私、支持率0%の職業でゲームにログインします。 作:バスタオル
場所…ダンジョン カチカチの洞窟
ジン「ここが今俺たちの間で話題になってるダンジョンだ」
ジン、ルシュ、アリシア、ロザリーはジンの勧めでとあるダンジョンに来ていた。
ジン「名前はカチカチの洞窟だ」
アリシア「カチカチの洞窟…」
ロザリー「な、なんか、個性的な名前だね」
ジン「実際こういう名前なんだから仕方ないだろ?文句なら運営に言いな」
ルシュ「ジン。この子たち何も文句言ってないじゃない」
ジン「まぁいいよ。そんじゃ行くぞ…っとその前に」
ジンはアリシアたちの方を見た。
ジン「この中にいるモンスターはとにかく硬い。体力が多いじゃなくて防御力が高い」
アリシア「あ、だからカチカチの…」
ジン「そう。攻撃力が低かったらまずダメージを与えられない」
ロザリー「え、じゃあ私とアリシアは…」
ジン「だから俺たちが一緒にいるんだ」
ロザリー「?」
ジン「俺とルシュなら倒せる。2人は俺たちと一緒にレベルを上げる。簡単なことだろ?」
アリシア「なるほど!」
ジン「とりあえず30くらいまで上げたいな。2人とも」
アリシア「はい!」
ジン「よしっ!じゃあ行くぞ!」
スタスタスタ
ジンたちはカチカチの洞窟に入っていった。
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場所…カチカチの洞窟 第1大広間
アリシア「わ、ここちょっと広くなってる」
ジン「このダンジョンは全部で3つの大広間がある。ここがその1つ目だ」
プニョン!プニョン!プニョン!
すると何やらスライムらしきモンスターが3匹現れた。
アリシア「わっ!何か出てきましたよ!?」
ジン「あれがカチカチスライムだ」
ロザリー「カチカチ…」
ジン「ルシュ!いつもの!」
ルシュ「任せて!」
バッ!
ルシュは両手の掌をカチカチスライムに向けた。
ルシュ「
ブゥゥゥゥン…
するとカチカチスライムの防御力が下がった。
ルシュ「いいよ!ジン!」
ジン「よしっ!」
タッタッタッ!
ジンは剣を構えてカチカチスライムに向かって走った。
ジン「鋼鉄剣!」
ドカッ!
ジンはスキルを使ってカチカチスライムを攻撃した。だがカチカチスライムは倒れる気配がなかった。
ジン「アリシア!ロザリー!お前らも攻撃だ!」
アリシア「はい!」
ロザリー「はい!」
カチャ!
アリシアは堕天使の短剣を装備した。
ブゥン!ブゥン!ブゥン!コンッ!ズォッ…
ロザリーはロンギヌスの槍を装備した。するとロンギヌスの槍が赤いオーラを放ち始めた。
アリシア「出てきてスザク!」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
メダルからスザクが出てきた。
アリシア「あのモンスターをやっつけて!」
スザク「お任せを!」
シュッ!
スザクは一瞬でカチカチスライムの目の前に現れた。
スザク「はぁっ!」
キィン!
スザクの攻撃が弾かれた。
スザク「なっ!?」
キィン!キィン!キィン!
スザクは何度も攻撃したが、全くダメージを与えられなかった。
スザク「くっ…なんという失態…これでは主様に顔向けできない!」
ビュン!
スザクはカチカチスライムの周辺を走り回り、翻弄した。
スザク「せいっ!」
ズシャッ!
スザクは背後から攻撃した。するとダメージを与えられた。
スザク「よしっ!このまま続ければ!」
ロザリー「私も!」
タッタッタッ!
ロザリーは槍を構えて走った。
ロザリー「はぁぁぁっ!せいっ!」
コンッ!ビュン!ビュン!コンッ!
ロザリーは槍を振り回してカチカチスライムを攻撃した。だが相手が硬すぎてダメージを与えられなかった。
ロザリー「まだまだ!乱れ突き!」
ビュンビュンビュンビュン!
ロザリーは素早く4回槍を突いた。だがカチカチスライムには全くダメージがなかった。
ロザリー「くっ…」
ジン「闇雲に打ってもダメだ!背後を取れ!背後が弱点だ!」
ロザリー「はい!」
ビュン!ビュン!ビュン!
ロザリーは上げたスピードを活かしてなんとか背後に回り込もうとした。
ロザリー (ここっ!)
カン!
ロザリーは背後から攻撃した。だがカチカチスライムの防御力に弾かれてしまった。
ロザリー「なっ!」
アリシア「ロザリー!」
ズシャッ!
すると近くでスザクがカチカチスライムを1匹倒した。
スザク「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
スザクはずっと走り回ってたせいか、相当疲れていた。
スザク「自分の戦闘不足…痛々しい…」
ジン「どりゃあ!」
ゴンッ!シュゥゥゥゥゥゥ…
ジンは力強い攻撃でカチカチスライムを倒した。残りはロザリーのカチカチスライムだけ。
ジン「ルシュ!ロザリーの援護だ!」
ルシュ「やってるよ!」
ルシュはずっと防御低下の魔法を使っていた。
ロザリー「やぁっ!」
カン!カン!カン!カン!カン!
やっぱりロザリーの攻撃力ではカチカチスライムの防御力を突破できなかった。
ロザリー「くっ!」
アリシア「ロザリー!頑張れぇ!」
音声「特性:応援の発動を確認。仲間のステータスが上昇します」
ブゥゥゥゥン!
するとロザリーのステータスが上昇した。
ロザリー「えっ!?急に力が!」
ジン「どりゃあ!」
ゴンッ!
ジンはなんとかカチカチスライムにダメージを与えた。
ジン「ロザリー!もう少しだ!あと少しで倒せるぞ!」
ロザリー「はい!」
タッタッタッ!
ロザリーはカチカチスライムに近づいた。
ロザリー「はぁっ!乱れ突き!」
ビュンビュンビュンビュン!
ロザリーは乱れ突きを使った。3回目の突きでダメージを与えることができた。
シュゥゥゥゥゥゥ…
するとカチカチスライムが姿を消した。
ジン「よしっ!よくやったロザリー!倒したぞ!」
ロザリー「やったぁ!」
アリシア「やったねロザリー!」
ロザリー「うん!アリシアも応援ありがとう!」
アリシア「えへへ…」
ジン「あと1回これが来るけど行けるか?」
アリシア「はい!」
ロザリー「はい!」
ジン「よしっ!行くぞ!」
スタスタスタ
ジン、ルシュ、アリシア、ロザリーは次に続く第2大広間も突破することができた。だが、ロザリーのMPが少なくなり、少し心細くなっていた。
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場所…カチカチの洞窟 最下層
ジン「よしっ。ここが最下層だ。ここのボスはさっきのやつらよりも硬いからな。気をつけろよ」
スタスタスタ
ジン、ルシュ、アリシア、ロザリーは最下層の中央に立った。
シュゥゥゥゥゥゥ…
すると祭壇の前に魔法陣が展開された。
ウィィィン…ガコン…ガコン…
すると魔法陣から召喚されたのは剣と斧を片手ずつ持った機械だった。
アリシア「あれは…機械?ですか」
ジン「そうだ。名前はメカ・カチーン」
アリシア「メ…」
ロザリー「メカ・カチーン…」
ルシュ「相変わらず変な名前よね…」
ジン「文句なら運営に言いな!」
カチャ
ジンは剣を装備した。
スッ
ルシュは杖を装備した。
カチャ
アリシアは堕天使の短剣を装備した。
ビュンビュンビュンコンッ!ズォッ…
ロザリーはロンギヌスの槍を装備した。するとロンギヌスの槍が赤いオーラを放ち始めた。
ジン「行くぜ!」
ダッ!
ジンが先陣切ってメカ・カチーンに接近した。
メカ・カチーン「敵を視認」
ジン「どりゃあ!」
ゴンッ!
ジンは大振りな攻撃をした。だがメカ・カチーンはその攻撃を避けた。
メカ・カチーン「攻撃」
ドカッ!
メカ・カチーンがジンに攻撃した。だがジンはそれを避けた。
メカ・カチーン「継続」
ドォン!ドォン!ガン!ガン!ドォン!
メカ・カチーンは両手に持った斧と剣を巧みに操ってジンを攻撃した。だがジンはなんとか回避することができた。
ジン「お前ら!あんまり無理するなよ!できる範囲で攻撃しろ!」
アリシア「はい!」
ロザリー「はい!」
アリシア「スラちゃんたち!出てきて!」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
スラちゃん、スラくん、ライム、スラミがメダルから出てきた。
アリシア「あのモンスターの動きを止めて!」
ダダダダダダダダ!
スラちゃんたちがメカ・カチーンに向かって走った。
アリシア「イノくん!お願い!」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
イノくんがメダルから出てきた。
アリシア「イノくん!スラちゃんたちがあのモンスターの動きを止めようとしてくれるから動きが止まったら渾身の突進をお見舞して!」
イノくん「フゥゥゥゥゥ!ブルブルブル!」
アリシア「スザク!あなたもお願い!」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
スザクもメダルから出てきた。
アリシア「スザク!スラちゃんたちがやられないよう援護して!」
スザク「はい!お任せを!」
ビュン!
スザクはメカ・カチーンに向かって走った。
ロザリー「私も!」
タッタッタッ!
ロザリーは槍を構えて走った。
ルシュ「
ブゥゥゥゥン…
するとメカ・カチーンの防御力が低下した。
ルシュ「さらに
ルシュはメカ・カチーンのスピードを下げた。
メカ・カチーン「敵の妨害を確認」
メカ・カチーンが防御低下と速度低下の魔法を受けてルシュに狙いを定めた。
メカ・カチーン「最優先」
ダダダダダダダダダ!
するとメカ・カチーンがジンを無視してルシュ向かって走った。
ダダダダダダダダダ!
スラちゃんたちはメカ・カチーンのあとを追う。
ジン「ルシュ!」
ルシュ「!」
タッタッタッ!
ルシュはメカ・カチーンから距離を取った。
アリシア「やぁっ!」
カンッ!
アリシアはメカ・カチーンに攻撃した。
メカ・カチーン「無視。最優先」
ダダダダダダダダダ!
だがメカ・カチーンはアリシアを無視してルシュを追いかけた。
ルシュ「なんで!?」
スザク「くっ!」
ビュンビュン!
スザクはステップを踏んで一気にメカ・カチーンに近づいた。
スザク「はぁぁぁぁぁっ!」
グルグルグル!
するとメカ・カチーンが急に体を回し始めた。
スザク「しまっ!」
ドカッ!
スザクはその攻撃に被弾してしまった。
アリシア「スザク!」
メカ・カチーン「…」
カチッ…ダダダダダダダダダ!
メカ・カチーンは一瞬だけ動きを止めると、再度ルシュを追いかけ始めた。
ルシュ「まだ追いかけてくる!!」
ジン「ルシュ!」
ダッ!
ジンはルシュの横を抜けた。
ジン「でりゃあ!」
ドゴォン!
ジンは力強く剣を振った。
メカ・カチーン「邪魔者」
ビュン!ビュン!カンッ!ビュン!ゴンッ!
メカ・カチーンは自慢の剣と斧を振り回してジンを退かせた。
メカ・カチーン「…」
カチッ…ダダダダダダダダダ!
メカ・カチーンが一瞬だけ動きを止めると再度ルシュを追いかけ始めた。
ルシュ「ジン!」
ジン「くそっ!」
ジジジ…ブゥゥゥゥン…ガクッ…
すると突然メカ・カチーンが動きを止めた。
ロザリー「えっ?」
ルシュ「あ、えっ?止まった?」
ジン「何が起きたんだ?」
シュゥゥゥゥゥゥ…
するとメカ・カチーンが姿を消した。
ガコッ!
祭壇に宝箱が出現した。
ジン「な、何だったんだ?」
ルシュ「急に止まったわね…」
アリシア「!」
アリシアは手に持ってる堕天使の短剣を見た。
アリシア (まさか…永続ダメージで?)
スッ!
アリシアは堕天使の短剣をしまってジンとルシュのところに向かった。
アリシア「みんな戻って!」
シュゥゥゥゥゥゥ…
スラちゃんたちがメダルに戻った。
ジン「初めて見たぞ…」
ルシュ「不具合かしら」
ジン「不具合なんて初めてだぞ?」
アリシア「ジンさん!ルシュさん!」
アリシアとロザリーが合流した。
アリシア「倒せましたね!」
ジン「あ、あぁ…」
ルシュ「でもこんな勝ち方初めてよ?」
ジン「いつもはあの硬さを何とか下げて攻撃してた。なのに今回は…」
ロザリー「そういえば技の後に大きな隙がありましたね」
ジン「いや、あいつの攻撃はあんなに隙が大きくない。一体なぜ…」
アリシア「もしかして…これが原因なのではないでしょうか」
カチャ
アリシアは堕天使の短剣を取り出した。
アリシア「堕天使の短剣です。骸の武士を倒した時に手に入れた武器なんですが、相手を攻撃すれば永続的にダメージを与えることができるんです」
ジン「!」
ルシュ「!」
アリシア「もしかしたらそのせいかもと…」
ジン「そうか…あいつの動きが鈍かったのもダメージを負って遅くなってたからか…」
ルシュ「確かに…それは納得ね」
ジン「じゃあこれからはアリシアが攻撃して相手が倒れるまで待てば楽に攻略できるってことか」
ルシュ「確かに」
アリシア「えっ?」
ジン「これならレベル上げも捗りそうだ!」
ロザリー「ありがとうアリシア!」
アリシア「い、いやぁ…」
ジン「よしっ!そうと決まれば宝箱を開けてさっさと2人をレベル30まで上げるぞ!」
ルシュ「おー!」
アリシア「はい!」
ロザリー「はい!」
その後、ジンたちは何回も繰り返してロザリーがレベル30になるまで周回した。
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アリシアのステータス
Lv.39
HP:39
MP:39
攻撃力:39
防御力:39
スピード:39
魔力:39
カリスマ:1114
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ロザリーのステータス
Lv.30
HP:213
MP:111
攻撃力:213
防御力:30
スピード:213
魔力:30
カリスマ:30
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ジンのステータス
Lv.43
HP:556
MP:187
攻撃力:556
防御力:512
スピード:198
魔力:53
カリスマ:53
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ルシュのステータス
Lv.43
HP:499
MP:913
攻撃力:43
防御力:200
スピード:213
魔力:998
カリスマ:43
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場所…はじまりの街 噴水の広場
ジン「大分時間かかったが、なんとかロザリーをレベル30にできたな」
ロザリー「ありがとうございます!」
ジン「あのダンジョンの報酬は経験値だけだから開いたら即入口に戻るのがコツだぞ」
ロザリー「はい!」
ジン「よしっ!これくらいいけばイベントもある程度いけるだろうが、2人はどうするよ」
アリシア「私!時間なので夜ご飯を!」
ジン「お、もうそんな時間か」
ルシュ「私も今日は終わろうかな」
ロザリー「私もそうします!」
ジン「よしっ。なら2人はもうこれで経験値稼ぎも覚えただろうし、次からは2人で行ってみるといいよ。アリシアなら永続ダメージで勝てるだろうし」
アリシア「はい!」
ジン「それじゃあな。またイベントで」
アリシア「はい!」
シュゥゥゥゥゥゥ…
ジンがログアウトした。
ルシュ「アリシアさん!ロザリーさん!イベント楽しみにしてるからね!」
アリシア「はい!私も!」
ロザリー「私も!楽しみにしてます!」
ルシュ「それじゃあね!」
シュゥゥゥゥゥゥ…
ルシュがログアウトした。
アリシア「じゃあ私たちも」
ロザリー「うん!また明日!」
シュゥゥゥゥゥゥ…
アリシアとロザリーがログアウトした。
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ー翌日ー
場所…学校の教室 昼休み
花蓮「結衣って特性とかスキルとか結構ある?」
結衣「うーん…スキルは少ないかな。3つくらいだったと思うよ」
花蓮「特性は?」
結衣「うーん…多いから分かんない…」
花蓮「ふーん。私もそろそろスキルとか特性とか集めようかな〜」
結衣「確かイベントもあと何日かだよね」
花蓮「うん。それまでに自分に合うスキルと特性集めないと。レベルは十分だからさ」
結衣「私も早く新しいモンスターを仲間にしないとなぁ」
花蓮「あ!じゃあさ!お互いこれから1人でやるってのはどう?」
結衣「1人?」
花蓮「そう!今からイベントまでで集めたスキルや特性とかは当日のお楽しみってことで!」
結衣「いいね!よぉし!頑張るぞー!」
花蓮「今回の初イベントは私が勝つんだからね!」
結衣「ううん!私が勝つよ!」
花蓮「勝負ね!私たちが戦うことになっても容赦しないから!」
結衣「望むところ!!」
2人はその後、学校を終えると急いで帰宅してゲームを起動した。
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場所…はじまりの街 噴水の広場
アリシア「よぉし!花蓮…おっと。ロザリーに勝つぞ!」
ブゥン
アリシアは自分のステータス画面を開いた。そしてフレンド状況も確認した。
アリシア「なるほど、ジンさんとルシュさんはログインなし。ロザリーはいるね」
ピッ
アリシアはステータス画面を閉じた。
アリシア「よしっ!出てきてイノくん!」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
メダルからイノくんが出てきた。
アリシア「ねぇイノくん。近くにダンジョンがあるから、そこまで乗せてってくれないかな?」
イノくん「ブルブルブル!」
イノくんは頷いた。
アリシア「よしっ!ありがとう!」
他のプレイヤー「なぁ知ってるか?お前」
他のプレイヤー「あ?なんだよ」
アリシアの近くで2人のプレイヤーが話をしていた。
他のプレイヤー「最近ダンジョンを荒らし回ってる奴がいるって噂だぜ」
他のプレイヤー「ダンジョンを荒らし回ってる?」
他のプレイヤー「そうだ。入ったダンジョンのボスが出てこなくてそのまま帰ったって話もあるくらいだ」
他のプレイヤー「へぇ、荒らしか」
他のプレイヤー「しかもそいつ。人間じゃねぇんだ」
他のプレイヤー「え?人間じゃない?」
他のプレイヤー「なんか見たやつが言うには、白い獣みたいな耳と尻尾があるやつでな、意味わからんけど何故か白い布みたいなので顔を隠してるんだ」
アリシア (それってもしかして…コハク!?)
他のプレイヤー「やだね〜今回のイベントには出てこないでほしいもんだ」
他のプレイヤー「全くだ。あんなのがいたらイベントになんねぇよ」
他のプレイヤー「だな」
アリシア「…」
スッ
アリシアはイノくんに乗った。
アリシア「イノくん。お願い」
イノくん「ブルブルブル!」
ダダダダダダダダダ!
アリシアはイノくんに乗って近くのダンジョンに向かった。
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場所…触の扉
アリシアが来たのははじまりの街に近いダンジョンだった。名前は触の扉。見た目はほかのダンジョンとそこまで大差ない。
アリシア「…よしっ」
スタスタスタ
アリシアは触の扉に入った。
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場所…触の扉 道中
グチュッ…グチュッ…グチュッ…
アリシアは足場の悪い中ゆっくり進んでいた。外見は他と変わらない触の扉でも、中は全然違った。壁や天井には所々変なブニブニしたものがひっついてるし、地面は普通の土がそのブニブニに覆われている。非常に足場が悪い。
アリシア (変な足場だなぁ…)
アリシアはそんな事を思いながら壁を伝って歩いていた。
アリシア (そういえばさっきの人たちの話…)
アリシアはここに来る前の噴水の広場で聞いた話を思い出していた。
アリシア (ダンジョンを荒らし回ってる…白い耳と尻尾に顔を覆ってる布…どう考えてもコハクにしか思えない…そういえば私の特性にパートナーってあるけど、全然一緒に行動してくれない…どうして…コハク…)
グチュッ…グチュッ…グチュッ…
アリシアはそんなことを考えながら、ようやく広い空間に出た。
アリシア「…モンスターが来るのかな」
アリシアは何度かダンジョンを経験して広い空間=モンスターがいるという考えになってしまった。
アリシア「あ、そうだ。スザクに聞けば…」
ゴソゴソ…
アリシアはスザクのメダルを取り出した。
アリシア「出てきて。スザク」
シュゥゥゥゥゥゥ…ポンッ!
メダルからスザクが出てきた。
スザク「お呼びでしょうか。主様」
アリシア「…ねぇスザク」
スザク「はい」
アリシア「スザクって、コハクのこと何か知ってる?」
スザク「!」
アリシア「知ってたら教えて欲しい…かな」
スザク「…コハクさんですか。私は一度も拝見した事がないのでなんとも…」
アリシア「普通はもう会ってるはずなの」
スザク「と、言いますと…」
アリシア「…私の特性にパートナーってのがあるの。これは仲間のモンスターのうち、一人だけ私と常に行動を共にするってものなんだけどね」
スザク「常に…?」
アリシア「でもほら、いないでしょ?コハク。現にスザクを除けば私一人。おかしくない?」
スザク「確かに…特性は常に発動しているので、今この場にいないのはおかしいですね」
アリシア「うん。それでね、ここに来る前に私…コハクが噂になってるって聞いたの」
スザク「噂…?」
アリシア「うん。ダンジョンを荒らし回ってるって」
スザク「!」
アリシア「私…コハクに何かしたのかなって…グレちゃったのかなって」
スザク「…」
アリシア「ねぇスザク。今いる仲間でまともに言葉が話せるのはスザクだけなの。だから教えて。みんなともっと仲良くなりたい。もっともっともっと仲良くなりたいの。…なにか方法はないかな」
スザク「!」
アリシア「私…みんなが好きなの。みんなが笑ってたりするのがいいの。みんな一緒がいいの。でもコハクだけ一人でどこかに行ってる。他のみんなは私と一緒にいるけどメダルになってる」
スザク「っ…」
アリシア「…ねぇ、スザク」
アリシアの声がだんだん震え始めた。
アリシア「みんながずっと一緒にいるって…できないのかな…。こんなメダルじゃなくていつも一緒にいるの…コハクもずっと一緒に…ねぇ、できないのかな…」
スザク「…」
スザクは一通り話を聞いた。
アリシア「私…コハクが悪く言われるのが嫌だよ…大切な仲間なのに…」
スザク「っ!」
ギュッ!
スザクはアリシアを抱きしめた。
アリシア「…スザク?」
スザク「…申し訳ありません主様。…お顔が…涙で濡れていますよ」
アリシア「!」
アリシアはこの時、初めて自分が泣いていることに気づいた。
アリシア「えっ…私…」
スザク「主様の言いたいことは分かりました。私も呼ばれるまではメダルの中で眠っています。だから主様が私たちを呼ぶ際に今どうなってるのかを伝えていただかなければなりません。状況把握のために」
アリシア「うん…」
スザク「私…最近そういうのが嫌だなと思うようになりました」
アリシア「!」
スザク「主様と同じ景色を見て主様と旅をしたいなと…そう思います」
アリシア「スザク…」
スザク「…主様があの時…私をあの暗い場所から救ってくださった時…私はあなたが神々しく見えましたよ」
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ー回想ー
第3話 骸の武士 棘の扉 秘密の部屋に入ったあと
アリシア「うわっ…真っ暗…何も見えないよ?」
アリシアは骸の武士がいる棘の扉の中間地点にある少し広い空間にある小さな部屋にいた。
アリシア「スラちゃん?スラくん、ライム、スラミ?どこにいるの?」
グイッグイッ
するとスラちゃんがアリシアの足を押した。
アリシア「えっちょっ…」
アリシアは壁を伝って少し奥まで歩いた。
アリシア「暗くて見えないよスラちゃん。これじゃあ危ないよ…」
スザク「…誰かいるのか…」
アリシア「!」
突然声が聞こえた。でも周りは真っ暗で何も見えない。
アリシア「え、あの…はい!います!」
ボッ!ボボボッ!
すると壁についているロウソクに火が灯った。
アリシア「!?」
アリシアは壁についたロウソクに驚いて壁から手を離した。そして周囲を見渡すと、部屋の角に壁に寄りかかっている赤い服を着た女の子がいた。女の子だけど髪が短くて何やらボーイッシュな感じがする。近くには短い剣が2つ置いてあった。
アリシア「あっ…あなたは…」
スザク「…暗いだろ?」
アリシア「!」
スザク「…もうどれくらい経っただろうか。ずっとこの暗いところにいる。もう最初の頃は覚えてない」
アリシア「…」
スザク「…お前は誰だ」
アリシア「えっと…アリシアって言います」
スザク「…そうか。よくここが分かったな」
アリシア「あ、えっと…私じゃなくてスラちゃんたちが…」
スザク「…そこらにいるスライムか」
スラちゃんたちがピョンピョンと跳ね始めた。
アリシア「はい。みんな私の仲間です」
スザク「…そうか」
アリシア「あの…あなたはなぜここに…」
スザク「…さぁな。分からん」
アリシア「っ…」
スザク「でも久しぶりに見た。外から来る人」
アリシア「えっと…モンスター…ですか?」
スザク「あぁ。モンスターだ」
アリシア「えっと…その…」
スザク「…なぁ」
アリシア「はい!」
スザク「お前、私をここから連れ出してくれないか」
アリシア「!」
スザク「こんな暗い部屋でずっといるのは流石に疲れる。何も見えないし、こうやって火を灯さなければならない。これは私の力だ。だから力をあまり使わないように極力抑えている」
アリシア「そ…そうなんですね」
スザク「私は他のモンスターと違って人間のような見た目だし言葉も話せる。見たところお前は一人っぽいから私が話し相手になってもいいかなって」
アリシア「!」
スザク「どうだ?私を連れ出してくれないか?連れ出してくれたら私はお前に一生忠誠を誓う」
そう言ってスザクは片膝立ちで頭を下げた。
アリシア「えっあっ!その!頭をあげてください!」
スザク「ダメだ。人に物を頼む時は頭を下げなければならない。許してくれ」
アリシア「えっと…じゃあどうすれば…はっ!」
アリシアはここであるスキルを思い出した。
アリシア「スキルにあった…確か…あった!手懐け!」
スキル:手懐け。モンスターを倒さずに仲間にすることができる。ただし、モンスターが出す条件をクリアしなければならない。
アリシア「えっと…その…少しいいですか?」
スザク「なんだ」
スッ…
アリシアは屈んでスザクに掌を向けた。
アリシア「…手懐け」
シュゥゥゥゥゥゥ…
するとアリシアの掌に青い光が出てきた。
音声「スキル:手懐けの発動を確認。モンスターの出す条件をクリアすれば仲間にすることができます」
ピピッ
するとスザクの画面が表示された。
アリシア「あ、こんな感じなんだ。えっと条件は…えっ?仲間に入るのを了承すること…?」
スザク「…」
アリシア「えっと…それでいいのかな…本当に…」
スザク「…まだか」
アリシア「あっ!えっと!今します!」
ピッ
アリシアはスザクの条件に触れた。
音声「モンスターの条件。仲間への加入を了承すること。了承しますか?」
すると画面が増えて「はい」と「いいえ」の文字が書かれたものが出現した。
アリシア「はい」
ピッ
アリシアは迷いなく「はい」のボタンを押した。
音声「仲間への加入が了承されました。条件達成です」
ブゥンブゥンブゥン…
すると画面が全て閉じた。
アリシア「あの…これでいいんでしょうか」
スザク「…恩に着ります…主様」
アリシア「あ、主様!?」
スザク「主様」
アリシア「はい!」
スザク「…私にお名前を」
アリシア「名前!?」
スザク「はい。あなたの盾となり、剣となります。そのためには私に名前を…」
アリシア「な、名前かぁ…うーん…」
アリシアは少し考えて答えを出した。
アリシア「えっと…じゃあ…あなたは赤い服を着てて、真面目そうで、キッチリしてそうで、礼儀正しいし、置いてる剣も赤いから…スザク!」
スザク「!」
アリシア「決めた!あなたの名前はスザク!よろしくねスザク!」
スザク「ス…ザク…」
音声「特性:名付け親を入手しました。名を与えることで仲間モンスターとの信頼度が上昇します」
スザク「スザク…それが私の名ですか?」
アリシア「うん!あなたにピッタリな気品ある名前!私の好きな名前!」
スザク「スザク…スザクか…」
シュゥゥゥゥゥゥ…
するとスザクの体が赤く光り始めた。
アリシア「えっ?どうしたの?体が!」
シュゥゥゥゥゥゥ…バゴォォォォォォォン!
するとスザクの体から何やら火の粉が出てきて爆発した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ー同時刻ー
場所…棘の扉 最下層
ジン「おいルシュ!ふざけんなよ!」
ルシュ「だって!ほんとに見たんだもん!この扉に入っていくのが!」
ジン「でもいねぇじゃねぇか!どうすんだよ!」
ルシュ「だって…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
2人が言い合いをしていると、突然地面が揺れ始めた。
ジン「なっ…何だ!?」
ルシュ「地震!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
しばらくすると揺れが止んだ。
ルシュ「…?」
ジン「何も無かった?」
ルシュ「もう…地震は怖いんだって…」
ジン「誰のせいでここに着いたってんだよ」
ルシュ「私のせい!?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…棘の扉 秘密の部屋
スザク「…ありがとうございます主様」
アリシア「!」
スザクの体が赤く輝いていた。
スザク「これにてスザク。あなたに仕えます。何なりとお申し付けください」
アリシア「スザク…」
スザク「ご命令とあらばこのダンジョンのボスモンスターを倒します」
アリシア「ほんと!?一緒に戦ってくれるの!?」
スザク「はい。ご命令とあらば」
アリシア「じゃあ一緒に来て!一緒に戦お!」
スザク「はい。分かりました」
スタスタスタ
アリシアとスザクは秘密の部屋をあとにした。
ー回想終了ー
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場所…触の扉 少し広い空間
スザク「今の私があるのはあなたのおかげです主様。…もしコハクさんがいない時に寂しくなったら迷わず私をお呼びください。私なら主様のお言葉を聞けますし、言葉も交わせます。私にとって命よりも大事な主様が涙を流しているのは見ていられません」
アリシア「スザク…」
スザク「…私がコハクさんの代わりにあなたのそばに置いていただけるのなら、私はどんな難題でも達成してみせます。あなたが望む、仲間と共にいたいという願いを叶えるためなら」
アリシア「うっ…うぅっ…スザク…」
スザク「…」
ピピッ
突然、通知音が聞こえた。
音声「特性:恩義が発動しました。スザクのステータスが上昇します」
アリシア「えっ…恩義?」
スザク「な、何でしょう…これは…」
アリシアが特性:恩義の説明欄を開こうとした。だが何も反応しなかった。
アリシア「あれ、反応しない…何でだろ…」
スザク「…」
ピッ
スザクが押すと、画面が反応して説明欄が開いた。
アリシア「あ、これスザクのだったんだ」
スザク「私の…」
音声「特性:恩義。主のことを想うことでステータスを上昇させることができる。その想いが強ければよりステータスが上昇します。一度発動すれば戦闘が終わるまで効果が持続します」
アリシア「す、すごい特性だねスザク。恩義って」
スザク「は、恥ずかしいですね…」
アリシア「なんで?カッコイイよ?スザクは」
スザク「…褒めないでください。照れます」
ピピッ
するとまた通知音が鳴った。
音声「特性:褒め言葉の発動を確認。スザクとの信頼度が上昇します」
アリシア「やった!スザクともっと仲良しになれた!」
スザク「何でも筒抜けなの…なんか恥ずかしいですね…」
アリシア「ふふっ…じゃあ行こスザク!このダンジョンを一緒にクリアしよっ!」
スザク「はい!」
スタスタスタ
アリシアとスザクは一緒に最下層まで進んだ。
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場所…触の扉 最下層
アリシア「あっ!最下層だよスザク!」
スザク「はい!」
タッタッタッ!
アリシアとスザクは最下層に到達した。
ボコッ!ブクブクブクブクブク!
すると最下層中央になにやらピンク色のブニブニしたものが現れた。
アリシア「あれがボスモンスター!いくよスザク!」
スザク「はい!」
カチャ
アリシアは堕天使の短剣を装備した。
スッ…ヒュッヒュッヒュッ!
スザクは2本の短剣を装備した。
アリシア「はぁぁぁぁぁっ!」
スザク「はっ!」
ビュン!ビュン!ビュン!ズシャッ!
スザクが先陣切ってボスモンスターに攻撃した。
ビチャッ!ビチャッ!
すると切れたところからピンク色のブニブニが分裂した。
スザク「!」
アリシア「やぁぁぁぁぁっ!」
グサッ!
アリシアがピンク色のブニブニに堕天使の短剣を突き刺した。
アリシア「あれ、全然効いてない!?」
グチュッ…グチュッ…グチュッ…ボコッ!
するとピンク色のブニブニしたものが急にハンマーに姿を変えた。
アリシア「すごい…あんなこともできるんだ」
スザク「これ…もしかしたら倒すの難しいかもです主様」
アリシア「そうなの!?」
スザク「はい。今集まっているあれ全てがボスモンスターでしょう。再生できないくらいに攻撃を叩き込まないと…」
アリシア「そんな…私たちだけじゃ…」
ビュン!
するとピンク色のブニブニが攻撃してきた。
スザク「主様!危ない!」
ドゴォォォン!
スザクはピンク色のブニブニしたものの攻撃をアリシアを担ぎながら避けることができた。
スザク「なんとか避けられましたね」
アリシア「でも攻撃したから永続ダメージで…」
ブチッ!
するとピンク色のブニブニの一部が弾けた。
アリシア「ほらっ!」
スザク「!」
ギュォォォォォォ…
だが弾けた体の一部がすぐに元に戻った。
アリシア「えっ!?何で!?」
スザク「主様」
アリシア「何!?」
スザク「あれだと一生勝てません。相手は再生能力が優れています」
アリシア「だったらスラちゃんたちとも」
スザク「いえ、ダメです。不毛な戦いになります」
アリシア「そんな…」
スザク「もっと強い一撃を叩き込める人はいませんか?」
アリシア「い、いるけど…コハクは…」
スザク「くっ…」
ブニョン!
アリシアとスザクが話していると、ピンク色のブニブニしたものが近づいてきた。
スザク「私にもっと力があれば…」
アリシアはここである事を思い出した。
アリシア「そうだ!これがあった!」
スザク「?」
アリシアは胸にぶら下げている笛を見せた。
スザク「それは…」
アリシア「周囲のモンスターを引き寄せる効果があるの!これを使えば…」
スザク「でも…ここにはこのモンスターしかいないのでは…」
アリシア「あっ…」
ブニョン!
そうこうしていると、ピンク色のブニブニしたものが飛びかかってきた。
スザク「主様!」
ビュン!
スザクはアリシアを抱き上げると、即座にその場から離れた。
ベチャァ…
ピンク色のブニブニしたものが地面に着地すると、周囲に体の一部が飛び散った。
スザク「くっ…このままで…」
アリシア「ねぇスザク…」
スザク「はい」
アリシア「試しても…いいかな…」
スザク「その笛を…ですか?」
アリシア「うん。一応」
スザク「…分かりました。では私が囮になります。その間に」
アリシア「うん。お願い」
ビュン!
するとスザクがピンク色のブニブニしたものに向かって走り出した。
スッ…カチャ
アリシアは堕天使の短剣をしまった。
アリシア「…」
ザッ…スッ…
アリシアは立ち上がって笛を構えた。
アリシア「ハァァァァァァァ…」
アリシアは大きく息を吸った。
ピーーーーーーーーッ!!
アリシアが思いっきり息を吹くと、笛が甲高い音を出した。
スザク「!」
スザクはその音を聞いて少し驚いた。
その笛の音はこのダンジョンだけでなく、この第1層全てに響き渡った。
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場所…棘の扉 最下層
骸の武士「…心得た」
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場所…触の扉 最下層
アリシア「はぁ…はぁ…はぁ…」
アリシアは思いっきり息を吐いたため、少し疲れた。
ブニョン!ブニョン!
ピンク色のブニブニしたものがさっきの笛に気づいてアリシアに矛先を向けた。
アリシア「っ!」
スザク「主様!」
ビュン!
スザクがすぐにアリシアのところに戻った。
スザク「どうでしたか主様!」
アリシア「やっぱりダメだったみたい…」
スザク「くっ…」
ブニョン!ブニョン!
するとピンク色のブニブニしたものが形を変え始めた。
スザク「くっ…」
ブゥン…フワフワ…フワフワ…
アリシアとスザクがその様子を見ていると、持ち物に入れていた憎悪と怨念を纏う刀が出てきて宙に浮いた。
アリシア「えっ!?」
スザク「主様!お気をつけを!」
アリシア「うん!」
しかし、憎悪と怨念を纏う刀は攻撃する気配がなく、ただただ浮いていた。
アリシア「な…何もしてこないね…」
スザク「油断してはなりません。いつ攻撃してくるか…」
骸の武士「下がるがよい」
アリシア「!」
スザク「!?」
すると最下層の入口にいたアリシアとスザクの背後に骸の武士が現れた。
アリシア「えっ!?」
スザク (なぜ棘の扉のボスモンスターがここに…)
骸の武士「汝が
ザッザッザッ…
骸の武士が歩き始めた。
骸の武士「暗き地の底に堕ちたこの愚者を
ブゥン…カチャ!
骸の武士が憎悪と怨念を纏う刀を装備した。
骸の武士「この骸の武士。一時の戦ではあるが、主の
ブニョン!ブニョン!
するとピンク色のブニブニしたものが大きな剣となった。
骸の武士「一撃で葬ってやろう」
ブゥン…ブゥン…ブゥン…ブゥン…
すふと骸の武士の分身が4体現れた。
ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!
するとピンク色のブニブニしたものが骸の武士の分身を切り刻んだ。
カチャ
骸の武士が特異な構えを取った。
ブゥン…ブゥン…ブゥン…ブゥン…
するとまた4体の骸の武士の分身が現れた。
ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!
ピンク色のブニブニしたものがさらに切り刻む。
骸の武士「…時は満ちた」
ブゥン…ゴォォォォォォォォォォ!!
骸の武士が赤いオーラに包まれた。
骸の武士「
ビュン!
骸の武士がピンク色のブニブニしたものに接近した。
ブゥン!
骸の武士が刀を振った。
ザッ!
骸の武士は綺麗に着地した。
アリシア「…?」
スザク「…?」
ブチッ…ブチブチブチッ!!バチン!!
するとピンク色のブニブニしたものが一瞬で弾け飛んだ。
アリシア「!!」
スザク「!!」
ベチャベチャベチャベチャ…
すると弾けた破片が周囲に飛び散った。
骸の武士「…枷は斬った。あとは貴様自身だ」
ザッザッザッ
骸の武士がアリシアとスザクがいる所まで歩いてきた。
アリシア「っ…」
スザク「っ…」
2人は何も言わず、黙ったままだった。
ザッ…
骸の武士がアリシアとスザクの前で止まった。
アリシア「…?」
スザク「?」
骸の武士「奴の枷は解き放った。異形と化した魔物。あとは好きにするがよい」
シュゥゥゥゥゥゥ…
骸の武士の足元に魔法陣が展開された。
アリシア「待って!」
骸の武士「…」
アリシア「あの!」
骸の武士「…話があるなら直接出向け」
シュゥゥゥゥゥゥ…
すると骸の武士が姿を消した。
アリシア「あ…行っちゃった…」
スザク「主様!あれ!」
アリシア「!」
グチュッ…グチュッ…グチュッ…
先程骸の武士に斬られたピンク色のブニブニしたものが破片を招集してまた再生しようとしていた。
アリシア「そんな…倒したはずなんじゃ…」
スザク「あの人でもダメなのか…」
グチュッ…グチュッ…グチュッ…ブニョン!
するとそのピンク色のブニブニしたものが徐々に人間の形になってきた。
アリシア「…え?」
???「…」
やがて再生が止まると、その見た目はピンク色は変わらないが、完全に人間の形で、髪の毛が触手のようになっていた。
スザク「あれ…敵でしょうか」
アリシア「わ、分からない…どうなんだろ…」
???「!」
スタスタスタ
その触手を生やしたモンスターがアリシアとスザクに気づき、近づいてきた。
???「…」
アリシア「…」
スザク「…」
3人はお互いの出方を伺っている。
???「…」
スッ…
すると触手を生やしたモンスターが地面に四つん這いとなり、アリシアに近づいた。
???「ふむ」
ピトッ…
すると自分の頬をアリシアの胸に当てた。
アリシア「ひぇっ…」
アリシアは驚いて変な声が出た。
スザク「主様!」
アリシア「あ、あの!な、何を!」
???「…」
触手を生やしたモンスターは一旦アリシアの胸から離れた。
???「…」
アリシア「あの…あなたは…」
???「…私は…名前が無い」
アリシア「!」
???「名乗れない。私は私を知らない」
アリシア (このパターン…まさか…)
スザク「お前はモンスターだ!離れろ!」
???「…あなたもモンスター。私と同じ」
スザク「くっ!」
アリシア「あ、あの…名乗れないって…」
???「その通り。名前が無い。だから名乗れない」
アリシア「じゃあ…何でここに…」
???「…分からない。ここは住処。でも人が来る。私を倒しに来る。お前と同じ人間。でもモンスターを連れてるのは初めて」
アリシア「それって…他の人たち…」
???「この赤い人、モンスター。私も、モンスター。あなた、モンスターを連れてる」
その触手を生やしたモンスターがアリシアを指さした。
???「私を連れて行け。私はここから出たい」
アリシア「!」
スザク「!?」
???「私はこの狭い場所から出たい。私を連れ出せ」
ピピッ
いきなり通知音が鳴った。
音声「モンスターからの仲間への加入申請が届きました。受理しますか?」
アリシア「えっ?加入申請?」
スザク「主様ダメです!こいつはモンスター!さっきまで主様を倒そうとしてたモンスターですよ!」
アリシア「で…でも…」
???「モンスターが理由ならあなたも同じ。なぜあなたが一緒にいて私はダメなの。何が違うの」
アリシア「!」
スザク「全然違う!お前は主様の命を取ろうとした!」
???「それ、私じゃない」
スザク「何っ!?」
???「私はこの姿だけど、あなたたちを倒そうとしてた姿はこの姿?」
アリシア「!」
スザク「!」
???「別の姿ならそれは私じゃない」
スザク「そんなのが許されるわけないでしょ!」
アリシア「スザク。待って」
スザク「主様…」
???「…?」
アリシア「ねぇあなた。私と一緒に行きたいの?」
???「うん。ここから出たい」
アリシア「なら、私を攻撃しないって約束できる?」
???「…? 主を攻撃する従者なんているの?」
アリシア「…」
スザク「お前は従者じゃない!」
アリシア「スザク」
スザク「…はい」
???「私は、連れ出してくれる人なら何もしないよ。でも、私を倒そうとする人なら話は別」
アリシア「…ちょっとこっちに来て」
アリシアは触手を生やしたモンスターに手招きをした。
???「…?」
触手を生やしたモンスターはアリシアに近づいた。
ギュッ…
するとアリシアが触手を生やしたモンスターを優しく抱きしめた。
スザク「!?」
???「!」
アリシア「私は君を傷つけたりしないよ」
???「!」
アリシア「私はみんなが大好きなの。私の仲間はあなた以外に何匹もいる。スザクもその一人。あなたはそんな私があなたを傷つけるように見えますか」
???「!!」
アリシア「私は仲間が第1です。仲間を傷つける人は嫌いです。でもあなたからはそんな気配がしない」
???「…」
アリシア「私はあなたを大事にします。だからあなたからの加入申請ではなく、私からの加入申請に応じてください」
音声「スキル:手懐けが発動しました」
???「!!」
アリシア「あなたが私と一緒にいてくれるなら私は歓迎しますよ」
ブゥン
突然仲間申請の画面が表示された。
???「…うん。なる。仲間になる」
音声「加入申請が受理されました」
アリシア「…ありがとう。これからよろしくね」
音声「仲間モンスターの名前を決めてください」
アリシア「名前。そうね。あなたの名前はプニプニしてるからプニちゃんね」
音声「仲間の登録が完了しました」
アリシア「よろしくね。プニちゃん」
プニちゃん「…うん」
ガコッ!
祭壇に宝箱が出現した。
スザク「主様。宝箱が出てきましたよ」
アリシア「うん。取りに行こっか。宝箱」
スザク「はい」
3人は祭壇の宝箱まで歩いた。
スザク「開けますね」
アリシア「うん」
ガコッ!
スザクが宝箱を開けた。
ピピッ
すると通知音が鳴った。
音声「スキル:拡張を入手しました」
アリシア「拡張?」
ピッ
アリシアはスキル:拡張の説明欄を開いた。
音声「スキル:拡張。アイテム効果範囲が拡大する」
アリシア「へぇ!すごい!」
スザク「もしかすると、さっきの骸の武士が来たのはこのスキルのお陰では?」
アリシア「えっ?」
スザク「ここから棘の扉は結構遠いです。このスキルがあったから笛が聞こえたのでは?」
アリシア「え、でも発動って…持ってなかったしなぁ…このスキル」
スザク「あ、そうですか…」
ピッ
アリシアはスキル:拡張を入手した。
アリシア「よしっ、行こっかスザク」
スザク「次はどこへ行きましょうか」
アリシア「当然。棘の扉だよ」
スザク「…え?」
シュゥゥゥゥゥゥ…
アリシア、スザク、プニちゃんは触の扉から脱出した。
それから3人は触の扉から棘の扉に向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…棘の扉
アリシア「ねぇプニちゃん」
プニちゃん「何?主」
アリシア「ここにはさっきプニちゃんを攻撃した人がいるけど、大丈夫?」
プニちゃん「えっ…」
アリシア「ちょっと話がしたくてね」
プニちゃん「えっ、主は私じゃダメ?」
アリシア「え?」
プニちゃん「私だと不満?」
アリシア「そんなことないよ。でもこれからイベントって言って、みんなと戦わなくちゃダメなの。だから強い人に力を貸してもらいたくて」
プニちゃん「私、強いよ」
アリシア「うん。知ってるよ。私たちじゃ歯が立たなかったから。でも強い人は多い方がいいからね。だから来たの」
プニちゃん「私、主の選ぶ人なら…いいよ」
アリシア「ありがとうプニちゃん」
プニちゃん「でも、私が一番。私が一番だから」
アリシア「うん。分かったよ。じゃあスザク。行こっ」
スザク「はい」
スタスタスタ
アリシア、スザク、プニちゃんは棘の扉の最下層に向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…棘の扉 最下層
スタスタスタ
アリシア、スザク、プニちゃんは最下層に着いた。
アリシア「…」
ヒュォォォォォォォ…
すると骸の武士が姿を現した。
骸の武士「…来たか」
スッ
骸の武士が刀に手をかけた。
アリシア「待って!戦うために来たんじゃないの!話を聞いて!」
骸の武士「…」
スッ…
骸の武士は刀から手を退けた。
スタスタスタ
アリシア、スザク、プニちゃんは骸の武士の前まで歩いた。
骸の武士「…」
アリシア「あなたに話があって来たの。聞いてくれる?」
骸の武士「…この死者に話とは。呑気なものだ」
アリシア「うん。でも聞いて」
骸の武士「…」
骸の武士は返事をしなかった。
アリシア「…」
スッ…
アリシアは骸の武士に掌を向けた。
骸の武士「…」
アリシア「手懐け」
シュゥゥゥゥゥゥ…
するとアリシアの掌に青い光が出てきた。
音声「スキル:手懐けの発動を確認しました。条件を提示します」
ピッ
すると条件が提示された。
アリシア「とあるモンスターを仲間にすること?」
骸の武士「…我を従えるのか」
アリシア「そう。あなたに仲間になってほしいから」
骸の武士「…ならその条件を達成しろ」
ピッ
アリシアはモンスターを画像表示した。
アリシア「!」
スザク「!」
プニちゃん「!」
骸の武士「…」
3人はそのモンスターを見て驚いていた。
アリシア「このモンスターってあなたとどう関係が?」
骸の武士「…我の知人だ」
アリシア「!」
骸の武士「我はこの暗き地に堕ちてから奴と場所を違えた。やつはここから北西の斬首の扉にいる」
アリシア「ざ…斬首…」
骸の武士「奴を仲間にして連れてくれば我も従事してやる」
アリシア「わ、分かった!行ってくるから仲間にして連れてきたら仲間になってよ!」
骸の武士「…心得た」
シュゥゥゥゥゥゥ…
すると祭壇の後ろに魔法陣が展開された。
アリシア「行ってくるから待っててね!」
骸の武士「…」
タッタッタッ!
アリシア、スザク、プニちゃんが魔法陣の上に立つと、すぐに棘の扉の入口まで転送された。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…ダンジョン 棘の扉 入口
スザク「主様!まさかあのような人を!」
アリシア「いくよスザク、プニちゃん」
プニちゃん「主…」
アリシア「イベントまで時間が無いの。今は1人でも多くの仲間が欲しい。手伝って、2人とも」
スザク「…分かりました」
プニちゃん「私も連れてって。主」
アリシア「うん。連れていくよ。どこまでも」
その後、アリシア、スザク、プニちゃんは骸の武士が言ってたように北西にある斬首の扉に向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…ダンジョン 斬首の扉
アリシア「これ…が…斬首の…扉…」
アリシアたちが見ているのは、ギロチンが扉になっているものだった。
アリシア「これ…絶対危ないよね…」
スザク「でもここが斬首の扉です」
アリシア「うっ…」
プニちゃん「間違いなく扉を開けると落ちてくる」
アリシア「だよね…」
スザク「…では、私が」
スタスタスタ
スザクが前に出た。
アリシア「えっ!?待ってスザク!」
スザク「ご心配なく。私は主様に仕える身。こんな事に臆していられません」
ガッ…ドカッ!
スザクは扉に足を置いて勢いよく蹴った。
ガァァァァァァ!ドシン!
するとギロチンが落ちてきた。
アリシア「ひぇぇ…」
スザク「…通りましょう」
スタスタスタ
スザクが先陣切って入っていった。
アリシア「ま、待ってスザク!」
スタスタスタ!
アリシアとプニちゃんもあとに続いて入った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…斬首の扉 道中
アリシア「ひえぇ…寒っ…」
スザク「…」
ボボッ!
するとスザクが自分の体に熱を発生させた。
アリシア「あ、暖かい…」
スザク「私は火の扱いに長けています。お望みとあらば主様を暖めることも」
プニちゃん「すごい。スザク」
スザク「いえ、それほどでも」
アリシア「えっ?明かりが見えるよ?」
アリシアが道中の先にある明かりに気づいた。
アリシア「行ってみよ!」
タッタッタッ!
アリシア、スザク、プニちゃんはその明かりに向かって走った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…ダンジョン 斬首の扉 最下層
アリシア「えっ…ここって…」
アリシアたちが着いたのは少し広い空間だった。
アリシア「これは…最下層?さっき入ったばっかりなのに?」
スザク「…主様」
アリシア「何?」
プニちゃん「主。何か来る」
アリシア「え?何かって…」
ドゴォォォン!
すると地面から何かが飛び出してきた。
アリシア「!?」
スザク「!」
プニちゃん「!」
ドシン!!
出てきた何かは人の顔が3つ集まった変なやつだった。
アリシア「で、でたぁぁぁぁぁぁ!!」
プニちゃん「!?」
スザク「これは…おぞましい…」
3人はその見た目に驚いていた。
???「誰だ勝手に入ってきたやつは!」
???「ここは斬首の扉!首のあるやつは即刻出ていけ!」
出てきたそのモンスターはいきなり声を荒らげた。
アリシア「ひぃっ…」
ガシッ!
アリシアはスザクの服を掴んだ。
スザク「!」
スザクはその瞬間、我に返り、その3つの顔のモンスターに顔を向けた。
スザク「私はスザク!この方は私の主様だ!」
???「スザクだと!?聞いたことないわ!」
???「何にせよ首のあるやつは即刻消えろ!」
???「ここはお前たちの来るところじゃない!」
そのモンスターは酷く怒っていた。
スザク「主様。私にお任せを」
アリシア「スザクゥ…」
スタスタスタ
スザクは3つの顔のモンスターのところまで歩いた。
???「てめぇ!何しに来た!」
スザク「…骸の武士に頼まれてきた」
???「骸の武士だと!?」
???「なぜお前があいつの名前を知っている!」
???「お前!奴を殺したのか!!」
スザク「…いいや。そうじゃない」
???「何っ!?」
???「何っ!?」
???「何っ!?」
スザク「私の主様が骸の武士を仲間にしたいと考えている」
???「あいつが人間の仲間だと!?」
???「冗談を言うんじゃねぇ!」
???「ここで焦がすぞ!!」
スザク「…嘘ではない。現に主様は骸の武士を仲間にするためにここに来た」
???「やつは生きてるのか!」
???「お前が奴を殺したのか!」
???「死者が生者に肩入れするだと!?」
スザク「…主様。こちらへ」
アリシア「へっ…」
スザク「私の言葉よりも主様の言葉の方が通じます。こちらへ」
アリシア「えっ…あっ…うん…。プニちゃん。行こ…」
プニちゃん「主。私がついてますよ」
スタスタスタ
アリシアとプニちゃんが3つの顔のモンスターの前に来た。
???「こいつがお前の主か!!」
???「何とも貧相な顔じゃ!!」
???「奴がこいつの仲間になるだと!?」
アリシア「は、はい…アリシアといいます…」
???「お前!骸の武士を仲間にするだと!?」
???「死者だぞあいつは!お前とは違う!」
???「俺たちを騙しているのかお前!!」
アリシア「ち…違います…骸の武士を仲間にしたかったのですが、そのためにはあなた方を仲間にして棘の扉に連れていかなければならないのです…」
???「ふざけんな!!」
???「俺らがお前の配下だと!?」
???「棘の扉ってなんじゃい!!」
アリシア「棘の扉は…骸の武士がいるところです…」
???「だとしてもお前の配下になるのは無理だ!」
???「弱いやつの下にはつかん!」
???「俺らを倒してから物を言え!」
アリシア「スザク…」
スザク「…仕方ありません。こうなっては言葉で理解するのは無理でしょう」
カチャ
スザクは2本の短剣を装備した。
スザク「この人たちの言うように戦って屈服させるしかありません」
???「ガッハハハ!よく言った!」
???「お前らに俺らを倒せるか!?」
???「前に来た白いやつよりかは弱そうだがな!」
アリシア (白いやつ?)
???「ガッハハハ!」
???「ガッハハハ!」
???「ガッハハハ!」
ビュン!
すると3つの顔のモンスターがジャンプした。
アリシア「えっ!?」
スザク「主様!下がって!」
ドシン!!
3つの顔のモンスターは少し後ろに着地した。
タッタッタッ!
アリシアとプニちゃんが最下層の入口まで後退した。
???「お前1人か!」
???「1人では敵わんぞ!」
???「俺らは3つで1つだ!!」
スザク「ふん。お前たちごとき、私なら一人で十分だ!」
ビュン!
スザクは一瞬で3つの顔のモンスターに近づいた。
???「ンバァァァァァァァ!!」
ビュォォォォォォォ!!
すると、アリシアから見て右下にいる顔が氷のブレスを吐いた。
パキパキパキ!!ガキン!!
すると地面が凍り、やがて氷の棘が出てきた。
スザク「ふん!この程度!」
???「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
ゴォォォォォォォォォォ!!
すると今度はその横にいる顔が火を吐いた。
スザク「くっ!」
ビュン!
スザクがその火のブレスを避けた。
???「ガァァァァァァァァ!!」
バリバリバリバリバリ!!
すると上に乗っている顔が雷を吐いた。
ビリビリビリビリビリビリ!!
スザクはその雷に被弾した。
スザク「あぐぁ!」
ドサッ!
スザクは攻撃を受けて地面に倒れた。
アリシア「スザク!」
???「ガッハハハ!」
???「この程度で従えるのか!」
???「片腹痛いわ!」
スザク「くっ…」
ジリッ…
スザクはゆっくり立ち上がった。
???「ンバァァァァァァァ!!」
???「フゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
???「ガァァァァァァァァ!!」
すると3つの顔のモンスターが一斉に氷と火、雷のブレスを吐いた。
スザク「!?」
アリシア「スザクーー!」
バゴォォォォォォォン!!
大きな爆音が最下層に響き渡った。
アリシア「スザクー!」
スザク「ぅっ…ぁっ…ぅっ…」
スザクは3つのブレスをまともに受けてしまった。
シュゥゥゥゥゥゥ…
スザクはピクリとも動いていなかった。
???「ガッハハハ!」
???「これで終わりか?」
???「早いなぁ!」
プニちゃん「…主」
アリシア「プニちゃん?」
プニちゃん「…あの人を助けます」
アリシア「えっ、プニちゃん」
ビュン!
プニちゃんがスザクの所まで走った。
アリシア「プニちゃん!!」
ザッ!
プニちゃんがスザクのところにつくと、すぐにスザクの状態を確認した。
???「なんだこのチビ!」
???「さっきの人間といたやつだな」
???「お前も俺らと戦うのか?」
プニちゃん「…私は戦わない」
???「あ?」
???「あ?」
???「あ?」
プニちゃん「私は主の意見に賛成するだけ。お前たちを仲間として迎え入れる。それが主の願い」
???「だから俺らを倒せと言っとるんだ!」
???「戦わないなら下がれ!!」
???「力で示せ!俺らを従える器かどうかをな!!」
プニちゃん「…」
ブニュッ…ブニュッ…ブニュッ…
するとプニちゃんがスザクの体を覆うように自分の体を広げた。
???「命乞いか!」
???「最後にしては面白くない!」
???「こんなやつの仲間になるだと?骸の武士のやつ…あいつも地に落ちたなぁ!!」
プニちゃん「っ…」
プニちゃんは頑張ってスザクの全身を覆うことに成功した。
???「この程度の守り」
???「俺らが越えられないとでも?」
???「むしろ貧弱だ!!」
すると3つの顔のモンスターがまたブレスを吐く準備をした。
アリシア「スザクー!プニちゃーん!」
???「ンバァァァァァァァ!!」
???「フゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
???「ガァァァァァァァァ!!」
ビュォォォォォォォ!!
3つの顔のモンスターがまた一斉にブレスを吐いた。
アリシア「ま、待って!!」
バゴォォォォォォォン!!
するとさっきと同じ爆音が最下層全体に響いた。
アリシア「あっ…そ…そんな…スザク…プニちゃん…」
ガクッ…
アリシアは膝から落ちた。
プニちゃん「っ…!?」
プニちゃんが目を開けると、目の前に白い尻尾が見えた。
プニちゃん (尻尾…?)
???「なっ!?なんでお前が!!」
???「なぜお前がここにいる!?」
???「お前はもう来ないはずだ!!」
アリシア「あっ…ああっ…コハク…」
コハク「 ( ̄・ω・ ̄) 」
???「去れぇ!首あるものよ!!」
???「ここはお前の来るところじゃ…」
コハク「( ^ω^)」
コハクは笑顔を見せた。
???「っ…」
???「っ…」
???「っ…」
すると3つの顔のモンスターが静かになった。
コハク「 (#`^´)-з 」
???「くっ…」
???「だが俺たちは!」
???「弱いやつの下にはつかん!」
コハク「 ( #・᷄ὢ・᷅ ) 」
???「だが俺たちは!」
グググッ…
コハクが拳を握った。
???「わ、分かった!」
???「下につくから許してくれ!!」
???「俺らを殺さないでくれぇ!!」
すると突然3つの顔のモンスターが謝り始めた。
コハク「 (o´・ω-)b 」
コハクは何故か親指を立てた。
???「だが本当に骸の武士が仲間になるのか」
???「俺らはそれが嘘にしか聞こえん」
???「どうなんだそこのお前!」
アリシア「っ!」
アリシアは3つの顔に睨まれて怖がった。
アリシア「えっと…はい…私の仲間になって棘の扉に連れてくれば…」
???「どうするよ」
???「骸の武士が言ったのか?」
???「でなきゃここを知らねぇ」
3つの顔はそれぞれ相談した。
???「…分かった。お前の言葉を信じる」
アリシア「!」
???「だが、もし嘘だと分かればお前をすぐに殺してやる」
アリシア「ひっ…」
ブゥン
するとアリシアの目の前に仲間加入申請の画面が表示された。
ピッ
アリシアは迷わず「はい」のボタンを押した。
音声「名前を決めてください」
アリシア「えっと…名前…とりあえず雷を使ってた人は雷首で!氷を使ってた人は氷首で!火を使ってた人は火首で!」
音声「名前の登録が完了しました」
雷首「連れて行け!」
氷首「本当に骸の武士が言ったのか俺らが聞いてやる!」
火首「嘘だったら丸焼きだ!!」
アリシア「はいっ!!」
こうしてアリシアたちはスザクを治療してから棘の扉の最下層に向かったのだった。
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場所…ダンジョン 棘の扉 最下層
シュゥゥゥゥゥゥ…
最下層の中央に魔法陣が展開され、骸の武士が出てきた。
骸の武士「…来たか」
雷首「骸の武士!」
氷首「生きていたか!」
火首「久しぶりだ!!」
ドシン!
雷首、氷首、火首は骸の武士の前まで飛んだ。そしてなにやら話し始めた。
アリシア「ごめんコハク。今回も助けてもらっちゃって」
コハク「 (´-ω-`) 」
なでなで…なでなで…
コハクはアリシアの頭を撫でた。
アリシア「!」
アリシアは何か温かな気持ちになった。
スタスタスタ
すると話を終えたのか、骸の武士が歩いてきた。
ドシン!
雷首、氷首、火首は骸の武士の後ろに着地した。
骸の武士「…ありがとう。古き友人にまた会えた」
アリシア「い、いえ!」
骸の武士「…約束だ」
アリシア「!」
骸の武士「我はお前に力を貸す。貴様はどうだ。我を従えるか?」
アリシア「はい!!お願いします!」
アリシアは迷わず答えた。
骸の武士「…そうか。では頼むぞ。我が主よ」
ガシャン!
すると骸の武士とアリシアの間に何やら鎖が現れた。
アリシア「これは…」
音声「スキル:召喚を入手しました」
アリシア「召喚?」
音声「スキル:召喚。離れた場所にいるモンスターを呼び寄せることができる」
アリシア「これ…」
骸の武士「…これでいつでも我を呼び出せる。何かあった時は我を呼べ」
アリシア「あ、ありがとうございます!!」
雷首「骸の武士よ!」
骸の武士「ん?」
氷首「お前、いつまで我呼ばわりなんだ?」
骸の武士「!」
火首「お前は俺らと同じ、自分のことを俺と言っておっただろ?」
骸の武士「…まぁ、な」
雷首「戻せ戻せ!聞き慣れん!」
骸の武士「…分かった。すまないアリシアよ。俺のことを頼むぞ」
アリシア「はい!」
雷首「あとそこの嬢ちゃんよ!」
アリシア「はい!」
氷首「俺らも連れてってくれ!!」
アリシア「えっ!?」
火首「俺らはお前さんの仲間を傷つけてしまった。これからその償いのためにお前さんに力を貸すことにした」
アリシア「嘘っ…」
雷首「俺らも連れてってくれるか?人間よ」
アリシア「えっ…それは…いいですけど…」
ガシャン!
するとアリシアと雷首、氷首、火首にも鎖が出現した。
アリシア「これでいいんですよね?」
雷首「あぁ。すまなかったな」
氷首「最初からお前たちを疑っていた」
火首「俺らは攻撃を受けたあのお嬢ちゃんにも謝っておこう」
アリシア「あ、あはは…」
骸の武士「ではアリシアよ」
アリシア「!」
骸の武士「今後とも、俺らをよろしく頼む」
骸の武士と雷首、氷首、火首が頭を下げた。
アリシア「はい!ぜひ!!」
こうしてアリシアは新たに骸の武士と雷首、氷首、火首を仲間にした。
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アリシア「そういえば骸の武士の名前なんだけど、ムクロって名前でもいいですか?」
ムクロ「あぁ。構わない」
アリシア「やった!」
雷首「ムクロだってよ」
氷首「おーいムクロ〜」
火首「ムクロちゃ〜ん」
ムクロ「…アリシア」
アリシア「何?」
ムクロ「こいつら、仲間から外すか」
雷首「何っ!?」
氷首「何っ!?」
火首「何っ!?」
アリシア「外さないよ。私はみんなが大好きだから」
雷首「そんな…嬢ちゃん照れるぜ」
氷首「でも好きって言ってくれるのはなんかこう…」
火首「心にグッとくるな」
ムクロ「アリシア。こいつらを甘やかすな。調子に乗る」
雷首「何っ!?」
氷首「何っ!?」
火首「何っ!?」
アリシア「あはは…」
コハク「 ( *¯ ꒳¯*) 」
アリシア「あ、そういえばムクロって」
ムクロ「?」
アリシア「最初はガァァァとかオォォォとか言ってたのに今は普通に話せるんだね」
ムクロ「あぁ。元々話せる。だがある日、訳の分からん白いやつが来てこのダンジョンを荒らし回ったからな。ムシャクシャしてたんだ。だからあぁなった」
アリシア「あ〜ははは…」
コハク「 (* ˘ ³˘)~♪♪ 」
〜物語メモ〜
カチカチの洞窟
ジンとその友達が最近ずっと周回しているダンジョン。全体的に出てくるモンスターの防御力が高く、経験値も多いため、非効率だが経験値のためと頑張って周回している。
カチカチスライム
スラちゃんたちと同じ種族。ただ防御力が異常に高く、スラちゃんたちとは比べ物にならない。
ルシュが使ったスキル。相手の防御力を下げることができる。
メカ・カチーン
カチカチの洞窟のボスモンスター。見た目がまさに機械で、防御力が異常に高い。ルシュの防御低下があってもまだ足りないくらい。
ルシュが使ったスキル。相手のスピードを下げることができる。
ダンジョン:触の扉
はじまりの街の近くにあるダンジョン。中がスライムのようなグジュグジュしたものが多く、足場も悪い。ただ、モンスターはプニちゃんだけ。
特性:恩義
スザクが所持している特性。主への想いが強ければ強いほど自分のステータスが上昇し、一度発動すれば戦闘終了までずっと続く。
骸の武士が使ったスキル。相手を斬ることであらゆるバフが消え、幽霊をも実体として斬ることができる。
プニちゃん
アリシアの新しい仲間。体はスライムのようになっているが、髪だけ触手のようになっている不思議なモンスター。名前をつけてくれたアリシアのことを好いており、自分が一番アリシアのことを好いていると思っている。
スキル:拡張
アイテムの効果範囲が拡大する。
ダンジョン:斬首の扉
骸の武士の友人である三つ首のモンスターがいる場所。扉が普通のでは無く、ギロチンを使っている。今回スザクが蹴り破ったが、普通こうしないと首が飛ぶ。だからスザクが取った行動は正しかった。
三つ首(雷首、氷首、火首)
骸の武士の友人。雷を吐く顔、氷を吐く顔、火を吐く顔の3つの顔が合わさったモンスター。火と氷を吐く顔が下にあり、その上に雷を吐く顔がある。雷を吐く顔は雷首、氷を吐く顔は氷首、火を吐く顔は火首と名付けられた。これはそれぞれの属性とこのダンジョンが斬首の扉だからそう名付けられた。ちなみに、骸の武士のように会話ができる。ただし、みんな強い口調で話すため、威圧しているようにも見える。ちなみに、アリシアたちが斬首の扉に着く前にコハクが事前に攻略していた。
スキル:召喚
離れた場所にいる自分の仲間を呼び寄せることができる。