私、支持率0%の職業でゲームにログインします。   作:バスタオル

36 / 43
第34話 とある女の子と大男

アリシア「そ、そっか…じゃあみんな!やっつけるよ!」

 

ギア「…」

 

ドドドドドドドド!!

ギアが4本足で突撃してきた。

 

アリシア「ゲンブ!守って!氷首!ブレス!」

 

ガシャン!!

ゲンブは大盾を展開してアリシアを守った。

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

三つ首が召喚された。

 

氷首「ンバァァァァァァァァァッ!!」

 

ビュォォォォォォォォォ!!

氷首は容赦なく氷のブレスで攻撃した。

 

パキパキパキパキ!!

するとギアの足が凍った。

 

ギア「…」

 

グイッ!グイッ!

ギアは足を引っ張ったが、中々氷からは逃れられない。

 

アリシア「よしっ!メルさん!ラルクさん!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

鬼人族メイドのメルとラルクが召喚された。

 

メル「いきますよラルク!」

 

ラルク「うん!お姉ちゃん!」

 

メル「鬼神・壊!!」

ラルク「鬼神・覇!!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!

メルとラルクは鬼神の力を纏った。

 

メル「はぁっ!」

 

ボゴッ!!

メルはギアを攻撃した。その際、ギアの体に凹みができた。

 

ラルク「やぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴォン!!バキッ!

続けてラルクが攻撃する。ラルクの攻撃力が高いせいか、ギアが氷の拘束から逃れた。

 

ラルク「あっ!!ごめん!」

 

氷首「やるじゃねぇか!俺の氷が砕けたぞ!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン…ガシャン!ガシャン!

ギアは4本の足を使って体を起こした。ギアは氷の拘束から逃れたが、4本のうち1本の足にはまだ氷がついている。

 

ギア「…」

 

ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!

ギアは目からレーザーを撃ち始めた。

 

ツァイ「コン!あいつの足を壊すよ!」

 

コン「うん!」

 

ツァイ「神速剣!!」

コン「天翔る龍の一撃!!」

 

ビュン!

ツァイとコンはギアに接近した。

 

ユノ「天翼剣撃!!」

 

ズバッ!!

ユノがギアの足に攻撃した。

 

ギギッ…ドォン!

ギアの足がひとつ破壊された。

 

ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!

ギアはレーザーでユノを攻撃した。

 

ユノ「うぐっ!ぐっ!がはっ!」

 

ユノはギアの攻撃を受けてしまった。

 

ツァイ「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

コン「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴォン!!

ツァイとコンはギアの足に攻撃した。

 

ギギギッ…バゴォン!!

ギアの足が2つ破壊された。

 

ドォン!!

ギアは4つのうち3つの足を破壊されたため、バランスが悪く、その場に倒れた。

 

アリシア「やった!メルさん!鬼人乱舞!」

 

メル「はっ」

 

ガシッ!!

メルはギアの足を強く掴んだ。

 

メル「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

バゴォン!バゴォン!バゴォン!バゴォン!バゴォン!

メルはギアを振り回し始めた。ツァイたちは当たらないように離れた。

 

メル「ラルク!いくわよ!」

 

ラルク「うん!」

 

タッタッタッタッ!

ラルクはメルに接近した。

 

メル「はぁっ!」

 

ドゴォン!!

メルは最後にギアを地面に叩きつけた。

 

ラルク「鬼人穿撃!!」

 

ビュン!バゴォォォォォォォォォン!!

ラルクはタイミングよくギアを攻撃した。ラルクの蹴り技が強かったせいか、ギアは宙に飛ばされた。

 

ドォン!!

宙に飛ばされたギアはそのまま落ちてきた。

 

ラルク「よしっ!」

 

アリシア「ラルクすごいね!」

 

ラルク「はい!」

 

ギア「…」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!

突然ギアの体が赤くなり始めた。

 

アリシア「えっ、何?あれ」

 

ツァイ「!」

コン「!」

ユノ「!」

 

ツァイたちは見たことある反応を見せた。

 

ツァイ「アリシアさん!」

 

アリシア「え、はい!」

 

ツァイ「構えてください!また来ます!!」

 

アリシア「!!」

 

ジュワァァァァァァァ…

ギアの体が赤くなると同時に熱を帯び始めた。

 

アリシア「ゲンブ!」

 

ゲンブ「はいっ!」

 

ガシャン!!

ゲンブは大盾を構えた。

 

アリシア「出てきてミデル!ダイヤモンドダスト!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアはミデルを召喚した。

 

ミデル「ダイヤモンドダスト!!」

 

ビュォォォォォォォ!!

ミデルは吹雪を放った。その際氷の塊もギアの方へ飛んでいった。

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

氷の塊がギアに命中した。またミデルの攻撃によってどんどんギアの熱が冷め始めた。

 

ツァイ「おぉ!」

 

コン「なるほど…あの技は冷ませば収まるんだ…」

 

ユノ「私たちは冷ます手段がなかったから…」

 

ギギッ…ギギギッ…

ギアの動きが鈍くなった。

 

アリシア「ツァイさん!この後はどうすればいいですか!」

 

ツァイ「!!」

 

ギアはすっかり動かなくなっていた。しかしまだクリアでは無いのでトドメを刺さなければならない。

 

ツァイ「あいつの体の中央にコアがあるからそれを攻撃してください!!それが動力源です!!」

 

アリシア「分かりました!出てきてコハク!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアはコハクを召喚した。

 

コハク「 ε-(`・ω・´) 」

 

アリシア「コハク!あのボスのコアが体の中央にあるの!攻撃して体に穴を開けられないかな!?」

 

コハク「 ( •̀ω•́ )و 」

 

タッタッタッタッ!

コハクはギアに接近した。

 

メル「ラルク!私とコハクさんがあいつの体に穴を開けます!あなたはその瞬間を見定めて攻撃して!」

 

ラルク「分かった!」

 

タッタッタッタッ!

メルもギアに接近した。

 

コン「ねぇツァイ…これってクリアできるんじゃ…」

 

ツァイ「うん…多分できる」

 

コハク「 (っ`ω´c) 」

メル「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

コハクとメルはギアの体に穴を開けるために力いっぱい攻撃した。

 

アリシア「頑張れぇ!!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!

コハクたちのステータスが上昇した。

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!バゴォン!!

するとギアの体に穴が空いた。ギアの体の中には青色の鉱石が設置されていた。

 

アリシア「あれが…動力源…」

 

それはアリシアたちが採掘場で見た鉱石と全く同じものだった。アリシアはゴロちゃんが言ってたことは本当の事だったとこの時知った。

 

メル「ラルク!今です!」

 

ラルク「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ビュン!

ラルクは一気にギアとの距離を詰めた。

 

ラルク「鬼人穿撃!!」

 

バゴォォォォォォォォォン!!

ラルクはメルとコハクが開けた穴に向かって一気に突撃した。

 

ビュォォォォォォォ!!

ラルクの攻撃は凄まじく、周囲に暴風が発生した。

 

ツァイ「っ!!」

コン「うわっ!」

ユノ「くっ…!」

 

ツァイたちは飛ばないように耐えた。

 

ラルク「はっ!」

 

スタッ!

ラルクはメルとコハクがいる所まで飛んできた。

 

メル「よくやりましたね。ラルク」

 

ラルク「うん!」

 

アリシア「これで倒したのかな…?」

 

バゴォォォォォォォォォン!!

コアを失ったギアは突然爆発した。

 

アリシア「っ!!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

少しするとギアの姿はそこにはなかった。

 

アリシア「これで…」

 

ツァイ「やった!アリシアさん!倒しましたよ!」

 

ツァイたち3人は喜んでいた。どうやらこれで倒したらしい。しかし問題はここから。話題になっている武器はドロップで獲得になる。ここからは運が絡んでくる。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ツァイ「さぁ!開けよう!」

 

ツァイたちはあとで現れた宝箱を開けようとしていた。

 

ガコッ…

ツァイたちは宝箱を開けた。

 

音声「報酬を獲得しました」

 

スッ…

アリシアたちはそれぞれ獲得した報酬を見た。

 

アリシア「うーん…鉄のネジに機械の欠片、それに鉄の歯車…?」

 

ツァイ「あー…私のは全部低レアだ…」

 

コン「そう?私はお目当ての武器手に入ったよ」

 

ツァイ「嘘っ!?」

 

ユノ「運がいいねコン。私はダメだったよ」

 

コン「やった!」

 

ツァイ「ぐぬぬ…」

 

アリシア「あの〜…もしあれでしたらもう1回しませんか?」

 

ツァイ「やる!絶対やる!」

 

コン「私も手伝いますね」

 

ユノ「私もやるよ」

 

アリシア「よしっ!それじゃあもう1回行ってみよう!」

 

こうしてアリシアたちは何度もギアの討伐を繰り返した。しかし貰えるのは低レアな素材ばかり。それでも負けじと周回した。

 

ユノ「あ、やっと手に入った。欲しかったやつ」

 

ツァイ「私も!!私も!!!」

 

アリシア「私はまたダメでした…」

 

コン「なんかみんな運悪いね」

 

ユノ「一番最初に当てた人に言われるとダメージ大きいね」

 

ツァイ「うん…」

 

アリシア「う〜ん…私も欲しい…」

 

ツァイ「アリシアさん!私!手伝いますよ!」

 

コン「私も!」

 

アリシア「そうですねぇ…でももう遅いのでまたお願いします。とりあえずみなさんは取れたんですよね?」

 

ツァイ「ま、まぁ…そうですが…」

 

ユノ「せっかく手伝ってもらったのにアリシアさんだけ…」

 

アリシア「いいんです!ロザリーと一緒にまた来ますので!」

 

ツァイ「そ…そうですか…それでは今日はこれで終わりましょうか」

 

アリシア「はい!また呼んでください!」

 

ツァイ「はい!それでは…」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

ツァイ、コン、ユノはログアウトした。

 

アリシア「…」

 

アリシアは空を見上げた。星がいっぱいで綺麗だった。

 

アリシア「…私も欲しかったなぁ…」

 

スザク「主様はよく頑張りましたよ。また次頑張りましょう」

 

アリシア「うん…ありがとう…スザク…」

 

スザク「…」

 

スザクはアリシアが落ち込んでいるのに気づいた。

 

スザク「主様」

 

アリシア「?」

 

スザク「今日はみんなでご飯にしましょう」

 

アリシア「!」

 

スザク「私たちがご用意しますので」

 

アリシア「え、スザクって料理できるの?」

 

スザク「できます。セイリュウの方が上手ですが」

 

アリシア「じゃあ食べよ!みんなで景色のいい所で!」

 

こうしてアリシアたちは夜空がよく見える場所に移動した。そこは機械の世界にしては草木が生えている場所だった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…星空の丘

 

ここは機械の世界で唯一自然がある場所。風が心地よく、夜になるとより一層綺麗に星空が見える。

 

スザク「ではここでご飯にしましょう。主様。みなさんを喚んでください」

 

アリシア「うん!みんな出てきて!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアは全員召喚した。

 

コハク「 (。-`ω´-) 」

 

セイリュウ「あら、綺麗な場所ですね」

 

ゲンブ「ほんとだ…綺麗」

 

ムクロ「…」

ミオレーネ「…」

 

雷首「なんだ?ここは」

氷首「暗いな。外か?」

火首「戦闘ではないみたいだな」

 

プニちゃん「主様!」

 

ゴロちゃん「…」

 

キリちゃん「あぁ…主様…」

 

ミデル「あら、綺麗な場所だね」

 

ヴィレッタ「ん?どこだここは」

 

メル「あら、星空が綺麗ですね」

 

ラルク「おぉ…」

 

フィーリア「なんだここは」

 

スラちゃん「!」

スラくん「!」

ライム「!」

スラミ「!」

イノくん「!」

 

アリシア「メルさん!今からみんなでご飯にしましょう!」

 

メル「あ!いいですね!私がご飯作りますよ」

 

セイリュウ「であれば私も作りましょうか」

 

スザク「セイリュウ、メル。私たちでご飯作るぞ」

 

セイリュウ「えぇ。何作りましょうか」

 

メル「材料はたくさん買ってあるのでなんでもできますよ」

 

アリシア「じゃあお願いね。スザク」

 

スザク「はい。おまかせを。みなさんは休んでいてください」

 

スザク、セイリュウ、メルは料理に取り掛かった。残りのメンバーは料理ができるまで遊んだり話をしたりして時間を過ごした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

パチパチ…パチパチ…

アリシア、キリちゃん、プニちゃんは焚き火の前に座っていた。プニちゃんはアリシアの右肩に、キリちゃんは左肩に頭を乗せていた。

 

フィーリア「随分と懐かれているんだな。アリシア」

 

アリシア「うん。まぁね」

 

フィーリア「…お前たち人間は他種族とも仲良くできるのか。羨ましいものだ」

 

アリシア「フィーリアも仲良くできるでしょ?」

 

フィーリア「私は妖精だ。妖精をよく思わない者もいる」

 

アリシア「誰?」

 

フィーリア「…天使や魔族、神たちだ」

 

アリシア「そんな人たちはここにはいないよ。みんなフィーリアの仲間だもん」

 

フィーリア「…そうか」

 

プニプニ…プニプニ…

するとフィーリアの足元にスラちゃんたちが寄ってきた。

 

アリシア「ほら、スラちゃんたちはあなたの事が怖くないみたいだよ」

 

フィーリア「…お前たち…私が怖くないのか」

 

プニプニ…プニプニ…

スラちゃんたちはさらに頬ずりをする。

 

フィーリア「…そうか。お前たちは私が怖くないんだな」

 

スッ…

フィーリアはスラちゃんを抱いた。

 

フィーリア「お前は柔らかいな。私もこれくらい柔らかい性格ならお前たちともっと仲良くできただろうな」

 

アリシア「大丈夫。フィーリアも仲良くなれるよ。保証できる」

 

フィーリア「…そうか。そうだな。私も頑張ってみようかな」

 

スラちゃん「♡」

 

スラちゃんはフィーリアのことが気に入った様だった。

 

ザッザッザッザッ…

その時、アリシアの背後から何やら足音が聞こえた。

 

キリちゃん「!」

 

キン!

キリちゃんはその足音を聞いた瞬間、アリシアの肩から顔を上げ、後ろを振り返って鎌を装備して戦闘態勢に入った。

 

アリシア「え、キリちゃん?どうしたの?」

 

アリシアはキリちゃんのあまりの速さに驚いた。

 

キリちゃん「…そこの人。何か用ですか」

 

アリシア「?」

 

アリシアはキリちゃんが見ている方を見た。そこには何やら大きな影が見える。

 

アリシア「ん〜…?」

 

アリシアは目を凝らしてみた。しかし周りが暗いせいかあまり見えない。

 

キリちゃん「…」

 

ザッザッザッザッ…

キリちゃんが様子を見ていると、その大きな影は歩を進めた。

 

キリちゃん「止まりなさい!それ以上接近するなら攻撃します!」

 

キリちゃんは大声で言った。キリちゃんの声で周りの仲間たちが一斉にキリちゃんの方を見た。

 

スザク「…どうしたキリちゃん」

 

キリちゃん「…」

 

???「…」

 

アリシア「あの…あなたは誰ですか?」

 

スタスタスタスタ

アリシアはその大きな影の方へ歩いた。

 

キリちゃん「待って主様!危険だよ!」

 

アリシア「ううん。ちょっと待って」

 

スタスタスタスタ

アリシアはその大きな影のところに着いた。その人はアリシアより遥かに大きい。アリシアの身長ではその人の太ももくらいしか届かない。

 

???「…」

 

アリシア「あの、何か用ですか?こちらに戦闘の意思はないのでお話してください」

 

???「…」

 

スッ…

その人は何も話さない。いや、話せないのかもしれない。その人は地面に跪くと左腕に抱えていた小さな女の子を見せてきた。

 

アリシア「!!」

 

アリシアは驚いていた。その子は身体が小さい。小学六年か中学一年くらいの見た目だった。そんな子が身体中傷だらけで意識は無い様子だった。

 

アリシア「スザク!!」

 

スザク「!」

 

タッタッタッタッ!

スザクはアリシアに呼ばれるとすぐにアリシアの方へ走った。

 

スザク「はい。お呼びでしょうか」

 

アリシア「スザク!この子治せないかな?」

 

スザク「!」

 

スザクはその子を見た。今すぐ治療しないと手遅れになるくらいに傷が深かった。

 

スザク「君、この子を渡してもらえないか?」

 

???「…」

 

スッ…

大きい影はその子を差し出した。

 

スザク「すまない。少し待ってくれ」

 

スタスタスタスタ

スザクはその子があまり揺れないようゆっくり歩いた。

 

???「…」

 

その大きな影はじっとその小さな女の子を見ていた。

 

アリシア「あなた、あの子が心配なんですね」

 

???「…」

 

アリシア「あの、もうすぐご飯ができるんです。一緒に食べませんか?」

 

???「…」

 

その大きな影はアリシアの方を見た。そして小さく頷いた。

 

アリシア「よしっ!キリちゃん!その鎌は片付けて!この人は悪い人じゃないよ!」

 

キリちゃん「…分かりました」

 

スッ…

キリちゃんは鎌を片付けた。

 

アリシア「さ、こっちに来て」

 

スタスタスタスタ

アリシアは火の近くに大きな影を誘導した。

 

???「…」

 

ザッザッザッザッ…

その大きな影はアリシアのあとを歩いた。

 

アリシア「こっちに座ってね」

 

スッ…

アリシアはさっき座ってたところに腰掛けた。

 

ドシン!

大きな影はアリシアの横に座る。焚き火のおかげか、その人の姿を見ることができた。その人は腕や足が筋肉質で太く、人間と同じ黒い瞳を持つ。何故かは分からないけど上半身は何も着てない。あとよく分からないけど、腕に何か線みたいなものが模様として見える。

 

スザク「セイリュウ。水はないか?」

 

セイリュウ「ありますよ」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

セイリュウは水を生成した。

 

セイリュウ「はいどうぞ」

 

セイリュウは生成した水をボトルに入れてスザクに渡した。

 

スザク「ありがとう」

 

キュッ…キュッ…キュッ…ポタポタポタポタッ…

スザクはボトルの蓋を開けてその子が怪我しているところに水を垂らした。

 

スザク「よしっ、あとは…」

 

ポタッ…ポタッ…ポタッ…

スザクは目から涙を流した。

 

パァァァァァァァ…

するとその子の怪我したところが徐々に治ってきていた。

 

スザク「とりあえず傷は治せる。あとは栄養だ」

 

セイリュウ「栄養ならご飯を与えましょう。起きるまでは待機で」

 

スザク「そうだな。この子は私が看よう」

 

メル「ご飯は私たちにお任せ下さい」

 

そう言ってメルとセイリュウは料理の続きを始めた。

 

スザク「…」

 

スザクは怪我した子を見た。その子はまだ幼く、力なく、ぐったりしている。

 

スザク (…こんな小さい子ですら怪我をするのか。一体何があったんだ)

 

それから少しするとご飯ができた。メルたちがみんなにご飯を配っていく。その際、アリシアの横に座っていた大男もご飯を受け取った。

 

???「…」

 

その人は物珍しくご飯を見ていた。今回はカレーを作った。現実で何回も食べたけど、やっぱり大勢いる時はカレーに限る。

 

アリシア「美味しいよ!食べてみて!」

 

???「…」

 

カチャカチャ…

その人はカレーを食べてみる。全く表情は変わらなかったが、美味しかったのか、すぐに食べきった。

 

メル「まだ食べられますか?」

 

???「…」

 

その人は小さく頷いた。

 

メル「でしたらまた入れてきますね」

 

スタスタスタスタ

メルはその人からお皿を受け取ると、カレーを入れに行った。

 

アリシア「いただきまーす!」

 

アリシアたちもカレーを食べ始めた。アリシアの仲間たちも各々会話しながら食事を楽しんだ。

 

???「…」

 

その人は小さな女の子が気になる様子だった。小さな女の子はスザクの腕で眠っている。スザクは四獣の中でヒーラーを担っており、その力を活かして小さな女の子を回復させていた。

 

メル「はい。カレーできましたよ」

 

???「…」

 

スッ…

その人はカレーを受け取ると、また食べ始めた。

 

アリシア「んっふふふ♪」

 

アリシアはその様子を見て微笑んだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

それからみんなご飯を食べ終え、休憩していた。

 

???「…」

 

その人はずっと小さな女の子を見ていた。

 

スザク「大丈夫だ。この子はすぐに目を覚ます」

 

???「…」

 

ザザッ!

すると近くで足音が聞こえた。

 

キリちゃん「!」

 

キィン!

足音を聞いたキリちゃんがまた戦闘態勢に入った。

 

キリちゃん「そこの人!誰ですか!」

 

キリちゃんの声でみんなキリちゃんの方を見る。よく見ると、キリちゃんがいる先に黒い影が見えた。

 

アリシア「ま、また?今度は誰…?」

 

キリちゃん「主様。今度は前に出ないでください。さっきと雰囲気が違います」

 

アリシア「えっ?」

 

ムクロ「どうやらいらぬ客が来たようだな」

 

ザッザッザッザッ…

ムクロがキリちゃんの横に立った。

 

キリちゃん「あなたも分かるの?」

 

ムクロ「あぁ」

 

ミオレーネ「アリシア。下がれ」

 

ザッ…

ミオレーネも参戦した。

 

ミオレーネ「ムクロ。やつが見えるだろ?見た目は」

 

ムクロ「若い男だ。研究者なのか?」

 

ミオレーネ「ほぅ?」

 

???「グルルルルル…」

 

ドシン!

するとミオレーネの横に大男が立った。その人は黒い影に対し、威嚇している様子だった。

 

???「やっと見つけましたよブレイカー。こんな所で何してるんですか。大事な鍵まで持ち出して」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

その大男はブレイカーというらしい。突然聞こえた若い男性の声にアリシアは驚いた。

 

アリシア「あなたは誰ですか」

 

シモン「申し遅れました。僕はシモンと言います。そこで眠っている女の子の保護者です」

 

アリシア「!!」

 

シモン「さぁ、その子を返してください」

 

ブレイカー「ガァァァァァァ!!」

 

ビュン!

突然ブレイカーが動いた。巨体に見合わず物凄い速さだった。

 

シモン「おっと」

 

ガンッ!!ビュォォォォォォォ!!

ブレイカーがシモンに攻撃した。その際、周囲に風が発生した。

 

シモン「全く…野蛮な人ですね。ブレイカー」

 

ブレイカー「グゥゥゥゥゥガァァァァァァ!!」

 

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

ブレイカーはその大きな拳でシモンを攻撃する。しかしシモンには全く効果がなかった。

 

シモン「君では僕に勝てない。知ってるだろう?」

 

ブレイカー「ガァァァァァァ!!」

 

シモン「全く…うるさいよ」

 

ドォン!!

シモンはブレイカーに攻撃した。するとブレイカーは遠くに飛ばされた。

 

アリシア「!!」

 

ムクロ「構えろミオレーネ。奴は本気だ」

 

アリシア「みんな!戦闘準備!」

 

シモン「…ん?いや、君たちに用はないよ。早くその子を返してくれ。要件はそれだけだ」

 

ブレイカー「ガァァァァァァ!!」

 

ビュン!ドゴォン!!

ブレイカーが遠くから飛んできた。そして着地と同時にシモンに攻撃した。

 

アリシア「!!」

 

シモン「…全く。しつこいよ君」

 

ブレイカー「グルルルルルルル!」

 

シモン「一旦眠ってもらわないと」

 

カシュッ!

するとシモンの左指から小さな針が飛んでブレイカーの胸に刺さった。

 

ブレイカー「グルルルルル…」

 

ドシィン!

するとブレイカーは地面に倒れてしまった。

 

アリシア「!!」

 

シモン「…さて、あとはあの子だけだ」

 

スタスタスタスタ

シモンは次にスザクの方へ歩いた。

 

アリシア「スザク!!」

 

セイリュウ「四獣刀技 群青羅刹!」

 

ズバババババババババババ!!

セイリュウは素早い斬撃でシモンを攻撃した。

 

シモン「おっとと…」

 

ヒュッ!スタッ!

シモンはセイリュウの斬撃を全て見切って距離をとった。

 

シモン「危ないですね」

 

セイリュウ (この人…私の斬撃を全て避けていた…どうして…)

 

スザク「セイリュウ…」

 

セイリュウ「っ…」

 

シモン「君たち、その子がどういう存在か知ってるのかな?」

 

アリシア「えっ…?」

 

シモン「その子は我々にとってとても大事な存在なんだ。返してもらうよ」

 

アリシア「一体何をするんですか!」

 

シモン「…連れて帰ります」

 

ビュン!スタッ!

シモンは一瞬でその場から消えた。

 

アリシア「えっ!!」

 

アリシアたちは周囲を見た。するとシモンはスザクの方に立っていた。シモンは一瞬の間にスザクからその子を奪い取り、少し距離をとっていた。

 

スザク「なっ…」

 

セイリュウ「!!」

 

スザク (私が今の速度についてこれなかった…なんださっきの速度は…)

 

シモン「では帰りますね」

 

ビュン!

シモンはその場をあとした。

 

アリシア「待って!!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…

アリシアが声をかける時にはもうそこにはシモンはいなかった。

 

アリシア「そんな…」

 

ピコッ

するとアリシアの前に通知の画面が開いた。

 

アリシア「!」

 

ピッピッピッピッ

アリシアは画面を操作した。

 

音声「クエスト:機鉱のお姫様が発生しました。受注しますか?」

 

アリシア「機鉱のお姫様?」

 

ピッ

アリシアはクエストを受注した。

 

音声「クエスト:機鉱のお姫様を受注しました」

 

スッ…

するとクエスト欄が閉じた。

 

アリシア「みんな!ブレイカーさんが起きたらさっきの女の子を助けに行くよ!!」

 

全員「おー!」

 

こうしてアリシアたちはクエスト:機鉱のお姫様を進めるのだった。




〜物語メモ〜

ギア様
歯車城の主。様々な形態に変化し、プレイヤーたちを追い詰める。攻略方法はそれぞれ違うのでなかなか厄介。倒せば確率でいい武器が手に入る。

小さな女の子
ブレイカー(大男)が抱えていた女の子。所々怪我をしていた。スザクの回復によって傷は癒えた。

ブレイカー(大男)
小さな女の子を抱えていたとても背が高い男。普通に立てばアリシアの身長では太ももくらい。力が強く、接近戦が得意。

シモン
小さな女の子を追いかけていた若い男性。ブレイカーから極度に嫌われている。ブレイカーの攻撃を軽々と受け止める力を持つ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。