デクvsマジアベーゼ   作:nell_grace

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※本作では口田くんが活躍しますぞ!

【もくじ】
01.USJ:未知との遭遇
02.USJ:八百万(やおよろず)(もも)
03.USJ:(タコ)の使い魔

※1に流血表現があります。
※3の後半に過激な表現があります。



(8)蛸の使い魔

 

01.USJ:未知との遭遇  

 

────────

 

口田(こうだ)甲司(こうじ)(ひいらぎ)うてなに親近感を覚えている。

 

雄英高校に入学してから程ないある日、校庭の花壇の隅で、しゃがみこんで何かの種を植えている柊を見かけた。

 

土をふんわりと被せられた種はみるみる育ち、伸びた茎の先端に──確か、ワスレナグサという名前だったか──ひと房の青い花が開いた。

そんな事までできるのかと彼女の『個性』の万能ぶりに感嘆していると、彼女は朗らかな笑顔で花に声をかけていた。

 

『この辺りを通る方々がヒーローのことを話していたら、聞いておいてくださいね』

『カシコマリッ!』

『しっとりした良い青になりましたね。冬越しした株の種だからでしょうか? 土が良いのでしょうか?』

『アリガトウゴザイマス!』

 

彼女はその花に話しかけ、花はそれに返事をしていた。

彼女の個性は『使い魔創造(クリエイトファミリア)』という、自らの下僕(しもべ)を創造する能力だ。

ああやって作り出した使い魔と、仮初(かりそめ)のコミュニケーションを楽しんでいるのだろう。

 

僕も同じだ、と口田は思った。

彼もまた、とある幻想を抱いたまま、『個性』でそれを実現している。

 

それは確かめ様が無いことだから、仮初の幻想だと、そう思い込んでいる──

 

 

──口田は顎を上げて大口を開き、ゼェゼェとあえぎながらその道を走り切った。

 

走った後で気がついたが、どうやらこの道も「訓練用」だったらしい。

微妙に嫌らしいカーブや勾配が仕込まれており、走る者に距離以上の負荷を与えていた。

謎の達成感があったが、本番はこれからだと気を引き締め直す。

 

道を抜けると、視界を遮っていた植木が無くなり、「水難ゾーン」と呼ばれる、水を(たた)え船まで浮かべられた広大なプールの全景が広がっていた。

そしてその一角を占有する巨大な軟体動物のような(ヴィラン)と、クラスメイトの芦戸(あしど)がすでに交戦しているのが目に入った。

 

『こちら瀬呂以下四名、水難ゾーンで交戦開始! (ヴィラン)は一人だ! 触手広げて20メートルくらいのでけぇタコ!』

 

口田の前を走っていた瀬呂(せろ)が、こちらも苦しそうに息をあげながら、装着したインカムに向かって一息で報告し切った。

一度大きく深呼吸して、プールサイドで動き回っている芦戸の方へ向かう。

 

「すまん、ハァ、待たせた」

 

口田の後ろを走っていた常闇(とこやみ)が追いついてきた。

足元はふらつき、(ひざ)がプルプルと痙攣(けいれん)しているが、顔はいつものムッスリとした表情を保っている。

 

『フミカゲ、オレガ運ブ方ガ早カッタヨ?』

 

常闇の首元から足元まで覆う黒いマントが揺れ、その中からチラリと彼の個性、『黒影(ダークシャドウ)』が顔を出した。

 

「お前は温存した。『闇』が発散するからな」

『ブー!』

「もうすぐ出番だから」

『ヤッタ!』

 

常闇はマントの乱れを直し、黒影(ダークシャドウ)の頭を隠すと、口田の隣に並んだ。

 

「状況は?」

 

口田はジェスチャーで芦戸を抑えるような意図を伝えた。

 

「承知」

 

短く答えた常闇は走り出し、口田も慌てて追いかけた──

 

 

──表面を覆う粘液がぬらぬらと光を反射している。

 

腕で抱え込めるかどうかという太さの触手は、二度、三度、鞭のように地面を(たた)いた後、脱力してだらりと横たわった。

かと思うと、その粘液で地面を滑り、プールサイドを総(ざら)いするようにして芦戸に迫ってきた。

 

「うわ、また来た!」

 

芦戸は触手のスイング範囲から逃れようとするが間に合わない。

踏みとどまり、腰を落として、ぬるりと音もなく迫る触手を受け止めようとした。

だが、芦戸が構えた両手は触手の柔らかい肉の中に埋まり、彼女の全身が触手に(すくい)い取られる。

触手に並んだ手のひらほどの大きさの吸盤が芦戸の胸や腹に吸い付いた。

 

「だぁぁぁっ──」

 

そのまま数秒、触手に乗り上げる形で振り回された芦戸だが、その肉の中に埋まった手のあたりから何かが焼けるような音がし始めたかと思うと、触手が薄煙をあげながら急速にしぼんでゆき、黒く炭化していった。

芦戸の手のひらから分泌された個性『酸』により、触手の肉が急激に脱水されたのだった。

 

「──らっしゃぁ!!」

 

芦戸は掛け声と共に、炭化した触手を引きちぎった。

ちぎられた先端側はそのままぴくりとも動かず、根元側の触手は謎の刺激に混乱したのか、ぐねぐねと触手をねじらせていたが、酸の侵食が止まらないのかやがて自切してしまった。

 

「しゃあっ、二本目ぇっ!」

 

勇ましい表情で気勢を上げた芦戸だが、その数十秒の攻防で、すでに彼女のコスチュームは修復が難しい程に破れてしまっている。

再び、今度は彼女を挟むようにプールから水が盛り上がって弾け、二本の触手が現れて水を撒き散らしながら交互に地面を(たた)いた。

この触手の波状攻撃により、芦戸は徐々に水際に追い込まれている。

 

「ワワッ、どうしよっ……()っ!?」

 

芦戸の腰にそこそこ重たい衝撃があった。

振り返って見れば、瀬呂が肘から伸ばしたテープが腰まわりの補強部分に貼り付いている。

芦戸は次の動きを察し、半ば反射的にテープを(つか)み取った。

口田と常闇の黒影(ダークシャドウ)もそのテープを手に取り、一斉に引っ張った。

テープがぴんと張り、その弾性で芦戸の身体が宙に浮く。

 

「おおっ!?」

黒影(ダークシャドウ)!」

『ガッテン!』

 

黒影(ダークシャドウ)の黒い身体がぶわりと広がって芦戸を抱き止めた。

芦戸を襲った二本の触手は空振りし、どこか悔しそうな雰囲気で地面を(たた)く。

 

「サンキュー!」

「芦戸、一人で突っ込み過ぎ!」

霑体塗足(てんたいとそく)の奮闘なれど、いずれ破綻しただろう」

「だよねゴメン! どうしようか!?」

 

瀬呂は使用済みのテープを千切りながらプールを指差した。

 

「まず教科書通りにいこうぜ! 要救助者の位置確認!」

峰田(みねた)蛙吹(あすい)何処(いずこ)に」

「峰田はいたよ、あの辺……」

 

芦戸が指差したほうを見ると、タコの本体とおぼしき影の近くで、数本の触手が絡み合ってダマになっていた。

 

「ぷはぁっ!」

 

その隙間から粘液まみれの峰田が上半身だけ抜け出し、絶叫した。

 

「イヤアアアアッ!! 紋所(モンドコロ)はらめぇぇぇ!」

「「「……」」」

 

暴れる峰田を押し込もうと触手が(うごめ)き、その先端が峰田の口の中に突っ込まれる。

 

「おごっ、おごっ」

 

口腔を触手にまさぐられながら、触手の束に飲み込まれた峰田は激しく暴れて抵抗し、触手はそれを取り落としそうになって峰田の身体をぐるぐると回転させた。

 

「やめてぇーっ! オイラこれ以上新しい性癖に目覚めたくないトゥナイ!!」

 

そんな、必死なのか余裕があるのかよくわからない様子の峰田を見て、瀬呂は眉間に指を添えた。

他の三人もちょっとテンションが下がったらしく、疲れたような表情にため息が混ざる。

 

「……なんか元気そうだから、あいつは後回しで」

「意義なし」

「何がトゥナイだ」

「……」

「聞こえたぞこの薄情ヤロウ共!」

 

触手と粘液にまみれる峰田がぼそりとコメントし合う四人を見つけて怒鳴りつけた。

どうやらある程度状況を(つか)んでいる様子で、下を指差しながら四人に情報を伝えた。

 

「まだ梅雨ちゃんは戦ってるハズなんだ! なんでかずっと潜ったまんまなんだよ! 救けてやってくれ!」

「わーった、なんつーか、お前も頑張れよ!」

「できればオイラの方も早めにねぇぇっ!」

 

そのまま触手との格闘を再開する峰田を置いて、四人は触手が届かない位置まで下がり、意見を出し合った。

 

「案外タフだよな峰田」

「梅雨ちゃん救出が最優先ね! だれか素潜りできる人!」

 

自らも挙手しながら芦戸が尋ねると、口田がおずおずと手を挙げた。

それに常闇の横槍が入る。

 

「二人ともやめておけ。ミイラ取りがミイラになるぞ」

「そうだよ、あの梅雨ちゃんが手こずる相手だぜ」

「どうにかしてあのタコを水から出せないか?」

「常闇それな」

「お茶子ちゃんなら浮かせられるかなぁ?」

 

常闇の意見に瀬呂と芦戸が反応した。

瀬呂はぐるぐると表情を変えながらああでも、こうでもと思索を繰り返している。

他の三人は共に行動するうちに自然と彼の言葉を聞く形になっていた。

 

「釣り船みてぇなサイズのダイオウイカで2トンだったか? うーん……てかこのタコ足多過ぎだろ、20まで数えてわからんくなった」

「あ、あの!」

 

口田はそれを聞いて、何かに気がついたらしく、普段は出さない大きめの声をあげた。

三人の注目が集まると少したじろいだが、勢いをつけて話し始める。

 

「あの……タコって、切れた足を治すときに枝分かれして増えることがあって……」

「ふむ、あれは何度も足を失った、歴戦の猛者か」

「そう!」

 

口田は常闇にうなずいて見せた。

その目に自信の色が浮かびつつあった。

 

「でも、そうなると、ずっとあの姿のまま生きてるという事になるんだ……だからあれ、『個性』じゃなくて本当にタコなんじゃないかと……」

(ヴィラン)じゃなくて、野生動物?」

「そっか、『生き物ボイス』だ!」

 

瀬呂が首を傾げ、芦戸が手を(たた)いた。

 

「うん……相手が動物なら、僕の『個性』が通じるかもしれない……」

「「「おおっ……!」」」

 

瀬呂がタコの方を見ながら常闇と口田の肩を(たた)いた。

 

「おし、やってみようぜ。口田は『個性』を試す。俺と常闇はコンビでタコを攪乱(かくらん)だ。芦戸は無線で連絡取りつつ、なるべく遠間から梅雨ちゃん探して!」

「わかった!」

「承知」

『出番ダ!』

 

常闇が腕を振ってマント振り上げると、中から黒影(ダークシャドウ)が飛び出して力こぶを作って見せた。

瀬呂と常闇は並んで小走りでプールの方へ向かった。

 

その場に残った口田はコスチュームのマスクを調整した。

彼の『個性』は「肉声」を対象へ届ける必要があり、その届き具合が成否に直結する。

下顎を(くちばし)のように覆うマスクは、ホッケーマスクのように、いくつか穴の空けられた中空構造になっており、その開口部を調整することで簡易メガホンにもなる仕組みだった。

 

芦戸が彼の様子をワクワクとした表情で眺めている。

口田は一歩前に出て、タコに向かって叫んだ。

 

『お聞きなさい! 狭き水底に揺蕩(たゆたう)う体軟らかき者よ、(おびただし)き足を持つ者よ!』

「意外と饒舌(じょうぜつ)だ!?」

 

 

──口田甲司の個性、『生き物ボイス』。

動物と意思を疎通し、動物へのお願いを通じて操作できる能力である。

ただし現時点ではまだ、自分の肉声を通すことでしか指示を出すことができない。

指示を受けた動物たちは、その声に可能な限り従おうとする──

 

 

口田は叫んでから少し様子を(うかが)った。

タコの触手はあいかわらず瀬呂達への攻撃を続けていたが、水面からわずかに浮上している胴体が少し向きを変える。

おそらくこちらを向いた。

 

「……あっ! ちょっと反応したかも!?」

 

芦戸がその動きに気がついて声をあげる。

口田はそれにうなずき返し、さらに声を張った。

 

『小さき二人をお離しなさい! その足で(つか)んでいる者たちは我が同胞! 水の上にあげるのです!』

 

返事はすぐに来た。

そう、それは確かに返事だった。

 

Es ist laut! Wenn Sie eine laute Stimme haben, senken Sie bitte Ihre Stimme!

「カッ……!」

 

プールの水面が少し波打ったと思うと、突風が吹いたかのような感触で、衝撃が口田の身体を通過した。

 

「なんか今、ビリッてしたような……え、うそ、口田くん!?」

 

芦戸が振り向くと、口田が片膝をついていた。

目からは血の涙が(にじ)み流れ、耳からも出血している。

なにより頭皮と一体化した頭頂部の突起に(いびつな)な亀裂が何本も走り、その裂け目から血が吹き出していた。

 

「だ、い、じょ……がはっ!」

「血ぃヤバ! だいじょばないよ!」

 

返事をしようとした口田が(せき)き込むと、マスクの隙間から血煙が飛び散った。

尋常ではない負傷だった。

芦戸にはあの一瞬で、そのダメージがどうやって発生したのか想像もつかなかった。

慌てながらも芦戸は顔に返り血が降りかかるのも(いと)わず、口田の正面に回って両膝をつき、彼の傷を確かめようとのぞき込んだが、口田がそれをやんわりと手で止めた。

 

そして、その手を握り込み、親指を立てて見せる。

 

「口田くん……まだやれるんだね?」

 

口田はゆっくりと(うなず)いた。

角の亀裂から溢れる血で顔面は赤黒くなっていた。

それでも、マスクの隙間から見える彼の相貌は、先ほどまでよりもずっと雄々しく、生気を帯びてギラつきはじめていた。

 

それを認めた芦戸は、こちらもニッと歯を見せ、獰猛(どうもう)な笑みを返した。

 

「……そうだよね、人の命かかってるもんね!」

 

(違うんだ、芦戸さん……僕は……)

 

口田は否定しようとしたが、身体のほうが先の衝撃から立ち直れないでいた。

芦戸はぱぱっと口田の頭に自分のハンカチを広げて巻きつけると、彼の肩を(たた)きながら立ち上がった。

 

「テキトーでごめん! 私も出来ること()()やってくるから!」

 

そう言った芦戸は、飛び上がるようにプールサイドへ走っていった。

 

(初めてなんだ……『声』が返ってきたのは)

 

凄まじい音量だったが、確かにあれは『声』だった。

側にいた芦戸には聞こえなかったのだとすると、厳密には声ではなく、あるいはテレパシーのようなものかもしれない。

 

(命令したのとは違う、『返事』をもらったんだ……)

 

口田が『生き物ボイス』で操る動物達は、確かにその動物独自の表現で好意的な反応を示してくれていた。

 

だが、それすらも、自分が命令したからではないのか?

彼ら動物は、彼ら自身の意思ではなく、僕が望んだ意思に従って、そう返しているだけなのではないか?

自分の声は、そうやって彼らを無理やり使役してしまっているのではないか?

この交流は、心の通っていない、ただの一方通行なのではないか?

 

(あれは確かに拒絶の意思だった……)

 

彼は中学生になった頃、それに気づき、ずっと悩み続けていた。

そして、『個性』が成長していくにつれて、命令の精度ばかりが向上し、その仮説は補強されていった。

 

(『うるさい』って怒られちゃった……)

 

だから、彼は動物達との意思疎通を、自分の能力を信じ切れずにいた。

彼の願いは、動物達と助け合いながらヒーローとして生きたいという夢は、どこまでも幻想のままだった。

 

(僕の声が大きすぎたんだ……もっと話したい……話さなきゃ……)

 

ようやく身体が衝撃から立ち直り、口田は膝を震わせながら立ち上がった。

頭から流れる血が塊になってボタリと落ち、足元に小さな血溜まりを作った。

そこに血まみれのマスクを()ぎ取って投げ落とし、彼はタコをにらみながら再び口を開いた。

今度はぼそりとささやくような、小さな声だった。

 

『大きな声を出してごめんなさい。僕の言葉がわかりますか?』

『これがそう呼ばれるものならば、そうなのだろう』

 

その曖昧な返答は口田の想像を超えていた。

その声は、それを聞く少年の感性に従うならば、リカバリーガールを連想させる、思慮深そうな女性の声だった。

その声はさらに尋ね返してきた。

 

『声デカき者よ、(われ)何用(なによう)だ? 我お前の声で頭痛くてマジでブチ切れ五秒前』

『ホントにごめんなさい、張り切り過ぎました、僕、いつも何かと声小さいって言われていて……』

 

この日、口田甲司が抱え込んでいた幻想は打ち砕かれることになる。

 

 

 

02.USJ:八百万(やおよろず)(もも)  

 

────────

 

──きっと、貴方は大きな壁にぶつかります。

 

それに気がついたとき、貴方自身はどう在りたいと思うのか。

貴方の夢に立ち塞がるかもしれない、『本物』達とどう向き合うのか。

 

その時はどうか、自信を持ってお選びなさい。

貴方が笑って前を向く先が、貴方の道なのですから。

 

雄英高校の推薦試験に合格したことを報告した際に、両親から贈られた激励の言葉だった。

八百万(やおよろず)(もも)は入学してから二週間もしないうちに、それを理解することになった──

 

 

八百万が二枚目の(セイル)を背中から『創造』したところで、芦戸からの無線が入った。

 

『こちら水難ゾーン芦戸! 水面からうっすらとだけど、梅雨ちゃんが動いてるのを確認! でも水中戦激しすぎて邪魔できない! あ、ついでに峰田も元気だよ』

 

芦戸の報告は全員にひとまずの安堵を与えた。

緊迫感が緩んだためか、それぞれの報告が続く。

 

『こちら飯田! 報告に感謝する! まもなく合流するので増援を待て! (とどろき)君と葉隠(はがくれ)くんも一緒だ!』

『こちら砂藤(さとう)! ショートカット中! すぐ着くぜ!』

 

「こちら山岳ゾーン八百万、同じくショートカット準備中ですわ……!」

 

八百万もそれに倣って報告したが、一息入れたところで芦戸からの割り込みがあった。

 

『ヤオモモごめん! ちょっと計算手伝って!』

「準備のついででよろしければ喜んで!」

 

巨大ドーム型の演習場、USJの一角を占める「山岳ゾーン」の頂上部。

そこは土が大きく盛り上げられ、岩が積み上げられて、険しい山肌を模している。

 

その頂上部には展望フロアのような、やや開けた場所があり、(ヴィラン)黒霧(くろぎり)に飛ばされて来た八百万と耳郎(じろう)上鳴(かみなり)、そこに後から合流して来た爆豪(ばくごう)切島(きりしま)が集まっていた。

 

『仮に濃度百パーセント硫酸の希釈(きしゃく)熱で、10万トンの水の水温を1°C上げるのに必要な硫酸の量は?』

「47トンですわ」

『早っ!?』

「ほぼ知識問題ですので」

『そっちはぜんぜん無理かー』

「……どういう事ですの?」

 

そこに幅10メートル程の翼を広げたハンググライダーが二機設置され、八百万がそれに手入れをしていた。

角度のついた翼の後ろに、小さな尾翼がついている。

それは八百万がアルミ合金のフレームから風を受ける化繊の帆まで、全てを『創造』で自作したものだった。

 

『じゃ、pH(ピーエイチ)は? 同じ条件でどこまで下がる?』

「2.02ですわね」

『計算早くない!?』

「分子量が分かればただの指数計算ですので」

『さすがヤオモモ!』

「入試の範囲でしたよね?」

『あれは水酸化ナトリウムだったじゃん!?』

「強酸は強塩基より単純ですのよ……」

 

うっかりおしゃべりをしてしまった二人に爆豪(ばくごう)が割り込んで怒鳴りつけた。

 

『無駄話してんじゃねぇよ! 手ェ動かせやクソポニー!』

「ポニー!?」

『無駄じゃないもん!』

 

芦戸が無線越しに、謎の計算を始めたのが聞こえてくる。

 

『目標はみかん汁のpH3.6として、四十分の一……拡散ラグに期待してさらに十分の一で百二十リットル……バスタブ半分か。いいね、現実的な数字になってきたじゃん?』

 

突貫作業の仕上げに帆とフレームの補強をしていた八百万は、芦戸が質問した意図を察するのが遅れてしまった。

気づいてすぐに尋ねたが、もう遅かった。

 

「現実的って……貴方まさか、自力でプールの水質を!?」

『ヤオモモありがと! オールオーバー!』

「芦戸さん!」

三奈(みな)、あれは絶対無茶する気だね」

 

八百万の胸元で、耳郎(じろう)がつぶやいた。

大物を『創造』していたため、また背中からがっつりコスチュームがはだけている八百万の胸を、彼女が両手でがっしりと保護(ガード)していた。

彼女自身、無闇に肌を晒して見せるような趣味は無い。

でもそれはそれとして胸を(つか)まれては邪魔だと言いたかった八百万だが、彼女の表情があまりにも真剣だったので何も言えなかった。

 

「おいクソポニー! もう二分経ったぞ!」

「その呼び方やめてくださいまし!」

「女の子にクソってつけるなバカ豪!」

「三分で行くんじゃなかったんか!」

 

爆豪が二人に背中を向けたまま怒鳴り散らしている。

気の短い男ではあるが、人並みのデリカシーはあるらしい。

 

「完成ですわ! 説明しますのでこちらに!」

 

コスチュームを直した八百万が声をかけると、爆豪が振り向き、切島(きりしま)上鳴(かみなり)も駆け寄ってきた。

 

「大きいほうは切島さんと上鳴さんで!」

 

八百万がハンググライダーを指差すと、切島と上鳴はすぐに駆け寄って二人でハーネスを取り付け、フレームを持ち上げた。

女子二人も、ひと回り小さいグライダーの翼の下に中腰で潜り込み準備する。

八百万はかなりの早口でグライダーの操作説明を続ける。

製作開始前に一度説明はしたので、復唱のようなものだった。

 

「フライト予定時間は35秒! 高度36メートル、航路はまっすぐ! バーを押し込むと減速と上昇、引くと加速と下降ですわ! ドーム内で突風は無いと思いますが念のため対策しております! 尾翼のセンサーが自動で補助しますので、仮に失速しても姿勢の維持に努めてください!」

 

「よっしゃあ! ワクワクしてきたぁっ!」

「コエーッ!」

 

喜色満面で今にも飛び出しそうな切島と、不安そうな上鳴。どちらも初飛行らしい。

そういえば、自分が初飛行の時はインストラクターと一緒だったな、と少し不安になったが、八百万は切島のやる気あふれる笑顔を信じることにした。

 

「問題は、この斜面では滑空に必要な角度が取れないことでして……」

 

そう言って、八百万は後ろに残っている爆豪を遠慮がちに見る。

 

「ククク、いいぜ、きっちりブッ飛ばしてやる……」

 

爆豪は歯を()き、凶暴な面持ちで両手のひらを上に向け、ボボボボンッ、と小規模な『爆破』を繰り返していた。

精度が必要なケースでは、体調と気温と発動回数によって徐々に変化していく、不安定な火力をそうやって微調整(チューニング)し続けるものらしい。

聞けば聞くほど、感覚的で繊細な能力だと八百万は思った。

その規模に違いはあれど、ちゃんと論理の世界に収まる自分の『創造』とは大違いだ。

 

「た、頼りにしてますわ!」

 

理屈の上では「わりと律儀なほう」だとわかっていても、言動が最悪である。

仕事を楽しむ処刑人のような振る舞いを見せられて、八百万はぶるりと恐怖してしまった。

 

 

──八百万が最初に見た『本物』は、入学初日の爆豪(ばくごう)勝己(かつき)だった。

 

『死ねえ!!!』

(死ね?)

 

その不謹慎な掛け声と共に爆音が轟き、空の彼方へ飛ばされていくハンドボール。

個性把握テストで、爆豪が最初に見せたその『個性』は、少なくとも必要十分な制御はされていた。

 

荒野よりも荒れ果てた言動にみみっちい反骨精神。

決して評価の余地もないそれの裏側で『爆破』という、どう扱っても持ち主に危害しか及ぼさない、恐ろしい個性を平然と使いこなす男。

 

どうしてそれで今日まで五体満足でいられたのか?

一体どれほどの克己心(こっきしん)を以てすれば、その性格と個性が両立できるのか?

 

この男が雄英高校に入学するという『奇跡』の実存を意識できたのは、この時点では彼の母親と、八百万百と、そして柊うてなだけだった──

 

 

いつもの不謹慎な表情で、爆豪は脅すように、獣が(うなる)るような声で言い放った。

 

「貴様ら、俺の手を(わずら)わせとるんだ……ブザマに失速してみろ、墜落する前に俺がチリにしてやるからなァ!」

督戦隊(とくせんたい)でもそこまでやらないぞ!」

「お前のソレ冗談に聞こえねーんだよ!」

「冗談なぞ言っとらんわ!」

「コエーッ!」

 

爆豪の剣幕に震え上がる上鳴の背中を(たた)いて、切島が爽やかに言った。

 

「よし、先行くわ! 頼むぜ爆豪!」

「ブッ飛べ!」

 

掛け声と共に切島と上鳴が駆け出し、爆豪が『爆破』で爆風を起こしてそのグライダーを押し上げる。

八百万と耳郎は爆風に飛ばされないように姿勢を低くして自機のフレームを押さえ込んだ。

 

ゆっくりと滑空していく──ように見えるが、すでに行程の一割を消化している──グライダーを眺める。

 

「おお、飛んでる……ぷぷぷ、上鳴、足がピンとなってる」

「飛行姿勢としては理想的ですわね」

「そうだけどさぁ、ふふっ、そんじゃ、せっつかれる前にウチらも飛んじゃお?」

 

八百万は、そうやって平然と振る舞う耳郎の手が(わず)かに震えていることに気がついた。

耳郎もこうやって空を飛ぶのは初めてだった。

 

(ご自身の方が怖いはずなのに、どこまでも人の気持ちに細やかで、優しく、勇ましくて……)

 

このクラスの女子達はみんなそうなのだ。

その胸にほんのりと痛みが走り、八百万は軽く嘆息した。

 

 

──個性把握テストのその後も、彼女の前には次々と『本物』が現れた。

 

中でも、彼女の自信を打ち砕いたのは、たった二週間の付き合いですっかり仲良くなったクラスメイトの女子達だった。

 

暴れ馬のようなその気質と『個性』を平然と乗りこなす芦戸。

社会的規範にとらわれず、良いものは良いと懐に入れる耳郎。

明け透けに見えて、強固な規範意識と正義感で己を律する葉隠。

長閑(のどか)に振る舞いながら、相手の柔らかい部分に優しく踏み込む麗日。

落ち着いた距離を保ちながら、気がつけばみんなまとめて引っ張っていく蛙吹。

 

彼女達は、八百万にとって良い人ではあったが、かと言って手放しで敬えるような人物ではなかった。

特に芦戸、葉隠、麗日の三人は、立場が違えば悪友の類と認識していただろう。

残る一人、柊とはまだそれほど深い交流を持てていないが、彼女はその意識から実力まで桁外れに怪人めいた、爆豪の同類とみなしている。

 

それでも、八百万は彼女達クラスメイトに、雄英高校ヒーロー科の生徒として相応しいものを見た。

自分との決定的な差異を見出していた。

 

(ああ、恵まれ、与えられたものを無駄にするまいと、私が己を磨いているうちに……)

 

英雄の気風。

資格抜きでヒーローを公然とヒーローたらしめるもの。

人を救い、導くことに特化した、強固なパーソナリティ。

 

(……貴方達はそうやって奇跡のような精神性を育んだのですね)

 

父の言っていた『本物』とはこれなのだと──

 

 

耳郎の震えに気づかないふりをして、八百万は飛行経験者としての余裕をプリプリと見せつけることにした。

 

「全く、こんな緊急時でなければ、もっと広くて高い空を、ゆっくり飛びたいところですわね!」

「おお……そうだよね、これも趣味でやるもんなんだよね……うん、大丈夫か」

 

震えが落ち着いたらしい耳郎に目元を緩ませた後、八百万は正面に向き直ってぼそりとつぶやいた。

 

「離陸時のジョイント強度チェックをふたつ飛ばしたの、忘れてましたわ……前の人が飛べたからヨシ」

「ヤオモモ?」

 

ぎょっと横を向いた耳郎に笑みを返し、八百万はハンググライダーのフレームを(つか)み上げると一気に駆け出した。

 

「さあワタクシも参りますわ! 爆豪さんお願いします!」

「ヤオモモぉー!?」

「吹き飛べ!」

 

爆豪が再び放った爆風に乗って、八百万のグライダーも離陸に成功した。

 

 

──未来の英雄達との邂逅(かいこう)

 

そのひと足早い、ゆるやかな挫折は、彼女の心持ちを少しだけしなやかに変えていた。

 

「どうするかは、免許を取ってから考えますわ」

 

それに気づいたその日の夜、久しぶりに家族揃っての食事の席で、八百万は両親にそう言った。

 

「今はまだ、これからもずっと、一歩後ろかもしれません。それでも、あの人たちと同じ道を歩きたい。私の新しい友達は、そう思えるくらい素敵な方々ですから」

 

両親は複雑そうな顔をしたが、(もも)がいいならそれで、と彼女の判断を尊重した。

娘もまた、こうしていずれは『本物』のヒーローになってしまうのだろうと、二人は早くも確信していた。

それはもはや、ただの親バカとも言い切れなかった。

 

 

03.USJ:(タコ)の使い魔  

 

────────

 

(ヴィラン)の襲撃を受けて、訓練場内に分断された1年A組の生徒達。

山岳ゾーンから二機のグライダーが離陸したのをはじめとして、彼らは続々と水難ゾーンに集結しつつあった。

 

「おい、あれ見ろよ、グライダーだぜ!」

「さすが八百万さん……」

「障子君、こっちも急ごう!」

「なに、こちらはもう着陸だ、揺れるぞ!」

 

直径は1キロ近い超巨大ドームを横断飛行する二機のハンググライダー。

それをさらに見下ろす高さから滑空してきたのは、触腕の皮膜を広げた障子(しょうじ)だった。

彼の背中には尾白(おじろ)を中央に、両側に麗日(うららか)砂藤(さとう)の三人がしがみついている。

 

火災ゾーンで合流した四人はいずれも負傷しており、このまま走っていくのは大変だろうという、障子の提案だった。

彼は自分一人分の体重までなら、個性『複製腕』で拡張した皮膜を利用してムササビのように滑空できるらしい。

しかし、彼は襲撃してきた(ヴィラン)の一人、黒霧に触腕を一本切断されており、飛行は不安定になるだろうとも言った。

 

そこで、まず麗日の個性『無重力(ゼログラビティ)』で尾白以外を無重力状態にする。

そして、姿勢制御の一部を体幹に優れる尾白の体重移動に委ねる。

 

こうして軽量化しつつバランサーを得た障子は皮膜を広げ、火災ゾーンの炎が巻き上げる上昇気流に乗り、十分な高度を確保した後で、数百メートルを滑空してきたのだった。

 

みるみる近づく地面に砂藤が興奮して声をあげた。

 

「もう着いたぜ! 障子最高!」

「麗日さんの個性もね!」

「せやろ! 先降ります!」

 

無重力状態の勝手を良く知る麗日が、旋回しながら降下する障子の触腕を蹴り、地面に向かって跳躍する。

斜めの軌道でプールサイドに突入した麗日は飛び込み前転の要領で地面に手を突き、くるりと二回前転をした後ビシっと片腕と両足による三点着地のポーズを決めた。

 

「待たせたな!」

「ヒューッ!」

 

地上からそれを見ていた瀬呂が口笛を吹いて歓迎する。

続いて障子が地上スレスレまで降下し、砂藤がその背中から離れて合図を出した。

 

「麗日、今!」

「解除!」

 

合図に合わせて麗日が両手指先の肉球を重ね合わせると、全員の体重が元に戻り、三人が重量感のある音を立てて着地した。

 

「俺はプールの中を見てくる」

「気をつけろよ! 俺と尾白はタコと格闘!」

「勝手に決めないでよ砂藤くん。まあそのつもりだけどね」

 

麗日はコスチュームの腕に仕込んだ救急バッグを取り出しながら、逆方向を向いた。

 

「……私、口田君見てくるね。何かあれば無線で」

 

水に入ろうとしていた障子は、それを聞いて振り返り、口田の方を見た。

血まみれの彼がどんな戦いをしているのか、上空からでは計り知れなった。

だが、上から見たあの巨大なタコの影は、ずっと彼と向かい合っていたのだ。

 

「麗日さん、口田を頼む」

「うん!」

 

すでに走り出していた麗日は、拳を軽く上げて見せた。

 

 

──次に到着したのは飯田、轟、葉隠の三人だった。

 

轟と葉隠のいた土砂ゾーンは、目的地の水難ゾーンに比較的近いのだが、その経路に重なるセントラル広場──オールマイトが全力戦闘を行なっている──を迂回するよう指示されたため、二人は実質的にはもっとも長い距離を移動することになった。

 

だが、移動しようとしたところで口論が始まった。

轟はまだ未完成で不安定だったが、自分で生み出した氷の隆起を利用して滑るように移動ができ、その方法でひとり先行しようとした。

そこに、葉隠が自分も連れていけと主張したのだった。

 

『おんぶか抱っこして連れてってよ!』

『お前……正気かよ』

『なんだとう!』

『自分の格好見てみろ』

『へへーん! 透明なので見えませーん!』

『お前裸だろうが』

『い、今は緊急事態だぞ!』

『素肌を晒しているお前は、氷に擦っただけでもタダじゃ済まない。俺はお前に傷ついて欲しくねぇ』

『くっ……なんだその満額回答……でもそれは私の問題であって君が気にすることじゃないよ!』

『勘弁してくれ。そこまで責任取れねぇよ』

 

二人は時間を惜しんで並走しながら交渉を続けたものの、結局(らち)が明かなかったため、クラス委員長の飯田に助けを求めたのだった。

 

『二人の主張は理解した』

 

本来なら一番乗りできたはずの飯田は、無線で助けを求められたので引き返し、二人と合流した。

二人の主張を聞き取った後、飯田はヘルメットを取った。

 

『ではこうしよう。葉隠くん。俺の(アーマー)を着たまえ』

『『は?』』

 

飯田はいそいそとコスチュームを脱ぎながら説明を始めた。

彼は生来のクソ真面目を発揮し、二人に異次元の妥協策を提示したのである。

 

 

──こうして三人は水難ゾーンに到着した。

 

「葉隠、大丈夫か?」

「うん……でも、汗くさい、男くさい」

「だろうな」

 

飯田の全身鎧のようなコスチュームを着た葉隠が、轟の背中にしがみついていた。

当然サイズは合わず、ガチャガチャ音を鳴らしている。

 

「俺も、すごく重い……」

「さっきの繊細イケメンはどこ行った!」

 

葉隠はヘルメットで轟の頭を小突いた。

轟は葉隠を背負いながら、足元では絶えず地面に薄氷を張って、その上をスケートのように滑っている。

そして、ぴっちりしたシャツにレギンス姿の飯田が、その二人をロープで牽引し走破したのであった。

 

「到着!」

「飯田くん! 轟くん……飯田くん?」

「残念、葉隠さんです!」

「どうしてそうなったん……?」

 

三人を最初に迎えたのは、口田の頭にガーゼを当てていた麗日だった。

轟の背中を降りた葉隠がすぽんとヘルメットを外して見せた。

 

「口田、大丈夫なのかそれ」

 

轟が焦ったような表情で、口田に声をかけようとした。

麗日が人差し指を立ててそっと(たしな)める。

 

「なるべく静かにね。まだ『お話』しとるから……」

 

口田は水難ゾーンの巨大プールに沈む、タコの怪物に向かって立ち尽くしたまま、何かを小声でつぶやいていた。

その目は真っ直ぐ前方に据わっており、何か強い意志に燃えた、真剣な表情をしている。

 

「口田くん、なんかわからんけど、無理しとるよね? 頭の血が止まらへん……」

 

そう言った麗日の足元には染み出て血溜まりを作りそうなほど真っ赤になった脱脂綿がいくつも落ちている。

轟はコスチュームに仕込まれた携帯医療バッグを取り出した。

 

「……ガーゼなら俺も持ってる」

「ありがと!」

「私もあるよ。お、脱脂綿も袋であったわ」

「それは俺の……どんどん使ってくれ」

 

その膠着(こうちゃく)した状況が動いたのは、頭上をグライダーが高速で通過したときだった。

 

ざばりと水音を立てて、障子が勢いよくプールサイドに乗り上げた。

 

『障子から全員へ。水中の状況が分かった……要救助者、残り()()! 蛙吹が救出活動中だ』

 

その背中の触腕に、もう一人、見知らぬ男が括り付けられていた。

 

 

──グライダーで飛来した八百万と耳郎はプールサイドに難なく着地を決めて、手早くハーネスを外し始めた。

 

「あのお二方(ふたかた)は……?」

「高さミスったんじゃない? 初めてだもん、仕方ないよ」

 

先に離陸した切島と上鳴の二人はまだ空を飛んでおり、水難ゾーンを通り過ぎたあと、ぐるりと大きく旋回している。

 

「何で増えとんだ! 説明しろや!」

 

グライダーの後を追い、爆速で飛んできた爆豪が、砲弾が着弾するような勢いで障子の側に着地した。

口田と彼を介抱する麗日を残して、集合した生徒達が障子に駆け寄ってくる。

 

「今から尋問するところだ……おい」

 

障子は背負っていた男を地面に寝かせ、頭の側に片膝をついて男の額を押さえていた。

その男は魚に似た顔をした、異形の(ヴィラン)だった。

 

「うう、助けてくれ、仲間がまだ……」

「わかってる。悪いようにはしない。説明してくれ。()()()()は何だ?」

 

その男は周りの生徒達を見て、少し複雑そうな表情をしたが、観念したように目をつむり、話し始めた。

 

「ここで待ち伏せしていたら、あのバケモノに襲われたんだ……」

 

 

──口田からすると、そのタコはとてもおしゃべりで、しかも短気だった。

 

『我は足が三十二本あるから我慢できたのだ。そうじゃなかったら我慢できなかった!』

『はい……まことにおっしゃるとおりで……』

 

現場と全く関係のない不平不満をぶち撒けられては相槌を打ち、そこからさらに思い出しブチ切れしようとするのを宥めては機嫌を取ること数分。

口田はようやくこちらの聞きたいことに踏み込めそうな雰囲気にまで持っていった。

 

本来ありえない、『生き物ボイス』による、奇跡の語らいのはずが。

彼の心にはちょっとだけ「なんか思ってたのと違う」という寂寥感(せきりょうかん)が去来していた。

 

『あの、実はそのおみ足の件でして……あなたが捕らえている二人の小さき者の事なんですが……』

『我は捕らえていない』

『?』

『【ちょっと待って】と命ぜられている』

『ですが、その一人が、あなたの足に弄ばれておりまして……』

『我の足が刺激に応じているだけだ。我は何もしていない』

『それは、えっと、きっと、彼は体が小さいのでそこから抜け出せないでいるのです……』

『そうなのか? そいつは我の足と(たわむ)れているだけではないのか?』

『ええ……はい、多分……』

 

曖昧な回答になってしまった。

口田は峰田については後回しにしようと思った。

 

『では、蛙吹さん……水の下に居る者は何故(なにゆえ)……』

『あれも違う。あれの方が、我の獲物を横取りしようとしているのだ』

『えっ?』

 

口田はこの交渉に決裂の気配を感じた。

何かすれ違いが起きている、と気がついたからだ。

 

『え、獲物、とは』

(とお)の四つ足だ。ああ、今、ひとつ取られてしまった……』

『やはり……』

 

(ヴィラン)……そうか、蛙吹さんは……)

 

口田は言葉を続けるのを躊躇(ためら)った。

この語らいが、このつながりが、ここで絶たれることを惜しんでしまった。

だが、それはほんの一瞬だけだった。

 

『その者は、横取りしたいのではありません……あなたの獲物を、あなたから救けだそうとしているのです』

『ほう……救けると言ったか?』

『どうか、手放していただくわけにはまいりませんでしょうか?』

『ほう……ほう!』

 

タコの声がどこか調子を上げたような気がした。

 

『確かに(かて)は奪い合うが生命(いのち)の作法よ。とはいえ、この獲物は、我が【いと貴きお方】の(めい)を果たした証。そう易々とは譲らん』

『いと貴きお方とは?』

『そう形容させていただいている』

 

その声に明らかな喜悦が混じった。

 

『天上より【いと貴きお方】が現れ、この閉ざされし世界に光が満ちたのだ。そして我は叡智を授けられた』

 

(それは『個性』だ……!)

 

口田は直感した。

自分と同じ、対象の精神に働きかけるタイプの『個性』によるものだと。

自分の『生き物ボイス』に従う動物達も、何か計り知れないものをその目で見ながら、嬉々として自分に従っているように見えるのだ。

 

『幻想が……(まこと)になったのだ……我はひとりではなかった』

『それは……』

『そう、言葉と呼んだか……我と言葉を交わせるおまえならば、我が心もまた解るのではないか?』

『……』

『声デカき者よ。おまえに免じてひとつは譲ろう。このまま引け。我が獲物を狙う者共を引かせよ。さすれば我は何もせぬ』

『いけません……それは、その者は、そのような善き者ではありません』

『黙れ、不敬だぞ』

『あなたは(だま)されています!』

『そうか、おまえたちには見えぬのか……』

 

その声にあからさまな憐憫(れんびん)の声色が混じった。

 

『この光が……水面で渦を巻いて天へ登る、この色濃きうねりが』

『それは、あなたを利用しているのです!』

『黙れ!』

 

その絶叫に、ぐわんと音を立てて視界が(ゆが)み、頭の中身が膨張したように感じた。

割れた額から熱いものが溢れていくのを感じる。

 

『言っただろう! 我はすでに与えられていると!』

 

目を開けると、いつの間にか自分の鼻先に麗日のヘルメットがあり、手を伸ばして額の傷口に脱脂綿で押さえてくれていた。

近くには轟と飯田もいて心配そうに自分を見守っている。

その景色を気持ちの支えにして、口田はその声に耳を傾け続けた。

 

『その御心までは計り知れぬ。なれど、我は今日、この吉日に救われたのだ。だからお返しせねばならぬ。この身命に賭けて、命に従い、供物を捧げ、我は満たされたとお伝えせねばならぬ』

 

口田もまた、その声を憐れんだ。

そのような異形に変えられたことを、恵みだと思うのか。

それが、その身を捧げるほどの信仰に値するというのか。

 

嗚呼(ああ)、それほどの孤独だったのか。

それほど、世界はあなたに厳しかったのだろうか。

 

『この地上はまだ天の(ふもと)、ここにそんな都合の良い者はおりません! 【いと貴きお方】などいないのです!』

『すでに此処(ここ)におわす』

 

 

──その断言を受けて、口田はすぐさまその会話を打ち切った。

 

「みんな……!」

「口田くん、大丈夫?」

 

口田は自分を見上げる麗日にうなずき返しながら、自分の耳に手をあて、インカムのスイッチを入れた。

 

『皆さん、気をつけて! どこかに、すぐ近くに! このタコさんを操っている(ヴィラン)がいます!!』

「「!?」」

 

それを聞いたプールサイドの生徒達が一斉に身構えた。

 

「どこだ?」

「いねぇぞ、水の中か?」

「うん、いるね……」

 

すぐに、その存在を察知したのは耳郎だった。

その耳たぶが片方伸びて、先端が地面に当てられている。

 

「心音が()()()()()じゃない。なんで気づかなかっ……たぁ!」

 

耳郎は紐で背負っていた匕首(あいくち)(つか)み取り、素早く向きを変えると、大きく腕を振ってプールの縁に向かって投げつけた。

鞘に収まったままの匕首(あいくち)は回転しながら飛び、ぱしっ、と音を立てて受け止められた。

 

「お見事☆」

 

いつからそこにいたのか。どうして気が付かなかったのか。

その二人は、障子を中心に集まっていた生徒達のすぐ側にいた。

近くに立っていた尾白と瀬呂はどちらもぎょっとした表情で慌てて飛び退く。

 

そこに居たのは二人の女だった。

一人はプールの縁に腰掛けている。

腰まで伸びた紫の長い髪に、ぴんとまっすぐ上に伸びた二本の角。

生徒達に背を向け、水の底を見ている、そのドレスの背中からはコウモリの翼のモチーフが生えており、まるで悪魔をイメージしたかのようなコスチューム姿だった。

濡れた髪に隠れてその表情はわからないが、わずかに見える鼻先、その下の唇は上がり犬歯がはみ出している。

 

もう一人の女は座っている女を守るように、生徒達の方を向いて立っていた。

全体的に修道女のような装いをしているが、その身に纏う黒衣はところどころに卑猥な深さのスリットが入り、その下の素肌を晒し放題にしている。

一方、頭は白いウィンプルで緩やかに覆われ、さらにその上に白と黒のベールを重ねて深く被っていた。

目元はベールの端から見え隠れしており、こちらも表情がわかりにくいが、口元は薄く微笑んでいた。

 

先に口を開いたのは、投げつけられたものを(つか)み取った、修道女の方だった。

 

「もうバレちゃった。僕、『認識阻害』はあまり向いてないな」

「魔法は個々に得手不得手があります。いろいろ試してみましょう」

 

耳郎は匕首(あいくち)を投げた直後には次の動きに入っていた。

耳たぶのプラグを足首のLRAD(長距離音響発生装置)に接続し、この時点で攻撃準備が完了していた。

 

「アンタ、さっきの無線のヤツでしょ? 喰らっとけ!」

 

耳郎がLRADを起動すると、即座に心音が増幅され、爆音が直進した。

音は二人の女を通り抜け、その向こうの水面に真っ直ぐ細かい模様を作った。

 

「ムウッ!?」

 

音波を浴びた黒衣の女が不快そうにうめき声をあげる。

座っている、髪の長い女がゆっくりと振り向いて、耳郎を見た。

 

その女の顔には星型のアザがいくつも浮かんでいた。

その目を見た瞬間、耳郎はなぜか、ぞわりと背筋に鳥肌が立った。

そこに爆音と爆炎が割り込み、耳郎は思わず背を丸めて耳を塞ぐ。

さらに氷の塊が膨張し、壁となって(ヴィラン)を押し包もうとした。

爆豪と轟が同時に攻撃を仕掛けたのだった。

 

さらに追撃を加えようと飛び込む二人の前に、氷を割って黒衣の女が現れた。

女はそのままゆっくりと両手を持ち上げる。

爆豪と轟はそれを警戒して踏みとどまった。

が、その女は手を肩の高さまで上げて、首を傾げて、おどけた表情を見せただけだった。

 

「こいつ……」

()めとんのかゴラァ!」

 

挑発を受けて爆豪が再び『爆破』を(たた)き込む。

その黒煙を抜け出して、黒衣の女が宙に浮かび上昇した。

爆豪はすぐさま自分も飛翔し、爆速で女の眼前に迫ってガンを飛ばした。

 

「その程度っつったな? どの程度かテメェの体で確かめたろうか!」

「いいだろう。撃ってきなよ」

「クソアマが、死っ、ねェッ!」

 

爆豪は両手を使い、至近距離で交互に四度、連続の爆発を起こした。

だが、黒衣の裾をはためかせ、その下の素肌を晒しながら、その女は何事もなかったかのようにゆっくりと爆炎をすり抜けてきた。

 

「さあ、はじめようか? 確かめてみてよ? ガンバレ☆」

「オオオッ! まだまだァッ!」

 

そこに、まだグライダーで滑空していた切島と上鳴が猛接近した。

 

「爆豪! 足場!」

「ちょ! うわあーっ! タンマーッ!」

 

叫ぶ切島の意図を察した爆豪は、表情を焦燥から凄惨な笑顔に変えて、グライダーの帆に突っ込んだ。

 

「ハッ! でかしたクソ髪!」

 

その上に片膝をつき、腕を黒衣の女に向ける。

 

爆豪の個性『爆破』は彼の汗と共に分泌される、ニトロのような爆発物質により引き起こされる。

彼のコスチュームの腕には、パイナップル型手榴弾(りゅうだん)のような形をした、防具(ガントレット)を兼ねる射出装置があり、それは汗から爆発物質を抽出して溜め込む機能を持っていた。

 

「食らえやクソアマ!」

 

それは射出口の側にあるピンを抜くことで、溜め込んだ全てを解放する爆発を起こすことができる。

 

水難ゾーンの上空で大きな爆発が起こり、その余波でグライダーのフレームが折れたかと思うと、そのシルエットがぐしゃりと潰れる。

グライダーは爆豪を巻き込み、少し離れた雑木林に墜落していった。

 

その直後に、セントラル広場の方でも大爆発が起きた。

 

 

──黒衣の女が地表を離れ、爆豪との空中戦に突入した一方で、もう一人の女はまだプールの縁に座ったままだった。

 

「いま、水中でカエルの女の子が苦しんでいますが。救けに行かなくてもよろしいので?」

「くっ……」

「俺が行く!」

「待て障子! さっきと状況が違う! タコが待ち構えてんぞ!」

「このっ! アンタらが邪魔してんでしょうが!」

 

耳郎が第二波を構えながら怒鳴ったが、その女は笑い声を返した。

 

「あはは、邪魔してますねぇ、それで、救けにいかないので?」

「……!」

「わたしに後ろから襲われたくない? タコさんに捕まるのが怖い? だから救けなくても自分は悪くない?」

「お前は!」

 

轟が再び氷を放ったが、巨大な触手が振り下ろされ、その氷を(たた)き割ってしまった。

白い息を吐き、右腕を女に向けながら、轟が尋ねる。

 

「タコを操っているのはお前だな?」

「……ふふ、皆さん、我慢強い。では、次の楽しみに移りましょうか」

 

女はその詰問を無視して立ち上がり、その触手に腰掛け直した。

二プレスだけで露わになっている乳房が、不安定にふるりと揺れる。

女が足を組み、その上に肘をついて寛いだ姿勢になる。

 

『捕まえてよし』

 

女が片手で触手を撫でながら、ささやく様に命令した。

その穏やかな声が発せられると、プールサイドに乗り上げていたタコの触手が数本、素早く水中に潜り、十秒もしないうちに蛙吹が(つか)み上げられた。

女を乗せた触手は丁寧に、ゆっくりと、蛙吹と女の身体を水中にあるタコの本体の側へと運んでいった。

 

「「梅雨ちゃん!」」

「ケロ……みんな……」

 

ぐったりと目を(つむ)り、荒い呼吸を繰り替えしているが、蛙吹はまだ意識がある様子だった。

水中で触手と激しい戦いをしたのか、コスチュームのところどころが破損していた。

特にスーツの左腕部分は完全に失われ、左肩と鎖骨のラインまで露出していた。

彼女を拘束する触手は激しく(うごめ)いて蛙吹の身体を撫で擦り、彼女の全身を粘液まみれにしている。

 

女が触手を軽く(たた)くと、蛙吹の体がすっと女の前に差し出された。

 

「こらー! そこの痴女ー! 梅雨ちゃんを離せー!」

 

葉隠が水辺まで駆け寄り、大声を出した。

 

「そうですねぇ、人質は取りたくないものです。お互い気を遣ってしまいますから」

「うう……」

「それに、人質とは、立場の弱いほうが、相手の腕力から逃れつつ無理筋の要求を通すためのもの……」

 

女はそう言い、蛙吹の顔をのぞき込みながら、蛙吹の腹から胸にかけてを撫で上げた。

蛙吹はその手の冷たさに全身が引き()る思いをした。

 

「どれもわたしには必要ありませんね?」

「がっ!?」

 

蛙吹の口に触手が突っ込まれた。

 

『わたしは、あなた達に何も要求しない』

「おっ、ん、んぐぅっ!?」

「梅雨ちゃん!?」

 

触手は続々とその口内へ潜り込んでいく。

触手が入り込むごとに、彼女の口から大量の粘液が溢れ、ぼたぼたとこぼれ落ちる。

傍目からありえないほどの体積が、その中に送り込まれていく。

 

『あなた達が決めればいい』

「おお゛ッ!? ン、ンンーッ!!」

 

触手は侵入を止めず、ついには蛙吹の腹部が、傍目からでも判る程に膨張しはじめた。

 

「やめろぉーっ!」

 

葉隠の甲高い悲鳴が響き渡った。

 

『そう、無理筋を通すのは、あなた。強きに挑むのは、蛮勇にその身を(なげう)つのは、あなた。戦い敗れてその脳漿(のうしょう)をブチ撒けるのは、あなた達だ』

「ン、ンッ、ン!」

 

蛙吹が全身をびくんと激しく痙攣(けいれん)させはじめた。

ごぼりと泡を立てながら、口から溢れる粘液の色が濁っていく。

 

『あなた達が葛藤するほど、わたしは(たの)しい。迷い苦しむそのお顔が見られれば、それで十分健康でいられる……』

 

すでに、生徒達の何人かは蛙吹を助け出そうと動き出していた。

だが、その光景が繰り広げられているのは水上で、荒れ狂う触手が行く手を阻む、その場所は遠かった。

 

女は眼下で膨れた腹を撫でながら、声にならないうめき声をあげて涙を溢れさせる蛙吹の顔に(ほお)を寄せていく。

 

「さあ、お選びなさい。救けるのか、見殺しにするのか」

 

女が舌を出し、(よだれ)を垂らしながら顔を寄せ、何かを()め取ろうとしたその瞬間、感情が失われていた蛙吹の瞳に光が戻った。

そして膨らんでいたその腹が一気に収縮した。

 

「ゲコッ!」

「あぁっ!?」

 

大きく開かれた蛙吹の口から、鮮やかなピンク色をした胃壁が飛び出し、その中身が眼前の女の顔に向かってぶち撒けられた。

触手と粘液まみれになった女が一歩後ろに退(しさ)り、触手から滑り落ちる。

 

口から胃壁を吐き出したまま、蛙吹はその全身をぐるりと激しく(ねじ)った。

すでにところどころ破損していたコスチュームが音を立てて破れ千切れ、それから脱皮するようにして手足を拘束する触手を抜け出した。

 

別の触手が蛙吹を捕らえ直そうと伸びていく。

黒のインナーだけの姿になった蛙吹は胃壁を飲み込み、それらを跳躍して回避した。

そして空中で機敏に身をひねり、自身を捉えようとした触手を踏みしだいて、その上に立って見せた。

背中でゆわえていた髪が解け、黒く輝きながら、粘液に濡れた彼女の細い肢体に貼り付いていく。

 

彼女の胃から吐き出された触手は慌てたようにバタつきながらも、水に落ちた女を(つか)み取り、水面へと抱き上げた。

 

「言わなかったかしら? こんなのへっちゃらだって」

 

蛙吹は触手に抱かれるずぶ濡れの女を見下ろして、当たり前のような気安い声色で言った。

 

「自分で自分を救うこともできるわ。跳ね除けて見せて、また向き合うのが私たちよ」

「お見事です……」

「梅雨ちゃあああああん!」

 

蛙吹は大きく膝を曲げてから跳躍し、両手を広げて絶叫する、葉隠の胸に飛び込んだ。

彼女を受け止めた葉隠は飯田のプロテクターを着たままの姿で、自分より小さなその身体を抱き締めた。

 

「ただいま」

「おかえりぃーっ!」

「ゴツゴツして痛いわ」

 

その瞬間、セントラル広場の方で大爆発が起こり、爆風と共に土煙が迫り、水難ゾーンを覆い尽くした。

 

 





【あとがき】  トップにもどる

※申し訳ありません、終わると言ったけど終わりませんでした!
※対マジアベーゼメタ個性の口田くんと、特殊ルートに入ろうとしている八百万さんです。
※ヒロアカ単行本39巻を読了し、若干ストーリーに修正を加えました(遅れた言い訳。前話を遡っての修正はなし)

※次回、六話ラストです。いろいろ決着&掲載漏れ分の後追いカバーで拡大版になります。

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