蛇寮の獅子   作:捨独楽

202 / 330
今回も胸糞注意。
……あれ?
不死鳥の騎士団って大体胸糞注意じゃないか?


純血の姫

 

 

 腕に刻まれた闇の印が痛み、熱を取り戻す度に、その魔女は己自身を取り戻した。

 

 闇の印は、ヴォルデモートとその配下とを結ぶ一種の絆である。主君が力を持てば印もまた力を持ち、激しい激情に駆られた時は身を引き裂くような痛みが配下を襲う。ヴォルデモートの配下の中で、ごく僅かの者達だけが、この繋がりを誇りとしていた。そして、その魔女はかのアントニン・ドロホフと並び、ごく一部の精鋭と呼ぶべき存在だった。

 

 闇の印がかつての輝きを取り戻したとき、主の復活を知り一人の魔女は感動でむせび泣いた。胸の高鳴りが、ベラトリクス・レストレンジを支配した。

 その感情は単純な幸福とは言いがたいものであった。だから、ベラトリクスの感情をディメンターが吸い取ることは不可能だった。ベラトリクスの胸の高鳴りは、主君に支配される恐怖や、叱責を受ける恐怖も兼ね合わせていたし、それ以外のあらゆる感情が含まれていた。未だに牢獄に囚われている己自身に対する強い怒りなどもその一つである。

 

 

 幸福という感情はその人の主観によって変化する。ゆえにベラトリクス本人はその状況を幸福と錯覚した。

 

(私の思考を奪えないのだから、ディメンターも大したことはない)

 

 と。

 

 

 ディメンターは単に人間の脳から分泌される物質に反応して脳内麻薬を食するわけではなく、人の根元となるエネルギーを食しているという説がある。しかし、その理論には欠点があった。

 

 その魔女の魂の根元は、幸福ではなかった。

 

 むしろ、不幸の中で産まれた。

 

 その魔女は、幸福を感じることを許されていなかったのである。

 

 家のために尽くし、家のために死ぬ。それがブラック家の長女たるベラトリクスの役目だった。

 

 父は早くして産まれた彼女に、あろうことか女戦士の名をつけた。純血の姫に対する名称としてはいささか不格好な名前である。それは、魔女ではなく男に産まれていればという嘆きの意味もあったのかもしれない。

 

 ブラック家を継ぐものは、男の魔法使いである。

 

 歴史ある家の当主が魔女になるという例はある。たとえば、現代におけるボーン家の当主は、アメリア・ボーンである。家の家風によっては魔女がその家の全てを相続するというケースも存在する。

 

 しかし、ブラック家はそうではなかった。

 

 純血主義を標榜するブラック家において、よほどのことがなければ当主は男子が継ぐと決まっている。近親での婚姻を行うケースはあるが、いとこ同士での婚姻には重大なリスクが伴う。よって、長女として産まれた彼女がブラック家を相続する可能性はゼロと言ってよい。

 

 ベラトリクスという名前には、せめて男に産まれていれば、という呪いが込められていた。その魔女は愛ではなく呪いによって産まれたのである。

 

 皮肉なことに、その魔女は名前にたがわぬ魔法の腕を持っていた。大胆で豪快、いっそ不遜とも言える杖さばきは在学時代あらゆる魔法使いを寄せ付けることはなく、決闘術において彼女は名声をほしいままにし、その堂々たる性格と恵まれた容姿は社交界での人気を博した。

 

 そして決闘術での名声を得て、社交界での地位を得る度に。

 

 彼女の心には、鬱屈したものが蓄積されていった。

 

 他者からすれば恵まれ過ぎるほど恵まれていた。しかし、彼女には家の方針によって定められた婚約者がいて、卒業を機に式を挙げることが決まっていた。

 

 何一つ不自由のない人生。

 

 それこそが、彼女にとっての不満だった。彼女は無自覚ではあったが、そこに不満を感じていた。不自由であると、彼女の魂は叫んでいた。その歪みは時折、純血主義に対して懐疑的な妹のアンドロメダを折檻する形になり表出した。

 

 婚約者のロドルファス・レストレンジは彼女にしてみれば実につまらない男だった。彼女と同じく純血主義を信仰する男であり、会話をすれば答える。

 

 しかし、彼女をブラック家の令嬢として見たことはあっても、彼女自身を見たことはついぞなかった。純血主義を保持していくための具体的なビジョンも持ち合わせてはいなかった。

 

 その事に不満はない。彼女は純血の令嬢として、そう認識していた。決められた定めに従いその道を遂行することこそ己の産まれた意味であり、純血主義の枠組みを護ることだ。そこに疑問を差し挟む余地などないと。

 

 培った決闘術も所詮は学生時代の手慰みにすぎない。卒業すれば家に入り、ただただ腐らせるだけの過去に成り下がる。己より遥かに弱く情けない男を立て、妻を演じ、尽くす。

 

 それも仕方のないことだ。

 

 そう思っていたとき、彼女は運命と出会った。それは客観的には出会うべきではない存在だった。

 

 

 しかしその邂逅は、彼女の主観においては救いだった。

 

 その魔法使いは、純血主義について彼女の理想とする理論を全て持っていた。従来の妥協と欺瞞に満ちた純血主義では、ブラック家をはじめとした純血一族の利権を護り続けるには足りないとその魔法使いは言った。

 

 マグルとの婚姻を選択する魔法使いは年々増加している。純血主義の権益を護り続けるためには、その流れを食い止める大きな影響を魔法界に与えなければならない。

 

 それは理想であって現実ではないと、彼女は思っていた。止めようのない大きな流れを変えられる訳もないと半ば諦めていた。

 

 しかし、闇の帝王は彼女を叩きのめし、更なる高みへと彼女を導いた。それは闇の魔術であり、魔女にとっては忌むべき力だった。

 

「私のために戦うのだ、ベラトリクス。君ほどの魔女がその才能を腐らせることが私は悲しい」

 

 ベラトリクスにとって、闇の魔術が禁忌の力であることは些細な問題だった。唯一闇の帝王だけが、彼女の決闘術の才能を心の底から必要としていた。

 

 闇の帝王に忠誠を尽くすならば。

 

 自分はありのままの自分でいられる。

 

 

 

 ベラトリクス・ブラックは魂の奥底でそう認識した。それは、家に囚われた魔女にとっての天啓だった。

 

 デスイーターとしての殺戮も悪事も、彼女にとっては神に捧げる神事に過ぎなかった。捕縛され裁判にかけられたとき、彼女は堂々と己の罪を認めた。

 

 殺戮の全ては主と純血主義のための神聖な行為であり、それを認めないなどあり得ないことだったのである。

 

 そんなベラトリクスは、まるで恋に焦がれる乙女のように主との再会を待ちわびていた。持てるすべての才能を殺戮と破壊、そして暗躍に捧げる日を待ちわびながら、ベラトリクス・レストレンジはアズカバンの中で鼻唄を歌いながら過ごしていた。

 

 

***

 

「ひ、ひいいいっ……待っておくれ!ダンブルドアの指示だったんだ!すぐに逃げなくては。ま、またディメンターが来てしまう!」

 

「っ……!……ダンブルドア!?……!!」

 

 ハリーはフィッグに問い質したい気持ちを抑えて杖を下ろした。フィッグが闇陣営の人間でないという保証はないが、闇陣営の人間は自分がダンブルドアと繋がりがあるなどと明かしはしない。ハリーはフィッグが自分に対して好意的でこそなかったが、何か害があったわけでもないことを思い出し心を落ち着かせた。

 

(……この人のことは好きじゃなかったけど嫌いでもなかった……)

 

 ハリーは今すべきことを考え、そちらを実行することにした。まずは自分とダドリーの安全を確保すること。ダーズリー家にいるバーノンとペチュニアの安否を確認することであった。

 

「僕はダドリーを連れて逃げます。貴女は!?」

 

「いざってときの逃げ道は用意してあるんだ。気にしなくていいよ!」

 

「わかりました。必ず話をさせてもらいます」

 

 ハリーの言葉にフィッグは震え上がった。ハリーは言外に理由を話さなければどうなるか分からないぞ、と圧力を込めたのだ。

 

(……そもそもダーズリー家は無事なのか……!?)

 

 ハリーの胸には胸騒ぎがあった。愛の護りによって、ダーズリー家にヴォルデモートの手のものや闇の魔法生物が手を出すことは出来ない。しかし、ディメンターがその限りであるのかどうかはわからないのだ。

 

 

 ハリーはとにかくダーズリー家に一時避難した。もしもダーズリー家にディメンターが待ち構えていたとしても、強引に家に入ってトランクからフルーパウダーを出せば離脱は出来るのだ。

 

 ハリーは震えるダドリーをレヴィオーソで浮かせると、一気にダーズリー家に舞い戻った。

 

 

***

 

「……出ていけっ!この家から!二度と戻るな!……お前もそれを望んでいたのだろう!?」

 

 ダーズリー家に舞い戻ったハリーは、普段と変わらず無事だったバーノンとペチュニアを見て確かに安堵した。バーノンはハリーが魔法をかけたと思い、ハリーに家から出ていくよう言った。

 

「待ってバーノン……!ダドリーの様子がおかしいわ!ダドリー、お母さんよ!わかる?わかるわよね!?」

 

「ダドリーにはチョコレートをあげるといいですよ」

 

 ハリーは好意があったわけではないが、仕方なくルーピンの教えをペチュニアに言った。

 

「ディメンター……魔法界の怪物に襲われたダドリーはカロリーを消費しきっています。チョコレートの血行促進効果で、少しでも体を暖めてやってください」

 

 ペチュニアは何も言わずに冷蔵庫からチョコレートを取り出したが、バーノンは収まらなかった。

 

「ふざけるな!それで済むと本気で思っているのか!?……お前を引き取ったときから恐れていたことがついにやってきた!……なぜダドリーがこんな目に遭わなければならないっ!」

 

(……まぁ。バーノンさんにこう言われるのは当然だな……)

 

 ハリーは自分のせいではないとは言わなかった。バーノンの怒りを正当なものとして受け入れた。ディメンターが闇陣営の差し金であれ、ハリーの巻き添えになったのは確かだった。ハリーはバーノンのことは憎んでいたが、それでもこの一件に関してダーズリー家に落ち度はなかった。彼らは純然たる被害者だったのだから。

 

 ハリーは彼らと一線を引かねばならないと思った。憎んではいる。死んでほしいと思ったことは一度や二度ではないが、本当に死んだ時喜べる気はしなかったからだ。

 

「それは、怪物が僕を狙ったからです。ダドリーは巻き込まれました」

 

「ぬけぬけとよくも……!」

 

 バーノンはハリーを恐れていたが、それ以上に家族を愛していた。家族を愛する以上、その中にハリーを含めることはもう出来ない。ハリーのせいでダドリーは傷ついたのだから。

 

「……今までどうも、お世話になりました。無関係の僕を養っていただいてありがとうございました」

 

 

 

 ハリーはフルーパウダーを使いダーズリー家を離れようとした。シリウスには迷惑をかけることになるが、それでもそうすることがダーズリー家への誠意であるように思えた。愛の守りだのはハリーの事情であって、ダーズリー家には関係のないことだ。

 

 それは、ハリーが心の底から吐き出した言葉だった。それでも、無関係という単語を聞いた瞬間、ペチュニアの顔になんとも言えない感情が沸き起こったのをハリーは見た。

 

(何だよその顔は……?)

 

 一言で言い表すならば、憎悪だろうかとハリーは思った。ペチュニアがハリーに対して向ける感情はいつも決まって厄介者へのそれだった。それが、悲しみのような憎悪を向けられては腹立たしくもなってくる。

 

『とうとうこの家ともおさらばか。淋しくなるな』

 

 アスクレピオスの言葉にハリーは相槌をうたなかった。

 

 ハリーがトランクの中からフルーパウダーを取り出したその時、ダーズリー家に一通の吠えメールが届いた。

 

 

「思い出せ、ペチュニア」

 

 そのメールはたった一言、それだけを伝えると燃え尽きた。その声は、確かにアルバス・ダンブルドアに違いなかった。ハリーが最も憎み、そして、最も尊敬している善の魔法使いの言葉はペチュニアを変えた。というよりも、普段のペチュニアに戻らせたと言うべきだろうか。

 

「駄目よ、バーノン。この子はここに居なくてはならないわ」

 

「な、ど、どうしてだペチュニア。この子供はもう、うちで預かるような義理は……」

 

「いいから!早く自分の部屋に戻って寝てしまいなさい!バーノンも!明日は仕事があるのでしょう!?」

 

「……?」

 

 ペチュニアの態度はあからさまに不自然だった。ハリーの中の疑念はついに限界を超え、ダンブルドアに対する不信として沸き上がった。

 

(フィッグも、ペチュニアさんも)

 

(……ダンブルドアの息がかかっていた。)

 

 

 ハリーはこの時、バラバラだった線がひとつに結ばれたような気がした。

 

(ダンブルドアは……僕の様子を観察していた。……もしかしたら、僕が両親を失ってここに来てからずっと……?)

 

 ハリーは大きく寝返りをうった。それは、当たっていて欲しくはない予想だった。ダンブルドアに対する怒りと、それよりも大きな恐怖が沸き上がってくる。

 

(……ダンブルドアは僕の様子を知っていた。……知っていて、わざと放置していたのか……?)

 

 そうであってほしくはなかった。もしもそうだとすれば、ハリーの人生は虚無になる。ダンブルドアの掌の上で躍り、敷かれたレールを走っていただけの人生になるからだ。そうであると思いたくはなかった。

 

***

 

 

 その日は朝からダフネ・グリーングラスの様子がおかしかった。交際しているトライウィザード優勝者、ハリー・ポッターが同居中のマグルに魔法をかけたという疑いで検挙されたとデイリープロフィットの朝刊に掲載されたからである。

 

「一体どういうこと……?ハリーが機密保持法違反……?」

 

 アストリアは姉にかける言葉が見つからなかった。アストリアにとってハリーは純血主義者ではなく目の上のたんこぶではあったが、最近親しい友人を失った人でもあった。アストリアは純血主義を尊びたいのであって、残酷なことが好きなわけではない。ハリーに対しても、ハリーと交際している姉に対しても、嫌悪するという発想はアストリアにはなかった。

 

 その日の夜、ダフネは父の書斎に呼びつけられた。アストリアは身の回りの世話につけられたハウスエルフのヘレナが握る水晶をじっと覗き込んだ。水晶から見える画像はぼやけているが、声はよく聞こえる。ヘレナは父の書斎を映し出してくれていた。

 

「よく頑張りましたわね、ヘレナ。その調子ですわ」

 

「はっ、はい……!」

 

 奉仕する喜びに震えるヘレナを労いながら、アストリアは父と姉のやり取りを見守った。父は、どうやら姉にポッターの件について話しているようだった。

 

「……ポッターが機密保持法を違反したか。……おそらくは、やむを得ぬ事情あってのことだろう。これはチャンスだな」

 

「チャンス、ですか?お父様、それはどのような意味ですか……?」

 

 ラドンは動揺するダフネに対して、冷徹な眼差しを向けて言った。真剣な話をする時ラドンはこの顔になるが、本当に必要な時だということも理解しているダフネは固唾を飲んでラドンの言葉を待った。

 

「ハリー・ポッターはブラックのゴッドソンだ。当然、ブラック家の内情や光陣営の情報も入ってくるだろう。ポッターを通して光陣営を探るのだ、ダフネ。ポッターに近いお前ならば、それが出来る筈だ」

 

 ダフネは父、ラドン・グリーングラスにそう指示を受けていた。

 

 家のため、純血主義のために。

 

 ハリーを通して光陣営に潜り込み、光陣営をスパイしろ、と。

 

 

(……は!?……一体何を言っておりますの、父様は!?)

 

 ハウスエルフのヘレナの魔法でその様子を見ていたアストリアは、父のあまりの仕打ちに衝撃を受けた。

 

(そんなことをしたら……姉様がどうなるか分かっていますの!?)

 

 純血主義者だろうとそうでなかろうと、裏切り者はいつでも悲惨な扱いを受ける。アストリアは裏切り者のウィーズリーの寓話を通してそれを痛い程よく知っていた。

 

(父様は姉様のためを思って、ポッターとの交際を許可していたのではなかったの……?)

 

 アストリアにとって信じられなかったのは、父の豹変だった。姉とポッターを付き合わせることに、父は好意的だった。状況が変わったから交際をやめろ、ならばまだわかる。しかし、姉に危険なスパイ活動までやらせようという神経が理解できなかった。

 

 それは姉も同じだったらしい。姉は激しく父に抗議していた。アストリアは、姉がそれほど強く何かを主張するところをはじめて目にした。

 

「ま、待ってください!ハリーを裏切れと言うのですか!?私に!?お、お父様は、ハリーとの交際を認めてー」

 

「それは、全てはグリーングラス家のためだ」

 

(!!)

 

 父の言葉は、ダフネと覗き見ていたアストリアをうちのめした。

 

「我がグリーングラス家には血の呪いがある。それを克服するために、我々はあらゆる手を尽くしてきた」

 

「ブラック家は私たちに支援をしてくれました。それを裏切って、シリウス・ブラックの顔に泥を塗れと言うのですか……」

 

「それは安易に我々に金を出したブラック家の問題だ。騙される方が悪いのだよ。よいか、ダフネ」

 

 アストリアは残酷なことを平気で口に出す父が怖かった。父は、今までは可能な限りは善人であろうとしていたというのに。

 

 

「闇の帝王が復活なさった以上、我らも生き残るためには帝王に貢献しなければならない。……我々は、残念なことに決闘術に秀でてはいない。……こうするしかないのだ」

 

「お、お父様は純血主義は建前だと私に仰いました。あれは嘘だったと言うのですか……」

 

 姉の声は震えていた。アストリアも、息を飲んで父の言葉を聞いていた。水晶越しに聞こえる父の声はどこまでも残酷で無慈悲だった。

 

 父は、このためにお前を育てたとダフネに言い切った。

 

「お前は真面目な性格だ。私と同じでな。ミトスやアストリアと違って愛嬌がない。ゆえに、純血主義を教えればお前は歯止めがきかずに余計な敵を作る」

 

「……」

 

 アストリアも、そしてダフネも、ラドンが信じられなかった。

 

 確かに愛されていた。しかし、それは無償の愛ではなかった。

 

 グリーングラス家という家を存続させるため。そして、ラドン・グリーングラスにとって都合のよい駒になるために与えられた愛だったのだ。それは、必要から生まれた愛だった。

 

「しかし、どうやらうまくいった。ダフネ。よくやった。お前は無難な性格でポッターの関心を得ることが出来た

 

 

「おそらく、ポッターは無罪になるだろう。しかし、学校での立場は辛いものになる。お前が献身的に支えれば、ポッターは容易く光側の情報を明かす筈だ」

 

 期待しているぞ、と、ラドンはダフネの肩を叩いた。アストリアは震える手で水晶を地面に叩き付けた。アストリアの力では、水晶は割れることもなくただただ地面に転がるのみだ。

 

「……アストリア様……」

 

 

 ヘレナに対して、アストリアは答えなかった。その瞳には涙が滲んでいた。

 

(助けて、ハリー・ポッター。姉様を助けて……)

 

 気づけば、アストリアは解放を願っていた。自分達を縛る運命からか。それとも、父親からか。アストリアはただただ姉の幸福を願わずにはいられなかった。姉の姿は、未来の自分の姿なのだから。




ロドルファスは純血主義者としてベラトリクスの同志ではありました。
それはそれとしてベラトリクスが心惹かれる相手ではありませんでした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。