私、支持率0%の職業でゲームにログインします。   作:バスタオル

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第35話 あの子を助けに

アリシアたちはブレイカーが起きるまでみんなで見守ることにした。ブレイカーはさっきのシモンとかいう人の攻撃を受けて酷く傷がついていた。スザクたちは傷を癒し、残りのメンバーは周囲の監視をしていた。

 

アリシア「どう?スザク…治りそう?」

 

スザク「傷は大したことないです。充分治る範囲かと」

 

アリシア「よかったぁ…」

 

スザク「しかし先程の男は何なのでしょうか」

 

アリシア「分からない…でもブレイカーさんが酷く怒ってるように見えた。何かあるのかもしれないね」

 

スザク「…主様」

 

アリシア「何?スザク」

 

スザク「あの小さな女の子に傷がありました。それもただの傷ではありません。何か不思議な力でつけられたものかと。魔力も感じましたし」

 

アリシア「そうなんだ…」

 

スザク「他の傷は癒せましたが、その傷だけは…」

 

アリシア「分かった。ブレイカーさんが起きたら一緒に助けに行こう」

 

スザク「はい」

 

ブレイカー「…」

 

グッ…

するとブレイカーの腕が動き始めた。

 

アリシア「あ!動いた!」

 

スザク「!」

 

グッ…

ブレイカーはゆっくりと体を起こした。

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは周囲を見渡した。あの小さな女の子を探しているようだった。

 

アリシア「あの…ブレイカーさん」

 

ブレイカー「…」

 

アリシア「私たちと一緒にあの小さな女の子を助けに行きませんか」

 

ブレイカー「…」

 

アリシア「私たちもあの子を助けたいと思っています。でもあなたもそうですよね?」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは小さく頷いた。

 

アリシア「よしっ。なら一緒に助けに行こう。でも今は待って。朝になってから行こう」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは小さく頷いた。

 

アリシア「よしっ。スザク、みんなに明日の朝にあの人のところに向かうよう伝えてきて」

 

スザク「はい」

 

スタスタスタスタ

スザクはみんなの所へ歩いた。

 

アリシア「ブレイカーさん。ここからは私たちも協力しますよ」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは小さく頷いた。アリシアたちは明日の朝に向けて一休みをする事にした。

 

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それから朝になって周りがよく見えるようになった。

 

アリシア「よしっ。ブレイカーさん。あの子を助けに行きましょう」

 

ブレイカー「…」

 

音声「狂戦士:ブレイカーが仲間になりました。味方として戦ってくれますが、仲間モンスターではないので命令できません」

 

アリシア「よしっ。行こう」

 

スタスタスタスタ

アリシアたちは行動開始するのだった。

 

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場所…歯車城

 

アリシアたちは目的地に到着した。そこは歯車城。アリシアはもう何度もここを訪れた。

 

アリシア「またここなのね。ブレイカーさん。ここからは私たちはよく知らないです。案内お願いできますか?」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは小さく頷いた。そして案内するためにみんなよりも少し先を歩いた。

 

アリシア「よしっ。行こう」

 

スタスタスタスタ

アリシアとスザクはブレイカーのあとを歩いた。

 

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場所…歯車城 監視室

 

シモン「…ふむ。割と早い段階で来た。意外と行動するタイプなのかな?」

 

アリシアたちはブレイカーの案内で歯車城を進んでいた。

 

シモン「さて、それじゃあよろしくね。この子たちをこの城から追い出しなさい」

 

???「…了解しました」

 

スタスタスタスタ

監視室から1人の影が動いた。

 

シモン「さて、どう動く?」

 

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場所…歯車城 長い廊下

 

アリシア「長いね…この廊下…」

 

スザク「疲れましたか?主様」

 

アリシア「ううん!疲れてないよ!」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは黙々と道を案内する。元々あんまり話さないのか、これまでずっと会話がない。喋っているのはアリシアとスザクだけ。これではとても寂しい。

 

アリシア「にしてもここは中までちゃんと作られてるんだね。作った人大変だったろうに…」

 

ザッ…

ブレイカーが足を止めた。アリシアとスザクはそれに気づいて同じように足を止める。

 

アリシア「あの、ブレイカーさん?どうしたんですか?」

 

ブレイカー「…」

 

スザク「主様。前」

 

アリシア「前?」

 

アリシアがブレイカーの横から顔を出して前を見た。そこには刀を持った女性が立っていた。

 

アリシア「わっ…誰かいる…」

 

スザク「恐らく敵でしょうね」

 

???「まさか本当にあなたがいるとは思いませんでしたよ。ブレイカー」

 

ブレイカー「…」

 

アリシア「知り合いみたいだね」

 

スザク「はい」

 

???「なぜあの子を持ち出したんですか。答えてくださいブレイカー」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは何も言わず、ただその人を見ているだけだった。するとその人が口を開いた。

 

???「…思えばあなたは今まで1度も口を開きませんでしたね。話さないのか、話せないのか。真意は分からないが、何も言わないとなると、主の命令に従うしかない」

 

チャキッ…

その人は抜刀し、構えた。

 

???「構えなさいブレイカー。ここを通りたいのであれば私をねじ伏せてみなさい」

 

ブレイカー「…」

 

ググッ…

ブレイカーは拳を握った。

 

アリシア「待ってください!」

 

アリシアはブレイカーの前に出た。

 

スザク「主様!?」

 

???「…誰、あなた」

 

アリシア「私はアリシア!女の子を助けに来ました!」

 

???「…あなたもあの子を持ち出すつもりですか」

 

アリシア「あの子は怪我をしています!今すぐ治さないと!」

 

???「必要ありません。私たちの仲間に傷を癒す者がいます。その人に任せればいいこと。あなたは関係ありません」

 

アリシア「でも気になるの!ここを通して!!」

 

???「…通しませんよ」

 

アリシア「!」

 

コスモス「ここを通りたいのであればこの私を…コスモスを倒してみなさい」

 

その女性の名前はコスモスというらしい。その人は鋭い目に和装をしている。いかにも侍?みたいな感じの見た目だった。

 

アリシア「っ…」

 

コスモス「来ないのか。であればこちらから行くぞ!」

 

タッタッタッタッタッ!

コスモスは刀を構えて接近してきた。

 

アリシア「えっ!」

 

スザク「主様!!」

 

コスモス「はぁっ!」

 

キィィィィィィン!!

スザクは短剣でコスモスの攻撃を防御した。アリシアはスザクおかげで無傷で済んだ。

 

スザク「くっ…」

 

コスモス「お前も先のやつの仲間か」

 

スザク「あの方は私の主様だ」

 

コスモス「なるほど、となるとお前は犬か」

 

スザク「はっ…お前も同じだろう」

 

コスモス「…いいや、私は犬ではない」

 

キィン!!

コスモスは刀でスザクを払い除けた。

 

スザク「しまった!」

 

ドサッ!

スザクは地面に倒れ込んだ。

 

タッタッタッタッタッ!

コスモスはアリシアの方へ走り出した。

 

アリシア「来てっ!ゲンブ!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアはゲンブを召喚した。

 

アリシア「ゲンブ!私を守って!」

 

ゲンブ「はい!」

 

ガシャン!

ゲンブは盾を構えた。

 

コスモス「そんな盾…この私の前では無意味!」

 

キィン!!バキッ!!

コスモスはゲンブの盾に攻撃した。その時、ゲンブの盾にヒビが入った。

 

アリシア「!?」

 

ゲンブ「っ…」

 

クイッ!クイッ!

ゲンブは指を動かした。

 

ブゥン!ブゥン!ブゥン!ドォン!!

すると残りの盾が全て展開され、衝撃波でコスモスを後方へ吹き飛ばした。

 

コスモス「うぐっ…!!」

 

ズサァァァァァァ!

コスモスは急な衝撃波に驚いた。

 

コスモス「何だ…今の…」

 

アリシア「ゲンブ!」

 

ゲンブ (私の盾があんな刀に…どういう事…あの刀…普通の刀じゃない…!?)

 

スザク「ゲンブ!」

 

ゲンブ「!」

 

コスモス「っ!!」

 

ゲンブがスザクの声で我に返ると目の前でコスモスが刀を構えていた。

 

ゲンブ「しまっ…!」

 

スザク「ゲンブ!!」

 

ドゴォン!!

するとブレイカーがコスモスを攻撃した。

 

コスモス「がはっ…!!」

 

ドォン!!

コスモスはブレイカーの攻撃で壁に激突した。

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

ザッ…

ブレイカーはゲンブを守るように前に出た。

 

ゲンブ「あなた…なぜ…」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

パラパラパラパラ…

コスモスは刀を構えてゆっくり立ち上がった。

 

コスモス「ブレイカー。何故あなたがその人を守るのです。私たちは仲間でしょう?」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

ブレイカーはコスモスを睨んでいた。

 

コスモス「やはりあなたは落とさねばならない…主の命令に逆らう者はここには必要ない…」

 

キンッ!

コスモスは刀を構えた。

 

コスモス「覚悟しなさい!ブレイカー!」

 

ビュン!

コスモスはブレイカーに接近した。

 

ブレイカー「ガァァァァァァァァ!!」

 

バゴォォォォォォン!!

ブレイカーは地面を攻撃し、大きな窪みを作った。

 

コスモス「何っ…!?」

 

ドサッ!

コスモスはバランスを崩して倒れた。

 

コスモス「くっ…ブレイカー…」

 

ブレイカー「ガァァァァァァァァ!!」

 

コスモス「!!」

 

ドゴォォォォォォォン!!

ブレイカーはバランスを崩して倒れたコスモスに攻撃した。コスモスは防御できず、モロに攻撃を受けてしまった。

 

コスモス「がはっ…!!」

 

ブレイカー「ガァァァァァァァァ!!」

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

ブレイカーは間髪入れずに連続で攻撃した。コスモスはブレイカーの攻撃を全てモロに受けてしまった。

 

ググッ!バゴォォォォォォン!!

ブレイカーは最後に力を込めて攻撃した。

 

アリシア「っ…」

 

アリシアは怖くて目を背けた。

 

ビュン!ドシン!

するとブレイカーがアリシアのところに戻ってきた。

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

コスモス「…」

 

ヒュォォォォォォォォォ…

コスモスはブレイカーの猛攻に耐え切れず気を失った。刀は近くに転がっているが、ブレイカーの攻撃のせいで粉々になっていた。

 

アリシア「うわぁ…」

 

ドシン…ドシン…ドシン…

ブレイカーはコスモスに見向きもせず、先に進んだ。

 

アリシア「あっ!」

 

タッタッタッタッタッ!

アリシア、ゲンブ、スザクはブレイカーの後を追った。

 

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場所…監視室

 

シモン「おっと…コスモスがやられたか…。だがコスモスの刀であの大きな盾を破壊することができるのを知れた。それだけでも良いさ」

 

???「…」

 

シモン「しかしブレイカーのやつ…コスモスを力だけでねじ伏せるとは…」

 

???「どうしますか」

 

シモン「…計画は変わらない。ブレイカーをここで処分する。方法は君に任せるよ」

 

???「…御意」

 

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場所…長い廊下の先にある一室

 

アリシア「わっ…広い…」

 

この部屋は他の場所と違って煌びやかな装飾や赤い絨毯など、少し豪華な感じになっている。誰かの部屋なのだろうか。ここだけ機械っぽくない。

 

スザク「何だこの部屋は…不思議な感じだ」

 

ブレイカー「…」

 

ゲンブ「ご主人様」

 

アリシア「どうしたの?ゲンブ」

 

ゲンブ「盾の修復が完了しました」

 

アリシア「ほんと!?やった!」

 

スザク「しっ…主様。なにか聞こえます」

 

アリシア「えっ…?」

 

アリシアたちは耳を澄ませた。微かだが、誰かの足音が聞こえる。

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

ブレイカーがさっきと同じように威嚇し始めた。この足音はブレイカーの仲間なのだろうか。

 

アリシア「っ…」

 

アリシアたちは身構えた。するとその足音の正体が見えてきた。

 

アリシア「っ…」

スザク「…」

ゲンブ「…」

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「あの廊下を歩いていると、やっぱりここに行き着くか」

 

現れたその人は赤い肌に白い髪の男性。目は黄色に光っている。武器は持ってなさそうなので、拳や足で攻撃するように見える。

 

???「ブレイカー。お前、何してんのか分かってんのか」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「威嚇しても変わらねぇぞ。俺はお前の威嚇程度で怖気付くようなやつじゃねぇ」

 

アリシア「ゲンブ…盾を展開して」

 

ゲンブ「はい」

 

ガシャン!

ゲンブは盾を展開した。

 

???「ん?なんだお前ら。お前らには関係ねぇよ。下がれ」

 

アリシア「っ…」

 

ドシン…ドシン…ドシン…

ブレイカーがその人に近づいた。

 

???「…なんだお前。そいつを庇うのか?」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「…まぁいい。俺の目的はお前の処分だ。主からの命令でな。さっきコスモスをぶっ倒しただろ?」

 

アリシア「コスモスって…さっきの女性…」

 

???「あいつは俺たちの中では2番目に弱い。だが負けるとは思わなかった」

 

アリシア「あれで2番目…」

 

???「ブレイカー。ここで引き返さねぇとあとが怖いぞ」

 

ブレイカー「グルルルルルルルルルル…」

 

ブレイカーは終始威嚇していた。しかしその男性には全く効果はなかった。

 

???「…そうか。交渉決裂ってやつだな。お前、ここで死んでも知らねぇぞ。お前にはあの子がいるんじゃねぇのか」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「お前が死んだらあの子が悲しむと思うがな」

 

アリシア「どういう事…?」

 

???「こいつはここにいる時からずっとあの子のそばにいた。片時も離れなかったさ。だからあの子から信頼されている。どこかに移動する時もずっと一緒だ。俺たちはこの場所から出なければ何とも思わなかった。だが今回は違う。ここから出た。あの子の持つ力は強大だ。俺たちすら軽く凌駕する程にな」

 

アリシア「そんな…あの子にそんな力が…」

 

???「だから回収する必要があった。でなければあの子が勝手に能力を発動してこの世界の機械どもが全てあの子の意のままになってしまう」

 

アリシア「あの子が…機械を…」

 

???「あぁ。そうなれば大惨事になりかねん。ここはあの子を保護する場所でもある」

 

アリシア「でもあの子は怪我をしていた!保護してるのになんで!!」

 

???「…保護にも多少の犠牲は必要だ。あれはその痕だ」

 

アリシア「っ…!!」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「あの子はずっと一緒にいたこいつに命令してここを出た。もうあの子の能力の片鱗が見えている」

 

アリシア「だったらもっと大事にしてあげてください!シモンって人を見てあの子は震えてたんですよ!!」

 

???「…そうか」

 

アリシア「保護してるならちゃんとしてあげてください!」

 

???「…無理だ」

 

アリシア「!?」

 

???「あの子の力は制御できてない。普通に生活してても能力が顔を出す。それを抑えるためにあの子の体に傷ができてる。俺たちですら制御は難しい。それをお前らができるとでも?」

 

アリシア「っ…」

 

???「無理なら引き返せ。俺はコスモスを助けなければならない。お前らと戦う理由はない」

 

アリシア「だったら通して!」

 

???「…それも無理だ。お前らがここを通るのなら、俺はここで立ち塞がる必要がある」

 

アリシア「だったら…ゲンブ!スザク!」

 

ゲンブ「はい!」

スザク「はい!」

 

ガシャン!チャキッ!

ゲンブは盾を、スザクは短剣を構えた。

 

???「…戦うのか。無意味な戦いになるぞ」

 

アリシア「それでもあの子を助けたい!だから通して!」

 

???「…だったらお前たちを通すわけにはいかない。主の命令だからな」

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

???「俺を倒してみろ。言っとくが俺はコスモスほど弱くはないぞ」

 

アリシア「っ…」

 

ピコッ

アリシアの目の前に通知欄が開いた。そこには相手の男らしき名前が書かれていた。

 

アリシア「ランギル…それがあの人の名前…」

 

ランギル「構えろ小娘」

 

ビュン!

ランギルはアリシアに接近した。あまりの速さにアリシアは反応できなかった。

 

ランギル「はぁっ!」

 

ドゴォン!!

ランギルは拳で攻撃してきた。しかしゲンブが大盾を構えたおかげで無傷で済んだ。

 

アリシア「はっ…速っ…」

 

ランギル「言ったはずだ。コスモスほど弱くはないと」

 

スザク「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

スザクはランギルに攻撃した。しかしスザクの速さではランギルを捉えることはできなかった。ランギルは一旦ゲンブから離れた。

 

スザク「くっ…厄介な速さだ」

 

アリシア「スザクですら追えないなんて…」

 

ランギル「中々速いがいまひとつだな」

 

スザク「っ…」

 

ブレイカー「ガァァァァァァァァ!!」

 

ランギル「…」

 

ドゴォン!!

ブレイカーがランギルに攻撃した。しかしランギルは涼しい顔でブレイカーの攻撃を受け止めた。

 

ランギル「お前じゃ無理だブレイカー。お前は俺に勝てない」

 

ググッ…ドゴォン!!

ランギルは拳を握って攻撃した。ブレイカーはそのまま近くの壁まで吹き飛ばされた。

 

アリシア「ブレイカーさん!!」

 

パラパラパラパラ…

ブレイカーはぐったりしていた。

 

ランギル「大剣を持たないお前はまるで怖くない。拳で俺に勝てるやつはいねぇよ」

 

アリシア「スザク!四獣剣技 夜桜乱撃!!」

 

ランギル「ん?」

 

ビュン!

スザクは一気にランギルに近づいた。

 

スザク「四獣剣技 夜桜乱撃!!」

 

ズシャシャシャシャシャシャシャシャ!!

スザクはすれ違いざまに斬撃を与えた。

 

ランギル「ぬぅっ!?」

 

タッタッタッタッタッ!

スザクはそのまま回り込んでランギルに接近した。

 

ランギル「くっ…速いな…」

 

スザク「四獣剣技 夜桜乱撃!!」

 

ランギル「おらぁ!!」

 

ドゴォォォォォォォン!!

ランギルは足で地面を揺らした。

 

グラッ…

スザクはランギルの攻撃でバランスを崩した。

 

スザク「なにっ…!?」

 

ランギル「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アリシア「スザク!!」

 

スザク「!?」

 

ドゴォォォォォォォン!!

ランギルはスザクに攻撃した。スザクは防御できずランギルの攻撃を受けてしまった。

 

スザク「がはっ…!!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…ドゴォン!!

スザクは近くの壁まで吹き飛ばされた。

 

アリシア「スザク!!」

 

スザク「っ…」

 

ランギル「斬撃の速さには驚いたが所詮は女。打たれ弱いのがよく分かる」

 

アリシア「スザク…」

 

ゲンブ「ご主人様。他の仲間を喚んでください」

 

アリシア「!」

 

ゲンブ「ブレイカーさんやスザクがやられた今、防御することしかできません。私の防御は優れていますが、それでも長続きするわけではありません。なので他の方を」

 

アリシア「分かった。ムクロ!三つ首!ミデル!ゴロちゃん!ヴィレッタさん!来てください!!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアは5人の男たちを召喚した。

 

雷首「来たぞ嬢ちゃん!」

氷首「今度はどいつだぁ!」

火首「あとは任せろ嬢ちゃん!」

 

ムクロ「呼んだか。アリシア」

 

ミデル「おやおや?また暴れてもいいのかな?」

 

ゴロちゃん「…」

 

ヴィレッタ「来たぞ。アリシア」

 

アリシア「みなさん!あの人をやっつけてください!!」

 

雷首「カァァァァァァァァァッ!!」

氷首「ンバァァァァァァァァッ!!」

火首「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

バゴォォォォォォン!!

先に動いたのは三つ首だった。三つ首はアリシアの命令があれば真っ先に動く。

 

ミデル「ダイヤモンドダスト!」

 

ビュォォォォォォォォォ!!

ミデルは吹雪や氷を出した。

 

ランギル「遅せぇ!!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

ランギルは素早く移動して三つ首たちに接近した。

 

ランギル「そんな攻撃じゃ俺には当たらねぇぞ!!」

 

ググッ!

ランギルは拳を握った。

 

アリシア「ゴロちゃん!!」

 

ゴロちゃん「…」

 

ランギル「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

ドシン!

ゴロちゃんが三つ首を守るようにして立ち塞がった。

 

ドゴォン!!

ランギルはゴロちゃんに攻撃した。しかしゴロちゃんの防御力が高いおかげであまりランギルの攻撃は効果がなかった。

 

ランギル「なっ…!?」

 

ゴロちゃん「…」

 

ガシッ!!

ゴロちゃんはランギルを捕まえた。

 

ランギル「なっ…!?離せ!!」

 

ランギルはゴロちゃんから逃れようとしたが、ゴロちゃんの力が強くて逃げられなかった。

 

アリシア「ムクロ!ヴィレッタさん!お願いします!」

 

ムクロ「…あぁ」

ヴィレッタ「任せろ!!」

 

タッタッタッタッタッ!

ムクロとヴィレッタは同時に動いてランギルに接近した。

 

ランギル「くそっ!てめぇ!」

 

グイッ!グイッ!グイッ!

ランギルは必死で逃げようとしていた。

 

ゴロちゃん「…」

 

ギリギリギリギリ…

ゴロちゃんはより強く拘束した。

 

ランギル「くっ…!!」

 

ムクロ「糸の刃」

ヴィレッタ「光輝斬!」

 

ランギル「どけぇぇぇぇぇぇ!!」

 

バゴォン!

ランギルはゴロちゃんを攻撃した。ゴロちゃんの右腕が物凄い勢いで破壊された。

 

ゴロちゃん「…」

 

ランギル「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

バゴォン!

ランギルはすかさずムクロとヴィレッタに攻撃した。

 

ムクロ「っ!」

ヴィレッタ「なにっ…!?」

 

ズサァァァァァァ!!

ムクロとヴィレッタはもう少しのところで攻撃を弾かれ、少し後ろに飛ばされた。

 

ランギル「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

 

ゴロちゃん「…」

 

ドシン!

ゴロちゃんは少し距離をとった。

 

アリシア「ゴロちゃん!!」

 

ゴロちゃん「…」

 

ランギル「ったく…ヒヤヒヤさせんなや」

 

氷首「冷えたいなら凍らせてやるぜ!」

 

ランギル「!」

 

氷首「ンバァァァァァァァァッ!!」

 

ビュォォォォォォォォォ!!

氷首は氷のブレスを放った。

 

ランギル「くっ!」

 

パキパキパキパキ!!

ランギルは氷漬けにされた。

 

氷首「ガッハハハハハ!」

 

ゲンブ「ご主人様」

 

アリシア「何?」

 

ゲンブ「コハクを喚んでください」

 

アリシア「えっ?コハク?」

 

ゲンブ「はい。彼の前に剣は不利でしょう。スザクのような短剣なら勝てるでしょうけど今のスザクは動けません。飛び道具や刃物よりも殴る方がいいと思います」

 

アリシア「分かった!出てきて!コハク!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアはコハクを召喚した。

 

コハク「 (ノ*°▽°)ノ 」

 

アリシア「コハク!あの氷漬けにされてる人を攻撃して!」

 

コハク「 (`・ω・´)ゞ 」

 

タッタッタッタッタッ!

コハクはランギルに接近した。

 

ピシッ…パキッ!パキパキッ!!

氷首の氷が砕け始めた。

 

火首「おい氷首!氷が壊されかけてるぞ!」

 

氷首「何っ!?」

 

雷首「おい!ちゃんと凍らせろよ!」

 

氷首「うるせぇ!」

 

ビュン!

コハクが三つ首の横を通り過ぎた。

 

雷首「なっ…あいつは…」

氷首「来やがったか」

火首「やつを倒すつもりだな」

 

バキィン!!

ランギルは氷を破壊した。

 

ランギル「チッ…鬱陶しい」

 

コハク「 (っ`ω´c) 」

 

ググッ!

コハクは拳を握った。

 

ランギル「!」

 

ランギルは接近しているコハクに気づいた。

 

ランギル「次から次へと!!」

 

ググッ!

ランギルも拳を握った。

 

コハク「 ( `ㅂ´ ) 」

ランギル「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴォォォォォォォン!!

コハクとランギルの拳がぶつかり合った。

 

ビュォォォォォォォォォ!!

2人の力が拡散し、周囲に力が溢れ出てきた。

 

アリシア「わわっ!コハクすごい!!」

 

ランギル「くっ!なんだお前!俺の拳を!!」

 

コハク「 ε-(`・ω・´) 」

 

ランギル「妙な顔しやがって…ふざけんなぁ!!」

 

コハク「 (^ω^#) 」

 

ドゴォン!!バゴォォォォォォン!!

コハクはランギルの言葉に怒った。そしてすぐにランギルの拳を弾き、思いっきりランギルを殴り飛ばした。

 

ランギル「うごぁっ!!」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…ドゴォォォォォォォン!!

ランギルは勢いよく壁に激突した。その際、壁に大穴ができた。

 

雷首「うおっ…やべぇ…」

氷首「やっぱあいつやべぇぞ」

火首「戦うのはもう二度とごめんだぜ」

 

コハク「 ( #・᷄ὢ・᷅ ) 」

 

パラパラパラパラ…

ランギルはゆっくりと体を起こしてきた。

 

ランギル「クソッ…なんだあの力…デタラメだ…」

 

ザッザッザッザッ…

コハクはゆっくりとランギルに近づいた。

 

ランギル「チッ…こんなやつに負けるなんざ俺の人生の恥だ」

 

ザッ!

ランギルは立ち上がった。

 

ランギル「来いよ。俺がボコボコにしてやる」

 

ググッ…

コハクとランギルは拳を握った。

 

コハク「 ( `ω´) 」

 

ビュン!

コハクは一気に距離を詰めた。

 

ランギル「どりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴォォォォォォォン!!

ランギルとコハクの拳がぶつかり合った。

 

ランギル「まだまだぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

ランギルとコハクは相手の攻撃を受けているにも関わらず、攻撃の手を止めなかった。

 

アリシア「コハクー!!頑張れぇぇぇ!!」

 

ブゥゥゥゥゥゥン!

コハクのステータスが上昇した。

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

コハクの拳の速度が速くなってきた。

 

ランギル「くっ…このっ…!」

 

ランギルは何とかコハクの拳についていこうとした。しかしコハクの拳はどんどん速くなっていく。

 

ランギル「チクショォォォォォォ!!」

コハク「 (꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆ 」

 

ドゴォォォォォォォン!!

ランギルが一瞬隙を見てた時、コハクの拳がランギルの腹に命中した。

 

ランギル「うごっ!!」

 

コハク「 (*`ω´*) 」

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!バゴォォォォォォン!

コハクは更に追撃をした。ランギルはコハクの攻撃で後方に倒れた。

 

ランギル「うぐっ…くっ…このっ…」

 

ザッ…

コハクはランギルを見下ろすように立った。

 

コハク「 ( '-' ) 」

 

ランギル「…はぁ」

 

コハク「 (´-ω-`) 」

 

ググッ!

コハクはめいっぱい拳を握った。

 

ランギル「この俺をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ」

 

コハク「 ( ̄・ω・ ̄) 」

 

ランギル「…やるならやれ。時間もねぇんだろ」

 

コハク「 (´-ω-`) 」

 

ググッ!ドゴォォォォォォォン!!

コハクは再度拳を握ってランギルに攻撃した。その時地面が少し陥没した。

 

ランギル「っ…」

 

ランギルはそのまま動かなくなった。コハクの攻撃がよほど効いたのか、所々アザみたいなのができてる。

 

コハク「 ( ̄・ω・ ̄) 」

 

ビュン!

コハクはジャンプしてその場を離れた。

 

アリシア「あ!コハク!」

 

タッタッタッタッタッ!

アリシアはコハクに近づいた。

 

アリシア「コハク!どう?やっつけた!?」

 

コハク「 (*´ω`*) 」

 

コハクは笑顔になり、親指を立ててGoodのサインをした。

 

アリシア「やった!勝ったんだ!」

 

ブレイカー「…」

 

ザッザッザッザッ…

ブレイカーはランギルに見向きもせず、その場をあとにした。

 

アリシア「あ!ブレイカーさん!」

 

タッタッタッタッタッ!

アリシアたちはブレイカーの後を追った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…監視室

 

シモン「…ランギルまでやられたか」

 

???「ありゃりゃ…2人ともやられちゃったねぇ」

 

シモン「あの娘…色んなモンスターを従えてるのか。だから攻略される…」

 

???「そりゃあ攻撃手段が多いって相手にとっては地獄だからね。単純に攻略方法が多くなるし」

 

シモン「クソッ…このままじゃあの子を守れない。最後はお前だミュラー。何としても奴を止めろ」

 

ミュラー「止めるってどっちの事?ブレイカー?女の子?」

 

シモン「ブレイカーだ。奴はもう処分する。お前の力で滅ぼせ」

 

ミュラー「…私、仲間を殺したくないんだけど?」

 

シモン「いいや、奴はもう仲間じゃない。敵だ。だからやつは今までコスモスやランギルを倒してきた」

 

ミュラー (コスモスはともかく、ランギルはブレイカーじゃないけどね)

 

シモン「とにかくブレイカーを止めろ。奴が一番厄介だ。幸い大剣を持ってないのが救いだ。今の状態で殺せ」

 

ミュラー「…あのさ、私、殺したくないって言ったよね」

 

シモン「主の言うことを聞け。ミュラー。お前は今すぐブレイカーを止めろ」

 

ミュラー「はいはい。じゃあ行ってきますよ〜っと」

 

スタスタスタスタ

ミュラーは監視室から出た。

 

シモン「…コスモスに続いてランギルまで…あとはミュラーだけだが…」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…監視室に繋がる廊下

 

スタスタスタスタ

ミュラーはブレイカーたちに会うためにとある部屋に向かっていた。

 

ミュラー「ムカつく〜なにあいつの態度。意味わかんないし」

 

スタスタスタスタ

ミュラーは先程のシモンの発言に苛立ちを覚えていた。

 

ミュラー「そもそも主ってなによ。私の主はあの子だってのに。意味わかんない。なんであんな男に従わなきゃダメなわけ?」

 

ミュラー歩きながら少し考えを巡らせていた。

 

ミュラー「…そうだ。どうせコスモスもランギルも倒れてるし私もそうなればいいよね」

 

スタスタスタスタ

ミュラーは不敵な笑みを浮かべながら歩を進めるのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…監視室に繋がる廊下がある部屋

 

アリシア「また広い場所だね」

 

スザク「はい。ボスが来るとなれば多分ここかと」

 

スザクはランギルとの戦い後、アリシアの薬草や自身の回復の力で体力を全快にしてきた。アリシアはゲンブ以外を戻して先に進んできた。

 

ブレイカー「…」

 

ザッザッ…

ブレイカーは周囲を見渡した。

 

ミュラー「お?来たきた。ブレイカーも一緒だね。丁度いい。あ、あの子か…さっき言ってたのは」

 

ミュラーは監視室に繋がる廊下へ上がるための階段にいた。ひっそりと息を潜めてブレイカーたちを見ていた。

 

ミュラー「さぁて、監視されてるだろうからやっちゃうか」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

ミュラーは静かに空を飛んだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

アリシア「誰も来ないね。階段あるし早く行こっ!」

 

スザク「そうですね。行きましょうか」

 

スタスタスタスタ

アリシアとゲンブ、スザクが歩を進めた。

 

ブレイカー「グルルルルルルル…」

 

するとブレイカーがまた威嚇をし始めた。アリシアたちはすぐに足を止めて周囲を見渡した。これまでブレイカーは2回とも威嚇し、その時に変な人たちが現れた。今回もそうなんだろうとアリシアは考えていた。

 

アリシア「っ…」

スザク「…」

ゲンブ「…」

 

アリシアたちは息を潜めて周囲を見る。しかし変わったことは起こらない。

 

アリシア「何も…ない?」

 

スザク「…」

 

ゲンブ「一応盾を構えておきますね」

 

ガシャン!

ゲンブは周囲に大盾を4つ展開した。

 

ミュラー「やぁみなさん。ようこそおいで下さいました」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

すると天井からミュラーが現れた。ミュラーは天井から顔だけ出してアリシアたちを見下ろしている。

 

アリシア「わっ!えっ!?出た!!」

 

ブレイカー「…」

 

スザク「何ですかあなたは。私たちを止めるつもりですか」

 

ミュラー「う〜ん…まぁ…そうなるのかな?」

 

ゲンブ「…?」

 

ミュラー「まぁでもこの先にはできれば行ってほしくないかな。危ないから」

 

アリシア「ダメです!この先にあの子がいるんですよね!?」

 

ミュラー「…君はなぜあの子を追っているの?何かあったの?」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

ミュラーが天井から降りてきた。ミュラーはローブのような服装に金髪でツインテール。なんとなく魔法使いみたいな格好をしている。でも金髪の魔法使いは見たことがないから自信はない。

 

ミュラー「で?何かあったの?」

 

アリシア「あの子怪我してたんです!治してあげないと!」

 

ミュラー「あー怪我ね。もう治ってるよ?私が治したし」

 

アリシア「えっ」

 

ミュラー「割と酷い傷だったよ。でも大丈夫。もう全部治したから」

 

アリシア「でも!」

 

ゲンブ「!」

 

ゲンブはブレイカーが威嚇していないことに気づいた。

 

ミュラー「だから君の出番はなし!もう帰っていいよ!私はそっちの男に用があるの」

 

アリシア「!」

 

ブレイカー「…」

 

ブレイカーは静かにミュラーの方を見ていた。

 

アリシア「何でですか!この人が何かしましたか!?」

 

ミュラー「ううん。主の命令でね、その人を殺すよう言われてるの。だから用のない君たちはこのまま帰って。巻き添えになるから」

 

アリシア「ダメです!」

 

ミュラー「…なんで」

 

アリシア「この人はあの子を助けるためにここに来ました!私たちはそのお手伝いです!だから通してください!」

 

ミュラー「…」

 

ミュラーはアリシアの方をじっと見た。次にブレイカーの方を見て、最後にスザクとゲンブを見た。

 

ミュラー「…どうしても帰らないの?怪我するよ?」

 

アリシア「帰りません!私たちはあの子を救うんです!」

 

ミュラー「…そう。選択に後悔はないね?」

 

アリシア「ないです!!」

 

ミュラー「…そう」

 

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…

すると何か嫌な音が聞こえてきた。

 

ゲンブ「ご主人様!」

 

アリシア「!!」

 

ミュラー「ほいっ」

 

ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!

すると天井に雷雲が現れ、アリシアたちに雷を落としてきた。

 

ゲンブ「くっ!」

 

ガシャン!ドォン!!ドォン!!ドォン!!ドォン!!

ゲンブは盾を強化してアリシアを守った。しかし雷は地面を伝って周囲に拡散した。

 

アリシア「ゲンブ!!」

 

ミュラー「ふぅ〜ん。硬いね。君」

 

スザク「主様。倒しましょう」

 

アリシア「う、うん!」

 

タッタッタッタッタッ!

スザクはミュラーに接近した。

 

アリシア「えっと…雷ってことは…土属性が相性いいんだよね!」

 

ピッ…ブゥン…

アリシアは仲間モンスターの一覧を見た。

 

アリシア「えっと…土属性は…ゴロちゃん…あとはヴィレッタさんが土属性の攻撃ができる…あとは…ない…」

 

アリシアのモンスターは土属性が少ない。ヴィレッタに関しては土属性の攻撃ができるだけ。

 

アリシア「とにかく…来て!ゴロちゃん!ヴィレッタさん!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアはゴロちゃんとヴィレッタを召喚した。

 

ゴロちゃん「…」

ヴィレッタ「来たぞ。アリシア」

 

アリシア「ゴロちゃん!ヴィレッタさん!あの女の人を攻撃!雷属性の魔法を使うから気をつけて!」

 

ヴィレッタ「分かった」

 

ゴロちゃん「…」

 

タッタッタッタッタッ!

ヴィレッタはミュラーに向かって走った。ゴロちゃんは動きが遅いのでゆっくりミュラーに近づいていく。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

スザク「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!

スザクは短剣でミュラーを攻撃していく。しかしミュラーは寸前のところで全て回避していく。

 

スザク「くっ!はぁっ!」

 

ビュン!

スザクはさらに攻撃を重ねた。しかしミュラーには当たらない。

 

ミュラー「あなた、とても速いのね。でも見えちゃうの。あなたの斬撃が」

 

スザク「くっ…」

 

ミュラー「私の仲間にも刀を使う子がいてね。よくその子の様子を見てたの。コスモスって名前の子なんだけど、その子の太刀筋を見てたらなんとなく分かるようになってたの」

 

スザク「はぁっ!」

 

ビュン!

スザクは話している最中のミュラーを攻撃した。しかしミュラーは余裕の表情で避ける。

 

ミュラー「だから見えてるんだって。あなたじゃ無理よ」

 

スザク「くっ…」

 

ヴィレッタ「土霊斬!!」

 

ビュン!ガンッ!!

スザクの後ろからヴィレッタが攻撃してきた。しかし斬撃を見ることができるミュラーにとっては単に避けやすい攻撃だった。ヴィレッタはミュラーが避けたことで地面を攻撃してしまった。

 

ミュラー「あら、また新しい人が増えた。あなたは誰?」

 

スザク「ヴィレッタ。やつは相手の斬撃が見える。私の攻撃が一切通じなかった」

 

ヴィレッタ「ほぅ。なら当たるまで攻撃するだけだ」

 

タッタッタッタッタッ!

ヴィレッタはミュラーに接近した。

 

ミュラー「あら、あなたも速い」

 

ヴィレッタ「はぁっ!」

 

ビュン!

ヴィレッタは下から切り上げる形で攻撃した。しかしミュラーは簡単に避けていく。

 

ヴィレッタ「はぁっ!」

 

ビュン!ビュン!ビュン!

ヴィレッタはさらに続けて攻撃を入れた。でもミュラーには全く効果がなかった。

 

ヴィレッタ「…なるほど、確かに剣じゃ効果はなさそうだ」

 

ミュラー「うん。斬撃見えるからね」

 

ヴィレッタ「だがこれならどうだ?」

 

ミュラー「?」

 

ドォン!!

するとミュラーの背後に何かが落ちてきた。

 

ミュラー「!?」

 

ガシッ!!

するとミュラーは何かに捕まってしまった。

 

ミュラー「!!」

 

ヴィレッタ「よくやったゴロちゃん」

 

スザク「ゴロちゃん…」

 

ゴロちゃん「…」

 

ミュラー「な、何あなた!離して!」

 

グイッ!グイッ!グイッ!グイッ!

ミュラーは必死に脱出しようとした。しかしミュラーは筋力がなく、脱出は難しそうだった。

 

ヴィレッタ「スザク。攻撃するぞ」

 

スザク「あぁ」

 

タッタッタッタッタッ!

ヴィレッタとスザクはミュラーに接近した。

 

ミュラー「ぐぬぬぬぬぬ…もう!離して!」

 

スザク「四獣剣技…」

 

ミュラー「!!」

 

ミュラーは2人が走ってきているのに気づいた。

 

スザク「夜桜乱撃!!」

ヴィレッタ「土霊斬!!」

 

ズシャシャシャシャシャ!ズバァン!!

スザクとヴィレッタの攻撃が命中した。

 

スザク「当たった!」

ヴィレッタ「っ…」

 

ミュラー「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ミュラーは2人の攻撃で大ダメージを受けた。

 

ミュラー「うっ…ぐっ…」

 

ゴロちゃん「…」

 

ゴロちゃんは全く離そうとしなかった。ミュラーはゴロちゃんに捕まりながら痛みに耐えていた。

 

ミュラー「鬱陶しい!!」

 

ビュォォォォォォォォ!!

突然ミュラーの周囲に竜巻が3つも発生した。

 

ヴィレッタ「なにっ…!?」

 

アリシア「えっ!?雷属性魔法じゃないの!?」

 

スザク「主様!早くゴロちゃんを戻してください!」

 

アリシア「あっ!ゴロちゃん!戻ってき…」

 

ビュォォォォォォォォ!!

ゴロちゃんはその竜巻によって天井まで吹き飛ばされてしまった。

 

アリシア「ゴロちゃん!!」

 

ゴロちゃん「…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…ドゴォン!!

ゴロちゃんはそのまま地面に落下してきた。

 

スタッ!

ミュラーはゴロちゃんが天井まで吹き飛ばされていた時に脱出していた。ゴロちゃんが勢いよく落ちていくのとは逆に、ミュラーはゆっくりと降りてきた。

 

ミュラー「はぁ…はぁ…はぁ…危なかったぁ…」

 

アリシア「スザク…あの人…2つも属性魔法使えるよ…どうしよう…」

 

スザク「主様。あの人、まだ属性を隠している可能性があります」

 

アリシア「えっ!?」

 

スザク「このまま新しい属性の魔法を出されてしまっては対応が追いつきません」

 

アリシア「じゃ、じゃあ…どうすれば…」

 

スザク「主様。全員喚びましょう」

 

アリシア「みんなを?」

 

スザク「そうです。みんなであいつを倒しましょう」

 

アリシア「う、うん!分かった!」

 

ミュラー「させないよ」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!

ミュラーは部屋全体に特殊な効果を持つ結界を展開した。

 

アリシア「な、何っ!?」

 

ミュラー「これ以上仲間呼ばれたら私がしんどいもん。だからあなたたちを外の世界から遮断するね」

 

スザク「外の世界から遮断だと…?」

 

ミュラー「この結界は私を倒さない限りずっと続くよ。もう出てきちゃってるモンスターは仕方ないけどこれ以上は増やさせないから」

 

スザク「くっ…主様。もう私たちで戦うしかないようです」

 

アリシア「うん…そうみたいだね…」

 

アリシアはミュラーの結界によってこれ以上仲間は呼べなくなってしまった。現在すでに呼ばれているのはスザク、ゲンブ、ゴロちゃん、ヴィレッタの4人だけ。

 

ミュラー「さ、もう少しだけ楽しませてね」

 

ビュォォォォォォォォ!!

ミュラーは風属性魔法を使い、竜巻を5つ生成した。

 

アリシア「また風属性!」

 

スザク「風属性なら氷属性!ヴィレッタ!氷属性の斬撃だ!」

 

ヴィレッタ「了解!」

 

タッタッタッタッタッ!

ヴィレッタはミュラーに接近した。

 

ミュラー「来たきた。あなたはさっき土属性の攻撃してきた人だね。あなたも風属性に弱そう!」

 

ビュォォォォォォォォ!!

ミュラーは新たに3つも竜巻を作り出した。

 

ヴィレッタ「遅いっ!」

 

ビュン!

ヴィレッタはミュラーの懐に入った。

 

ミュラー (速いっ…)

 

ヴィレッタ「氷結斬!」

 

ズバッ!!

ヴィレッタは氷属性の斬撃を放った。その攻撃は見事ミュラーに命中し、ミュラーは少し後方に仰け反った。

 

ミュラー「うぐっ…いったたた…氷属性も使えるんだ…あなたも私と一緒で多属性使いなのね!」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

ミュラーは大きな火の玉を作り出した。

 

ヴィレッタ「!!」

 

ミュラー「これならどう!?」

 

ビュン!ゴォォォォォォォォォ!!

ミュラーはヴィレッタに大きな火の玉を放った。

 

ヴィレッタ「残念だが俺はもっとたくさんの斬撃を持っている!」

 

チャキッ!

ヴィレッタは剣を構えた。

 

ヴィレッタ「水冷斬!!」

スザク「四獣剣技 夜桜乱撃!」

 

ズバッ!!ズシャシャシャシャシャ!!

ヴィレッタの攻撃に合わせてスザクも攻撃に入った。スザクはミュラーが火属性の魔法を使った時からすでに行動を起こしていた。

 

バゴォォォォォォン!!

ミュラーの大きな火の玉は爆発し、消えていった。

 

ミュラー「くっ…」

 

ヴィレッタ「光輝斬!!」

 

ズバァァァァン!!

ヴィレッタの攻撃が命中した。ミュラーはいきなりの攻撃に反応できなかった。

 

ミュラー「!?」

 

スザク「四獣剣技 夜桜乱撃!!」

 

ズシャシャシャシャシャ!

スザクも追撃に入る。ミュラーはヴィレッタの攻撃のせいで上手く体が動かなかった。

 

ズサァァァァァァァァ!!

ミュラーは少し後方まで距離をとった。

 

ミュラー「くっ…あの2人…動きは速いし物理攻撃だし…私の天敵かも」

 

ゴロちゃん「…」

 

ドゴォン!!

ゴロちゃんがミュラーに向かって落ちてきた。ミュラーはそれに気づいて間一髪で回避した。

 

ミュラー「はぁっ!」

 

ビュォォォォォォォォ!!

ミュラーは氷属性魔法を使った。ミュラーの魔法で地面が凍ってしまった。

 

アリシア「わわっ!地面がっ!!」

 

スザク「ヴィレッタ!地面を壊すぞ!」

 

ヴィレッタ「あぁ!」

 

ビュォォォォォォォォ!!

スザクは姿を変えた。

 

朱雀「キャァァァァァァァァァ!!」

 

ミュラー「えっ?何あれ…えっ?」

 

ヴィレッタ「火炎斬!」

朱雀「キャァァァァァァァァァ!!」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

ヴィレッタは火属性の斬撃で、朱雀は火のブレスで地面を攻撃した。するとたちまち地面が元に戻っていった。

 

ミュラー「…」

 

ミュラーはその間、何もせずただじっと見ていた。

 

朱雀「キャァァァァァァァァァ!!」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

朱雀は火のブレスを放った。

 

ミュラー「水柱!」

 

ザバァン!!

ミュラーは水で朱雀の火をかき消した。

 

ミュラー「よしっ」

 

ヴィレッタ「光輝斬!」

 

ズバァン!!

ヴィレッタはミュラーの背後に回り、ミュラーを攻撃した。

 

ミュラー「あがっ!!」

 

ドサッ!

ミュラーは地面に膝をついた。

 

ミュラー「くっ…2人はキツい…」

 

ミュラーはアリシアの方を見た。相変わらずアリシアはゲンブの盾に守られている。

 

ミュラー (あの子を攻撃するのは難しそう…というかこの2人とよく分からない岩みたいなやつのせいで近づけない…)

 

ドゴォォォォォォォン!!

するとミュラーの背中にゴロちゃんが落ちてきた。

 

ミュラー「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ゴロちゃん「…」

 

ミュラーはゴロちゃんの下敷きになった。ミュラーはゴロちゃんの攻撃で上手く力が入らなくなった。

 

ミュラー「このっ…どいて!」

 

ミュラーはなんとか脱出しようとしたが、ゴロちゃんが重すぎてビクともしなかった。

 

朱雀「キャァァァァァァァァァ!!」

 

ミュラー「!!」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

朱雀はゴロちゃん諸共ミュラーに火のブレスを放った。

 

ミュラー「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ゴロちゃん「…」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

朱雀は火のブレスを吐き終えるとミュラーの様子を見ていた。

 

朱雀「…」

 

ミュラー「うっ…くっ…」

 

ミュラーは大ダメージを受けた。服はボロボロで魔力も途切れつつあった。

 

ミュラー「…ダメね…これじゃあ…」

 

アリシア「ヴィレッタさん!トドメを!」

 

ヴィレッタ「あぁ」

 

タッタッタッタッタッ!

ヴィレッタは剣を構えてミュラーに接近した。

 

ミュラー「…まぁ、よくやったわ。いい演技だったでしょう」

 

ヴィレッタ「光輝ざ…」

 

ドォン!!

ヴィレッタがミュラーの目の前で剣を振ろうとした時、何かが落ちてきた。

 

ヴィレッタ「!?」

 

ヒュッ!スタッ!

ヴィレッタは一旦距離をとった。そして落ちてきたものを見た。

 

ヴィレッタ「…どういう事だ」

 

アリシア「えっ…なんで…」

 

ブレイカー「…」

 

落ちてきたのはブレイカーだった。ブレイカーはヴィレッタに攻撃されそうになっていたミュラーを守るように立ち塞がっていた。

 

アリシア「どうして…ブレイカーさん…」

 

ミュラー「…!」

 

ミュラーはブレイカーの姿を見た。

 

ミュラー「…あ…あなた…」

 

ブレイカーはミュラーの方に振り向いた。ゴロちゃんはブレイカーの行動を察したのか、ミュラーから離れた。

 

ブレイカー「…」

 

ミュラー「あなた…なんで…」

 

スッ…

ブレイカーはミュラーに手を伸ばした。

 

ブレイカー「…」

 

ミュラー「…私はあなたを殺すよう命令されたのよ…なのに…なんであんたは…」

 

ブレイカー「…」

 

その様子を見ていたアリシアはミュラーが悪人では無いのではないかと思っていた。

 

アリシア「…ゲンブ」

 

ゲンブ「はい」

 

アリシア「…ちょっと行ってきます」

 

ゲンブ「えっ…」

 

スタスタスタスタ

アリシアはブレイカーとミュラーの方に歩いていった。

 

ゲンブ「ご主人様!」

 

タッタッタッタッタッ!

ゲンブも一緒について行くことにした。アリシアはカリスマ以外のステータス値が最低なのでゲンブはやられるんじゃないかと気が気でなかった。

 

ザッ…

ミュラーはブレイカーの手を取り、立ち上がった。

 

ミュラー「あなた…なんで私を…」

 

ブレイカー「…」

 

ミュラー「私はあなたを殺そうとしてるのよ!なんで助けるの!答えなさい!」

 

ブレイカー「…」

 

ゴロちゃん「…」

 

ゴロちゃんは何もせず、ただ2人の会話を聞いていた。

 

ミュラー「くっ…ここまで来ても何も言わないのね…あなた…」

 

アリシア「あの…すみません」

 

そこにアリシアが話しかけてきた。アリシアは内心ビクビクしながら話をしている。

 

ミュラー「…なによ」

 

アリシア「あの…ブレイカーさんがあなたを威嚇してません。他の2人にはとても威嚇していました。察するにあなたは悪い人ではないですよね。違いますか?」

 

ミュラー「…はっ。私が良い人か悪い人かなんて私には分からないわ。それを評価するのは他人よ。私ではない」

 

アリシア「でも…ブレイカーさんは」

 

ミュラー「私は主にこいつを殺せと命令された。私はそれに従っている。あなたはそれを良い人と思うわけ?」

 

アリシア「…えっと…その…」

 

ミュラー「違うでしょ。私は良い人じゃないの」

 

アリシア「でも…」

 

シモン「全く。君は何をしているのかね。ミュラー」

 

突然部屋中に声が響いた。学校の放送みたい。その声はみんなでご飯食べていた時に聞いた声とほぼ同じだった。

 

ミュラー「…主」

 

シモン「君はとても強いから最後にしてあげたのに。目の前に敵がいるけど何してるの。さっさと殺して」

 

ミュラー「…」

 

シモン「…どうした。殺さないのか?」

 

ミュラーはブレイカーに助けられたことを考えていた。自分を助けた人を殺すことはミュラーにとっては苦痛でしかなかった。

 

ミュラー「…すみません」

 

シモン「…全く。君がやらないなら僕がやる。君は下がれ」

 

ミュラー「…申し訳ございません」

 

スタスタスタスタ

ミュラーは4歩後ろに下がった。

 

シモン「さて…と、じゃあね。ミュラー」

 

アリシア「!?」

 

カチッ

シモンは何かボタンを押した。

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン…ガシャン!

するとミュラーが力無くその場に倒れた。

 

アリシア「えっ…」

 

ミュラー「…」

 

ミュラーは目を開けたまま動かなくなった。目に光はなく、手足も全く動かない。

 

アリシア「えっ、どうしたの…?」

 

ゲンブ「ご主人様」

 

アリシア「えっ…」

 

ゲンブ「…この人…死んでます」

 

アリシア「!」

 

タッタッタッタッタッ!

アリシアはミュラーに駆け寄った。抱きかかえて顔を見たが、ぐったりしている。本当に人が死んだかのように力がない。

 

アリシア「嘘っ…えっ…待って!」

 

ゲンブ「…」

スザク「…」

ゴロちゃん「…」

ヴィレッタ「…」

 

スザクたちはアリシアの姿を静かに見ていた。

 

アリシア「ゲンブ!この人を直さないと!どうすればいい!?」

 

ゲンブ「…ご主人様。恐らくですが、彼女は救えません。私たちには難しいです」

 

アリシア「そんな…っじゃあスザク!スザクなら回復できるでしょ!?」

 

スザク「……すみません主様。私が回復できるのは生命を持つ者のみ。彼女に生命はありません。機械です」

 

アリシア「!!」

 

アリシアは途端に悲しくなった。涙は出なかったが、悔しさがどんどん混み上げてくる。

 

アリシア「そんな…」

 

ゲンブ「…ご主人様。あの子を救いたいのであればここに彼女を置いていきましょう」

 

アリシア「っ…」

 

シモン「さぁて、お嬢さん。僕は階段を昇った先の部屋にいるよ。僕を止めたかったらここまでおいでなさい。返り討ちにしてあげます」

 

プツッ…

するとシモンの音声が切れた。その瞬間、部屋は静寂に包まれた。

 

アリシア「…ゲンブ…スザク…」

 

ゲンブ「はい」

スザク「はい」

 

アリシア「…あの人を…倒しに行きます」

 

ゲンブ「了解」

スザク「了解」

 

アリシア「…」

 

スッ…

アリシアはミュラーを地面に寝かせた。

 

アリシア「ミュラーさん。今からあの人をやっつけに行きます。少しお待ちください」

 

ザッ…スタスタスタスタ…

アリシアたちは階段を昇り、シモンが待つ部屋に向かうのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…監視室

 

アリシアたちはシモンが待つ監視室に着いた。そこには椅子に座ったシモンが扉の方を見ていた。アリシアはその部屋に入るとシモンと顔を合わせた。

 

アリシア「…」

 

シモン「やぁ、あの時ぶりだね。お嬢さん」

 

アリシア「…あの子はどこにいますか」

 

シモン「あぁ、あの子ですか。あの子は今研究室にいますよ。暴走しないよう薬を使って抑えています」

 

アリシア「薬…」

 

シモン「はい。この世界には機械の動きを鈍らせる物が存在します。何とは言いませんが、それがある事でこの世界の機械たちは暴走せずに済んでいます。さっきミュラーが倒れたのもそれです」

 

アリシア「っ!!」

 

シモン「ミュラーはしばらく動きませんよ」

 

アリシア「あなたは機械をなんだと思ってるんですか!」

 

シモン「…さぁ、分からないね」

 

アリシア「っ…」

 

シモン「だが、あの子だけは違う。あの子はこの世界ではほぼ神に等しい。全ての機械を操り、従えることができる。私はその力でこの世界の機械たちを思うように動かしたいのさ」

 

アリシア「何っ…言ってるんですか」

 

シモン「もう言ったことそのものだよ。今あの子が暴走したら私もタダじゃ済まない。だからあの子からその力を奪ってその後あの子を処分します」

 

アリシア「!?」

 

シモン「そうすれば僕はもう誰にも止められない。僕は神に近しい存在になる」

 

アリシア「そんな事はさせない…あの子を解放して!」

 

シモン「…嫌ですよ。正直、あなた方に接触したのは計算外です。焦りましたが、そこのブレイカーが間抜けでよかったです」

 

ブレイカー「グルルルルルル…」

 

ブレイカーは威嚇していた。シモンはブレイカーの威嚇に対して全く怖気付く様子もなかった。

 

シモン「さて、話は終わりだ。ここで君たちに邪魔されたくないんでね。僕も本気で君たちを止めるとしよう」

 

ボコボコボコボコッ!!

するとシモンの体がどんどん大きくなり、背中からタコみたいな触手?のようなものが生えてきた。

 

アリシア「うわっ!!おっきくなった!!」

 

シモン「あの子の力は絶大なものになる。しかしまだそれ止まり。僕が手に入れればさらに強い力となる!!」

 

ゾワァァァァァァ…

シモンの体が青白く変色し、体の所々から鉱石が見えていた。

 

アリシア「何あれ…」

 

スザク「主様。彼の体についているもの。あれ、採掘場にあった鉱石と同じ力を感じます」

 

アリシア「えっ!?」

 

シモン「そうさ。僕の体にあるこの鉱石は機械を動かす、いわば動力源。それがこの私に多数埋め込まれている。こうすることで私は半永久的に活動することができるのだ」

 

アリシア「半…永久的…」

 

シモン「あの子はもうすぐ目覚める!お前たちがコスモスとランギルを倒し、私がミュラーを停止させたことで彼らの力があの子に注がれた!私はここで時間稼ぎをさせてもらう!」

 

アリシア「なっ…」

 

スザク「くっ…あの人たちも動力源なのか…」

 

シモン「あとはブレイカーがいれば完璧だが、もはやそいつの力なぞいらん。僕の力であの子を覚醒まで導くことができた!これは快挙だ!私の勝利に他ならない!!」

 

ドゴォン!!

ブレイカーがシモンに攻撃した。しかしシモンには全く効果がないのか、シモンは仰け反る様子もなかった。

 

シモン「くくっ…あっははははははははは!弱いなぁ、ブレイカー!」

 

ガシッ!!ドゴォン!!

シモンは触手でブレイカーを拘束し、攻撃した。

 

ズサァァァァァァ!ドゴォン!!

ブレイカーは壁まで吹き飛ばされた。

 

アリシア「えっ!?あれ…人の力じゃないよ!?」

 

シモン「当たり前だ!私はもう人間ではない!というか僕も元々人間ではない!あの子から作り出されたアンドロイドに過ぎない!!」

 

カシュッ!ブゥゥゥゥゥゥゥゥン…

シモンの胸元が開いた。シモンの胸の中で動力源となっている鉱石が光を放っている。

 

アリシア「あれが…動力源…」

 

シモン「あぁ素晴らしい!!痛快だ!!私はもう無敵!!誰も私を止められない!」

 

スザク「主様。戦う準備を」

 

アリシア「えっ?」

 

スザク「…私たちで止めましょう」

 

アリシア「っ…分かった。やるよ!みんな!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ!

アリシアの合図でアリシアの仲間モンスターたちが一斉に召喚された。

 

シモン「来るか…来るかぁ!!あっははははははは!この僕に!!この僕に!!来いよ人間!それに人間に付き従う奴隷どもがぁ!!」




〜物語メモ〜

コスモス
アリシアたちに立ちはだかった最初のキャラクター。鋭い目に和装を纏い、侍のような格好をしている女性。刀による斬撃が得意。素早い攻撃とスピードで相手を追い詰める。しかし防御が弱いのがたまにキズ。

ランギル
コスモスの次に登場したキャラクター。赤い肌に白い髪の男性。黄色い目を持ち、拳や足で攻撃する格闘家タイプ。ランギルの拳や足による攻撃はブレイカーですら吹き飛ばされるほど。

ミュラー
ランギルの次に登場したキャラクター。魔法使いが着てそうなローブに金髪のツインテール。少し軽い口調が特徴な女性。多属性の魔法を操り、今回は雷と風、火、氷、水属性魔法を使っていた。また結界も使うことができ、これでアリシアの仲間を呼べないようにした。

機械の動力源
この世界の機械は前の話に出てきた鉱石によって動いている。またそれと同時に何かあった時用に機械を停止させるものも存在する。この世界の機械たちは自身を動かすものと止めるものの2つを所持している。一度動けば鉱石がある限りずっと活動ができるが、所有者の権限で停止させられることもある。
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