
ハーマイオニーの活動は受け入れられていない。ハウスエルフ達からは無視され、ロンをはじめとした賛同者達も、ハーマイオニーに反論するのが面倒くさいからという理由で賛同している人がほとんどだ。ハリーはハーマイオニーのためにもハウスエルフのためにも、友達として止めておくべきだと思った。
「ハリーもそう言うの?ルナもね、『ハーマイオニーは暇なんだね』って私に言うのよ。ハウスエルフ達が差別されて、苦しんでいるという現状に対して、皆が見て見ぬふりをしているの!」
ハーマイオニーの憤りは、被差別者の嘆きだった。ハリーは、ハーマイオニーはハウスエルフを自分自身と重ねているのではないかと思った。ハリーにとっては、ハウスエルフの問題は他人事だ。しかし、ハーマイオニーにとってはそうではない。彼女はマグル生まれで、いつ差別されてもおかしくない立ち位置なのだから。
「そうじゃない。そうじゃないよハーマイオニー。ハウスエルフのところに行ってみなよ。彼らが何を感じて、何に喜んで、何に怒るかを聞いてみなよ。そうしないと空回りするだけだよ」
「……でも、彼らは自由を知らないだけかもしれないわ」
「自由をただ与えるだけで意味はあるのかい?行く宛もなく放り出されたって野垂れ死にするだけだよ。ハウスエルフの気持ちになってみたら?」
「おい言い過ぎだってハリー!ハーマイオニーも抑えてくれ!ハリーをぶん殴りたくなる気持ちは分かるけど!揚げ足を取られてむかつくのは痛い程よく分かるけど!」
「ハリー……君って人は言うときは結構言いますね……」
ハリーの最後の一言は余計だった。
結局、ハリーとハーマイオニーはグリフィンドールとスリザリンのように意見を違えた。ロンが止めに入らなければ、ハリーとハーマイオニーは本気で杖を向けあっていたかもしれなかった。ハーマイオニーが厨房を訪問したのかしなかったのか聞けないまま、ハーマイオニーと会話しない日々が続いた。
グリフィンドールとスリザリン。彼らはかつては友『だった』
はてさてどうなることやら。