公衆の面前で差別発言するドラコがシーカーで
公衆の面前でディメンターの仮装をするドラコが監督生
になれる時点で他所の寮生と揉めてて素行不良でも寮の仲間と仲がよくて勉強ができて歴史のある家なら良いんだと思います。
まぁグリフィンドールも二巻で法律違反したロンが監督生になれてるしスリザリンのことを悪く言えませんが。
ハリーが暖炉の火を潜ると、むせ返るような煙の香りがした。ハリーはじっと目を瞑り、アスクレピオスのケースを抱えて視界が歪む感覚を耐えた。
何秒ほどそうしていただろうか、ハリーの頭の中に平衡感覚が戻ってきた。ハリーはアスクレピオスと共にそっと目を開けた。
「それで?」
ハリーの耳に、よく覚えのあるねっとりとした声が響いてきた。ハリーは背を正してスネイプ教授に向き直った。
「特別扱いここに極まれりというわけか?お早い到着だなポッター?」
スネイプ教授はスリザリンの寮監であり、ハリーの面倒を見る立場にある教授である。しかしハリーは、この教授ととことん相性が悪かった。ハリー自身は自分の規則違反が原因だと半ば諦めているが、この教授がハリーに加点したことはなかった。
「お久しぶりですスネイプ教授。相変わらずお元気そうでー」
「元気なものか」
スネイプ教授は吐き捨てるように言った。
「ホグワーツの暖炉を一学生のために解放するなど本来はあってはならないことだ。君は我が身可愛さに保護者の権力を用いて特別扱いを受けたというわけだな?どんな気持ちだ、ポッター?」
これはあんまりな物言いだった。あの場面でハリーに何ができたと言うのだろうか。シリウスはハリーが狙われている可能性を考慮して、他の生徒に危害が加わらないようにハリーだけ先に入城させたかもしれないのに。
ハリーがアズラエルと練習した閉心術を実践する時がやってきた。ハリーはスネイプ教授の目を見て、背筋を正して静かに言った。
「先生の仰る通りです。僕もあそこで待機して、他の生徒と一緒にホグワーツに来るべきでした」
「誰が君の発言を許可した?」
スネイプ教授はハリーの目を一瞥するとそう言って唾をはいた。
「すみません、スネイプ教授」
ハリーはしまったと思った。
(次はもっといい言葉を言わないと)
「寮の部屋に荷物を置いてきたまえ。他の生徒は、本来の予定より三十分遅れてやってくる……それまで、部屋の中で大人しくするのだな。勝手な行動をして指示を無視するようなら、私が君を退学にしてやる」
スネイプ教授の物言いは、ハリーがホグワーツに帰ってきたのだということを実感させるには充分だった。ロンに言わせれば、『人生というものはそうそう自分に都合よくできていない』ということだ。ハリーはスネイプ教授の言いつけを守ろうと部屋に入り、ホグワーツの中で宴が始まるのを待った。
(もっと食べ物を持ってくればよかったな……)
ハリーは少し空腹を我慢していた。
ハリーの食事といえば自分で作った卵とハムのサンドイッチ程度で、夜まではかなり時間があった。ハリーは友人たちが今頃ホグワーツ特急の中で楽しく軽食をつまんで、とりとめのない会話をしていることを羨ましく思いながら、朝の一件の犯人について考えた。
(もしもドビーだったとして……ドビーが捕まったらどうなるんだろう。犯人がドビーでなければいいんだけど……)
ハリーはザビニやロンから、魔法使いは罪を犯すとアズカバンという監獄に入れられるのだと聞いていた。絶海の孤島で怪物に囲まれて過ごすという刑罰を犯人が受ければ、確かにハリーの気持ちも晴れる。今回は前回よりももっと大勢の魔法使いに迷惑をかけているので、犯人はひどい罰を受けることは間違いない。だがもしも犯人がドビーだったとしたら、ハリーを助けようとして……つまり自分のせいでそんな目に遭うことになるのではないだろうかとハリーは思った。
『これって僕のせい?』
そんな自分の考えをアスクレピオスに言うと、アスクレピオスは呆れた様子でハリーに語った。
『捕まらなかったらもっと酷いことになるかもしれねえだろう。でも、捕まればハリーにはもう迷惑がかからねえだろう。ほっとけほっとけ。お前は被害者だ』
『……そうだね。アスクレピオスの言う通りだ』
ハリーはシリウスに、ドビーというハウスエルフに邪魔されていたことを話していた。魔法省の職員であるスミルノフ氏にもその話は伝わっている。そのうちドビーか、それともドビー以外の何者かを捕まえてくれるはずだ。それが捕まったとして、ハリーのせいではない。散々規則違反をしているハリーではあるが、今回の件に関しては間違いなく被害者なのだ。犯人の心配より、自分のホグワーツでの生活について心配すべきだった。
ハリーは部屋の中で、浮遊呪文や変身呪文を試して暇を潰しながら過ごした。シリウスの指導のお陰か、夏休み前よりも呪文の効きが良いような気がした。
***
『じゃあ、祭りに行ってくるねアスク』
『楽しんでこいよ』
パーティーの開始時刻が近づくと、ハリーはそっと部屋を抜け出してスリザリンの談話室からホグワーツの大広間に向かった。ホグワーツ城の内部を歩きながら、ハリーは大広間に向かった。
大広間ではそれぞれの寮の生徒たちが席につこうとしていた。ハリーは周囲の視線がハリーに集まるのを感じながら、急いでスリザリン生たちの列に紛れ込んだ。
「ハリー!?お前今までどこに居たんだよ!探したのに!」
ザビニは心配させやがってとハリーをこづいた。
「グレンジャーやウィーズリーも心配してましたよ。君がまた変なことに巻き込まれたんじゃないかってね」
「ごめんごめん。ちょっと道に迷っちゃってね……」
ハリーは冗談を言いながら、アズラエルとファルカスの間の席についた。スリザリンのテーブルは他の寮生たちのテーブルよりも生徒の数が少なく、ハリーたちは簡単に居場所を確保できた。ハリーがドラコに手を振ると、ドラコは少し笑ったように見えた。
「でも、無事で良かったね。僕たち、ハリーが間に合わなくなるか心配だったんだよ」
「皆は大丈夫だったんだね」
「入り口が通れるようになるまでホグワーツ特急を止めてくれてたんです。ちょっとした渋滞にはなりましたけど、魔法省の役人が隠蔽したので大丈夫でしょう」
「やっぱり騒ぎになったんだ……犯人は見つかった?」
「見つかったら明日の日刊予言者新聞に載るでしょうね。早く見つかってくれることを祈りますよ」
「おい、ハグリッドがやって来たぞ」
ザビニが笑顔でハグリッドと、ハグリッドに率いられた新一年生を指さした。ハリーは新一年生の姿を見ながら、一年前の自分を思い返していた。自分が望み通りの寮に入れるか不安だったが、新一年生たちも不安げにハリーたち上級生を見回していた。一年生のなかの小柄な男子が、はじめて魔法をみたかのようにはしゃぎ回ってマクゴナガル教授に注意されていた。
(あの子はマグル生まれかな……)
一年前のハリーやハーマイオニーも、あんな感じだったなとハリーは思った。魔法が楽しくて楽しくて仕方がないのだ。ハリーにはその気持ちがよく分かった。
ハリーはその子がスリザリンの生徒に目をつけられないか心配だったが、口には出さなかった。
組分けの儀式は粛々と進んでいった。アボットやバルトなどの姓を持つ子供たちが組分けされていく。アボットはハッフルパフの新監督生であるバナナージ·ビストに歓迎されていた。グリフィンドールの新監督生であるガエリオ·ジュリスは、自分の寮に入ったバルトという女生徒を大袈裟に囃し立てていた。
はじめてスリザリンに組分けされるという栄誉を勝ち取ったのは、イーライ·ブラウンという小柄でみすぼらしいブロンドの少年だった。彼は帽子を被って数秒とかからずに組分けされた。
ハリーたち四人は新しい仲間が増えたと喜んで拍手し、ブラウンを迎え入れた。ドラコはブラウンの服が小汚ないと文句を言いかけて、監督生のマクギリス·カローにたしなめられていた。
「仲間に対してそんな言い方をするものではないよ、ドラコ。ブラウン、スリザリンへの入学おめでとう。スリザリンに選ばれたからには君は間違いなく純血の魔法使いだ。これからは高貴な寮に選ばれたという自覚と誇りを持って、寮の仲間として勉学に励んでくれ。大丈夫だ。純血主義はいつでも君の味方だよ」
カローは純血主義の過激派で、他所の寮生、特にグリフィンドールの生徒と度々揉め事を起こしていた。カローは自分で、僕は勉強が苦手だと公言していたこともあった。
(……いい人なんだけど、監督生があの人で大丈夫かな?)
ハリーはチラリとカローの隣に座っていた女子監督生を見た。カローやマーセナスと親しかった女生徒が監督生のバッジをつけているのを見て、今年も他所の寮生と揉めそうだなと何となく察した。彼女は勉強はできるようだったが、他所の寮生と揉めそうなカローやマーセナスを止めたという話は聞かない。
組分けの儀式において、今年一番受けた拍手が少なかった生徒はルーナ·ラブグッドだった。ライオンの帽子を被った彼女のファッションセンスはハリーから見ても独特で、個性的過ぎた。個人主義を信条とするレイブンクロー生ではあるが、その見た目は知性的とは言えなかった。彼女がレイブンクロー生からあまり歓迎されていないのを察したハリーは、せめてもの情けにパラパラと拍手した。
マクゴナガル教授に注意されていた生徒は、コリン·クリーピーという名前だった。彼は十数秒組分け帽子を被った後で、グリフィンドールに組分けされ、大喜びでグリフィンドールのテーブルに走っていった。ハリーは隣の席のアズラエルが呟く声を聞いた。
「良かったですね。グリフィンドールならあの性格でも浮かないでしょう」
「そうだね」
(……いや、それはどうなんだろう?)
ハリーは反射的に相槌をうったが、去年ハーマイオニーが孤立していたことを思い出した。寮に向いた性格であっても、それが行きすぎれば孤立することはあるのではないだろうか。
(……ハーマイオニーとか、グリフィンドールの監督生なら何とかするかな)
ハリーはグリフィンドールの良心に期待することにした。その期待が裏切られることを、ハリーはまだ知らない。
組分けされる人数は徐々に少なくなっていった。一人また一人と生徒が呼ばれ、スリザリンに呼ばれた生徒にハリーは大きく拍手をし、後輩たちにおめでとうと言った。ハリーがスリザリンにいることに目を丸くする後輩が多かった。その中にはアズラエルのパーティーで見かけた子もいた。
「僕、ハリーはグリフィンドールだと思ってました」
「よく言われるよ。でも僕はスリザリン生だよ。一番好きなものも蛇だしね」
ハリーは後輩の男子生徒ににっこりと笑いかけた。その後輩はロウルという姓の痘痕面の子供だった。
最後に組分け帽子を被ったのは、ロンの妹であるジニー·ウィーズリーだった。ハリーはガフガリオンがこう言うのを聞いた。
「お、ウィーズリーだな。お前ら見とけよ?ウィーズリーはどいつもこいつも秒でグリフィンドールに行くからな。ホグワーツ名物だ。『グリフィンドールには一人は必ずウィーズリーがいると思え』ってな。」
しかし、ガフガリオンの予想を覆し、組分け帽子は判断を迷っているようだった。組分けにかかった時間は三分を超え、四分目に突入していた。
「一体どうしたんだろう……?」
「あれ、ハットストールって言うらしいぜ」
ザビニが言った。
「複数の寮に選ばれる才能があるやつは、帽子も判断に迷うらしい。ウィーズリーなのに珍しいよな、あいつ」
「希望する寮に行ければ良いけどね……」
ハリーはロンたちが何だかんだで妹を愛していることを察して気をもんだ。これで他の寮であれば、兄たちは妹が心配で夜も眠れないだろう。
(……たぶん、グリフィンドールに入れってのは本人からしたら余計なお世話なんだろうな)
ハリーは、ジニーが自分の希望する寮に行けることを望んだ。
ハリーたちの心配をよそに、組分け帽子はグリフィンドールを宣言した。ジニーは耳まで真っ赤になりながら、双子やロンやハーマイオニーに入寮を祝福されていた。ハリーもスリザリン生たちも、拍手してそれを見送った。
組分けが終わったあと、新しく防衛術の教師に就任したロックハート先生は、なんと自分の顔の形をした華麗な花火をあげて新入生たちを祝福した。スネイプ教授に限らず、マクゴナガル教授やスプラウト教授をはじめとした大勢の教授がロックハート先生に白い目を向けていたが、新入生たちやダンブルドア校長先生はそんなロックハート先生を面白そうに笑って見ていた。ハリーは何て命知らずな先生だと思った。
(もしかしてロックハート先生は、グリフィンドール出身なのかな?)
ハリーはロックハートが勇気と無謀を勘違いした、悪い意味でのグリフィンドール出身者なのではないかと思った。
***
ロックハート先生の一幕のあと、ダンブルドアは咳をひとつしただけで場の雰囲気を落ち着かせた。ダンブルドアには威厳と、そして好好爺らしい茶目っ気があった。
ハリーは壇上に立ったダンブルドアの鮮やかな青い目を見ながらダンブルドアに対する怒りを燃やしていた。マグルの世界にハリーを閉じ込めながら、ダンブルドアはハリーがどんな目に遭っているかも知らずに放置していた。ダンブルドアに対する怒りは、夏休みにダーズリー家の虐待を受けたことでますます深くなっていた。
(別にダンブルドアのせいじゃあないけど。もう少し僕のことを気にかけてくれていればダーズリーもあそこまでしなかったんじゃ……)
ハリーの中にはダンブルドアへの敬意はあったが、敵意も間違いなく渦巻いていた。
ハリーはいつかダンブルドアを超える魔法使いになってみせると思いながらダンブルドアの言葉を聞いた。
(いつか……錬金術を覚えて、命の水だって作ってみせるぞ。ダンブルドアを超えるんだ)
ダンブルドアはそんなハリーの方を見て微笑んだような気がした。少なくともハリーにはそう見えた。ダンブルドアは茶目っ気たっぷりに言った。
「何はともあれ……食え!話はその後だ!」
宴の開始と同時に、ハリーはドラコと並んでスリザリンの新入生たちと挨拶を交わした。
ハリーは有名人、ドラコは魔法界一の金持ちだったので、名家の子供だという新入生は特にハリーと話したがった。ハリーは食事をそっちのけで新入生たちの家を誉めたり、励ましたりする作業に勤しんだ。シリウスについて聞きたがる子も多かった。そうこうしているうちに宴は終わってしまった。結局宴が全部終わった後で、寮の部屋でファルカスが取っておいた食べ物をつまむことになった。
「今年は平和な一年になるでしょうかね?」
部屋の中で、アズラエルがそう呟いた。アズラエルは少し不安そうだった。
「賢者の石は無いんだろ?だったら大丈夫じゃねえの?」
「そうそう何度も、学校で事件なんて起きないよ」
楽観論を言うザビニやファルカスに対して、ハリーはそこまで楽観的ではなかった。
「夏休みの間にも散々不思議なことがあったからね。今年が平和になるとは思えないよ。だけどどんな試練があったとしても」
ハリーはチキンにかじりつきながら言った。
「必ず乗り越えてみせるよ」
そして、ハリーにはいきなり試練が襲いかかった。翌日の日刊予言者新聞には、電車を止めた犯人の名前はなかった。代わりにあったのは、ロンの父親であるアーサー·ウィーズリーが、自分の持っていた車に不適切な魔法をかけていたというニュースだった。
ハリーはロンのために、ロンがスリザリンの生徒たちから虐められないように立ち回らなければならなかった。
(朗報)スネイプ教授、今回は本物だった。