原作では尺がないせいかハリーたちはそもそもスリザリン生とほとんど会話してないですよね……
行間では普通に会話してたりするのかもしれませんが……
ハリーは三頭犬のことをアズラエルたちに話し、勝手に調べたことを謝った。アズラエルたちは、ハリーが勝手に探索したことに怒ったが、それ以上に、四階にいた三頭犬のことを聞いて震え上がった。
「……学校で殺人事件でも起こす気なんですか、校長先生は?」
「きっと生徒の命なんてなんとも思ってないんだよ。ダンブルドア校長は苦しむ子供のことなんてどうでもいいんだ」
ハリーの心の中には、ダンブルドアへの恨み辛みが渦巻いて膨らんでいた。それは普段は暖かいもので覆い隠されていたが、一度噴出すると、ハリーはそれを抑えられなくなりそうだった。
ある時ハリーは、ドラコがダンブルドアを辞めさせるべきだと父親が言っていた、ということを聞いて、ドラコの父親を内心で支持した。良く考えたら校長には校則違反をしたにも関わらず特別に恩情をかけられていたが、それでダーズリー家に閉じ込められた恨みが薄れる訳でもなかった。ハリーはみぞの鏡の中の、絶対にあり得ない光景が夢に出てこないかと期待したが、夢に両親の姿が出てくることはなかった。
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休暇が明けてからの数日、ハリーたちは放課後でケルベロスについての情報を漁った。図書室にいたハーマイオニーと筆談でこっそりとやり取りしたところ、ケルベロスは飼育が非常に難しい魔法生物のようで、その体にはくまなく保護魔法がかかっており、闇の魔術にすら高い耐性を持つのだという。確かにそれなら、闇の魔法使いに対しての番犬としてはうってつけだった。ハリーはハーマイオニーにお礼を書いて送り、今度ハグリッドにケルベロスについて話を聞こうと約束した。
***
そしてハリー、ロン、ハーマイオニー、なんとザビニの四人は、ハグリッドの小屋でハグリッドから話を聞こうとしていた。ハグリッドが紅茶を淹れてくれる間、ハリーは気まずそうなザビニとハーマイオニーたちとの間を取り持たねばならなかった。ザビニとロンやハーマイオニーは友達の友達でしかなく、ハリーの記憶では会話したことすらない。
「でもブレーズ。ガールフレンドの相手をしてあげなくていいの?」
ハリーはまずはザビニにそう話題の種をふった。ロンならば、この話題に乗っかって場を盛り上げてくれるだろうと期待してのことだ。
「あいつが好きなのは俺じゃなかった」
ザビニはふて腐れたようにそう言った。
「お前の話ばかり聞きたがってたぜ。ブルームの方もそんな感じさ。あいつは、自分に振り向かせて見せるとかなんとか言ってたがな」
「アズラエルならきっと大丈夫だよ。ザビニと違ってマメだし」
「彼女作ったことねえやつに言われたくねえな!そっちのウィーズリーでも見習ったらどうだ?」
ザビニはからかうようにロンを手で示すと、ロンとハーマイオニーが揃って顔を赤くした。
「な……俺とハーマイオニーは友達だよ!」
ハリーは、ザビニがロンのことをゴミを見る目になったような気がした。
「まあそんな……そんなことは別に……」
ゴニョゴニョと否定するハーマイオニーの後ろから、ハグリッドがお盆に紅茶をのせてやってきた。紅茶はダーズリー家のものよりも茶葉の品質がいいのか、香りが高くスッキリとした味わいがした。
「しかしおめえさんたち、校則違反ばかりしとるなあ……」
ハグリッドは呆れたものを見る目でハリーたちを見ていた。ハリー自身、一年生にしてここまで校則を破ったのは、おそらくは双子くらいだろうという自覚はあった。
「俺は危険なことも校則違反もやってないけどな。他の三人を見ろよ。眼鏡とそばかすと出歯だぞ?何か企んでるに違いないってフィルチからマークされてる。でも俺は違う。そういう怪しまれるような顔はしてない。俺に何かあったら、ホグワーツの顔面偏差値に激震が走るぜ」
ザビニはなぜかハグリッドに対しても、ハリーたちに話しかけるように親しげだった。そして、ハリーが今まで見たなかで一番初対面の相手に対して失礼だった。
「ザビニ。ドラコじゃないんだから初対面の相手の顔を貶すのはやめよう」
ハリーはザビニではなく、せめてファルカスをつれてくるべきだったかと思った。
「お前、ハーマイオニーのことを悪く言ったか?」
「ロン、本当にごめん!ハーマイオニー、気を悪くしないで。ザビニは誰に対しても容姿を貶すところから入るんだ」
「最低じゃねーか!自慢の顔におできでもつけてやろうか?」
「まぁ、ロン。喧嘩腰になるのはよくないわ。私たちは今まであまり話をしたこともなかったんだもの。これから歩み寄っていけば、お互いの良いところは見えてくる筈よ」
ハリーはザビニと二人との間を取り持とうと必死だった。ハーマイオニーはザビニの容姿がお気に召したのか、ザビニに対してひどく甘かった。そこから友情へと発展するかどうかは未知数であったが。
「ワシとしては、お前さんたちが仲良くしてくれたほうが嬉しいが……」
ハグリッドがビートルのような瞳でザビニに頼んで、ようやくザビニは話を止めた。ハリーはハグリッドの目を見て、ハグリッドからケルベロスについて聞こうとした。
「前置きはこれくらいでいいかな。ねぇハグリッド。四階の部屋にいたケルベロスについて何か知らない?ハグリッドなら、ケルベロスって生き物にも詳しいよね?」
ハリーはハグリッドが見つけてきたクスシヘビが、あまりにも賢く、気高い蛇だったことを本当に感謝していた。ハグリッドには魔法生物を見抜く目というか、才能と呼ぶべきものがある気がした。そんなハグリッドなら、あのケルベロスのことも何か知っているのではないかと思った。ハリーは、ハグリッドのことを心の底から敬愛していた。
「お……おめえさんたち、まさかフラッフィーを見たのか!?」
ハグリッドは仰天してハリーたちを見た。ハリーたちがなぜ知っているのか、そもそも、どうしてあそこに入り込んだのかと問い詰めたいのだろう。
「そう!奥に扉があった!ケルベロスは何かを守ってた!」
ロンはハグリッドに叫んだ。
「そ、それはおめえさんたちの気のせいだ。フラッフィーは日に弱くてな、暗くて落ち着いたあそこがお気に入りなんだ。あそこには何にも、なーにも怪しいもんは……」
ハグリッドが言い訳をしている間、ハリーはハグリッドがハリーとはじめて出会ったとき、銀行から何かを取り出していたことを思い出した。
「ねえハグリッド。僕と銀行に行ったとき、ハグリッドは関係ない金庫から何かを持っていったよね?もしかしたら、あの奥にあのとき持っていたものがあるの?」
このハリーの問いかけは、どうやら偶然にも核心をついていたようだ。ハグリッドは目に見えて狼狽え、ハリーたちを小屋から追い出した。
「あれはニコラス・フラメルのもんだ!お前さんたちが気にするようなものじゃねえ!お前さんたちは四階の廊下のことは忘れて、勉強をしなきゃなんねえ!もう、危ないことは二度としちゃなんねえ!!」
そのハグリッドの言葉を聞いて小屋を飛び出しながら、ザビニはロンと顔を見合わせていた。
「……まさかここにきて手掛かりが見つかるとは思わなかったぜ……」
「やったわね、ザビニ!」
「……ああ、そうだな。ハリーの話じゃ、あんたから捜査が進展したらしいな」
ザビニは喜ぶハーマイオニーに、ぎこちないながらも相槌をうっていた。ハリーはそんなザビニを見て、少しだけ胸の奥が温かくなった。
「ニコラス・フラメルについて探してみようか。きっと図書室に手掛かりがある筈だ」
しかし、図書室に手掛かりはなかった。ハリーはハグリッドの望み通りに図書室で色々な書物を読み、魔法の知識を深めることに成功したあと、ハリーの部屋で、アルバス・ダンブルドアの蛙チョコレートカードにフラメルの名前を発見するのだった。
ダンブルドアがハグリッドを尊重する理由を考察します。
ハグリッドは他の魔法使いと違って素で呪いに強い耐性があることから、おそらくは許されざる呪文にも非常にかかりにくいか、かかっても耐えられる可能性があると思われます。どんな魔法使いでも許されざる呪文で転げ落ちる可能性を考えたら、ハグリッド以上に信頼できる魔法使いはいないでしょう。