「ああ、見ての通りだ。防犯目的にしてはあまりにも多過ぎる監視カメラ。廊下や階段にもあったぞ。この事実と茶柱先生の説明を踏まえれば、来月のポイント支給額は恐らく・・・」
そんな、Sシステムの核心を突いたハチの言葉を遮ったのは・・・
「ふざけるな、ヒキタニ!なんでお前が仕切っているんだ?!」
「そうだよ、超不愉快なんだし!いますぐ謝ってよ、ヒッキー!どうせ、なんかスルーして入学したんでしょ?」
「その通りよ、屑谷君。あなたがこの学校に入学できるはずがないわ。どんな不正をしたのかしら。あと由比ヶ浜さん、そこはズルで合ってるわよ」
「わ、わざと間違えただけだし!」
はい?誰こいつら?いきなりディスられてるんだけど泣いてもいい?あと最後の漫才はなに?
「え?えっと・・・いまは取り敢えず、比企谷君の話を聞かないか?」
突然の乱入劇に、平田がやんわりと窘めるも謎の3人組は止まらない。
「いいえ、そんな男の話など聞く価値も無いわ。それに優秀な私が彼と同じクラスだなんて、何かの間違いよ」
「そうだよ!!ヒッキーが私より頭いいはずないし!とにかく謝ってよ!」
「ああ、そんな腐ったヤツの話、聞くだけ無駄だ。お前みたいな屑、いますぐ退学してくれ」
「いや、まずは僕の話を・・・」
平田の仲裁を無視してヒートアップする3バカトリオ。ヒキタニとかヒッキーって、まさか俺のこと?あと自分で優秀とかほざいているが、クラスメートからの白い目に気付かない時点で、お前らの方こそお呼びじゃないわ。
心の中でダメ出ししながら、なおも罵詈雑言を繰り返す3人をつぶさに観察する。他人からの悪意に慣れたプロぼっちの俺は、この程度のことで狼狽えたりはしない。八幡は打たれ強いのだ。別名、サンドバッグ状態とも言うが。(泣)
まず、最初に口火を切った男子。まぁ、そこそこ優秀そうではある。何より、悔しいが俺にはない
それと、お団子頭のほんわかした美少女だが、おそらくコミュニケーション能力はかなりのものだろう。あとそのメロンも。(大爆発)
で、3人目の黒髪ロング美少女。さっき教卓に立った時からずっと、俺を睨んでいる娘だ。些か怜悧すぎる印象はあるが、間違いなく文武両道才色兼備のハイスペックさんだろう。敢えて欠点を指摘するなら、孤独と孤高を履き違えていそうなところと、メロンじゃないあたりかな。(残念)
「許可なく私を凝視しないでもらえるかしら。身の危険を感じるわ」
「そうだよ!こっち見ないで!キモいし!あと、はやく謝ってよ!」
「それ以上雪乃ちゃんを辱めるつもりなら、こちらも黙っていないぞ!ヒキタニ!」
抜群の連携を見せる三連星。この距離感・・・こいつら、オナ中か・・・?はっ?!黒髪ロングさんとメロンさんが夜な夜な・・・うっ!い、いかん!俺の46cm主砲が火を・・・(誇大表現)いや待て、もうひとり居るぞ。あの金髪イケメン野郎も毎晩・・・げぇ?!う、うわああああああぁ!映像が頭に!(轟沈)
ふぅ・・・
「いい加減、その舐め回すような視線をどうにかしてもらえるかしら。通報するわよ」
てか女子を見ただけで即アウトって、まるで総武小学校に居た、どこぞの比企谷君みたいな扱いじゃん・・・(泣)しっかし、謝れ謝れうるさいな・・・高1にもなって、他に語彙は無いのかよメロンさん。
あまりに非常識な言動に半ば呆れつつも、冷静に事態を分析する俺だったが、もうひとりのアイツが黙っているはずもなく・・・ハチ、行きまーす!
「お前ら、初対面の相手をいきなり罵倒とか、究極の構ってちゃんか?」
言ってくれますねぇ。いいぞもっとやれ!(他人事)
「な?初対面だとっ?!雪乃ちゃんと結衣にあんな酷いことをしておいて、よくも・・・!」
どうやら、むこうは一方的に俺のことを知っていて、しかも何やら因縁まであるらしい。ということは・・・
そうか、コイツら・・・
転生者だな?(二次小説の読みすぎ)
俺が的外れな推測をしている横で、ハチがボソリと呟いた。
「あまり調子に乗っていると・・・」
いったん言葉を切り、殺気を込めてとどめを刺す。
「潰すぞ?」
「なっ?!」
「ひっ?!」
「うっ?!」
「ぷっ!」
恐怖のあまり、小さな悲鳴を漏らす仲良し3人組。ちなみに最後の笑いは
しかし、突然現れたこの痛いイケメン厨二野郎は、俺の潜在意識が生み出した別人格なんだろうか?確かに
つーかハチさんよ、これほどの殺気を出せるなら、高校生なんか相手に吠えてないで、もっと巨悪とかに立ち向かったらどうなんです?イキる場所と相手間違ってない?いや知らんけど。
「とにかく落ち着いて。何があったのかは分からないけど、せっかく同じクラスになったんだから仲良くしようよ。君たちにもこのあと、自己紹介してもらえると嬉しいなっ」
すると、怯んだ様子を見せた3人に優しく話し掛ける女子生徒が登場した。櫛田だ。しかし、やはりちょっと・・・な。笑顔が完璧すぎて、却っていかにも裏が有りそうだ。くわばら、くわばら。
「馬鹿馬鹿しい。必要性を感じないわ。時間の無駄よ」
がしかし、そんな櫛田ちゃんの言葉をばっさり切り捨てると、そのまま教室を出てゆく黒髪ロングさん。この状況であの態度を貫けるとは、ある意味すげぇな。
「あ!待ってよ、ゆきのん!」
「雪乃ちゃん、待ってくれ!」
それを追って、結局あいつらは全員教室を出て行ってしまった。他にも雪乃ちゃん?似の黒髪さんや赤髪の不良君などが、自己紹介を嫌って後に続く。
「何あれ?感じ悪〜い」
「あんなのと3年間同じクラスとか、最悪だぜ」
しかしホントなんだったんだ?アイツら。小中学校とも、あんな友達が居た覚えはないぞ。あ、もともと友達なんてひとりも居なかったわ。
やっぱ泣ける・・・
「えっと・・・自己紹介を続けようか」
微妙な空気を察した平田の言葉を制して、ハチが口を開く。
「なんか、せっかくの自己紹介に水を差してしまって悪かったな。だけど、俺もアイツらとは面識が無いんで、正直戸惑ってるんだよ」
ほんと、
「そんな!比企谷君は悪くなんてないよ」
「そうだ!むしろお前も被害者だろ?」
なぜか好感度高めの比企谷君。違和感がせっせと仕事をしている展開だけど、やっぱこの顔のおかげなの?イケメン滅ぶべし。
「ところで比企谷君、さっきの続きを聞かせて貰えないかな?」
ここは、さらっと話題を転換してくれた平田の気遣いに乗っておくべきだろう。
「ああ、どこまで話したんだっけな・・・そう、たぶん俺たちの言動は、学校側に逐一監視されていると思う。そしておそらくは、それらを数値化してポイントの支給額に反映する仕組みこそが『Sシステム』の根幹じゃないかと考えたんだ。だから差し当たり今月中は、各自生活態度に注意しつつ、手持ちのポイントを温存する方向で過ごすべき・・・って話だ。思わぬ邪魔が入ったが、俺からは以上だ。もちろん、まだ推測の域を出ない仮定の話だから、みんなに強要するつもりはないぞ」
謎は全て解けた!なんか、ハチが答え合わせしちゃったぞ。これってもう、最終回でいいんじゃね?まぁ、警告はしたんだから、あとはコイツらがどう判断するかだ。それに、いまの騒動で改めて思い出したことがある。実のところ、居並ぶクラスメートたちがどうなろうが興味はない。どうせこいつらとの関わりなんて、本物じゃないのだから。これまで嫌というほど見てきたじゃないか。そう・・・
最後に俺が楽をできればそれでいい。
てか、やっぱり泣いていい?いいよね?
その後はやっと、まともな青春の1ページが再開され、取り敢えずこの場に居た全員の自己紹介が終わった。ちなみにハチが警戒していた無表情なイケメン改め綾小路は、総武中学入学時の俺に勝るとも劣らない、哀れな自己紹介をやらかした。(笑)
ふっ・・・やはりヤツの
次回第6話『そして彼女たちの戦いが始まる』
HACHIMANをめぐるヒロインたちの戦い・・・って、俺(八幡)じゃないのかよ。