「こちらイーグルワン。ブラボーワン、応答願います、どうぞ」
私物のスマホを取り出した私は、コードネームで
「こちらブラボーワン、どうした?緊急事態か?」
きゃ?本当に繋がったわ。
「ガハマ中尉機が大破、行動不能。作戦の続行は不可能と思われます、どうぞ」
平塚先生なら、きっとわかってくれるはず・・・
「状況は進行中だ。いまさらあとには引けん。第二次攻撃を開始せよ、どうぞ」
「そんなっ・・・平塚せ・・・じゃなくてブラボーワン、彼女はすでに限界です。撤退の許可を!」
「ゆきのん、それ、わざわざブラボーなんちゃらって言い直す必要ある?」
少しだけ元気を取り戻した由比ヶ浜さんからの、鋭いツッコミ。良かった。彼女はもう、大丈夫だろう。
僅かに笑みを浮かべた私の耳に、ブラボーワンの怒声が響く。
「甘ったれるな!雪ノ・・・じゃなくてイーグルワン!HACHIMAN好きの読者が、君たちの
・・・頑張りすぎて爆散してしまうのは、確かヅダ、だったかしら・・・
こんな時に限って、彼から教えて貰ったガンダムネタを思い出す。私たちはきっと、ザクにはなれない。でも・・・
「わかりました。では頑張って、今日中に決めてみせます。入学式当日に退学処分なんて、おそらく『よう実』史上最速RTAでしょうね」
「あぁ、期待しているぞ・・・ん?待て雪ノ下!それはどういう意味だ?あ!こら・・・!」
「これより作戦を開始します。オール・オーヴァー」
顔を上げると、覚悟を決めたふたりが私を見つめていた。まだ入学式までは、多少時間が残っている。いまから行けば、充分間に合うだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Dクラスに戻ると、彼は椎名さん、坂柳さん、一之瀬さんの三大美少女に囲まれ、デレていた。これ以上はこちらが耐えられそうにないから、迷いが生じないうちにさっさと終わらせてしまいましょう。全砲門、ファイエル!
「あら?まだ居たの?ゴミ谷君」
「早く消えろと言ったはずだぞ、ヒキタニ!」
「女子と無理やり手なんか繋いでキモい!謝ってよ!」
帰ってきた3人組。我ながら、痛いわね・・・
「おや、あなた方は?」
対して、静かに尋ねてくる坂柳有栖女史。あ、あれ絶対激おこぷんぷん丸だわ。ならば、火に油を注ぐまでよっ!ごめんなさいっ!
「あなたこそ誰かしら?ここは小学校ではないわよ」
「そうだよ!子供はお家に帰るし!」
「そこにいるヒキタニから、無理やり何か恥ずかしいことをされたんだね?お嬢ちゃん?」
心の痛みに蓋をして、次々と地雷を踏み抜く私たち。でも葉山君、あなたはちょっと言い過ぎよ。
「ふふふ・・・ハチ君、この方々はお知り合いですか?」
「いや、今日初めて会ったが・・・」
「わかりました」
あ、いま有栖さんの殺る気スイッチが入ったわ。
「そこの御三方、あまり調子に乗っていると・・・」
いったん言葉を切り、殺気を込めてとどめを刺す坂柳さん。
「潰しますよ?」
「ひゃっ?!」
「ひぃっ?!」
「ひゅうっ?!」
そして、冷たい微笑と共に去ってゆく坂柳さん・・・これでいい。今度こそ、ただでは済まないでしょうけれど。
役目を終えた充実感を味わいながらも、すぐそばを歩み去る比企谷君からそっと目を逸らす。なぜだか彼には、この辛い胸の内を読み取られてしまいそうな気がしたから・・・
次回最終話『ゆえに奉仕部は本物である』
ミッションコンプリート・・・?