ハリーの夏休みは、シリウスの家での魔法の鍛練と、プロテゴ·ホリビリス(悪しきものから護れ)をかけた空間内でのクィディッチの練習によって過ぎていった。クィディッチの練習は、セドリック·ディゴリーやザカリアス·スミスといったハッフルパフの選手たちと一緒だ。ハリーのようによその寮の生徒はまばらだった。数少ないハッフルパフ以外の生徒はチョウ·チャンやアンジェリーナ·ジョンといったクィディッチチームの関係者でセドリックの友人だったり、家が近いという理由で参加していた。
ハリーはこの集まりに参加する予定ではなかった。エイドリアン·ピュシーやドラコ、キャプテンのフリントたちと合同練習をするはずだったのだが、フリントはルシウス·マルフォイ氏が嫌がっていることを理由に練習を断念し、個人練習を徹底するようにと手紙を送ってきた。
『アントニン·ドロホフの記事は読んだな?ルシウス氏はドラコの安全を最優先させたいとお達しだ。ドロホフは今、ルシウス氏やドラコの命を狙っているかもしれないからな。合同練習が無いからってサボるんじゃないぞ。ホグワーツで下手くそになっていたら、レギュラーの座は無いと思え』
ハリーはレギュラーの座を明け渡すつもりはなかった。そこでシリウスに相談したところ、セドリックたちの練習に混ぜてもらえることになったのだ。
セドリックはハッフルパフチームのチェイサーで、ハリーから見て最も優れた飛び手の一人だった。ハッフルパフ対スリザリンの試合では、性能に劣るクイーンスイープを駆りながら、スリザリンチームのニンバス相手に上手く立ち回り得点を重ねていた。
セドリックがハリーを練習に混ぜてくれたのは、何も純粋な好意からだけではないだろうとハリーは思った。ハリーがセドリックを観察して技を盗んだり、プロの使っていた技を試したように、セドリックもハリーを観察して癖を見抜いているに違いないとハリーは思っていた。
あえて敵に自分の手の内を晒すリスクを考慮しても、セドリックと合同練習する意味はあった。スリザリン·クィディッチチームのチェイサー選抜は今年も行われる。ハリーはフリントやピュシー、ワリントン、それ以外の野心家のチェイサー志望者たちとポジションをかけて争わなくてはならない。ハッフルパフ生相手に技を盗まれる心配をするより、まずは自分の技量を磨いておく必要があった。
「やっぱりクィディッチの練習が出来るのはいいですね」
ハリーは笑顔で長身かつ黒髪の青年、セドリック·ディゴリーに笑いかけた。シリウスとは異なるしっとりとした黒髪と、シリウスよりも人の良さそうな笑みを絶やさないこの青年が怒ったところをハリーは見たことがない。
そんなセドリックはハリーに対しても、他のハッフルパフ生相手と同じように接してくれた。
「ここは人っけもないしね。ポッター、ザク、次は別チームで模擬戦だ。暑いからって手を抜くなよ。勝ったらフローリアン·フォーテスキューの店でアイスを奢ってやるから頑張れ」
「はい!」
「……うす」
ハリーは集まったハッフルパフ生徒たちから好意的に迎え入れられた訳ではなかった。特に、ザクと呼ばれたハッフルパフ生、ザカリアス·スミスはハリーとはあまり話をしようとはしなかった。ハリーはそれを責める権利などなかった。ハリー自身、何度も規則違反を繰り返しているし、真っ当に勤勉で誠実であることをよしとする生徒からすれば、自分が不良であるという自覚はあった。
その代わり、集まった選手たちとはプレーで会話した。
ザカリアスは自分が思っているほどには優秀ではなく、特にパスを投げる前に腕を大きくふる癖があった。ハリーはあえてザカリアスにボールを集めるように仕向け、ザカリアスからのパスをカットして何回かゴールを決めることに成功した。
「ポッター……」
ザカリアスが不満げな顔でハリーを見てくる。やっと話したな、とハリーは思った。
「えげつねープレーしてんなハリー。いじめか?」
そう呟くのは、端正な顔立ちの黒人の少年。ハリーの親友の一人、ブレーズ·ザビニだ。ザビニはユルゲン·スミルノフ氏の判断で、現在ユルゲン氏の家に居候していた。ザビニはハリー経由ではなく、ユルゲン氏の息子のアンドレイ経由でこの練習に参加していた。
「審判!今のプレーはオフサイドじゃないのか?」
「ルール上問題はありません。プレーを続行してください、スミス」
ユルゲン氏の息子でレイブンクロー生のアンドレイは、笛を持ちながら審判役として試合を俯瞰していた。その後も、ハリーはザビニやハッフルパフ生と組んで試合形式の練習に明け暮れた。
「ヘイパス、パース!!」
ハリーは絶好の位置でザビニからクァッフルを受け取ると、レイブンクロー生のチョウ·チャンのディフェンスを掻い潜ってゴールポストにクァッフルを投げ込む。クァッフルはくるくると宙を舞いながら、金色の枠すれすれにあたり、運良く枠を潜り抜けた。チョウの顔が悔しさで滲む。彼女もクィディッチにかける情熱は凄まじく、ハッフルパフ生たちの集まりであるにも関わらず参加を申し出たらしい。彼女はクラスでも一番と評判の美人だったが、何よりもそのクィディッチにかける熱意がハリーは好きだった。
レイブンクロークィディッチチームのレギュラーたるチョウは、男子相手にも物怖じせずに果敢にプレーした。ハリーがキーパー役のとき三本ものシュートをハリーから奪って雪辱を果たした。
ひとしきり飛び回ったクィディッチ愛好家たちは、三時の休憩のために地面に降りた。ハリーはザビニと共に、大樹の影でレモンティーを飲んだ。
「見ろよ、ハリー。セドリックはモテモテだぜ。セドリックはな」
ザビニが顎でセドリックのいるところを指した。チョウ·チャンがセドリックのところに駆け寄って、自分の持参した紅茶を渡していた。
「そりゃあそうだよ。セドリックを嫌いな奴なんて居ないだろ」
ハリーは微かな胸の痛みを抑えながらそう言った。セドリックとチョウは、チョウがセドリックから見て小さいというところを除けばとてもお似合いだった。チョウが連れてきた女子友達やザカリアスたちはひとしきり笑いあった後に集まって、ぱしゃぱしゃと集合写真を撮影していた。
(こうして見ると似合ってるなあ。あの二人は……)
チョウ·チャンもセドリック·ディゴリーも、スリザリン生のような嫌われガチな生徒とは違ってクラスの中心になれるような華やかさがあった。
二人と比べ、ハリーは冷静に自分の能力を評価していた。チョウより歳上で長身かつ優等生なセドリックと違って、ハリーはセドリックより二回りほど小柄で、眼鏡で、おまけにチョウよりも年下だった。もっと言えば、チョウとはまだまともに会話したこともない。この練習をきっかけに会話してハリーのことを知人として認識してもらえるかどうかから始める必要があるだろう。
「ひるがえってこっちは俺とオメーだけか。人望の差を感じるな?」
「ザビニも向こうに混ざりたい?」
ハリーはザビニにそう聞いたが、ザビニは首を横にふった。
「別に。今日ここに来たのは、今の俺の立ち位置を確認するためさ。あいつらと仲良くするためじゃねえ」
「仲良くしておいて損はないよ。いい人たちだし」
ハリーはそう言ったが、本音でもなかった。ザビニが馴染めるかどうかというより、彼らのなかに馴染む気がなさそうだと感じた。
「こっちがその気でも、向こうは仲良くなりたくはないだろうよ。俺と関わるだけ損だぜ」
ザビニが自分の母親が起こした事件のことを気にやんでいるのは明白だった。
「僕はもっと仲良くなりたいと思ってるけどね。秘密の部屋の時も一年生の時も、ザビニは僕を見捨てなかったじゃないか」
ハリーはそう言った。この場に集まったハッフルパフの選手たちが、ザビニの両親の出来事について気にしているのは一目瞭然だったから、今さら言わなくてもいいことだと思っていてもあえて口に出した。セドリックは平常心を保ちザビニに対しても他の生徒と同じように接していたが、ザカリアスのような普通の生徒たちにそれが出来ているかというと無理があった。
「ハリーと揉めなかったのは、そりゃあお前の性格が良かったとか、ましてや気に入ってたからとかじゃねえよ。同じ部屋に居たからだろ。同じ部屋のやつと喧嘩とか出来るかよめんどくせえ」
ザビニはタオルを肩にかけると、腕を組んでハリーに聞いた。
「あいつらがびびってるのは別にいい。でも、俺と関わるとお前もそういう……碌でもない奴だって思われるのはわかってんだろ」
「今さらだろ」
ハリーは取り合わなかったが、ザビニはそんなハリーに苛立ったようだった。
ザビニはチョウの方を指差した。
「あの子だって嫌うかもしれねえぞ。それでもいいのか?」
「そうだとしても、僕はザビニの方が大事だよ」
「……それがアホだって言ってんだよ。お前、やっと自分の力で人気者になれそうだったのに。全部パァだぞ?自分がどれだけ恵まれてるのか分かってんのか?」
ハリーはザビニが、ハリーの名誉というものを気にしてくれていることが嬉しかった。しかし、残念なことにハリーの名誉というものは、たとえハリーが守りたかったとしてもハリーの中では既に無くなっていた。
「……もう僕の人気なんてパーになってる。僕は人気者にはなれないよ、ザビニ」
「何でそう決めつけるんだよ?」
「ハーマイオニーたちに、僕の家族のことを知られたよ」
ザビニは怪訝な顔をした。
「……海に行ったときに、たまたまマグルの養父たちが居たんだ。僕が、あいつらにどういう扱いをされてきたのかはみんなが知ったと思う。取り繕おうとしたけど無理だった。まだ、みんなのヒーローで居たかったんだけどね」
ザビニは反射的にこう言葉を投げ掛けようとした。
「そんなもん、今さら気にしてどうす……」
だが、すんでのところで思い止まった。ハリーとザビニの抱えている問題は、あるいはザビニの方が重いだろう。だがその軽重はともかく、ハリーが自分と本質的には同じなのだとザビニは思った。
あまりにも、『普通』の枠の中で踏み留まることが出来ない。頑張っても、どこかで弾き出されてしまう。あの輪に戻ろうと頑張って走っても、どこかでつまづいてしまうのだと諦めかけている。
たとえそうだとしても、『普通』でいるために努力するのが『普通』の人なのだ。
しかし、ザビニもハリーも忠実さや誠実さを美徳とする『普通』の子供ではなかった。彼らは狡猾さをよしとするスリザリン生だった。『普通』に走ってもその枠に止まれないのならば、抜け道を探して、『普通』ではない『特別』な人間になろうとするのが、スリザリン生だった。
「……だから頼むよ。君のためじゃなくて、僕のために僕と友達で居てくれよ、ザビニ」
結局、ハリーは懇願するようにザビニにそう言った。ザビニはそんなハリーに呆れたような目を向けたが、やがて自分の紅茶を飲み干すと、木にもたれかかってタオルを顔にかけ、寝たふりをした。ハリーはザビニの隣で紅茶を飲みながら、体力の回復に努めた。
ザビニは練習中、何回かシュートチャンスこそあったものの得点できずにいた。キーパーが本職ではない相手に対してフリーでも得点できないというのは、チェイサー志望者にとっては致命的だった。
何より、ハリー自身もチェイサーのポジションをザビニに譲る気はなかった。たとえ親友であったとしても、選抜試験で敵対すれば蹴落とす覚悟はあった。ハリーに出来ることと言えば、ザビニがうまく行くようにセドリックの技術をザビニの前で披露することくらいだった。
三日にもおよぶ合宿練習の末に、ハリーもザビニも確実に技量が向上したという手応えがあった。合宿の後で、ザビニはハリーにこう言った。
「夏休みももう折り返しだけどよ……何か面白い話とかねーのかよ。暇すぎて死にそうだ」
こうしてハリーとザビニは、結局夏休みの残り期間をつるんで過ごした。ハリーが居候しているシリウスの家で遊ぶか、ザビニが居候しているユルゲン氏の家で遊ぶかして、たまにアズラエルとゴルフをしたりファルカスとクィディッチの練習をしたりして過ごした。
時折、ロンが送ってくるエジプトの写真を見て嫉妬心に駆られたり、ルナがネス湖のネッシーにまたがっている写真を見ながら、ハーマイオニーとハリーとザビニの三人で魔法界の図書館で調べものをしたりした。ハーマイオニーは、『最も強力な魔法薬』という書物の『フェリックス・フェリシス』や、『ポリジュース薬』を読み込んでその中身を暗記してしまったようだった。ハリーは薬品の理論と調合方法を理解するために、ハーマイオニーと違って参考書を探して三日ほど図書館に通わねばならなかった。
***
そんな平和な時間は、ある時唐突に終わりを迎えた。
「何で闇の魔術のノートがあんだよてめぇっ!」
ハリーが自分の部屋に隠していた闇の魔術に関する数式を、ある時ザビニが見つけたのだ。
「そりゃ俺も母親のこと黙ってたけどさぁ。お前の昔のどうでもいい話と釣り合うか?!つーかなんで新しい闇の魔術なんだよプロテゴだけじゃねぇのかよ!」
「じ、自衛のために学んでただけだよ……」
「いや……死体を動かす魔法は自衛にするには無理があるだろ。こんなもん存在しちゃいけねえよ、マジで。今すぐ焼くぞ」
「ちょっと待って、待てザビニ!!」
ザビニは闇の魔術の内容に激怒してハリーのノートを焼こうとし、ハリーとはじめて本気で喧嘩になりかけた。ハリーはノートを焼くという行為自体に嫌悪感があったものの、最終的にはザビニに任せて闇の魔術についての数式の部分を燃やさせた。遺体を操る闇の魔術があまりにも倫理的に不味いということは一切否定できなかったからだ。
「お前もう普通になれるんだからよ……こういういかがわしい魔法の勉強まですんのは止めといた方がいいぞ。俺の母親みたいな碌でもねえ大人になりたくなきゃ、マジでな」
ハリーがザビニに屈したのは、ザビニがとうとう母親まで持ち出して説得しようとしたからだった。ザビニの持っていたライターでノートに灯を灯し、メラメラと燃えていく数式を眺めながら、ハリーはなんとなしに呟いた。
「一応、インフェリ使いに対抗する知識は得られたよ。インフェリ相手なら炎を出すか、インフェリそのものを操り返せばいい」
「インセンディオでいいならインフェリを操れなくても出来るじゃねぇか。インフェリに対して闇の魔術で操り返すなんて回答、防衛術のテストでは零点だぜ」
「それでも、自分の身は守れる」
ザビニはハリーのその言葉は否定しなかった。ハリーはさらに言葉を続けた。
「まぁ、インフェリと遭遇することなんて無いと思うしないほうがいいけどさ。もしあの魔術を知っていたら、ご遺体を傷つけずに無力化出来るよ。一応だけど」
「あー言えばこう言うな、ホントに。お前ダームストラングに行った方が良かったんじゃねえか?」
「ダームストラング?」
「闇の魔術も、そこでは当たり前みたいに学ぶってユルゲンさんが言ってたぜ。だけどよ、お前はスリザリン生なんだからそこんとこ弁えとけよ?ファルカスの奴は必死でスリザリンの評判を良くしようとしてるってのに、お前が悪くしてどーすんだよ」
インフェリを操る闇の魔術は倫理的に最悪と言っていい魔法だが、別にその魔法を知らなくてもインセンディオ(燃やせ)で対抗はできる。ハリーは知的好奇心と、ドロホフに対する防衛本能に負けて知る必要の無い闇の魔術を理解してしまったのである。
既にハリーは、三種類もの闇の魔術を習得していた。これは三年生としては驚異的な早さである。
「でも、確かにザビニの言う通りだ。あの魔法の理論は荼毘に付して良かった。ありがとう」
ザビニと議論したものの、結局燃やされたことに異論はなかった。その魔術は残しておいていいものではなかった。ザビニにその理論が書かれたページを燃やしてもらったとき、心の荷が少し軽くなった気がした。
とはいえ、闇の魔術の理論は全てハリーの頭のなかに入っていて、既にファルカスにも報告済みだった。ハリーは、ザビニにはファルカスが闇の魔術に長けていることは言っていない。言わない方が良いこともこの世にはあると、分かりきっていたからだ。
完全に燃え尽きた数式部分を見て、ザビニは満足そうに笑った。そしてハリーに聞いた。
「ったく。今日はなんか疲れたから帰るぞ、俺は。ゲームする気分じゃなくなっちまった」
「じゃあまた明日。明日は何をする?TRPG?」
「いや……そう言う中で篭るやつじゃなくて外で何かやろうぜ」
「でも、クィディッチをやるには人数が足りないしね。図書館でも行く?」
「ん」
ハリーとザビニは腕を組んで考えた。ハリーは提案してみたものの、図書館に行く気はあまりしなかった。正直なところ、二人でやれるゲームの類いはやり尽くしていたし、夏休みの終盤でまた勉強と言う気分でもなかった。大体の勉強はやり尽くしたからだ。ザビニはふとノートの切れ端を見た。
「こういう、いかがわしい魔法を学ぶみてえな後ろ暗いようなことでもなくて。もう少し健全っつーか……正しいことがやりてえんだけどな。そんなことそうそう転がってねえよな」
「いや、それならシリウスから聞いたんだけど……」
ハリーはザビニに、シリウスから聞いたとある話を語った。ザビニの瞳に光が灯り、俄然乗り気になった。
***
次の日、ハリーはユルゲン氏の家でザビニと二人、暖炉の前に佇んでいた。ハリーの手には透明マント、ザビニの手には二人で透明マントを纏ったときに使う魔法の冷却材がある。これを使えば、八月の熱気であってもマントにくるまって快適に移動できるというわけだ。他にも簡単な変装グッズがあり、ハリーは瞳の色を青に変えてメガネを外し、ザビニは長髪材によって髪を長く伸ばしてドレッドヘアにしていた。
「さぁハリー。正しいことをしようぜ、正しいことを」
「ザビニ君がやる気なのは珍しいわね。行ってらっしゃいね、ザビニ君、ハリー君」
「うす」
「ありがとうございます、アンネローゼさん」
ユルゲン氏の娘のアンネローゼは魔法が使えず、魔法世界のことについてはあまり興味もないようだった。しかし彼女はそれでも構わず、ハリーやザビニを年下の友人として扱っていた。
「頑張って彼女を見つけてきたら、私にも紹介してね?お茶を用意して待ってるわよ」
「いや別にそういう訳じゃあ……」
「成功したら紹介します。行こうよザビニ」
モゴモゴと誤解を解こうとするザビニを尻目に、ハリーは暖炉にフルーパウダーを投げ込んだ。ゆらゆらと燃え盛る炎を眺めながら、ハリーとザビニは二人一緒に叫んでその炎に身を任せた。
「「ノクターン横丁!!」」
炎のなかに消えていくハリーたちを見送りながら、アンネローゼはプラチナブロンドの髪を撫でつつ感心したように呟いた。
「どうしてあんな方法で移動するのかしら……怖くないのかな、あの子達」
魔法使いの父親を持っていても、炎のなかに飛び込める神経はアンネローゼにはなかった。彼女は自宅に招いた自分の親友を待ちながら、テレビのスイッチを入れてソファーに寝そべった。
さぁ冒険だ