キンジ・ア・ライブ   作:赤須

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Ⅴ弾 訓練始動

<ラタトスク機関>を知ってから次の日……

毎日のように学校を通い、登校した俺は机に鞄を置き、

いつものように授業を受けていた。

 

帰りのホームルームで殿町と駄弁っていると、

その隣に1人の人物が現れる。

 

「来て」

 

「え……な、なんだ」

 

俺の横に立った白髪のお人形のような可愛さと持つ少女……鳶一折紙は唐突に俺の手首を掴みだし、引っ張っていく。

 

「ちょ、何なんだよ」

 

呆気に取られたせいか振り払うことができず、

そのままイスを倒して連れ去られる。

 

その際に殿町はあんぐりと口を開けて呆然としているのに対し、

女子たちも俺と折紙の様子にキャーキャー騒いでいた。

 

昨日、俺は非日常を送った。

世界における災厄……空間震の正体が精霊で、

ASTと呼ばれる軍隊との戦闘に巻き込まれてしまい、

ラタトスクを名乗る組織に俺はこの世界のことを教え込まれんだっけ。

 

結局、俺はあの後に知らない男性たちから事態の詳細を詳しく聞かされ、

ヒステリアモードの副作用による眠気や頭痛で早めに終わらせたかった俺は、

渡された書類にサインをして、そのまま家に帰ったことしか記憶にないんだよな。

 

そして今、俺は折紙に屋上近くの扉までやってきた。

ようやく離したかと思うと、折紙はその無表情な目をこちらに向けてくる。

き、気まずい……

 

「え、えっと……鳶一、さん?」

 

「昨日、なぜあんなところにいたの」

 

「あ、ああ……そのことか。俺はあの時、妹を探しに行ってたんだ。警報が鳴っているというのに、妹はまだ街はいたから……」

 

俺はそう答えると、折紙は「そう」と短く口にし、

再び口を開く。

 

「見つかったの?」

 

「ああ、あの後すぐに見つけられたよ」

 

「そう。よかった」

 

折紙はそっと呟くと、俺も一瞬安心感を得るが、

 

「―――昨日、私はあなたを見た」

 

「……お前のことだからそろそろ言ってくると思ったぜ。口封じのつもりなら安心しろ。別に言うつもりはない」

 

たぶん折紙が今言おうとしたのは昨日の出来事……精霊と戦った光景のことについて何だろうな。折紙はその精霊と戦った1人。

しかも軍隊の一員となれば、一般人に溶け込むために個人情報を隠すのは当たり前だ。

知られてしまえば、まあ口封じのために刺客やら政府の役人とかやってくるのは前世ではよくあったことだしな。

 

「それに、俺みたいなネクラが言ったところで笑いものにされるのがオチだろうな」

 

憎まれ口みたいな言動を発すると、折紙は一度コクリと頷き、

暫く沈黙という空間が起きる。

 

「……」

 

「あー……鳶一、1つ聞いていいか?」

 

さすがにこの空気は苦手だった俺は思わず折紙よりも先に話しかけた。

「なに」と折紙は応答したので、俺はそのまま勢いに乗って問い詰める。

 

「お前はなぜ……あの女の子と戦っていたんだ? そもそも、あの女の子は―――」

 

「あれは精霊、私が倒さなくてはならないもの」

 

最後までしゃべる前に、折紙は俺が聞こうと思っていた答えを言った。

聞く限り、折紙が今まで見せなかった感情も露わに出ている。

 

いったい、何が折紙にそうさせたのだろうか……

 

と俺はその精霊に疑問を浮かべる。

 

「私の両親は、五年前、精霊のせいで死んだ」

 

「なっ!?」

 

精霊が……人を殺した……っ?

いや、まさかだとは思うがあの女の子の仕業なのか。

 

俺は一瞬、あの女の子の姿を思い浮かべる。

夜空のように輝く鎧のドレス、そして腰まで届く長い髪、

暗闇の孤独感が抱かれる瞳……

 

聞いただけなら、その精霊が悪いイメージを持つが、

実際に見た俺はあの子がそんなことをしないとすぐに感じ取った。

 

「だ、だが……あの子がそんなこと……」

 

「両親を殺したのは、あの精霊じゃない。炎の精霊」

 

「……ッ」

 

折紙の言葉から、俺は驚きに言葉も出ず、ただ声を殺すのが精一杯だった。

しかも、炎の精霊ってことはあの女の子以外にも精霊がいるってことか……

 

「でも、なんで俺にそこまで話してくれるんだ? 聞いた俺が言うセリフじゃないんだが……」

 

質問してから折紙は少し黙り込み、考える仕草をする。

そして、

 

「問題ない」

 

「だ、大丈夫なのか……それ?」

 

「あなたが口外しなければ」

 

まあ、確かにそれは合理的だな。かなめ風に言えば……

だがもし話してしまったら? と聞いてみると、

 

「…………困る」

 

「おいおい……」

 

学年主席の頭いいヤツなんだが、どこかネジが外れている気がするよな。

まあ人それぞれだし、前世ではこいつよりも凄いヤツがいたから、問題ないが……

折紙は一歩俺から離れ、そこから階段を降りていった。

 

「ホントに複雑だな。我ながらとんでもない位置に立っているような気がする」

 

眉を顰めながら考えるが、当然のごとく今の俺では考えられる度が限りある。

ここは<ラタトスク>とかに任せるか……遠山憲章2条―――『難しいことは後回し』だ。

そんなことを思いながら階段を降りようした次の瞬間……!

 

「きゃあああああああああああああああ――――――ッ!!」

 

廊下側から女子生徒の叫び声が聞こえた。

声からして何かトラブルでも起こったかのような気がする。

とりあえず行ってみたほうが早い。

 

俺は階段を急いで降りるにつれ、悲鳴を基に廊下を走るが……

 

「……っ?」

 

生徒たちが集団で囲っている姿が見られる。

あそこか。

 

「どうしたんだっ」

 

「し、新任の先生らしいんだけど……急に倒れて……っ」

 

新任の先生……? なんで今この時期に。

と思いながら俺は人ごみをよけて進むと……

 

白衣を着た女性が、ガシッと俺の足首を掴んできた。

 

「うお……ッ?」

 

「……心配はいらない。ただ転んでしまっただけだ」

 

「あなたは……」

 

倒れていた女性はフラフラと立ち上がるところが、元々大丈夫じゃなさそうなので、これはこれで大丈夫なのだろう。なんせ、この人は30年も寝てないらしいからな。

 

見覚えのあるどころか、昨日会ったばかりだし、

この特徴的な女性を忘れるはずがない。

 

「……? ああ、君は―――」

 

「はぁ、令音さん。何故この学校にいるんですか……」

 

「……見てわからないかい? 教員としてしばらく世話になることにしたんだ。ちなみに教科は物理、二年四組の副担任も兼任する」

 

令音は俺を使って立ち上がり、自身の胸につけていたネームプレートを俺に見せつける。

その時に俺はああ、なるほど……と納得した。

 

こういう学校に転入とか兼任とか前世の武偵高では普通だったかなー。

どうやら教員の資格とか持っているみたいだし、これ以上突っ込んだら負けだと思えてきた。

 

さて、そろそろこの周囲の人たちをどうするかだよな。

ま、このぐらいだったら言葉だけでもなんとかなるだろう。

 

「この先生は大丈夫みたいだ。もしなんかあったら保健室に連れていくから」

 

そう言って俺は令音を集団から脱し、

令音の歩くスピードに合わせながら歩く。

 

「……すまないね。キン」

 

「き、キン……?」

 

「……ああ、私のことはそのまま令音で構わんよ。連携と協力は信頼から生まれるものだからね」

 

うんうんと納得している令音なのだが、

なぜキンが出たのかが今一わからん。

あれか、前世のキンジからなのか……?

そしたらあんたエスパーだよ。

 

「……確か……金太郎、だったかな?」

 

「いや、それ童話の主人公だから。そもそも俺は士道だ」

 

「……さて、シン」

 

「令音さん、人の話を聞いてくださると嬉しいのですが……」

 

げんなりと表情に変える俺ではあるが、令音は気にしてないというか、

聞いてないようだ。

 

「……昨日琴里が言っていた強化訓練のことを覚えているかい?」

 

「あ、ああ。例の精霊をデレさせるとか、そういうのだろ。あれマジでやらせる気なのか……正直興味のないし、やりたくもないんだが……」

 

「……シンは男女交際に疎いからね。琴里から聞いたんだが君は女子を避けて学校生活を過ごしているそうじゃないか」

 

そりゃヒステリアモードになりたくないからな。

発生したら、取り返しのつかないことになる恐れがある。

 

俺は一度溜息を吐きながら、後頭部を掻く。

第一、なんで承諾しちまったのかなあ。俺は……

ヒステリアモードでなければ断っていたものの。

 

「……まあ、身持ちが堅いことは結構なことだよ。……だが、精霊を口説くとなるとそうは言ってられない状況なんだ」

 

「まあ、わかってはいるが……」

 

やっぱり納得がいかないんだよな。

遠山家でヒステリアモードを受け継いでいるのは子孫を残すため……

それが特化したのがHSS。俺はその一族の下で生まれたから分かるが、

 

なぜ俺に精霊の力を封印する力を備わっているのか、だ。

過去の記憶が曖昧だから詳しくは覚えていないが、それでも力を持つってのは、

何かしらの感触というものがある。

 

それが今までに一度もないんだから、おかしいと思うのは必然だと思う。

 

(いったい、いつ俺はその力を得たんだ……?)

 

……考えてもしょうがないか。

 

「……ん?」

 

俺はふと何かに目の前に誰かがいるのを感じ取った。

 

「……どうしたのかね?」

 

「あ、いや……あれ」

 

令音の問いに俺はそれを示そうと指を前に向けた。

その先には、担任のタマちゃん先生が歩いている……のだが、

後ろに見知った人物がいたので、俺は思わず呻く。

 

「あ!」

 

俺がいることに気づき、パァッと明るくなる。

そこんところだけはかなめに似ているな。となればやってきそうなのは……

 

「おにーちゃぁぁぁぁぁん!」

 

ダダダダッ! と俺のところに突撃してこようとタックルを仕掛けてくる。

だが甘いぞ妹よ。うなぎまんレベルに甘い……ッ

 

俺は持てる反射神経で琴里をギリギリにまで引き付けておきながら真横に躱す。

 

しかし、それは甘い考えだった。

 

「あははは!」

 

それを琴里は読んでいたらしく、つま先を立てながら回転し、

捻られた体の溜めを一気に解き放ち、回し蹴りが背中に迫ってくる。

 

「はさんっ!?」

 

当然、そんなことを予想してなかった俺は有無を言わさずくらってしまう。

 

「あははは、はさんだって! アサシンだー! あははは!」

 

「こ、琴里……! お前、なんで高校に……っ?」

 

俺は背中あたりを抑えながら話しかけると、俺の前に立つタマちゃんが俺の問いを答える。

 

「あ、五河くん。妹さんが来てたから、今校内放送で呼ぼうとしてたんですよぅ」

 

「そ、そうなのか」

 

確かに琴里は来賓用のスリッパを履いているな。中学の制服、その胸元に入校証も付けているんだからちゃっかりしちゃってるぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、ここは何の部屋ですか」

 

タマちゃん先生とは別れ2人についていったが、物理準備室なんて生徒が来るような場所じゃねえだろ……

いや、人気がないからこそいいのか。

 

「ていうか、ここ物理準備室だよな」

 

見ればいくつものコンピューターが設置されており、

見知らぬ機械まで置いてある。すでに白雪の魔剣事件で要塞化した時よりも酷いぞ。

 

「……部屋の部品さ?」

 

「そこを疑問形にしないでくださいますかっ? つーかここ物理準備室だろ! ここの先生はどうした!」

 

ここには確か長曾我部正市(通称・ナチュラルボーン石ころぼうし)がトイレ以外で唯一和らげる空間だったはず……その人はいったい……

 

「……ああ、彼か。うむ」

 

令音は手をあごに当てて、考える仕草をしながら頷く。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……………………おい」

 

あんまりにも考える時間が長いからつい声を出しちまったが、

いったい何があったんだ長曾我部さん……!

 

「……まあそこで立っていても仕方ない。入りたまえ」

 

「って、長曾我部先生は……っ?」

 

……スルーですか。そうですか。

部屋に入っていく令音はその奥にある椅子に座る。

次に琴里が俺の真横を通り越して入るのだが、このとき髪のリボンを解いて白から黒へと変わる。というか、黒のリボンに取り換える。

 

すると、琴里の雰囲気が一変して鋭くなった。

 

「……」

 

琴里は制服の第1ボタンをはずし、令音の近くにあった椅子にどっかりと座り込む。

その姿勢が何とも偉そうだ。どっかの桃マンを頬張るあいつみたいだぜ。

 

そしてチュッパチャプスを鞄から取り出し、包みを剥いで口に咥えると、

雰囲気に合った鋭き目つきで俺を見てくる。

 

「いつまで突っ立てるのよ、士道。ブリーフィングを始めるわよ」

 

「……はぁ、わかったよ」

 

あまりにも変化ぶりに思わず唖然としていたが、

理子のことを思い出せば問題ないか。

 

……これが琴里の本性ってか? 

裏琴里はふんぞりかえって鼻息を鳴らすが、

 

「で、ブリーフィングって何をするんだよ」

 

「……これだ、シン。ここに座りたまえ」

 

俺は室内に入り、ドアを閉めてから令音の指す椅子に腰を掛ける。

 

「さ、じゃあ早速調きょ……ゲフンゲフン、訓練を始めましょう」

 

「おい、今調教って言いかけたよな。唇の動きでわかるぞ」

 

「き、気のせいよ。―――令音」

 

気のせいも何も読唇術でほとんどお見通しだ。

つーか、妹ってのはマインドコントロールとか調教をやたら兄にしたがるのは何故だろうか……妹というのはそういう生き物なのか……

 

「……ああ、君の真意はどうあれ、我々の作戦に乗る以上は、最低限クリアしておかねばならないことがある」

 

「クリアってその訓練とやらに関係あるだろうな」

 

「もちろんだ。それにこの訓練は単純に女性への対応に慣れておいてもらわねばならないんだ」

 

まあ、確かに俺はまだヒステリアモードを自由自在に操れる父さんや兄さんのように大人じゃないからな。ジーサードの場合……女には興味ないみたいが、恋愛ごととは全く異なった方法でHSSを操っている。

俺もそろそろ兄さんのようにHSSを操れるようにならないとな……

 

そう思えばこれはヒステリア的に考えても結構いい訓練になるのでは……?

 

(……とりあえず、やってみるか)

 

「……対象の警戒を解くため、ひいては好意を持たせるためには、まず会話が不可欠だ。大体の行動や台詞は指示を出せるが……やはり本人が緊張していては話にならない」

 

うっ……非社交的な俺には難題なのを出してきたな。

 

「まあ、俺は女子とは極端に避けているが会話ぐらいならできるぞ」

 

なんたって前世では俺の住む寮部屋に百獣の王が4匹……今はリサも入れて5匹か。

女子との会話なんて日常だったようなもの……なんとかなるだろ。

 

「ホントかしらね」

 

突然後ろから琴里が俺の後頭部を押し出し、

令音の胸に押し付けられた。

 

(……!?)

 

や、柔らか―――じゃなくて琴里のヤロウ。

会話っていうから、普通のかと思ったが……そういうことだったのか……!

 

「……ん?」

 

対する彼女は気にしてないというか、首を傾げているだけだ。

 

「……」

 

肩を竦める琴里に、俺は血流を確かめる。

あまりにも唐突だったのと、彼女が年上の女性という認識が、

体の芯を熱くさせる。

ぐっ、このシーンはメーヤに埋められた時の……!

経験上、やはり大人の女性にはヒス的に弱いようだ。

 

「琴里、いくらなんでもやりすぎだ」

 

「ほえっ?」

 

今の言葉はどうやら予想外という表情の琴里は、

瞳を大きく開いて俺を見つめてくる。

だが、そんな琴里もすぐに我に返って咳込むように口元を手で覆う。

 

「……んんっ。と、とりあえず女性に対しての対応は……で、できるようね」

 

「だが例にしてはおかしいんじゃないか? 会話って言ったのにそれが不可抗力というのは……」

 

若干ヒスり気味な俺は琴里にそう指摘するが、

これといった反省の色を見せない。困ったものだよ。

 

すると、令音は腕を組みながら俺たちの間に割って入る。

 

「……まあ、いいじゃないか。こういった難題が訪れるかもしれないからね」

 

無意識だとは思うが、彼女の腕組がなんとも言えない強調を示していた。

これ以上はヒステリア的には言いたくないから言わないでおくとして、

前世でもそういう難題はよくあったような気がする。思い出せば思い出すほど、ヒスが強化されるのだが……

 

「……早いところ始めようじゃないか」

 

「こんなんでホントに大丈夫なのか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、目の前にあるディスプレイに電源をつけて、

流れるオープニングらしき音楽が耳元に流れてくる。

 

(ああ、理子の好きそうなあれ……ギャルゲーってヤツか……)

 

「ってぇ、おいッ! なんで訓練がギャルゲーになるんだッ」

 

しかもどこかで見たことがあるぞ。

確か殿町がやっていたマイ・リトル・シードとかいうゲームじゃなかったか?

だがよく見れば名前が少し変わってる。

 

シードじゃなくてシドーって俺の名前を何気にゲーム名に取り込むなよ。

 

「……まあ、これはあくまで訓練の第一段階さ。それに市販品ではなく、<ラタトスク>総監修によるものだ。現実に起こりうるシチュエーションをリアルに再現されてある。心構えくらいにはなるはずだ。ちなみに15禁」

 

「…………そんなんで訓練になるとは思わないが」

 

「あら、それ以外に方法はあるっていうのかしら……?」

 

……特にないな。ヒステリアメーターで考えれば5分の1ってところか。

強化された脳内をもってしても今のところ思いつく方法なんて1つもない。

 

「……ん、では始めてくれたまえ」

 

「ああ、わかったよ」

 

画面上に映されるマイ・リトル・シドーを起動し、

初めからという表示をクリックする。

 

ゲームでよくあるモノローグを適当に流しながら、

次へ次へと進んでいく。

 

【バカシドー! ほら起きる!】

 

「……」

 

あれ、どこかで聞いたことがあるような気が……

気のせいだ。話を進めよう。

 

クリックしていくと、そこに選択肢が現れる。

 

①「おはよう。愛しているよアリス」愛を込めて妹を抱きしめる。

 

②「起きたよ。ていうか思わずおっきしちゃったよ」妹をベッドに引きずり込む。

 

③「かかったな、アホが!」踏んでいる妹の足を取り、アキレス腱固めをかける。

 

……なんだ。この選択肢は。

これが現実にありそうなものなのか。

 

「士道っ、制限時間付きよ」

 

「……ッ、なんつーゲームなんだよ!」

 

琴里の声に慌てて①の選択肢を選んだ。

 

「……」

 

【おはよう。愛しているよアリス】

 

俺は妹のアリスを、愛を込めて抱きしめた。

すると、アリスのレッグホルスターに収められた拳銃を取り出して銃口から火を噴いた。

 

【……ッ、何してんのよ! 風穴!】

 

放たれた弾がたまたま眉間に着弾し、

バッドエンドに妙なBGMとスタッフロールが流れ込む。

 

「……た、確かにリアルだったな」

 

「あーあ、バカね。いくら妹でも、突然抱きついたらそうなるに決まっているじゃない。―――まったく、ゲームだからいいものの、これが本番だったら、士道の頭に綺麗な風穴が開いているわよ?」

 

「いやいや、そもそも選択肢自体がおかしいだろッ。なんだよ、3つとも死亡フラグ的なのがあるじゃねえか! しかもなんで妹が拳銃を携えているんだッ」

 

もう訓練じゃなくてこんなのただのクソゲーをやりこむ自宅警備員みたいじゃねえか。

まずこのゲームの世界観が妙に前世と似ているし……

 

「……そうかな? 意外とあると思うのだが……」

 

「いや、ないだろ」

 

「別になさそうなシチュエーションに突っ込みを入れるゲームじゃないの。ちゃんとやりなさい。次の選択肢を間違ったら―――どうしようかしらねぇ」

 

琴里の表情がもうヒルダのような笑い方だ。

サドの笑いだ、あれは。

 

俺は口元から溜息しかでないのだが、

どうやら俺はこの後、何が待っているかわからないので、

半ばヤケクソになりながら俺はコントローラーを握りなおした……

 

(この遠山桜……散らせるものなら、散らしてみやがれ……!)

 

 

 

 




訓練……よくよく思えばキンちゃんには必要なさそうな気が……
それと登場人物としてキンジ、琴里、令音ばっかりでメインヒロインがちょっとしか登場していないのが反省点ですね。これも原作沿いだから仕方ないことなのでしょうが、やはり十香を出したい!

そんなわけで次ぎ出します!

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