後はどうなるか……誰でもわかりますね。
***
***
「…………!…………」
ダンブルドアの死からおよそ二時間後。
オーラー、クランク・ゼファーからアルバス・ダンブルドア死亡の報告を受けたルーファス・スクリンジャーは、一言も話さず沈黙を保った。報告を行ったクランクは強面のままで、ルーファスの側でその報告を受けていたパーシーは携帯用羽ペンを床に落とし、オードリーは咄嗟に己の口を手で塞ぎ、漏れ出そうな悲鳴を堪えた。
パーシーの横で話を聞いていたセドリックは理解が追い付かない。セドリックはダンブルドア死亡の報を聞き思考を停止させていた。
(死んだ?ダンブルドアが?まさか!……ダンブルドアに限って、あり得ない)
セドリックはその報告が誤りであることを期待してクランクを見た。
クランクがインペリオかコンファンドにかけられており、嘘を真実と思い込んでいた方がまだましだ。セドリックはそうであることを期待して、クランクを相手に無言のレジリメンスを試みた。
しかし、事実は……現実は変わらない。クランクは隠すことなどないとばかりにダンブルドアの遺体、そして焼け死に骨となったデスイーターの姿をセドリックの瞳に映し出した。
ある程度熟達した魔法使いならば、心の表層にそういった光景を作り出すことは容易である。セドリックは嘘に違いないと口に出そうとして、ステファンに肩を叩かれた。
「クランク氏は実直を絵に描いたような方だ。彼に限って誤報はあり得ない……」
ステファンの言葉を噛み締めるように、セドリックは肩を落とした。闇払い局局長のガヴェインは深く息を吸いみ、天を仰いだ。
クランクの言葉はそれに終わらなかった。
「……さらに……ホグワーツに侵入しダンブルドア暗殺に動いていたデスイーター三名の死亡を確認しました」
デスイーターの死体、という報告に、会議室は殺気だった。
「遺体はどちらに……?」
オードリーが問いかけると、クランクは携帯していた鞄から棺を取り出した。
「……こちらに。……すべて肉を残さず燃やされています。デスイーターに手を下したのは……まだ十六歳の子供です」
その言葉を聞いた面々の反応には温度差があった。パーシーやセドリック、そしてオードリーは何かを察したかのように視線を交わす。
(ハリーか)(ハリーですね)(……こんなことをするのは一人しか居ないわね)
パーシーやセドリックにとっては子供が戦うのは『良くはないがありえること』で、今さら何をとしか思わない。しかし、闇祓い局長のガヴェイン、執行部部長のパイアス。そして、ルーファスは微かに青筋を立てていた。
クランクが直属の上司であるガヴェイン以外に下手人を漏らすつもりはなかった。法執行部の見解として、闇の魔法使い相手に立ち向かった子供の罪を問うことはしない。それはそれとして、殺人の過去が広まれば子供の将来にとって大きな不安要素となるという配慮が裏目に出た。
この場にいた大人達のほとんどはこう思った。
またポッターがデスイーターを殺害したのだろう、と。
「所詮はシリウス・ブラックの息子か。光陣営に所属しようと、粗暴には違いないか」
思わず侮蔑の言葉が口から突き出たのは、執行部部長のシックネスである。そのシックネスをたしなめたのは、魔法大臣のルーファスであった。クランクはそれに我慢出来ないよう思わず怒鳴った。
「お言葉ですが、我々に力があれば子どもを戦わせる必要はありませんでした!」
「若者たちがなぜ大人を差し置いて戦ったのか!それはホグワーツの管理体制の不備ゆえであるのは勿論のことですが……それ以上に!我々が不甲斐なかったからです!」
組織人としてはあり得ないことであり、クランクが出世できなかった理由がこれである。言われたシックネスは恥入るような素振りもなく、そして、クランクに対して怒りを感じるでもなかった。シックネスとパーシーは一介のオーラーでしかないクランクが自分に対してそのような口をきいたことそのものが信じられないように目を瞬きさせた。
「口を慎め、クランク!!ホグワーツの少年たちの行動を客観視出来ぬお前ではあるまい!」
ガヴェインはうんざりしたように叱責をした。内心で自分たちの不甲斐なさの自覚はあったが、だからといって一兵士にそのような口をきかせるわけにはいかない。ガヴェインは一度大きく叱責したあと、驚くほど落ち着いた声でこう諭した。
「ホグワーツの少年たちの行動を聞いていたが。私には危険な薬物に手を染め、闇の魔術で敵を殺し。挙げ句あのダンブルドアでさえ手綱を握れぬ犯罪者予備軍にしか聞こえぬ。くだらん感情論に目を曇らせる前に、事態を冷静に分析し成すべきことを成せと言っている」
「そこまで追い込んでしまったのは我々の」
「それを決めるのはお前ではない。口を慎めと言ったはずだ。私に同じ言葉を3度も言わせるつもりか?」
ガヴェインとしても部下の暴走、もとい直言を前に胃がねじれる思いで叱責を続けていた。
秩序維持を念頭に置く警察、或いは軍人として見た場合、理は明らかにガヴェインにあった。
まず、不死鳥の騎士団というのはダンブルドアの私兵、いわば私設軍事組織である。ハリーたちはその庇護下にあり、昨年度と今年、闇陣営を相手に積極的な危害を加えた。
他人を害するための魔法を習得して、である。
これは、襲われたから返り討ちにした正当防衛とは言えない。
積極的に他者を害する私刑行為である、と判断できるのだ。
闇の魔術、或いはそれに準ずる魔法によって他者を害する少年たちが将来第二第三のヴォルデモートとデスイーターにならないという保証はどこにもない。オーラー達はハリーとその友人たちを監視し、彼らが犯罪を犯した場合は速やかに逮捕する義務があるのだ。
ハリーに対して妹を救われた恩義があるパーシーは、複雑な思いでクランクの言葉を聞いていた。
(た、確かにクランク氏の言動は正論だが……それを言い出すのは今更に過ぎる……いや、むしろ彼は今までずっと正論を言うのを我慢してきたのだろうか?)
魔法省の行動に問題があるのは勿論である。しかしならば、魔法省を辞めて行動するのが人としての筋ではないかとパーシーは思っていた。
オーダーに所属しながらもパーシーが魔法省の中に居て、結局のところ魔法省に忠誠を尽くしているのは、そちらの方が動かせる人員の数が多いからだ。オーダーだけでは所詮は人手不足なのだ。
(……げ、限界を迎えようとしているのか、現場も……)
パーシーは、現場上がりのオーラーが抱いている憤懣と正義感、そして危うさをこれ以上なく実感していた。
組織にいれば白を黒、黒を白と判断することはある。ファッジ政権末期の魔法省のように。現場のオーラー達がそういった経験を重ね、さらに戦場の狂気を実感するうちに精神が摩耗し、判断がぶれることはおかしくはなかった。
「申し訳ありません、私の不徳の致すところです」
ガヴェインが頭を下げる。しかし、現場のオーラーのことをよく知っているルーファスはクランクにもガヴェインにも寛大な態度を見せた。
「……もうよい。クランク、報告を続けたまえ」
オーラー出身のルーファスでなければこのように寛大な態度は取れなかったであろう。オーラーが持っている正義感というものに理解を示すことが出来るのは、明確にこの魔法大臣の持つ長所であった。
「は、一介のオーラーが出過ぎた言葉を吐いたことをお許しください」
クランクは機械的に一度頭を下げると、さらに報告を続けた。
子供とは、守られるべきものである。それが現在の英国魔法界においてどれだけ形だけの建前でしかなかったとしても、政治家や役人はその建前を守らねばならない。
なぜならば、守られるべき対象として扱い庇護されなかった子供は魔法省より性質が悪い大人に都合良く利用されるからだ。
テロリストとなったドラコ・マルフォイや、クラウチJr.のように。
悪い子供は、もっと悪い大人に利用される。それが世の常なのだ。
そうならないように庇護するのが責任ある立場の大人の役割であるわけだが、魔法省役人たちにとってはばつの悪い話である。
自分達も政治的都合でハリーを利用しようとした悪人であるという自覚がある。それだけに、本来守られるべき子供が殺人を犯しているという状況がいかに光陣営の政治的正当性を歪めるかということに思い至る。シックネスは胃の痛みを堪えるように、腹回りに左手を当てた。
***
「アバダケダブラを防ぐペンダント……」
クランクの報告は耳を疑うものばかりであった。
デスイーターを識別し殺害するサペレ・アウデ。それより耳を疑ったのは、アバダケダブラを防ぐために錬金術で作り出したペンダントである。
「しかしその材料は鼠……か」
「可能なのかね、そんなことが?」
「……」
「私達の口からは何とも。神秘部の専門家の見解を仰ぐ必要があります」
シックネスから意見を求められたステファンは、さらにこう付け加えた。
「しかし一つ言えることは、実際にそれが成されたということです。この事実は大きい」
「しかし、成人してもいない少年が作ったと言うのかね?クランク、君はコンファンドをかけられたのではないのか?」
シックネスは何度も念を押して確認したが、ステファンは首を横に振った。
「その可能性はございません。……僭越ながら推測しますが、ポッターはダンブルドアから錬金術の指導を受けていたのですね?でしたら、ダンブルドアから何らかの指導を受けていても不思議はないかと」
(……ハリー……君はあれからもずっと、苦しみ続けているんだな……)
(………もう一度君に会えたなら、言ってやりたい。君の努力は、世間的には褒められたことではなかったとしても……真摯だったと……)
セドリックはおそらくはハリーの主導によって成された所業を聞き、胸を痛めた。
ハリーのことは、一年間の間間近で見守ったセドリックにはわかる。
ハリーにとって何より大切なものは友の命なのだ。
しかし、ハリーはそれを危険に晒すことに対して矛盾を感じているのだ。
だからこそ、自分が手を汚してでも友人たちの命を守ろうとしているのだ。
非合法すれすれの手段とはいえ人の命を救いもした劇物に対してパーシーやオードリー、ガヴェインらが拒否感と魅力とで揺れる中、迅速に決断したのは魔法大臣のルーファスであった。
「今は……手段の是非を問うている場合ではないな。無論ガヴェインやの懸念は分かるが、例のあの人に比べれば些末なことだ……」
「大臣、では……?」
「……ハリー・ポッターとコンタクトを取るより他にあるまい。彼の持つダンブルドアから得た情報には価値がある。」
魔法大臣の言葉には流石に場の誰もが異論を差し挟めないだけの重みがあった。
「……加えて、ポッターには闇陣営に対抗できる力がある。であれば、我々は我々の仕事をするべきだ」
「……う、ううむ……承知いたしました」
辛うじて頷くパイアス・シックネスではあるが、その表情は冴えない。ルーファスからの命令でなければ断じてハリーを認めないという意思がシックネスからは滲み出ていた。
魔法省の会議室は、重苦しい闇によって支配されていた。
(……内戦が始まってから。ここまで……空気が重くなったのは初めてね……)
オードリーは脳裏に浮かんだ敗北の文字を即座に追い出そうとする。が、その発想が消え去ることはなかった。
(……無理もないわ。皆……内心ではこう思ったはずよ。『もう勝てない』って。ダンブルドアを欠いた状態で、例のあの人に勝つ見込みは限りなくゼロに近いって………)
魔法省の役人であるオードリーは高潔な役人を知っている。現場を駆け回り己の職責を果たそうとする役人、最後までヴォルデモートに抵抗し命を落とした、アメリア・ボーン前執行部部長。今この場に居る者達。そして、オーラー達。
その輝きは間違いなく光と呼ぶべきものだ。
しかし一方で、オードリーは魔法省の抱える歪みや淀みをよく理解している。
どんな組織もどんな人間も、その構成員全てが高潔で欲深くなく、万人にとって善良な人間であることなどあり得ない。だからこそ、組織は人間を受け入れるときはその人となりを見て受け入れるか否かを決めるのだ。
魔法省ではドロレス・アンブリッジが、オーダーであれば先の内戦におけるシリウス・ブラックが、ホグワーツにおいてはアーガス・フィルチやルビウス・ハグリッド、そして、セブルス・スネイプが『必ずしも高潔とは言えない人間』の中の悪例に当てはまる。こうした組織にとっての不安要素は早いうちに取り除いておかなければ、後々酷い破綻要素になり得るとオードリーは確信していた。
しかし今オードリーが不安を抱いたのは、前述した悪例、悪目立ちする人々ではない。
それ以上に組織において多い、時には組織にとって良い人間、時には組織にとって悪い人間となりうる『普通の人』である。
オードリーは自分を基準に考えている。
魔法省の役人のうち、自分のような少なくない大多数の人間は、社会に対する奉仕精神というものはとうの昔に捨て去っていると確信していた。
仕事はする。ただ、命を懸けて他人のために尽くすほどの給与は頂いていない。それが今のオードリーの偽らざる本音だ。
奉仕精神は確かにあった。しかし、ろくな睡眠時間も取れないデスマーチが続けばどんな人間でも疲弊するのだ。
執行部にいたオードリーの同僚だって本音はそんなものだ。皆生活のために仕方なくやっているだけなのだ。
(……この先いったい何人が……闇陣営に勝てると信じるかしら!?)
現在の闇陣営との内戦は、魔法戦争などと大々的に呼称されている。それは学生達には、光陣営と闇陣営との華々しい闘争に映る。
しかしその本質は、ひたすらに国力を消耗する泥試合だ。ただでさえ人材と命と金を消費していく内戦という無為な行為など、経済学を噛ったことのある大人は誰もやりたがらない。それでも魔法省の、オーダーやダンブルドアのような天才達ではない凡人達がこの内戦をやっているのは、勝たなければ自分達の食い扶持までなくなりかねないからだ。
ようは仕方なくである。正義のために戦っているのはオーラーやルーファスくらいで、他の者達は本質的には自分のためなのだ。
ちなみにオードリーは、自分は凡人の側であるという確信があった。凡人側だからこそ、そうではないパーシーに懸け、社会の一員として秩序を保つ側である魔法省に立っているのだ。
魔法族は魔法で大概のことはこなせてしまう。だから社会秩序を保とうという意識は低い。
しかし、魔法族も所詮はヒトの感性を出ないのだ。どれだけマグルを見下し高尚な生物であると虚勢を張ろうと、マグルより高度な文明を構築することは出来なかったし、たった一人で家族が作れるわけでも、美味しい食卓を囲めるわけでもない。
だから英国魔法族の一員として、その社会を守るために魔法省職員は己の職責をこなしているのだ。
アルバス・ダンブルドアの死は、そういった凡人達にとって己の身の振り方を考え直す契機になるとオードリーは確信していた。
(不味いわね……間違いなく裏切り者が出るわ……)
この内戦における勝ち目が潰えたと知って戦えるほど高潔な役人が、今の魔法省に残っているのだろうかとオードリーは疑問に思った。
勝ち目があるから、勝てると信じているから人は困難に立ち向かえるのだ。
その目が消えたとなれば、なるべく早くに闇陣営に寝返った上で自分や家族の身の安全を図ろうとする人間がいてもおかしくはない。オードリーは自分だっていつ裏切ってもおかしくないと思った。目の前に死の恐怖があり、自分や家族の命を守れるのなら、デスイーターの黒いローブにだってキスをするかもしれない。
(でも諦めたくないと思ってしまうのは何故かしら?)
ではなぜ、オードリーは踏みとどまっているのか。今すぐ辞職すべきところで光陣営にとどまっている理由は何か。
それは大人としての責任感からであり、絶望の中に潜むわずかな希望があったからだ。
(まるで自分が闇の中にいるみたいだわ……)
その希望はダンブルドアのような光ではなかった。
むしろ、禍々しい闇とよぶべきものだ。
クランクからの報告の中には脳が理解を拒むような情報、絶望だけではないノイズが存在した。
いわく、アバダケダブラを撃たれて生き残った女の子がいた。
いわく、未知の魔法でデスイーターを虐殺した少年がいた。
それは倫理的には忌むべきものに違いなかったし、オードリーも一般市民感覚では悲しんでいる。
しかし、現状を打破しうる希望には違いなかった。
暖かく穏やかな陽の光のようなダンブルドアが消え、そしてその後、仄暗く邪悪なポッターが、それでも魔法界を守ろうとしているのだ。
だからこそ、折れるわけにはいかなかったのである。
ここで魔法省が折れてしまえば。
魔法界は闇が闇を制する暗黒時代となってしまうからだ。
何としても、魔法省は存続した上でヴォルデモートを打倒しなければならない。
そうでなければ、英国魔法界の権威は魔法族にとって何の意味も成さなくなる。英国魔法族は今まで以上に魔法族は法律をなめ腐り、無秩序な魔法を振りまいて害を撒き散らす存在となるだろう。
***
ルーファスとダンブルドアは古い時代の生き残りではある。しかし、アラスター・ムーディとダンブルドアほど目的を同じくする同士ではない。
それゆえ、一足早くこの世から飛び去った不死鳥について老いた獅子が何を考えたか定かではない。が、ルーファスはこの時己の感情をさらけ出すことを嫌ったのか、ついぞ一言もダンブルドアに関して言及することはなかった。
「いかがいたしますか、大臣閣下。ダンブルドアの葬儀は明日ですが……」
「待ちたまえ。閣下には重要な予定が詰まっている。閣下以外の人間では明日の会談は成り立たない。今更調整は出来ないぞ」
パーシーは即座にセドリックの案を却下した。これは別にパーシーが完璧主義という訳ではなく、当たり前の話である。
ルーファスはドイツの魔法省大臣と輸出規制や、緊急時の援軍要請条約について会談することになっている。
水面下で外務局や運輸規制局の役人同士で交渉し、ほぼ八割の粗筋は決まっている。しかし、最後の詰めは大臣同士の交渉となるのだ。先方に大臣を出向かせておいてこちらは顔を出せませんなどという不義理はあってはならない。大臣には大臣のすべき役割があるのである。
「それは……その通りなのですが……ですが……閣下が出向けば英国の国民は魔法省の行動に感じ入るかもしれません」
「ダンブルドアが闇陣営との戦いに人生を捧げてきたことは疑いようもない事実です。魔法省がその功績を忘れていないと表明すれば、動揺する人々の心もいくらかは和らぐ筈です」
セドリックは遠回しに政治的アピールのためにもやった方がいいですよ、と進言した。
魔法省に勤務し、10ヶ月の歳月が流れた。セドリックも魔法省という組織がいかに規則と建前と保身に縛られたお役所であるかは肌で理解し始めている。
しかしだからこそ、体面……体裁を気にするということはわかった。セドリックの言葉にオードリーも便乗した。
「ならば先方との調整を私が。幸い、ダンブルドアは国際的にも偉大な魔法使いです。その旨を伝えれば不快には思われないかと」
こうして、緊急事態にもかかわらずルーファスと、ドイツの魔法大臣が葬儀に参列することが決まった。
***
「……デスイーターだけを始末する魔法……か……」
『老獅子』ルーファス・スクリンジャーはハリー・ポッターを効率よく運用する方法が自分にあるか、と思案する。
(ダンブルドアはポッター家のことになるといつも判断を誤る。今回の時も前回も、ポッターを御しきれると思いそれが敗北に繋がった)
ルーファスの脳裏をよぎるのは、前回の内戦におけるオーダー側の大きな過ちである。
ジェームズは忠誠の魔法の対象を無二の親友のうち、シリウスではなくピーターを選んだ。
(いや、単に秘密主義であるというだけならばまだいいが……)
問題はそのことをダンブルドアにさえ黙っていたことである。
シリウスも、そしてジェームズもである。
その影響を強く受けた息子がまだ何かろくでもないことを隠していないという保証はない。今後やらかさないという保証もなかった。
(……ポッターを手元に置くのは得策ではない…)
(ポッターが選ばれし者であると信じようとしている愚民どもには記事でもか書かせてやればよい)
(戦力として敵に回らないというだけで充分。手元に置いて余計なリスクを増やす必要はない)
眠りにつくルーファスは、アルバス・ダンブルドアのことを思った。
(お前は教師として死ぬことを選んだのだろう。ならば、私はそれを肯定する。だが同じ過ちは犯さない)
ルーファスはオーラーとしての価値観を捨てて、為政者として、か弱き市民や、オードリーやパーシーのような時に身勝手で、守るべき仲間のことを考えた。
(魔法省の役人はあんなものだとダンブルドアは笑うだろうが。……弱いものにも、弱い者の人生がある……!)
(……ダンブルドア。私はお前と同じ過ちは犯さない。……ポッターには絆されることはない!!ポッターを重用はしない。……その力を抜き取り、魔法省と市民の犠牲を減らし勝ってみせる……!)
光陣営の指導者、ルーファス・スクリンジャーは己の意思で闇をその手に抱えて戦うことを決意したのである。
闇とはつまり、ハリー・ポッターのことであり、ルーファス自身の残酷な決断についてである。
闇の魔法使いもどきとはいえ、英国魔法界全体で追い込んできた少年を都合よく利用する己の浅ましさ。それを闇だとルーファスは自覚していた。
正義という御題目を掲げる陣営は、建前を守る必要がある。
ルーファスも就任当初は歴代の大臣を凌ぎ、国民の七割からの指示を得ていた。しかし、就任から一年の歳月が過ぎようとしている現時点で支持率は四割を切っていた。
例えば、逮捕したスタンリー・シャンパイクをそのまま裁判にかけたことなどはその典型である。
英国の魔法族は十年という平和に慣れきっている。その上、魔法使いたちが個人で出来ることに幅がありすぎるのも相まって、魔法省という組織そのものが持つ権力機構に対しては懐疑的である。戦時下の強権的な権力を受け入れられない者も数多くいて、そうした者たちは当初はルーファスを支持していたが、現実の厳しさを知るや否やすぐさま掌を返した。
よくも悪くも、人間とはそんなものである。都合のいい権力者には愛想よく振る舞うが、都合の悪い権力者には面従腹背しながら唾を吐きかけるのだ。
戦時下という状況で選挙をしている暇はなく、よってルーファスが過剰に支持率に怯える必要はない。それでも、ルーファスにとっては由々しき事態である。
戦いを続けヴォルデモートに殺害されるのが先か、それとも、ヴォルデモートの手駒を削いで裸となった自称帝王に、起死回生の策が通用するのか。
魔法省の運命は今や折れかけの杖に灯されたインセンディオのように儚いものとなっていた。それでも、ルーファス達は勝利を信じて戦うより他にないのだ。
自分達が闇に立ち向かわなければ、弱き者達に待っているのは悲劇に他ならないのだ。
***
***
パチル姉妹は、ダンブルドアの死の翌朝、朝食前にホグワーツを去った。パールヴァテイーがラベンダーとハグしてからホグワーツを去るとき、ハリーは彼女に軽く会釈した。
パールヴァティーはホグワーツからにげるように去ることを不服そうにしながらラベンダーとハグし、ホグワーツを去った。その背中を見ながら呟く声があった。
「……居なくなって精々する、と言いたいところですが、不思議なものですね。ホグワーツの大広間が今日は広く感じます」
シュラーク・サーペンタリウスである。彼は自分で抱いた感情を処理できていないかのようにそう呟いた。
ハグリッドの小屋が焼ける原因となったのは、図らずもパールヴァテイーがグロウプを密告したからである。シュラはいまだにその事を許していないようだったが、嫌いな相手が居なくなって喜ぶよりも困惑が勝っているという自分の感情が処理できていないようだった。
「急激な変化を恐れるようになったのなら、それは君が成長したってことだよ、シュラ。昨日と変わらない今日があるってことほど幸せなことはないんだ」
「それは……そうですね」
(何歳の会話だよって思うけど突っ込まねーぞ俺は)
二人の会話を聞いていたザビニは言葉の代わりに口に食べ物を流し込んだ。
「…でも、ホグワーツはこれからもっと寂しくなる。覚悟はしておいた方がいい」
ハリーはそう言った。そしてその言葉は現実のものとなった。
ザカライア・スミスは厳格そうな顔立ちの父親、エルヴィンにつき添われて城を去った。城を去るとき、ハッフルパフのテーブルからはアーニーだけが見送りのために立っていた。
一方、シェーマス・フィネガンは見物であった。母親と一緒に帰るのをそっけなく拒絶した。二人は、玄関の広間で大声でやりあったあげく、シェーマスが葬儀が終わるまで残ってもいいことになって解決した。
スリザリン寮の父兄も何人かが家族を引き取りにやってきたが、ダンブルドアの葬儀への参列させてほしいと言う寮生もいた。その寮生は結局両親の言いつけに従ってホグワーツを去ることになった。
ホグワーツ城には寮を問わずに生徒達の父兄が訪れ、オーラー達やフィルチはその対応に追われていた。腰が曲がったしわくちゃの老人が、ホグワーツ城を訪れ、ダンブルドアの葬儀のために訪れていたシリウスとアラスター、マクゴナガルになにがしかを要求していた。
「ワシは非常識な要求をしておると思っておるのか?ええ?お主らがワシの所有物を粗雑に扱うならワシにも考えがある……!よいか、ワシは誠意を見せろと言うておるんじゃあ!」
「ったく……世界が大変だって時にうるっせえ爺さんもいたもんだな。いったい誰の親なんだか……」
あきれたようにそう呟いたロンは、隣にいたザムザがロンの朝食のスープに羽虫を投入していたことに気付かずそれを飲み干していた。
***
「ダンブルドア……」
アルバス・ダンブルドアの葬儀は、ホグワーツ城の城主を弔うための盛大な葬儀であった。参列した人間は、(人気取りのために涙を流したコーネリウス・ファッジを除けば)皆がダンブルドアの死を悼み、その生前を偲んだ。
ハリーは大勢の群衆に見守られながら、棺が消えていくのを呆然と見送っていた。
あまりにも偉大だった。憎んでいた。嫌っていた。しかし、好きになりたかった。
結局追いつくことも、その思考の端に触れることも、まともな会話をすることもなくダンブルドアとの和解を果たすこともなく、ダンブルドアを死なせてしまった。ハリーにとって、ダンブルドアの死はあまりに重かった。
そんなとき、むせび泣くハグリッドや顔を伏せるリーマスや参列者たちの側を、爽やかな風が吹き抜けた。
「フォークス?」「フェニックス!?」「違うよ火の鳥だよ」「ルナはちょっと黙ってて、頼むから」
赤く燃え盛る焰を身に纏った鳥は、主の棺の周りをくるりと回った。そして、用が済んだとばかりに上空へと飛び去っていった。
「……きっとダンブルドアだけが、あの鳥の主人たりえたんでしょうね」
そう言ったアズラエルに、ハリーはこう言った。
「いいや、友達だったんだよ。ダンブルドアとフォークスは」
「……なるほど。それは楽しい解釈ですね」
アズラエルはどこか馬鹿馬鹿しそうに、しかし面白そうにハリーの言葉を肯定した。
ホグワーツで最も偉大な魔法使いは、大勢の友人たちに囲まれ、見送られて逝った。そうでなければ、その死はあまりにも哀しく、救いがなさすぎた。
***
「……来たの、ダフネ。……よかったわ、無事で」
「……デイビス?」
ダンブルドアの葬儀のあと、ホグワーツから去るためにダフネは己の部屋に戻った。そして自分に抱きついてくるトレイシーを警戒してかわした。
「……いやに馴れ馴れしいのではなくて?」
「やだわ、そんな……貴女が……巻き込まれたって聞いて私心配したのに……」
軽口をききながら私物を整理するダフネは、すっとトレイシーに向き直った。
「……なぜ……私のノートに追跡のルーンが刻まれているのかしら?」
「…………」
トレイシーは無言でダフネから後ずさった。
ダフネは無言のスペシアリス・レベリオとアパレシウム(出現呪文)によって、自分の私物に掛けられていた追跡用の呪いを暴き出していた。
「……貴女……ではないわね。どうせパンジーでしょう?貴方は会話をして、私の気を散らさせようとしたのかしらね。少しは頭を使えるようね」
トレイシーがすごすごと引き下がる。
ダフネにとって、避けては通れないかつての友がいた。
「使えない子ね」
トレイシーに対して一瞥もくれず、パンジーは高慢にダフネの前に腕を組んで立ち塞がった。その姿には、一昨日までのしょぼくれた雰囲気は欠片もない。パンジーは、己の……純血派閥の未来が開けたという勝利を確信した笑みを浮かべてダフネに勝ち誇ってきた。
「ねぇどんな気持ち?人生の敗けが確定した気分って。惨めよね~、これからの人生ずうっと負け組なんだから」
「あら、自分のことを言っているの?ドラコは貴女を置いて愛しい帝王様のところまで飛び去ってしまったわよ。貴女はドラコに相手にされなかったのね。御愁傷様」
(えっ……。……えっえっえっ?)
ミリセントはなんだコイツ、という目でダフネを見た。
ダフネの言葉はパンジーの態度を反射して返したものだ。それはパンジーに対する八つ当たりであった。
パンジーが内心で苛立ちをかかえていたのだとすれば、ダフネの苛立ちはパンジーなどの比較にはならないほど大きかった。目の前で、ダンブルドアを死なせたのだから。
「……!!」
「……呆れた。頭の弱いバカ女だと思っていたけど、ここまでとは思わなかったわ。気付いてる?いえ気付かないふりをして自分を誤魔化しているのよね?ダフネ……あんたは手持ちの預金を全解約して大損を出したってわかってるの?」
「……もういい、パンジー。あんた、そんな言葉で意味があると思う?」
見かねたミリセントはパンジーを引っ張ってさっさと出ようと促す。しかし、パンジーはダフネに魔法瓶を渡してきた。
「単刀直入に言うよ、ダフネ。……その薬を飲んで、ノットのところに駆け込みな。」
「ダンブルドアが死んで……光陣営に勝ちの目は無くなった。……でも一度与した陣営を変えるなんて真似、プライドの高い……というか、プライドしかない貴女には出来ないでしょう?……今すぐに薬を飲んで、薬のせいにして洗いざらい白状しなさいな。……貴女はよくやった。それでもういいじゃない」
その言葉は偽りなきパンジーの本心である。
「何も、死にに行くことないじゃないの……」
「……よくやってなどいないわ」
ダフネは虚勢を張って答えた。意地を通さなければならなかった。ここで折れれば、全てが終わるのだから。
ダフネはパンジーの影であった。パンジーに都合の悪いことを押し付け、じぶんはその取り巻きに過ぎなかったとしてハーマイオニーの側に立った裏切り者でもあった。だからこそ、光陣営に対する忠義立てだけは通さねばならなかった。
(……パンジー……)
ミリセントは、パンジーのことは内心で嫌いであった。あまりにも他人への攻撃性能が高すぎるカスだからだ。同じ寮で腐れ縁の馴染みでなければ、何回見捨てたかわからなかった。
しかしそんな魔女であっても、仲間への情だけはある。それが分かっていたからこそ、ミリセントはここでパンジーの側に立った。
「……もうポッターの魔法は解けたんだ。……帰ってきなよ……」
ミリセントは疲れた顔で言った。ずんぐりしたミリセントがダフネに対してここまで行動を起こしたのは初めてである。少なくとも誰か一人がいない時に悪口を言い合う時も、恋愛相談をして呆れられたときも、ここまで真剣な顔をしたことはなかった。
「…………皆が私にあわれみをかけてくれたことは忘れないわ。でも、もう二度と会うことはない」
「……人の厚意がどうして素直に受け取れないの、あんたは!」
「私はあんたに最後のチャンスをやったのよ!?あんた、一度でも他人のためにそうやって動いたことあるの!?」
ぐさり、とパンジーの言葉の刃がダフネに突き刺さる。
パンジーが曲がりなりにも監督生に選ばれ、そしてダフネやミリセント、他のスリザリン女子が選ばれなかった理由。
それはパンジーが(よくも悪くも)主体的に他者を気にかけ、気を配ってきたからである。でなければ監督生になどなれはしない。
ダフネもミリセントも自分のことで充分で、他人になにかを働きかけるようなタイプではなかった。
ダンブルドアやスネイプも見る目がなかったわけではないのだ。
「頼んだ覚えはないわっ!」
スリザリンの女子たちがここまで本音でのぶつかり合いをしたことはなかった。ミリセントはこんな最後の最後になってやることかと思いつつ、ダフネに言った。
「ダフネ。あんた自分は正義の味方ですって面して酔ってるみたいだけどね。ハリー・ポッターが自分の特権を投げ棄てたってことには気付いてんだろう?」
「ポッターはそれこそ何にでもなれた。スリザリンの英雄にもね。グリフィンドールに入っていればとかじゃなく、ダンブルドアに従ってへいこらしてれば。グレンジャーなんかよりもずっとダンブルドアに目をかけられていただろうさ」
「けど……ポッターは……人殺しになった」
ミリセントの言葉は事実である。それが覆せない重さを持っていた。
「誰が今のポッターに憧れるってのさ。デスイーターや帝王と変わらない……化物じゃないか。たとえポッターが勝ったとして。ポッターが何かの間違いで生きのこったとして……」
「あんたの夢は叶いっこないよ。化物は化物だ。いいように利用された後は要らなくなったら放置される。それだけさ。英雄になんかなれない」
ミリセントの言葉は、無力なスリザリン生の本音であった。
「……いい迷惑なんだ。スリザリンに入ったからって、そういう家だからって。皆が皆純血主義に染まれるわけでも、正義のために振りきれるわけでもない。極端なんだよ」
「……言いたいことは、それだけかしら」
太ったミリセントの視線には、パンジーのような蔑みの色はない。
あるのはダフネとハリーに対しての哀れみだ。それがダフネの心を打ちのめした。
スリザリンのためになる、と信じて動いてきた。
しかし、今この場に居るスリザリン生からは、人殺しの狂人としか思われていない。当たり前の話だが、人は自分を殺せるような人間とはお近づきにはなりたくないのだ。
ダフネは、ハリーの背中に乗って高く飛んではいた。
が、ハリーの軌道を修正させたことはない。
それどころか、むしろ闇の道を肯定さえした。そうでなければ、自分の立場が無いと思ったからだ。
ヒーラ-としての道を歩む傍らでハリーに師事して闇の魔術を覚えた。ハリーが闇の魔術を使おうとも、それを責めはしなかった。
闇の魔法使いを父親に持つ女を誰が愛してくれるだろうかという恐怖心が絶えずダフネの心にあった。
「……正直ね。まともなヤツがトップに立ってくれる分には何の問題もないんだ。ガーフィールとか、セルウィン先輩みたくたく波風立てずにいてくれてればそれで良かったんだよ」
「……手遅れになってから言ったって遅いんだけど、ね。」
「本当に大切な人間に殺しなんてさせるわけないじゃないか。ポッターはあんたのことを愛していないし、光陣営だってそうだ。もちろん闇陣営だって……あんたを大切に扱ってくれるわけもないけど……」
「……グリーングラス家にだって名誉はあるもの。あんたが薬のせいで全部吐いたとなればあんた個人の義理は果たせるし……帝王様もあんたを処刑まではしない。一生日陰者だろうけど、命だけは助けて貰える。それを……」
「……もう結構よ」
「私が自分で決めたことを翻すような人間だと思っていたなら、大間違いだわ」
「…………」
ダフネは自分のトランクを引き寄せた。3人の側にはもう戻らない。いや、戻さない。
ホグワーツ列車の中で、それを棄てるために。
(……盗聴や追跡用の魔法をかけた、という可能性はあるわね……)
ダフネがパンジーの立場なら迷わずそうするだろう。ダフネは知らずして本拠地の位置を闇陣営に明かしてしまう、無自覚のスパイとなる。
無論、そうならないようにシリウスなりマッドアイなりがトランクの中身を改めてくれるに違いない。しかし、今後のことを思えばリスクは避けておくべきだった。
スリザリンの女子たちは、友達だった一人の魔女の背中を見送ることになった。トレイシーだけは、何も言うことは出来なかった。
曲がりなりにも自分なりの善意で動いていた二人とは違い、トレイシーは明確に自分の意志でハリーを売った自覚があったからである。
***
「……これ……」
「知るかっ!」
パンジーはダフネが置き忘れた鞄を足で踏みつけた。
「…………間違ってない。私達は間違ってなんかないんだから……!!」
自分の選んだ道の正しさを証明するために、パンジー・パーキンソンもまた闘志を燃やしていた。
(頼むから……頼むから要らんことはするなよ……)
ミリセントは胃の痛みを堪えながらさっさとホグワーツ特急に向かった。これ以上ダフネのことを考えるだけ無駄であった。十中八九死んでしまうかつての友よりも、己の身を優先すべきであった。
この日、ミリセントは親友を止めなかったことを死ぬほど後悔することになる。
***
『わかってくれ、アスク。君を連れてはいけないんだ』
ハリーはホグワーツ特急に乗る前に、ハグリッドの小屋を訪れていた。ハグリッドの小屋に集まったのはハリーだけではない。ハーマイオニー、アズラエル。その後ろに背が高いロンやザビニが続く。
『オレを……置いてくのか?連れてけよ』
『出来ないんだ。僕にはもうできない。わかってくれ』
わかる、もなにもない。飼い主がその役割を放棄するというのはあってはならないことだ。
『……オレを……話し相手もいねぇところに置いてこうってんだな。おまえはいいよいつでもどこでも話せるんだからな……』
アスクレピオスの言葉は尋常ではなかった。ハリーは良心と葛藤を振り切って別れなくてはならなかった。
『こうするのが、君にとって一番なんだ』
「……頼むよ、ハグリッド」
そしてハリーは、魔法を知った日に生まれた友と決別した。ハグリッドの腕にケースをそっと渡し、振り返らずに歩いた。
『……俺以外にもな……お前には友達は居るだろうさ。でも、俺といつでも対等に話せるヒトはお前だけなんだよ……』
蛇の呟きを聞き届けられるものは、もう誰もいなかった。
これにて六年目、セブルス・スネイプ編は終了です。
光陣営が闇の魔法で人を殺しまくる子供を道具として使うとか……
本当に原作ダンブルドアとファンタビダンブルドア、原作魔法省そして不死鳥の騎士団に対する侮辱でしかありませんね。アンチ・ヘイト作品に相応しい原作崩壊です。
しかしこの二次創作内だとダンブルドアも余命的にもうこれしかなかったのです。ごめんなさい。