お読み下さり、有り難うございます。この二次小説はHACHIMANを取り扱っている都合上、大量のアンチ成分や、一部に不適切な表現、度を過ぎたキャラクター改変等を含んでおります。あらかじめ、ご了承下さい。
〜総武高校 奉仕部部室〜
「邪魔するぞ」
その声と同時に、ガラリと入り口を開く音。
「はぁ・・・平塚先生、入る時はノックを」
ため息混じりに私は応対した。最近はこのやり取りも、半ばお約束になりつつある。
「はははっ!そんな顔するな、雪ノ下。せっかく美人に生まれたのだから、いつも笑顔でいなさい。そうすれば人生なんてチョロい・・・って、私もちゃんと実践してきたのに、どうして・・・うぅ・・・今月も友人の結婚式が3件も・・・」
顧問の独身女性教師が面倒なモードに入りそうだったので、私は無理やり言葉を割り込ませた。
「それで先生、ご用件は?」
「ゆきのん、そこはズルしちゃうんだ?!」
「それを言うならスルーよ、由比ヶ浜さん」
「し、知ってたし!」
「先、進めてもいいか?」
現実世界に復帰した平塚先生が混ぜ返す。本当にこの人は、立ち直りも早いわね・・・こんなに綺麗で仕事も出来てさっぱりした性格なのに、どうして・・・ひゃ?!
「先、進めていいよな?」
私の鼻先にパンチを繰り出した先生は、低い声で言った。ど、どうやら原因のひとつはこれらしいわね・・・
「は、はい、もちろんです」
ポーカーフェイスで応じる私を見て、ようやく彼女は本題を口にした。
「奉仕部に依頼だ」
「っ!!そ、それを先に言って下さい!」
思わず声が大きくなる。実は最近、我が部はすっかり暇を持て余していたのだ。いまなら迷い猫探しでも、猫のお散歩でも、猫の毛づくろいでも、どんなに無茶な依頼だって二つ返事で受けてしまう自信がある。あれ?どうして猫ちゃん絡みの依頼ばかりなのかしら?
「先生!どんな依頼なんですか?!」
由比ヶ浜さんが身を乗り出す。彼女もずっと手持ち無沙汰だったのだから、期待してしまうのも無理はない。
「そう慌てるな。依頼は逃げてゆかないぞ・・・内容は、二次創作小説への出演要請さ。君らふたりと葉山をご指名だ。主人公は比企谷らしい」
二次小説・・・
その単語に微かな引っ掛かりを覚えた私の横で、無邪気にはしゃぐのは・・・
「ヒッキーが主役?!凄い!じゃあ八雪?はやはち?それとも・・・は、八結とか?」
「由比ヶ浜さん、ひとつだけ違うジャンルが混じっているわ」
「そ、そんなの分かってるし!」
真っ赤になってわちゃわちゃする彼女に対して、どこか歯切れの悪い平塚先生。
「いや、残念だが今回は他作品とのクロスオーバーものになる」
「他作品・・・?」
急速に膨れ上がる不安。まさか・・・
「うむ、ようこそ実力至上主義の教室へ、とのクロスだ」
「え?!」
ぴたりと固まるガハマさん。ガハ・・・?いけない、私も少しおかしくなり始めたようね・・・
「・・・先生、念のため伺いますが、それって・・・」
一縷の望みを込めた私の問いも空しく、期待通りの言葉が返ってきた。
「ああ、HACHIMANものだ」
「お、終わったし・・・」
がっくりと膝を着く由比ヶ浜さんの隣で、私もこめかみを押さえる。久し振りの依頼がこれとは、奉仕部もいい加減焼きが回ったのかしら・・・
「それにしてもこんな頻繁に・・・いったい、どこからの依頼なんでしょうか」
「うっ・・・よ、余計なことは気にせず、青春ラブコメに新たな1ページを刻みたまえ!」
あ、これは大人の事情というやつね。(察し)ならばこちらも、大人の対応をしましょう。そう考えて、話題を戻す。
「はぁ・・・それで私はまた、堀北さんと従姉妹同士なのでしょうか」
「いや、それはない。比企谷とも初対面という設定だ」
ふぅ・・・なるほど、不幸中の幸いね。ただでさえしんどい役回りなのだから、余計なオプション設定は勘弁してもらいたいのが本音だ。前回出演した二次作品は確か、一色さんが綾小路君の生き別れた実の妹で、しかもホワイトルーム第五期生の最高傑作・・・とかいうハチャメチャなストーリーだった覚えがあるわ・・・
「どうする?一応、台本はあるが・・・」
控え目にそう言って、冊子を取り出す平塚先生。
「いえ、必要・・・ありません」
私はそっと、台本を押し返した。どうせまた、テンプレートなセリフを繰り返すだけなのだから。
「うう・・・またあたし、あのエリート高校でアホな子やらなきゃいけないの?」
「耐えるのよ。私たちはまだ、最悪でも退学処分だけで済むでしょうけれど、葉山君はおそらく・・・」
「はひっ?!」
以前友情出演した『よう実 × 俺ガイル』作品での、葉山君が辿った悲惨な末路を思い出したのか、細い肩を震わせる由比ヶ浜さん・・・それほどまでに、私たちにとってHACHIMANタグはタブーなのだ。それに比企谷君だって、望みもしない身の程知らずのチートを詰め込まれて辛いに違いない。
「あたし、もうイヤだよ、ゆきのん・・・」
「仕方ないわ。なぜかいまだに、根強い需要があるのだから。せめて期待通りの活躍をして、華々しく散りましょう。不良品どもに、本物の悪役令嬢というものを見せつけてやるわ」
「それ、絶対ダメなやつじゃん・・・」
そして私たちは、もはや通い慣れた
次回第2話『されどバスはあの学校へと向かう』
そしていつものオープニング・・・