この二次創作では12科目は取ってないということにします。理由は本編でまた語ります。
それでもルーン文字は受講してるし、学年トップの成績です。オリキャラたちをのせるくらいに強いです。
優勝者であるパーシーは、フリットウィック教授から金色に輝くトロフィーを授与された。ホグワーツ主席であり、二度も決闘大会で優勝したグリフィンドール生として、パーシーの名前は語り継がれるのだろうかとハリーは思った。
それはハリーの勘違いだった。パーシーは自らそのチャンスをふいにしたのである。
フリットウィック教授から拡声(ソノーラス)マイクを受け取ったパーシーは真面目くさって演説をぶちかました。パーシーの長ったらしい演説を要約すれば、自分は天才ではない。皆も勉強すれば僕くらいにはなれるという、全く説得力のない内容だった。
(真面目なのはいいけど、真面目すぎるのもダメなんだな……)
ハリーは半ば呆れながら、周囲を見渡した。
バナナージ·ビスト先輩は天を仰いでいた。バナナージはよく、部員たちに向けて勉強の成果を発揮しようと言う。それは部の理念に則ったものではある。しかし、それを言うのは部長であるバナナージが、自分の意思でクラブへの参加を決めたファルカスやハリーに向けて言うからこそ受け入れられているのだ。スリリングな決闘を見て楽しもうという観客は、自由なクラブ活動で勉強なんてものをしたいとはこれっぽっちも思っていないだろう。
決闘クラブに加入しようという物好きは現れないだろうな、とハリーは思った。勉強という二文字が出たとたん、長い演説に付き合っていた観客たちは席を立ち始めた。
(だよね…)
ハリーは内心で観客たちに同意しながら、ガーフィールに問いかけた。
「ガーフィール先輩、パーシーさんの言ってることは無理がありますよね?流石に」
パーシーは自分を天才ではないと言ったが、ハリーにはとてもそうは見えなかった。変身術、呪文学、ルーンによる身体強化、そのどれもが高水準だ。ロンなどは、なんて嫌味な奴だと唾を吐いている。ちなみにパーシーの彼女であるペネロピー·クリアウォーターは、にやけながら身をよじらせていた。
「ああ~!!やっぱりパースはこうでないと!!最近らしくなかったから心配してたのよ~!!」
ハリーは何か見てはいけないものを見てしまったと思い、ペネロピーから視線を外してガーフィールの言葉に耳を傾けた。
「……あのクソマジメガネに才能がないって訳じゃねえ。あいつには昔から優秀な兄貴と、鬱陶しい弟どもに囲まれてきた分だけ、他の奴より経験値があった。それは間違いなく他人にはないものだ。天才に囲まれることだって才能と言ってもいい」
ロンの表情に暗い影が見えた。
「だが、あいつの家よりもいい環境のやつはごまんといる。いい家庭教師をつけてもらってたり、裕福だったりな」
アズラエルは同意するように頷いた。
「恵まれきってるって訳じゃねえのに成果を出せるってことは、あいつがその差を覆すくらい努力したってことだ。だからあんな台詞が言えるんだよ。自分くらい努力すればそうなれる?なろうとするアホは居ねぇんだよ」
ガーフィールがそこまで話してもまだパーシーの演説は続いていた。ハリーたちはパーシーにあきれつつ、ガーフィールの言葉を待った。
「だが、あいつの言葉も全部が間違いって訳じゃねえ。あいつはギフテッドじゃねえのは確かだ。単に環境に恵まれて、自分に出来るものを積み重ねて出来ねえものを努力で運良く乗り越えられて来た結果、才能によらない魔法を使えるようになっただけだからな。才能が必要な魔法は再現出来てねえから、才能がねえっていうクソメガネの言葉はまぁ……嘘じゃねぇ」
ガーフィールは顔に青筋を浮かべながら言った。ハリーはガーフィールが怒りを抑えているのが分かった。
(自分に勝った奴が天才じゃあないとか言い出したらなぁ……)
謙遜も限度を超えれば嫌味になる。ハリーだって、セドリックが自分は大したことがないと言い出したら後ろからボンバーダを撃ってその空っぽの頭を塵にしたくなるだろう。
「才能が必要な魔法と言うと、ハリーの蛇語みたいなものですか?」
ダフネがガーフィールに話しかけると、ガーフィールはああ、とそれを肯定した。
「あいつは、自分には真似できねえような才能がある訳じゃねえから皆も頑張れって言いたいだけなンだろうがな……それが出来るなら誰も苦労はしねえンだよ」
パーシーの言葉に真面目に耳を傾けたのは、おそらくセドリック·ディゴリーだけだった。セドリックは簡単な救護を受けたあと閉会式にも出席し、最前列で真剣にパーシーの言葉を聞いていた。
観客たちがパーシーに呆れてグラウンドを去る直前、演説を繰り広げるパーシーの手からソノーラスマイクが奪われた。ついでに、胸に輝く主席バッジはダンデリオンへと姿を変えた。
「……えっ!おい!?何をやってるんだお前たち!?閉会式の最中だぞ!」
エクスペリアームスでマイクを奪ったのは、フレッドとジョージ·ウィーズリーだった。彼ら双子は、箒に乗ってグラウンドを浮かび上がると、空高く花火を打ち上げながら驚く観客たちに向けてソノーラスマイクによって声を届けた。
「勉強なんていらねぇーっ!!!!」
フレッド·ウィーズリーが叫んだ。
「俺たち皆魔法使い!勉強嫌いのホグワーツ生なんだから、好きな魔法を思いっきり使ってハジケようぜーっ!!」
ジョージ·ウィーズリーが杖を掲げて笑いながらそう叫ぶと、マーカス·フリント、アンジェリーナ·ジョンソンをはじめとした上級生も、ルナやコリンをはじめとした下級生たちも杖を掲げて賛同した。リーマス·ルーピン教授は呆れと何かが入り交じったような表情で苦笑し、アルバス·ダンブルドア校長は隣にいたハグリッド先生やマクゴナガル副校長と共に朗らかに笑いながら花火を打ち上げた。フレッドとジョージはひょいひょいと花火をかわし、向日葵の花びらに変えて観客席に花吹雪を落とした。
「初心者大歓迎!今なら魔法使い放題!!興味を持ったら、フリットウィック教授かバナナージ先輩に声をかけてくれよーっ!!かっけぇパトロナスの使い方を教えてくれるぜーっ!」
「イェーっ!!」「さすがフレッドォ!!俺たちのこと良く分かってるぜぇっ!!」「お前らがホグワーツの裏番だーっ!!」「テメーら途中で負けたくせにいきってンじゃねー!!」
生徒たちの大喝采を浴びながら、フレッド·ウィーズリーとジョージ·ウィーズリーは人混みに揉まれていく。フレッドの手からマイクが奪われ、パーシーの手によってフリットウィック教授に返却されると、双子とパーシーの鬼ごっこが始まった。
「勉強なんかしてたら脳みそが腐るぜ!」
双子のどちらかが煽った。ハリーは双子と親しくないので、動き回っているとどちらがフレッドでどちらがジョージなのか判別できない。
「お前たちは五年生だろうがぁぁええっ!?一番勉強しなきゃいけないんだよぉっ!?分かってるのかぁ!」
「落ち着けよパース!主席バッジが泣いてるぜ!?」
「お前たちがやったんだろうがっ!?……僕はもうお前たちのために泣けないけどなぁっ!!OWLに落ちて母さんを泣かせたらどうするんだ!!ええ!?留年する金なんてうちには無いんだぞ!!」
観客たちは大爆笑に包まれた。決闘大会は、こうして大団円によって幕を閉じたのである。
「ホグワーツで一番面白いのは、間違いなくあの二人だね」
グラウンドを去るとき、ハリーはそう呟いた。ロンは誇らしそうに胸を張ったが、その髪の毛のように耳まで赤くなった。
***
決闘大会のあと、ハリーはルナとの約束を果たすため、ルナとコリンを率いてハグリッドのもとを訪れていた。
どうやらハグリッドの小屋には先客が訪れていたようだ。スリザリン生であることを示す緑色のローブを着た、小柄な生徒が二人。パトリック·ブルストロードとアストリア·グリーングラスが、ハグリッドの小屋から出てきた。アストリアはハリーを見て何か言おうとしたが、パトリックに止められた。ハリーはお互い見なかったことにしよう、とパトリックたちに言って、ハグリッドの小屋に入った。
「あの子たちもユニコーンを見にきたのかなぁ?ハリー、僕たちもユニコーンを見せてもらえる?ユニコーンが疲れて人前に出たくないとか、そういうことにならない?」
コリンは二人が去ったとたん、小柄な犬のようにハリーに捲し立てて聞いてきた。去年の一件から、コリンはスリザリン生の前では普段のゴシップ好きを抑制するようにとハリーは言い聞かせてきた。コリンもハリーの前では、スリザリン生にあれこれとものを聞いたりはしない。あくまでもハリーの前では。
「多分そうだろうね。パトリックは随分と嬉しそうだったよ」
ハグリッドはハリーたちに特製のロックケーキと、美味しい紅茶を出してくれた。ハリーは紅茶に口をつけるとロックケーキはそのままにして、ハグリッドのもてなしに喜んだ。
「ええ試合だったなあ、ハリー。お前さんはもう少しじゃった」
「まだまだだよ、ハグリッド。『もう少し』って言うには差がありすぎた。先輩たちの試合を見てそう思ったよ」
ハグリッドは黒曜石のような瞳を丸くして微笑ましくハリーを見ていたが、コリンはキラキラした瞳でハグリッドに自分の活躍についての印象を尋ねた。
「僕の!僕の試合はどうでしたか!?」
「コリンもええ飛びっぷりじゃった。俺ぁとんでもねえ魔法使いが出てきたと驚いたわい」
「えへへ、やった!」
ハグリッドに褒められたコリンは感動的な表情で自分のカメラを握りしめた。そのまま自分の顔を撮影しそうなコリンを面白そうに観察しながら、ルナはハグリッドにペコリとお辞儀をしてユニコーンを見せてとせがんだ。
「ハグリッド先生。もしまだユニコーンちゃんが元気なら、私たちにも見せてください」
ルナにしては真摯な頼みに、ハグリッドはええぞ、と頷いた。
「お前さんたちは運がええぞ。こいつは保護したユニコーンでな。そろそろ群れに返してやる予定だった」
ハグリッドが教室の机ほどの大きさのトランクを開くと、魔法の空間からユニコーンの赤子が飛び出してきた。純白に輝く体毛はパトロナスの銀色の光沢とはまた違った神々しさがあり、ユニコーンの澄みきった瞳はハリー、ルナ、そしてコリンの顔を見るや否やコリンに抱きついてきた。そのユニコーンは先日の授業で見たユニコーンの子供とはどうやら別個体で、小さいがよりパワフルであるように見えた。
「うわぁ、すっげえ!!……ねえ君、写真を撮ってみてもいい?」
コリンはユニコーンの子供をまるで猫のようにあやした。ユニコーンの子供は、コリンから角を撫でられて満足げに微笑んでいたが、カメラを見るとぷいとコリンから顔をそらした。
「あっ、ウソウソ。嘘だよ、君が嫌なら絶対に撮らないって約束する。でも、僕たちの言葉が分かるんだ……!!スッゴく賢いんだ、ユニコーンって!!」
感動を言葉にして表現するコリンに対して、コリンとは対照的に、ユニコーンの子供を目撃したルナは感動のあまり言葉も出ないほどに喜んでいる。頑張った二人へのご褒美ができたとハリーは内心でほっとした。ザビニとハグリッドのお陰で、少しは先輩らしいことができたようだ。
「そうみたいだね。ハグリッドが教えたの?」
ハリーが聞くと、ハグリッドはああ、と頷いた。
「ユニコーンに限らず、魔法生物は魔法のお陰か、子供の頃から人の近くにおると人の言葉を覚えてくれる。もちろん個体差はあるし、完璧ではねえが。この森には賢い個体も多くてな。このユニコーンのダグザや、アラゴグもー」
そこまで言ってから、ハグリッドは咳払いした。ハリーはどうやら前にもハグリッドはユニコーンを保護したんだなと思い深く追及しなかった。
「まぁとにかく、話しかけてやってくれ。人の側で育ったユニコーンは、群れに帰ったあと人の言葉を群れの仲間に伝える。そんで密猟者やならず者から逃げるために群れを強くしてくれるんじゃ」
「密猟……そうか、二年前にあんなことがあったもんね……」
ハリーは二年前にユニコーンが殺害された事件を思い出した。下手人は闇の帝王の配下となったクィレル教授で、彼はユニコーンの生き血を啜って呪われたのだ。
「あれ以来ユニコーンを狙う不届きものは出てねえが、人間はろくでもねえことを考えるからなぁ。警戒しとくにこしたことはねえ」
ハグリッドの言葉に、ハリーは内心で頷いた。
(……確かにそうだ。『ユニコーンの生き血を吸った人間が呪われる』なら、生き血は暗殺用にも使える。ユニコーンの呪いを解呪する方法はまだ見つかっていないし)
ハリーはユニコーンの生き血を毒として用いるという手段を思い付いてしまった。クィレル教授ですら呪いに犯され、ダンブルドアの見立てで余命幾ばくもないところまで追い詰められたのだ。
(なんだか変な気分だなあ。道具になってる生き物がこんなに可愛いだなんて)
ユニコーンはその神聖さから魔法使いたちのほとんどに好かれているが、全身の魔法道具用素材としての価値の高さから常に魔法使いたちの道具として消費されている。実に矛盾の多い生物だった。いや、矛盾しているのはハリーたち魔法使いなのだろうか。
(……ま、どうでもいいか)
ハリーは考えるのをやめて、ユニコーンにそっと手を出してみた。
「ハロー、ダグザ。マイネームイズハリー。オーケー?」
ハリーは赤子に話しかけるようにぎこちなく手を差し出してユニコーンを撫でようとしたが、ユニコーンのダグザはルナやコリンとは違い、ハリーには懐かなかった。
(……やっぱり駄目か。僕が不純だから?手の出しかた?視線?)
ハリーは内心で歯痒く思いながら手を引っ込めた。純粋なユニコーンに好かれることは、どうやらハリーには難しいようだ。
ハリーはコリンとルナが満足するまで、ユニコーンにフリスビーを飛ばしたり、小屋の周囲を散歩させたりしてユニコーンを遊ばせた。ユニコーンは、ハリーに対する警戒体勢を解くことはなかった。
遊び終わったあと、ハリーはコリンとルナを先に帰らせた。
「しゃーない。コリンを送ってくねー」
「えっ!そこは僕が君を送るんじゃないの?一応男子だよ!?騎士道のグリフィンドール生だよ!?」
「だってレイブンクロー寮は塔の上だモン。グリフィンドールの方が近いじゃん」
「コリン、ルナについていって。レイブンクローの入り口のクイズが解けたなら、また魔法を教えてあげるから」
「……はいっ!やった、解くぞ~!」
「出来るかなー?」
漫才をしながら帰っていく二人を見送ったあと、ハリーはハグリッドへと向き直った。
「……ハグリッド。実は、僕は相談したいことがあってここに来たんだ。その、今日はもう遅いけど、話を聞いてもらってもいいかな……?」
「わしはハリーの頼みは断らんと決めとる。なんせ、お前さんはわしをアズカバンからホグワーツに戻してくれたんだからな。聞かせてくれ」
ハグリッドは、ハリーの相談を快く受け入れた。ハリーはハグリッドに自分の悩みを……ドラコと仲直りできていないことを打ち明けた。
「そうか、マルフォイとなぁ……」
「……ボガートにやり過ぎたことが原因なんだ。僕はボガートに……その、折檻をしてしまって」
「ボガートに?リディクラスで?一体どうして?」
ハグリッドは困惑していた。それはそうだろう。馬鹿馬鹿しいイメージがなぜ折檻になるのか、ハグリッドには理解しがたいだろう。
ハリーがハグリッドに相談した理由はそこだった。シリウスはハリーのボガートがバーノンであることを知っている。ハリーがマグルを、正確にはダーズリー家そのものを虐げたいと思っていることを、シリウスにだけは知られたくはなかった。
「……楽しめるイメージを思い浮かべていたらエスカレートして、つい」
ハリーが悩みを打ち明けられる大人は、ハグリッドしかいなかった。
シリウスとフルーパウダーで話をすれば、リディクラスの件だけではなく、ハリーが闇の魔術を使ったことも打ち明けなければならなくなる。ハグリッドならば、その詳細を聞かずとも曖昧にぼかして説明して誤魔化すことができる。そもそも、ハグリッドはハリーが闇の魔術を知っていることを知らないのだから。
自分の担任であるスネイプ教授は、ハリーのなかで相談の候補には上がらなかった。薬学教授としての腕を尊敬していても、こうした対人関係のトラブルで相談する相手ではなかった。ガーフィールやバナナージは他の生徒と近すぎて、悩みが漏れてしまうのではないかと思い打ち明けられなかった。
ハグリッドは自分を見捨てないだろう、というハリーの中の甘えがハグリッドに悩みを打ち明けるという行為に至らせた。初めて自分を救いだしてくれたハグリッドは、ハリーにとって無条件で信頼できる大人であり、ハリーにとってのヒーローだったのだ。
「ドラコは僕のリディクラスを見て、ひどく傷ついたんだ。僕が、昔最低な奴だと言った奴になったから」
「そりゃあマルフォイが悪い。緊急事態で気が動転しとったんだろう?その事をドラコに話したのか?」
ハリーはハグリッドの言葉に、いっそう罪悪感を感じた。気が動転してはいたが、ボガートを虐待するイメージ自体は、前日のルーピンとの訓練の時からあったからだ。
「うん。でも、駄目だったよ。ハグリッド、正直何を言えば、ドラコと仲直りできるのか分からない。ボガートを虐待して、楽しかったってことはもうどう言い逃れをしても取り消せない事実なんだ。決闘クラブに誘ってみたけど駄目だったし、クィディッチでも会話らしい会話は出来てない。もう仲直りなんて出来ないのかもしれない……」
ハグリッドはハリーの甘えを見抜きはしなかった。真剣にハリーと向き合い、ハリーをまず励ますための言葉をかけた。
「ハリー。わしは緊急事態での行動だけでそいつの人格が決まるとは思わんし、お前さんの取った行動が間違いだとは思わん」
「ハグリッド」
「ボガートっちゅうのは本当にろくでもねえ生き物だ」
この言葉は、モンスターやファンタスティックビーストへの愛に溢れるハグリッドらしくはなかった。ハグリッドは不器用ながら、ハリーを励ますための言葉を紡いだ。ハグリッドの背中に隠れていたユニコーンの子供のダグザは、ハリーのことをじっと観察して、ひと声鳴いた。
「そいつが恐れとることを、包み隠さずそのまんま出しちまう。もしもお前さんがその場におらんかったら、他の誰かの恐ろしいものに化けて脅かしとった筈だ」
「リディクラスはな……ここだけの話、実はわしも上手くねえ。習う前に退学になっちまったし、普段はボガートなんて出くわさねえからなぁ」
「あのボガートは突然変異だったみたいで、魔法を撃ってきたよ」
ハリーがそう言うと、ハグリッドはボガートを目撃できなかったことを残念がったが、ハリーたちが無事であったことを喜んだ。
「……そいつは……すげえことだ。ボガートの前に出て戦っただけで、お前さんは立派な魔法使いだ。リリーもジェームズもきっと、お前さんを誇りに思うよ。お前さんはもっと、自分に自信を持ってええ」
「……ありがとう、ハグリッド」
ハリーはハグリッドの言葉に甘えた。ハグリッドの言葉に励まされるように、甘ったるいロックケーキにかぶりつくと紅茶でケーキの表面を胃の中に流し込んだ。
一息ついてから、ハリーはドラコとどうすれば仲直りできるかハグリッドと話し合った。ハグリッドはハリーの千倍楽観的で、すぐに仲直りできる筈だと言った。
「あのマルフォイがそんなことを言えるようになるのは、本当に珍しいことだ。わしはマルフォイの父親も知っとるが、本当の友達と言える奴はおらんかった。お前さんたちは、本当に仲がええと思う」
「うん。でも、僕が変わらない限り仲良くはしてくれないんじゃないかな?」
「……お前さんとの会話の内容を聞く限り、マルフォイはお前さんと二人だけで話したいんじゃねえかとわしは思う。ただの勘だが。……二人だけで話す機会を作ってみるのはどうだ?周囲に人がおったら、話せんこともある」
「……そうだね。何人かに協力してもらえば、出来ないことはないと思う。ありがとう、ハグリッド」
ハリーは悩みながら、ドラコとの友情を取り戻すための策を練った。ハグリッドの小屋を去るとき、ケンタウロスのフィレンツェがハグリッドのもとを訪れていた。どうやらハグリッドの予定にもない来訪だったらしく、ハリーもハグリッドも驚いた。フィレンツェはハリーがここに居たことに何か運命的なものを感じ取ったのか、ハリーに微笑みかけてくれた。
「……これも、運命か。ハグリッド、連絡もなしに訪れた非礼を詫びたいが、今日は緊急の用件でここに来た。長老の占星術の結果を、ダンブルドアに伝えてほしい」
「……あの、僕はお暇します。ハグリッド、今日はありがとう」
ハリーは預言を聞く前に立ち去ろうとした。ケンタウロスの預言に対して、敬意を持ってのことである。
ハリーはそもそも預言を信じていない。占い学の授業の初っ端に、トレローニ教授から死の宣告を受けたからだ。預言を信じれば、ハリーは必ず近い将来に死ぬことになるので、占い学の信憑性を無視する方がハリーにとって都合がよかった。
しかし、ケンタウロスの預言を信じないというのは、わざわざ教えに来てくれたケンタウロスや使者であるフィレンツェに対して失礼だ。だから聞かずにその場を去ろうとしたのだが、フィレンツェはハリーに伝えることも私の使命なのだろうと言い、預言を告げた。
「『東の空の火星が明るい』『冥王星に輝きの兆しがある』。ダンブルドアに連絡を。この兆しはおそらく、吉兆ではないだろう」
ハリーは冥王という単語に、一人の魔法使いを想像した。それは闇の帝王と呼ばれる存在だ。ハリーがいつか殺したい相手であり、今世紀最大の闇の魔法使いとして恐れられる悪魔だった。
ギフテッドの例1……天然の開心術士(ファンタビのクイニーなど)。
ギフテッドの例2……魔法生物との混血(フリットウィック教授、ハグリッド先生、四年で登場予定の女性たちなどなど)。
上記の天才たちに比べたらパーシーはよくいる量産型の秀才に過ぎません。ちなみにパーシーの想定した天才はトムくんです。自分が凡人と思えてもしかたないね!