デクvsマジアベーゼ   作:nell_grace

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(2023.04.10 07:38) ラグドールの一人称修正
(2024.01.19 追記) ※時系列としては、本作1話の翌日、ヒロアカ原作1話の二年前になります。


第二話 ワイプシvs怪人サド女(1)

「煌めく眼でロックオン!!」

「猫の手手助けやって来る!!」

「どこからともなくやって来る……」

「キュートにキャットにスティンガー!!」

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」」」

 

「……いつもその口上を?」

 

「ええ、このためにヒーローやってますから!!」

 

「場が華やいで大変よろしいかと。ヒーロー公安委員会の目良(めら)です。よろしく」

 

「マンダレイです、よろしくお願いします。……失礼ですが、お疲れのご様子で?」

 

「大丈夫です。二十六時間前に起きたばかりですから」

 

「アッハイ」

「手遅れの人だわ」

 

 

──その事前説明(ブリーフィング)はとある警察署の会議室で行われていた。

椅子が四つに長机がひとつ。

それ以外の机と椅子は部屋の隅に積み上げられている。

 

目良と名乗るヒーロー公安委員会の高官とその助手と思われる職員が一人立っている。

机を挟んで椅子に座ったのはワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ。

ワイプシと略して呼ばれることもある四人組のヒーローだった。

 

目良が机の上のラップトップを片手で操作しながら話し始める。

 

「それでは状況を説明させていただきます。正直助かりましたよ。山林の捜索に定評のある、皆様の予定が空いていてよかった」

 

「二日しか空いてないからそこんトコだけよろしくね」

「存じております」

 

職員がリモコンでプロジェクターを操作する。

壁面のホワイトボードに目良のラップトップの画面が映し出された。

ブラウザが開かれてニュースサイトが表示されている。

 

「昨日◯×エンジョイモールで起きた事件はご存知ですか?」

「記者発表の内容までなら」

「結構です。発表の通り、商業施設に四名の(ヴィラン)が乱入。これを居合わせたヒーロー達で制圧しました。負傷者は避難中に転倒した市民の方が二名軽傷。ヴィランと交戦したヒーロー側で六名が骨折による重症、三名が軽傷です」

 

「だいぶやられておるな……」

ワイプシの一人、(トラ)が腕を組んでつぶやいた。

目良がそれにうなずきながら答える。

 

「はい。口外はしないでいただきたいのですが、ウワバミ氏のヒーロー事務所は負傷者多数のため、二週間の活動停止予定です。オールマイト氏が間に合っていなければ、これ以上の死傷者が出ていた可能性が高い」

 

「それで、(ヴィラン)は全員捕まったの?」

 

「……そこからが問題になります。結論から言いますとまだ()()()()()()()()()()()

 

「「にゃんですとお!?」」

ラグドールとピクシーボブが同じポーズで驚いた。

 

「事件に対応したヒーロー達の証言をまとめたところ、かなり複雑な状況だったというのがわかりました。記者発表では四名の(ヴィラン)としております。実際にこのうち三体の(ヴィラン)は現地で制圧、その後オールマイト氏が倒した(ヴィラン)()()()()()()()も確保しましたが……鑑識の結果、これらは人間ではなくただの植物と確認されました」

 

「なるほど、下手人(げしゅにん)は一人だったと?」

「操り人形みたいなモノかしらね? それとも植物を操る個性?」

「私の『土魔獣』でも似たようなことはできそうかな」

 

プロジェクターに一枚の写真が映し出される。

 

「これは防犯カメラの映像です。画像が荒いですが、中央の大型(ヴィラン)の手の中に女の子がいますね。今のところ、この子が容疑者となります。仮の(ヴィラン)ネームは『S(エス)』」

 

「このサイズを四体同時はなかなかだわね……」

「画像がちょっと……その女の子について他に情報ないかしら?」

 

「ウワバミ氏から『S』の容姿や言動に関する詳細な情報を頂いております。ウワバミ氏ご本人によるモンタージュも。後ほどプリントアウトしてお渡しします」

 

「お願いするわ」

 

目良が目配せをすると、部屋の隅に立っていた職員が一礼したあと退室した。

 

マンダレイが足を組み直して続ける。

 

「では、この子を追えばいいのね? 捜索はどれくらいの範囲になるのかしら?」

「地図を開きます。少々お待ちください」

 

目良がデスクトップにあるアイコンをタップした。

二度の指紋認証の後、書き込みの入った地図が表示される。

 

主要な幹線道路が白くハイライトされている。

地図画面には静岡県東部を中心とした、かなりの広範囲が表示されていた。

東西は愛知県北東部から山梨県の南西部までの山岳地帯が。

そして画面の上端に自分達のホームフィールド、長野県の見慣れた地形が見え隠れしている。

 

淑女達はその広さに思わず悲鳴をあげた。

 

「「「うげぇ……」」」

 

目良は慌ててラップトップを操作する。

 

「失礼しました。これは本件に関連する捜査網全域となります。実際に調べていただきたいのは今網掛けをしました、このエリアでして」

 

地図の一部の範囲が青く点滅した。

事件のあったショッピングモールから北の山岳地帯、山の稜線に沿うように南北に十数キロ、東西に八キロの範囲が拡大表示された。

前の地図より大幅に(せば)まったが、山狩りの範囲としてはまだ尋常ではない広さになる。

 

「よかったぁ」

「まあ人の足で一晩って、頑張ってもこれくらいよね」

 

目良はレーザーポインターを取り出した。

 

「ご覧の通り、県境に検問を、主要な幹線道路はすべて監視網を設置しております。一部林道にもドローンを送り込んで臨時の遠隔監視所を展開しました」

 

プロジェクターが映している地図の内容を説明していく。

 

「皆様にはこの範囲内を捜索していただきまして、皆様か我々の監視網、どちらかで対象を捕捉したら、そこで山狩りは終了。その後は我々と共に追跡と確保にご協力ください」

 

「ハイハイしつもーん、愛知県警と長野県警はわかるけど、なんで山梨県警まで動いてるの?」

「ピクシーボブよ、それは聞かぬほうが良いと思うぞ……」

 

目良が神妙な顔をしながら、少し息を吐いた。

 

「大変恐れ入りますが、ここから先はただの『おねがい』になります……実は、監視網を立ち上げましたところ、()()()()()がこの近辺にいると判明しまして……」

 

一枚のモンタージュ画像が表示される。

それを見た四人は揃って眉間に縦皺(たてじわ)を作った。

 

「ええー?」

「ほらな」

 

 

 

──数分後、目良も退室し、会議室にはワイプシの四人が残っている。

 

彼女達は立ち上がって肩を組み合い、円陣を作っていた。

ヒーロー活動を開始する前には必ずこの体勢でチームブリーフィングを行うのが彼女達の日課であった。

 

虎が頭でピクシーボブを小突く。

 

「明らかに捜査の規模がヤバいであろうが」

「ごめーん、好奇心に負けた!」

 

何かに気づいたピクシーボブが虎に聞き返す。

 

「あれ? 虎コンディショナー変えた?」

「ウム」

 

ラグドールが片手を上げる。

 

「あー、あちき、この匂い覚えてる! 学校で虎が男性用化粧品にハマってたときのー」

「おい!」

 

「ウフフ、思い出したわ。脂落とし過ぎて頭皮パリパリになっちゃって、もう(かゆ)すぎるからって早退しちゃったのよね」

「ねこねこねこ……その後脱毛症にならないか気にし始めて育毛成分のあるやつを使ってまた同じことを……」

 

「ええい、我の若気の至りをイジるでないわ!」

 

笑っていたマンダレイが表情を戻す。

 

「さて、思ってたより重たい案件になっちゃったわね。どうしようか?」

 

「いつもなら私と虎が両翼になって網を広げるトコだけど」

「不確定要素が多すぎる。ここは目良氏のお言葉に甘えて、四人固まって動くのがよかろう」

「あちきも虎に賛成!」

 

「じゃ、四人一緒に行動ね。二日でフルカバーできないかもだけど、そこは割り切りましょう。皆、怪我しないことを優先してね! それじゃ今日も元気に行くわよ!」

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」」」

 

 

 

──うてなが目を覚ますと、そこはベッドの中だった。

 

「……ゆめ?」

 

「おはよう、うてな、よく眠れたかい?」

「じゃなかった……」

 

ぼんやりする目を擦り、今いる寝室をよく見れば、ガッツリ知らない天井であった。

ヴェナリータはなぜかチェストの上に人形と並んで座っている。

 

「いやあウワバミは強かったね。最後のあれ、『魔力』で耐久バフかかってなかったら首折れてたよ」

 

「ひぇっ……」

 

うてなは失神する直前の地獄の苦しみを思い出して震え上がった。

 

「まぁ気に病むことはないよ。デビュー戦にしては上出来さ」

「もうやだぁ……」

 

うてなはうつ伏せになって枕に顔を突っ込んだ。

 

「あんな、我を忘れる程楽しんでおいて何を言うのかな?」

「うぐっ! だ、だって、夢だと思ってたし……」

 

ベッドを下りて立って見れば、身につけているものは変身する前の服装に戻っていた。

うてなはヴェナリータに尋ねた。

 

「あの……ベッドありがとうございます。今何時ですか? 一回おうちに帰りたいんですが……」

 

「あれから十四時間が経ったところだよ。じゃあ、『転移』も使えるようになったし、君の家まで()んでみようか」

 

 

──森の中に黒い(もや)のようなものが円盤のような形で現れた。

その円形の内部が濃さを増してゆき、やがてその表面が光を吸い込むかのように濃く、静謐(せいひつ)な黒一色の平面体になると、そこからけったいな衣装を着た少女と小さな異形が現れた。

 

「……すごい、本当にワープできちゃった」

 

うてなが驚きながら自分の手を見る。

 

「『転移』のやり方はわかったね?」

「はい……まだ心臓がどきどきします」

 

「ここまで跳べるようになったのはキミが昨日戦ってくれたおかげだよ。ありがとう」

「えへへ……」

 

あれからうてなはヴェナリータの手で自宅まで『転移』した。

彼が話していた『転移』がウソでないことをその目で確認したうてなはようやく彼の主張を信じることに決めた。

 

自宅でシャワー、着替え、再度変身を済ませた後、ヴェナリータから『魔力』の扱い方の簡単なレクチャーを受けて、自分の力でここまで『転移』を試したのだった。

 

「昨日みたいな戦いを繰り返すことで、『魔力』の巡りがだんだんよくなって、より大規模な術が使えるようになるんだ。具体的には『転移』の距離が伸ばせたりね」

 

今は16キロメートルくらいが限界かな、とヴェナリータはスマホの位置情報を見ながら言った。

 

「あと何回くらい戦ったら、ヴェナリータさんは帰れそうなんですか?」

 

「うーん」

ヴェナリータは浮かんだまま軽くうなり、少し斜めになった。何か計算をしているようだ。

 

「……七千百四十三回だね」

「はい?」

 

「だから君自身もっと強くなってもらわないといけないし、もっと強いのと戦ってもらわないといけないんだ」

 

「うーん……」

今度はうてなの方が考え込み始めた。

 

「理想はキミと同じような魔力持ち(まほうしょうじょ)と戦うことなんだけどね。そんな子はキミ以外まだ見つかってないし。あ、なんなら病気をばらまいてまとまった数を死なせるとかでもいいよ?」

「ひえっ……それはちょっと……」

 

その場合、いったい何人生贄(イケニエ)が必要になるのかなど聞きたくもなかった。

 

「じゃあ……どちらからとなると、わたしが強くなるほうからですよね……?」

「そうだね、レベリングというやつだね……おっと」

 

ヴェナリータは動きを止めてあらぬ方角を向いた。

それは何もないところを見つめる猫のようなしぐさだった。

 

「うてな、近くにヒーローらしき人たちがいるよ。数は四人だ」

「わぁ……私を追ってきたのかな」

「おそらくそうだね」

 

うてなはヒーロー達のいる方向へ歩きだした。

それはテレビ番組が始まったからテレビの前に行くかのような気軽さだった。

 

 

 

──ねえ、出久(いずく)、リュックサックどこやっちゃったの?

 

「はぁ、しまったなぁ……」

 

泣きながら帰宅した翌日。

出久は再び自転車でショッピングモールに向かっていた。

昨日、オールマイトのバルーンを撮影していた場所にリュックサックを置き忘れてしまったことに、今朝母親に言われて気づいたのだ。

 

道さえ覚えてしまえばそこまで大変な距離ではないものの、貴重な春休みを無駄にしたようで気持ちが沈む。

 

追い討ちをかけるように道中は昨日の失敗が何度もフラッシュバックしてぐさぐさと出久を苛み、心身共に疲労困憊(ひろうこんぱい)となってショッピングモールに辿り着いた。

 

建物にはほとんど被害がなかったためか、ショッピングモールはすでに営業を再開していた。

壊れた敷石部分にはシートが不恰好に重ねられたり、砂利だけ敷き詰められたりしている。

 

破壊が大きかった中庭については背の高いブルーシートに覆われ、立ち入り禁止になっていた。

中から重機の駆動音が聞こえることから、修復工事を始めているようだ。

 

リュックサックに自分の名札をつけていたため、遺失物コーナーの職員に保険証を見せたらすぐに返ってきた。

 

「早速やることがなくなってしまった……」

 

リュックサックの中身を再確認したら、もう手持ち無沙汰になった。

 

出久はベンチの隅に座り、首に提げたカメラを見つめる。

とりあえず持ってはきたものの、今日はもう何かを撮りたい気分になれなかった。

 

「これからどうしようかな……」

 

手持ち無沙汰な気分に任せて、不甲斐ない自分を振り返ってみる。

 

リュックサックの中からノートを取り出す。

表紙には「将来のためのヒーロー分析・No.3」と書かれていた。

 

ノートをぺらぺらと適当にめくる。

 

ヒーローになりたいと思っていた。

ヒーローになるから必要だと思って、ヒーローに関する情報をいろいろノートに書き付けていた。

 

けれどこうしてヒーローになるのを諦めてみると、それは、ヒーローが大好きなだけで、ただヒーローの情報で頭をいっぱいにしたいからやっていたのだと気づく。

 

これからもそうやって書き物をして楽しみはするだろうけれど、ヒーローになるための行動ではないと気づいてしまうと、もうそればかりをやる気分にはなれなかった。

 

出久はサインペンを取り出し、ノートの表紙タイトルの「将来のための」の部分に取り消し線を引いた。

 

出久はもう帰ろうか、と立ち上がりかけて、ぎょっとした。

いつのまにか隣に人が座っていたのだ。

 

 

「ハァ……少年、少し話そうか」

(変質者だ……)

 

 

()()()()()の対象に自分がなるとは思っていなかったため、出久はかつてない緊張を覚えていた。

 

手入れなどまったくしていないようなざんばら髪。

ヘアバンドの上からさらに目出しバンダナを巻き、顔面は鼻より下だけが見えている。

鼻はとても低い。もしかしたらないのかもしれない。

荒い口呼吸でたまにだらりと長い舌が垂れ下がる。

どっからどう見ても堅気には見えなかった。

 

そして出久はそういう自分の心境を、全身で百パーセントを超えて表現できる男だった。

 

「いや……驚かすつもりはなかったのだが」

 

男は出久のリアクション芸に若干動揺を見せたが、少し諦めた雰囲気で両手を上げた。

 

「質問に答えて欲しいだけだ。危害は加えん……いいな?」

 

出久はアイドリング中の原動機が振動するような速さで繰り返しうなずいた。

 

 

──男は、どうも昨日起きた事件について聞きたいようだった。

 

特にオールマイトが倒した(ヴィラン)の様子について詳しく尋ねられた。

大きさ、容姿、どんな動きをしていたか。

(ヴィラン)に同行していたように見える女の子。

オールマイトはどのように現れ、どのように(ヴィラン)を倒したか。

彼のコスチュームはどのバージョンだったか。

(ヴィラン)はどこまで殴り飛ばされたのか。

 

「あの辺りか……随分飛ばしたな」

 

その男は出久が指した方角を見ながらボソリと言った。

 

「なかなかいい観察眼だ……説明も解りやすかった」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

必死で捲し立てたため、どこに褒められる要素があったのか、いまいち理解できなかったが、出久はとりあえずお礼を言った。

 

「カメラ……好きなのか?」

 

出久もカメラを見ながら、少しうつむいた。

 

「昨日、はじめて撮ったんです。楽しかった」

 

「……」

 

「でも、今日はそんな気分になれなくて」

 

出久は背を曲げ、さらに沈み込むようになった。

 

「いつもこうなんです。やり過ぎたり、足りなかったり。何をしても上手くいかなくて。そこそこ良くできても、個性のある人には敵わなかったりで」

 

「それは、何も磨いていないからだ」

 

「えっ」

 

「ハァ……」

 

その男は座ったまま腰につけたホルスターから何かを抜いた。

 

それは大ぶりのナイフであった。

 

「ヒェッ……」

 

突然現れた刃物に恐怖し、フクロウのように縦方向にシュッと縮こまる出久。

 

それに構わず、男はナイフを投げ上げて空中で一回転させてから受け止める動作を始めた。

 

「芸は身を(たす)くと言う」

 

投げ上げるナイフが一本から二本に増えた。

 

(ジャグリング……)

 

よく見ればナイフは柄から刃まで一体成形された、プラスチックの偽物(レプリカ)だ。

 

出久はようやく、この人が自分を元気づけようとしてくれているのだとわかった。

曲芸師さんだと思うと、その物騒な格好も子ども(だま)しのように見えてくる。

 

「カメラはいい趣味だ。良い写真を撮るには、場を見極める目と、制する足が要る」

 

話しながら、男が立ち上がる。

もう片方の手にもナイフが増えていく。

 

「目も、足も、鍛えればそれだけ生きやすくなる。何も損はない」

 

男は、複雑な軌道で回転する四本のナイフを両手で巧みに操って見せた。

長く続けるつもりはないのか、徐々にナイフの数が減っていく。

やがて最後の一本を軽快な音を立てて(つか)み取った。

 

「まあ、何でもいいんだ。好きなものをひとつ、じっくりと磨いてみろよ」

 

ナイフの両端を摘んで、その刃をぐにゃぐにゃと曲げて見せた。

出久が拍手をしようとしたその瞬間。

 

シュバッ、と小さく風切音がした。

 

出久の目の前を舞う桜の花びらが、わずかに動きを止めた後、四つになって出久の膝の上に降りた。

ナイフはいつのまにか男のホルスターに収まっていた。

 

「研ぎ澄ませば、等しく刃だ」

「かっこいい!」

 

出久は大喜びで拍手した。

その無邪気さに釣られたのか、男も初めて笑顔を見せた。

 

「じゃあな少年。世話になった」

 

男はそのまま立ち去っていった。

 

 

──なお、数週間後、出久はネットニュースでこの男がヒーロー殺しで手配中の(ヴィラン)、『ステイン』だと知り、十代最後の大失禁を決める。

 

 





本話のステ様はスタンダールから脱皮する途中で、まだ十分に擦り切れてない感じをイメージしてます。(ヒーロー殺しはやってます)
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