蛇寮の獅子   作:捨独楽

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失態

 

「リベナイト(蘇生せよ)……何をやってるクォーツ!!」

 

「もっ……申し訳ありません!」

 

 年配のオーラーであるキシドラ・アンビシャスは部下のアンドリュー・クォーツを叱責した。

 

 クォーツは訓練期間を終えてオーラー資格を取った一人前のオーラーだ。しかし、厳しい訓練を経てオーラーになったという実績も、突如現れた謎の少年にステューピファイを跳ね返され気絶したという失態が全てを台無しにする。クォーツのオーラー内でのあだ名は『子供に負けたルーキー』ということになってしまうだろう。

 

 失態を演じたのはクォーツだけではない。森に派遣された五人のオーラーのうち、プロテゴによって跳ね返されたステューピファイをかわしたのはベテランのキシドラとゴリタスだけ。他の新米オーラー達教科書通りに地面に足をつけて狙いを定めて撃った結果として、跳ね返された魔法を避けられなかったのだ。

 

 ホグワーツにおけるDADAの教師は一年で交代する。そのため、ステューピファイを習う生徒はほとんどが呪文学で学ぶ。

 

 呪文学におけるステューピファイの撃ち方と、実戦、つまりDADAにおけるステューピファイの撃ち方とは異なる。

 

 呪文学は実戦を想定してはいない。教師のフリットウィックはゴリゴリの実践派であり実戦経験もある猛者だが、呪文学の領分つまり『正確な狙いをつけて魔法の暴発がないよう狙ったところに撃つ』ことまでしか教えない。

 

 が、実戦では敵は狙い通りには動かない。だからオーラーの訓練を受けるものは、呪文学の授業で染み付いた癖を治すよう教官達に指導される。狙いが多少アバウトとなってもよいから、敵の攻撃をすぐにかわせるよう『動きながら撃つ』訓練をさせられるのだ。

 

 オーラーとしての研修課程で学んだはずの内容ではあるが、咄嗟の場面ではホグワーツで染み付いた癖が出てしまう。つまりクォーツ達はまだ社会人三年目の若手ということだ。

 

 

「止まれ!止まりなさい!何をやっている!」

 

「それはこちらの台詞です!ホグワーツの敷地内で放火なんて!尋問官親衛隊の権限で鎮火させていただきます!」

 

「尋問官……?あの女、話を通していなかったか!」

 

「功を焦ったということでしょうか」

 

 クォーツは苦虫を噛み潰したように言う。キシドラは子供に話しかけるようになるべく丁寧に言った。

 

「これは仕方ないことなのだ、ボーイ!いいかね!ルビウス・ハグリッドが巨人をかくまっていたという写真を得た我々は森で巨人の子供を目にした!ハグリッドの裏にはアルバス・ダンブルドアが存在する!」

 

「……何……ですって?それで、ハグリッドの小屋を……?燃やした?そんなことで?」

 

「そんなことではない!!ホグワーツで巨人を育て!闇の軍隊を組織していたのだ!これは国家反逆罪であり、明確な闇の魔法使いとしての行動だ!!」

 

(……わざわざ小屋を焼けと命令したのは、アンブリッジの見せしめだが……)

 

 オーラー達も好きで焼いたわけではない。命令で仕方なくやるしかなかった。それだけである。

 

 キングズリーやドーリッシュはダンブルドアを拘束するためにファッジとアンブリッジの護衛として校長室に行ったが、仮にこの場所に残されていたのが二人のどちらかであったとしても、アンブリッジの命令には従わざるを得なかっただろう。

 

 オーラーはあくまでも魔法省のいち局員で、命令には服従が原則なのだ。

 

「…………そうだとしても。このままでは森にまで延焼します。鎮火させていただきます」

 

「ええい、これだから子供は嫌いだ!聞き分けというものがない!」

 

 再びポッターを拘束するように命令を出す権限は、リーダーのキシドラにある。が、キシドラは一瞬ハリーの持つ魔力に圧倒され、躊躇っていた。

 

(この子供は。オーラーを何だと思っているのか。……自分が逮捕されるとは考えないのか!?)

 

 ハリーの怒気に冷や汗を流したという事実は、キシドラのオーラーとしての矜持を傷つけた。

 

 言うまでもなく目の前のハリーは中学生であり、自分達はれっきとした大人である。本来は邪魔され足止めされるという事態すらあってはならない。そうしている間にも、ハグリッドは逃亡してしまうかもしれないのだ。

 

(……やはり!粗暴で野蛮なブラックの息子ということか……!)

 

 資格を持ち、前回の内戦をオーラーとして戦い生き残ったキシドラにとってオーダー、具体的にはジェームズとシリウスの心証はよくはなかった。

 

 ジェームズとシリウスはデスイーターから人々を守るためさまざまな戦いを繰り広げたのだが、その中には『マグルの警官を巻き込みデスイーターとカーチェイスを繰り広げる』といった武勇伝も含まれた。

 

 当然、真っ当なオーラーであるキシドラ達にとってオーダーの存在は面白くはなかった。

 

 必要ではあった。オーダーがあったから助けられた命は間違いなくあった。

 

 シリウスのような、『魔法使いとしての技量はともかく人格的に難がありオーラーの資質を持たない人間』の受け皿としてオーダーはその役目を果たしている。

 

 が、一方でオーダーの一員がデスイーターであった。その上ダンブルドアはセブルス・スネイプを教師としてホグワーツに就任させている。

 

 ダンブルドアの名声に傷をつけたのもまた、オーダーなのだ。

 

 キシドラの命令を受けて、五人のオーラーがステューピファイ・デュオを放つ。

 

 計十発。空に浮いているハリーに直撃すれば命はない。何発かは威嚇である。

 

 ハリーは事も無げにすべてのステューピファイを空中でかわし。

 

「フレイム・グレイシアス(炎よ凍れ)」

 

 フレイム・グレイシアスでハグリッドの小屋の炎を止めた。火炎凍結の魔法は、複数人がかりのカースを止められる出力は本来はないはずだ。

 

「…………な」

 

「……アンブリッジの役立たずめ。ホグワーツの牙を抜くだと?」

 

 キシドラはそう悪態をついた。目の前のハリー・ポッターを一目見てその禍々しい魔力を感じ取れば、ホグワーツの牙が抜けていないことは明白だ。

 

(無能のアンブリッジのことはどうでもいい。今考えるべきは目の前のポッター!!)

 

 キシドラの警戒レベルが上がる。それは部下の四人も同じだった。

 

(これは……この子供は……!!危険だ!将来かならず闇の魔法使いになる!!)

 

 歴戦のオーラーが持つ直感がある。

 

 闇に通じている魔法使いと、そうではない者の差を、オーラーは見抜くことがある。

 

 人に対する攻撃意識の有無である。

 

 強力なカースを人に向けて何とも思わないカスを何人も見てきた。オーラーであるキシドラの勘が囁いているのだ。目の前のポッターは間違いなくカースを習得して人に向けた経験があると。

 

 カースを人に、実戦で向けたことがない者の杖は必ず照準が定まらず震える。しかし慣れたものは迷いも淀みもない。

 

 ハリーは後者。故に危険なのだ。

 

 キシドラは指笛を吹いた。インカーセラスの合図を出したのだ。会話で時間を稼ぎつつ、解除不能の複数人による大規模捕縛魔法によってハリーを拘束するつもりだった。 

 

「尋問官親衛隊と言ったか、ボーイ!!」

 

「子供が政治ごっこなどするものではないぞ!今すぐに学校に戻りたまえ!でなければ、公務執行妨害と判断して魔法を行使する!三秒以内に戻りたまえ!3、2」

 

 準備完了の指笛の音が響いた瞬間、キシドラ以外の四人が使った拘束魔法が炸裂する。森の蔦を使ったそれは、本来であればルビウス・ハグリッドに向けられる筈だったもの。手練れの密猟者であろうが逃れる術はない。

 

 が、インカーセラスの蔦がポッターに巻き付いたと思ったのはほんの一瞬だった。ポッターの姿はかき消えてしまった。

 

「手応えありません!」

 

「バカな。……今何をした!?」

 

 キシドラを含めた五人のオーラーは異常事態に呆然と立ち尽くした。空中にいたポッターを拘束できず逃げられたのだ。

 

「テレポートでしょうか!?」「ありえん、ここはホグワーツの敷地内だ!」

 

「……ゴールド。ポッターの心は見れたか?」

 

「いいえ。怒りしか読み取れませんでした。申し訳ありません……」

 

 キシドラはクォーツの推測を否定する。ベテランのキシドラは、目の前の現実を認識することが出来なかった。

 

 オーラー達があっさりとハリーに出し抜かれてしまった理由は三つある。

 

 ひとつはキシドラを含めて、森にのこされた五人のオーラーが主力であるキングズリーやオールラウンダーのドーリッシュとはことなる一点特化型の魔法使いであったこと。キシドラの班はチームワークが肝であり、五人のオーラーがそれぞれの役割を理解して動くことで個々の能力不足を補っていた。

 

 このチームの要は、レジリメンスに秀でた能力を持つゴールドスタインである。新人ながらレジリメンスにおいては一定の評価を得ていたが、レジリメンスにも弱点はある。相手と目を合わせる必要があるのだ。

 

 夜の暗闇の中、突如現れたハリーと目を合わせることは出来なかった。だからハリーの意図を読み取ることも出来なかったのだ。

 

 もう一つの理由が、英国魔法界の魔術研鑽の不足である。キシドラ達は飛行魔法の技術も知識も持っていない。

 

 そのため目の前のハリーが、飛行魔法を使いながら敏速によって単純に速度を上げて移動したことに気がつかなかったのだ。

 

 死の飛翔と見まがう速度でただの中学生が翔んだなど思いたくはない。キシドラたちは無意識に、ハリーが目にも止まらぬ速度で翔んだという可能性を頭から追い出していた。

 

 『例のあの人』の存在がかき消えた後に、英国魔法界には仮の平和が訪れた。神秘部の研究者達は、飛行魔法を研究することを恐れた。ヴォルデモートの名を恐れ、それに触れず忘れることで辛い記憶から逃げた。だからこそ、光陣営の魔法使いたちは飛行魔法を習得していないのだ。

 

「た、隊長、如何されますか!?」

 

「……あの子供については後でアンブリッジに話を聞くとして。……本来の任務に……」

 

(ええいいまいましい。ダンブルドアも腹立たしいが、アンブリッジなどを重用するファッジもファッジだ。あんな魔女を使っていては魔法省全体の名誉が瀆される……!)

 

 キシドラが内心の不満を圧し殺して任務に没頭しようとした、その瞬間。

 

「二時の方向より接近あり!……マクゴナガルです!」

 

 小柄なデグレチャフの言葉に、キシドラは歯噛みする。指示を出そうとしたそのとき、クォーツの声がキシドラの耳に届いた。

 

 

「何事です!これは……これは何ということですか!ホグワーツの生徒に手を出すとは、貴方達は一体何を考えて!」

 

「総員構え!撃てぇ!」

 

 キシドラはよくも悪くも模範的なオーラーであった。目の前に現れたのがハリーであれ、マクゴナガルであれ、任務において邪魔になりうる障害であるなら速やかに排除する。それが暗黒時代における模範的なオーラーだったのだ。

 

 マグルの軍隊で当て嵌めるならば、キシドラは下士官として優秀であった。しかし、良くも悪くも政治的な判断能力を有してはいなかった。

 

 対するマクゴナガルは、政治的な判断も下すことが出来る聡明な魔女であった。それが彼女にとって悪い方向に作用した。

 

 オーラー達のステューピファイ5本は、プロテゴ・マキシマでも防ぐのは難しい。が、熟練のコンジュレーション使いであるマクゴナガルなら、疑似生命の盾で防ぐことは出来た。

  

 

 しかし、彼女は政治的立場として、ホグワーツ教師は魔法省に反抗するものではないと表明しなければならなかった。だからこそ、防げた攻撃を防がなかった。

 

 魔法省における役人や現場で働く人員にとって不幸であったのは、この時期の魔法省のトップがコーネリウス・ファッジであったことだろう。キシドラはその代償を自らの体で支払うことになった。

 

***

 

「ハグリッド!ハグリッド!無事かい!居たら返事をしてくれ!」

 

 小屋に駆け込んだハリーは、小屋の中に立っているハグリッドを見て、愕然とした。

 

 ハグリッドは黒曜石のような瞳から大粒の涙を流している。ハグリッドの巨大なトランクの中はガタガタガタガタと震え、トランクの外に出たがっている。ハグリッドは涙を流しながらトランクと格闘していたのだ。

 

「エリザベス!……おまえさん達!少しだけ、少しだけ大人しくしてくれ!でねぇとあいつらを殺しちまう!……ハリー?何でこんなところに!?」

 

「よかった、無事なんだね!……そうか、ファイアクラブの特性か!」

 

 ハリーはハグリッドはともかくスクリュート達が焼け死んでいるのではないかと気が気ではなかったが、スクリュートがマンティコアとファイアクラブの合の子であることを思い出した。これしきの炎でどうにかなるような生命力ではなかったのだ。

 

「……ハリー……お前さんえらいところに来ちまったな。……俺は表から出ていって、アホ達を引き付けて逃げる。ハリーは裏口からホグワーツに戻れ」

 

「ダメだ。ハグリッドを放ってはおけないよ」

 

「……なあハリー。時間がねぇんだ。俺は思えばダメ教師だった。いつもいつも、ハリーには助けられてばかりじゃった。最後くらいはホグワーツの教師らしいことをさせちゃくれねぇか」

 

「最後なんて言い方、ハグリッドらしくないよ。……ダンブルドアのこともハグリッドに責任はな」

 

 ハリーが怯えるファングをハグリッドの逃走用の予備トランクへと押し込みハグリッドに言ったとき、小屋にまで絶叫が響いた。

 

「……いやぁ~っ!?マクゴナガル先生ぇ!?」

 

「この声!?」

 

(ルナ!?)

 

 ハリーが驚いて表に出るより先に、ハグリッドは自分のトランクを抱えて猛然と小屋から飛び出た。

 

 

***

 

「……何をした……?……お前達、何てことをしてくれた!!!!」

 

 小屋の外から出たハリーは、泣き崩れるルナの姿を目にした。ルナは気を失い倒れる魔女を必死で介抱しながら、懸命に呼び掛けている。

 

「……どうしよう、しっかりして、意識を取り戻して!リベナイト!リベ……」

 

 ハリーは敏速で駆け出した。ルナの側に立ち。プロテゴ・ホリビリス(全体防御)で戦闘の余波から二人を守る。

 

「……容態は!」

 

(そんな……そんな!マクゴナガル教授が!?あ、あんな連中に!!)

 

 マクゴナガル教授の手を取った。脈拍が弱りきっている。

 

「胸に5本もステューピファイが……!!」

 

「まだ脈はある!ルナはそのままリベナイト続行!エネルギーを送り続けてくれ!僕はたんかで……」

 

 

 ハリーがそう言いかけたとき、オーラーの一人が撃ったレダクトの光線がハグリッドの体に弾かれて飛んできた。

 

「プロテゴ・デュオ(多重プロテゴ)」

 

 逃走するハグリッドとオーラー達との余波から二人を護る必要があったのはそれきりだった。怒ったハグリッドは、訓練され連携したオーラー達をものともせず吹き飛ばした後、小屋から離れた牧場に置いてあったバイクに跨がりホグワーツから去っていった。  

 

 ハリーは救難信号用のインセンディオを使い、マクゴナガル教授に細心の注意を払って校舎に進む。ポモーナ・スプラウト教授と、コリン・クリービーが、ハリー達のもとに駆け寄ってきた。

 

 

「コリン。……ルナを頼む。僕は医務室に教授を連れていく」

 

「……ルナ、ルナ!しっかり!マクゴナガル教授は大丈夫!大丈夫だから!」

 

「……ルナ。……エリザベス達は無事だよ。ハグリッドも」

 

「どうして……」

 

 

 ルナは泣きながら言った。

 

「どうして皆、ハグリッドに残酷なことが出来るの……?」

 

「……ハグリッドは、間違ったことはしていない」

 

 ハリーはそう言った。オクルメンシーを使ったわけでもないハリーの本心だった。

 

「虐待されていた子供を保護することが悪だと言うならそんな法律はくそくらえだ。……たとえ巨人だろうが何だろうが、ハグリッドは正しいことをしたんだ」

 

 ハリーはルナの手を握った。ルナの手は過度なストレスから来る嫌な汗でべとべとになっていた。

 

「ハグリッドは君にはお世話になってばかりだって言っていた。……だけど、だからこそ。必ず元気に戻ってくるって約束してくれた。だから、ルナ。……泣くな」

 

 泣き崩れるルナに対してハリーが言えるのは、そうであって欲しいという嘘をつくことだけだった。ルナはマクゴナガル教授を医務室まで届けると、レイブンクローの寮まで戻っていった。

 

「……コリン」

 

 ハリーはコリンに頭を下げた。 

 

「……マクゴナガル教授とルナを守れなくて、すまなかった。僕は結局……」

  

 

 ハリーには無力感があった。オーラー達を倒すことより、ハグリッドの安否を確認したかった。だがもしもその場にとどまっていれば、マクゴナガル教授を助けることは出来た筈なのだ。

 

「ハリー。僕は……」  

 

 コリンは唇を噛んで俯いていた。

 

「……ハリーみたいに飛び込んでいく勇気がありませんでした。……マクゴナガル教授が飛び込んでいくとき、視界の端にルナがいたんです。だけど一瞬躊躇って。ルナを守りたかった。守りたかったのに……」

 

 コリン・クリービーの声にも悔恨が満ちていた。ハリーとコリンという師弟は、寮に戻るその時も自分自身を責め続けていた。

 

***

 

 それから数日後。オウルが終わり、ダンブルドア、マクゴナガル、そしてハグリッドを失ったホグワーツでは様々な憶測が流れた。

 

 ハグリッドをアンブリッジに売ったのは誰か。人々は好き勝手に噂を流しあった。

 

 ある人は一年生の頃にハグリッドのドラゴン騒ぎを密告したドラコ・マルフォイだと言い。

 

 ある人は尋問官親衛隊となりハグリッドの存在が邪魔になったハリーだと言い。

 

 またある人は、ルナに振られたコリン・クリービーやスリザリン生のゾルタンという生徒だと言った。

 

 さらに、責任感の強いザムザ・ベオルブなどは自分がアンブリッジに情報を盗まれたかもしれないとハリーに言った。ザムザは授業でアンブリッジに当てられ、目を合わせてしまったとハリーに告白したのだ。もしもアンブリッジがレジリメンス使いならザムザの推測は間違いではない。しかしハリーは、その憶測が正しいとは思えないとザムザを励ました。

  

 人々は口々に身勝手で好き勝手なうわさを流しあっていた。そんな中、シュラーク・サーペンタリウスというスリザリン生はついに星を捕まえた。DAで集まったメンバーと目を合わせた矢先の出来事だった。

 

「……見つけたぞ……!」

 

 シュラークの瞳は、ドラコ・マルフォイがハグリッドをつけて密告したに違いないと話す二人の女子を見ていた。パールヴァティー・パチルとラベンダー・ブラウンは、周囲のグリフィンドール生達にうわさを流していた。

 

「……薄汚い人間が……!」

 

 ホムンクルスとして生まれた魔法使いの少年は人間の愚かさを知り、愛を知り、善意を知り、そして今日悪意というものを知った。

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