1年Dクラス、比企谷HACHIMAN   作:いろはす@

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第6話:そして彼女たちの戦いが始まる

黒歴史確定の自己紹介が終わると、ちょうど入学式を知らせる校内放送が流れた。教室には身の置き場がないので、早めに体育館へ行っとくか・・・

 

 

ステルスヒッキーを発動して、そっと脱出しようとしたその時。

 

 

「ハチ君、一緒に入学式へ行きませんか」

 

 

不意に教室の入り口が開く。みんなの視線を集めて入って来たのは、この学校での友人第1号、椎名ひよりだった。あれ?お友達契約は解除されたはずだが、どうしたんだ?

 

 

「で、その後は図書館に行きましょう。マゼラアタックの件、まだ決着はついていませんから。あと、改めて連絡先の交換もお願いしますね」

 

 

そう言いながら、俺の右手を引く天然ひよりさん。いやだから、あれは戦車だって!

 

 

「早速名前呼び?!」

 

 

「さらりと連絡先をゲットした?!」

 

 

「あの野郎、ちょっとばかりイケメンだからって・・・!」

 

 

「うそ・・・彼のこと、狙ってたのに・・・」

 

 

「銀髪系ガノタ美少女でござる!彼女は拙者の母になってくれたかもしれない女性でござるよっ?!」

 

 

山内や池といった、思春期真っ盛りの男子から注がれる負の視線が怖い。女子全般からの目も・・・あと、ひとりヤバいのが居た気がするけど気のせいだろ。外村、戯言はやめろ!

 

 

「おや、抜け駆けはいけませんね、椎名さん」

 

 

そこへ現れたのは(お友達)2号さん坂柳有栖。あ、深い意味は無いからね!

 

 

「ハチ君、一緒に入学式へ行きましょう。もちろん、連絡先の再交換もお願いします」

 

 

奇しくも椎名とほぼ同じセリフで微笑むと、俺の左手を取る有栖さん。これぞホントの両手に花。

 

 

「なっ?!比企谷のヤツ、早くも二股かよ?!」

 

 

「そんな・・・アイツに寄生して守ってもらおうと思ってたのに・・・」

 

 

自分で寄生とか言わんだろ、普通。

 

 

そしてトドメの一之瀬帆波。

 

 

「比企谷君、良ければ一緒に入学式行こう・・・ってあれ?お邪魔だったかな?にゃはは・・・あ、そうだ!私も連絡先再登録してもらえるかな?」

 

 

とか言いながら、俺の傍に立つ帆波さん。Why Japanese JK?

 

 

「なっ!更に美少女がっ?!」

 

 

「クソッ!初日から全部持って行きやがって!」

 

 

「ふはははは!銀髪ガールにリトルガール、そしてストロベリーガールか。実に見ものだねぇ」

 

 

あらぬ誤解を招きかねない状況に、俺はへばりついてくる坂柳を諭したのだが・・・それはむしろ、最悪の結果を招いた。

 

 

「あー、その、悪いんだが離れてくれるか?」

 

 

「ぐすん・・・わたくしを散々弄んだあと『お前だけでしゅ』と枕元で噛みながら囁いてくれたあの言葉は、うそだったのですか?」

 

 

「それこそ、うそだろ・・・」

 

 

「レディコミも真っ青の鬼畜展開・・・」

 

 

「ヤらせはせん!ヤらせはせんぞー!!」

 

 

悲しげに泣き真似をする坂柳に、騒然とするクラスメートたち。くそっ!こいつ(坂柳)絶対わざとやってるだろ?つか、微妙に俺が言いそうな(言いそうなのかよ?!)噛みセリフをチョイスするんじゃない!あと、ドズル中将ネタはもういいから!

 

 

こんな時に限って、頼みのハチは現れない。このままじゃ俺の高校生活が、始まる前に終わる。仕方あるまい。さっきのあれ、やってみよう。(見切り発車)

 

 

「あまり調子に乗っていると・・・」

 

 

いったん言葉を切り、殺気を込めてトドメを刺す。

 

 

「潰すぞ?」

 

 

「ぷっ!」

 

 

わ、笑った?!笑ったな?父さんにも笑われたことないのに!

 

 

「も、申し訳ありません。あなたにそんなギャグセンスがあるとは・・・クスッ」

 

 

あれれ?おかしいな?ハチと同じことやったつもりだったんだけど。ていうか、殺気ってどうやって出すものなの?やる気スイッチならぬ、殺る気スイッチがあるとか?やだそれ怖い。誤作動したらヤバくね?

 

 

「では、入学式後に図書館で」

 

 

「いえ、ハチ君は私とカフェに」

 

 

「えっと、私も一緒にいいかな?」

 

 

見えない火花散る女子トークと、そのど真ん中でポリゴンの破片と化した俺。

 

 

「わかりました、では私たち全員でハチ君のお部屋に集まるのはいかがでしょう?」

 

 

何がわかったのか、さっぱりわからん。

 

 

「はい。受けて立ちます」

 

 

「う、うん!私もそれで大丈夫だよ」

 

 

部屋の主が預かり知らぬところで、どんどん話が進んでゆく。え?俺のセリフはどうしたのかだって?この状況に割り込めるわけないだろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ・・・ようやく美少女オンエアバトルが終わったみたいだ。あとは一刻も早く体育館へ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・とはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?まだ居たの?ゴミ谷君」

 

 

「早く消えろと言ったはずだぞ、ヒキタニ!」

 

 

「女子と無理やり手なんか繋いでキモい!謝ってよ!」

 

 

帰ってきた3人組。ヲワタ・・・

 

 

「おや、あなた方は?」

 

 

静かに尋ねる坂柳有栖女史。あ、これ絶対激おこぷんぷん丸だ。

 

 

「あなたこそ誰かしら?ここは小学校ではないわよ」

 

 

「そうだよ!子供はお家に帰るし!」

 

 

「そこにいるヒキタニから、無理やり何か恥ずかしいことをされたんだね?お嬢ちゃん?」

 

 

次々と地雷を踏み抜く3バカさん。お前らはもう、死んでいる。あたたたたたたっ!終わったぁ!

 

 

「ふふふ・・・ハチ君、この方々はお知り合いですか?」

 

 

「いや、今日初めて会ったが・・・」

 

 

「わかりました」

 

 

あ、有栖さんの殺る気スイッチが入った。ポチっとな。

 

 

「そこの御三方、あまり調子に乗っていると・・・」

 

 

いったん言葉を切り、殺気を込めてとどめを刺す坂柳。

 

 

「潰しますよ?」

 

 

「ひゃっ?!」

 

 

「ひぃっ?!」

 

 

「ひゅうっ?!」

 

 

無様に腰を抜かしたゆきのん他2名。こりゃコイツら、入学式を待たずに退学かもな。ま、自業自得ってやつだ。

 

 

そう思いながら3人の傍らを通り過ぎた俺だったが、なぜだか一瞬、やけに辛そうな表情を見せた彼らの横顔が、しばらく頭から離れなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

てか、いまのシーン、やつ(ハチ)が一度も出てこなかったな。(いまさら)

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

 

ノックをしてから、俺は静かに職員室の入り口を開けた。入学式までの僅かな空き時間を使って、ライバルたちを出し抜くためだ。ん?椎名たち?取り敢えず先に行っててもらったよ。さすがに、あのまま衆人環視の下で体育館まで移動するのは、俺のメンタルがもたないからな。

 

 

「1年Dクラスの比企谷ハチ・・・コホン!HACHIMANです。茶柱先生はいらっしゃいますでしょうか」

 

 

入学式へ人員を割いているためか、教職員の姿は疎らだった。これならゆっくり用件を果たせるだろう・・・しかし俺が入室した途端、明らかに空気が変わったな。やはり、ハチの自己紹介(答え合わせ)は監視カメラで見られていたようだ。さてと、実力至上主義の秘密、暴いてみますか・・・

 

 

え?ああ、確かにさっき、職員室へ質問しに行くことはないって言ったな。あれは本当だ。ハチマンウソツカナイ。もうわかるだろ?そう、いまここに来たのはハチの判断だ。これから担任の女教師を言葉責めにして裸に・・・ゲホゲホ!じゃなくて質問攻めにして、Sシステムを裸にしてやろうって算段だ。

 

 

「えっと・・・サエちゃん?あれ?さっきまで居たはずなんだけど・・・」

 

 

そう言いながら出てきたのは、いまどき美人が自意識過剰を着て歩いているような、若い女性教師だった。

 

 

「それより君、かっこいいね。先生が同級生だったら、絶対放っておかないんだけどなぁ」

 

 

なぜか上目遣いでぐいぐい来る、あざとい女教師。生徒に対する距離感がおかしい。おまけにこっちのほっぺを、人差し指でつんつんし始める始末。あ、そう言えば、中学で俺が折本に告って振られたのを言いふらした女子どもって、まさしくこの先生みたいなタイプの娘ばっかだったな・・・

 

 

「ん?なんか失礼なこと考えてない?」

 

 

一見馬鹿っぽそうなのに、なぜか読心術に長けているところなんかもそっくりだ。

 

 

「私は星之宮知恵。1年Bクラスの担任で、サエちゃんとは下の名前で呼び合う仲なんだ。それで、比企谷君はどんな用なのかな?」

 

 

いたずらっぽく微笑みながらも、探りを入れてくる星之宮。やはり、これは下手に関わるべきではないな・・・

 

 

「いえ、ご不在ならまた後にします。有り難うございました」

 

 

が、会話を切り上げた俺の前に素早く回り込む星之宮。うぜぇ。

 

 

「あーん!もう!そんなに慌てなくてもいいじゃない。もう少し先生とお話しよ?」

 

 

並みの男子高校生なら、余裕で3回は轟沈してしまうほどの破壊力で、彼女は微笑んだ。無論、俺は勘違いなどしない。

 

 

「あの・・・星之宮先生?」

 

 

「チエって呼んで!」

 

 

ぷっ!

 

 

年齢的にも痛すぎるぞ、それ。コイツ、もうぶっ飛ばしちゃってもいい?そして遂にやつ(ハチ)が目を覚ます。

 

 

「チエは欲求不満なのか?」

 

 

「へ?」

 

 

いきなり名前呼びのハードルを飛び越えた(ハチ)に、一瞬固まる星之宮。だから違うんです!おまわりさん(ハチ)です!あれ?

 

 

「そんな無警戒な距離感だと、初心な男子高校生は勘違いで過ちを犯してしまうかも知れないぜ?」

 

 

お前のセリフがすでに過ちなんですけど!?

 

 

「まあ、チエほどの蠱惑的な女性が相手なら、むしろ男冥利に尽きるというものだが」

 

 

噴飯もののセリフを垂れ流しながら星之宮を抱き寄せ、僅かに乱れたその前髪を指先で整えてあげるハチ。彼女の顔は怒りのあまり表情が抜け落ち、真っ赤に染まっている。マズい。いくらなんでもやり過ぎだ。相手は国立高校の教師だぞ・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぇ?!」

 

 

不意に頭へ衝撃が走り、視界に火花が散った。

 

 

「私の同期に何をしている、比企谷」

 

 

振り向けば、硬いクリップボードを手にした茶柱先生が立っていた。この時代に、マジすか?

 

 

「ぶったね・・・二度もぶった・・・親父にもぶたれたことないのに!!」

 

 

「一度しか、ぶってないが?」

 

 

ダメだこのひと。

 

 

「なんだ。サエは()()()()()()()が好きなのか?」

 

 

ぶたれたショックでハチが壊れたらしい。

 

 

「なっ?!なぜそれを・・・」

 

 

てかビンゴなのかよっ!

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

「間もなく入学式だ。こんなところで油を売ってないで、早く体育館へ行け」

 

 

比企谷を体育館へ向かわせたふたりの同期は、静かに睨み合う。

 

 

「決めた。サエちゃん、彼は私が・・・ケホケホ!うちのクラスが貰うから」

 

 

「ほざくなよ、チエ。ヤツは私の若いつばめ・・・ケホケホ!大事な生徒だ」

 

 

「まさかサエちゃん・・・下剋上(年の差婚)、狙ってる?」

 

 

「なっ?!そ、そう言うチエはどうなんだっ?!」

 

 

「もちろん狙ってるよ?あれほどの子、今後出てくるかわからないし、ラストチャンスかも知れない。何なら今夜、合鍵作って突撃しちゃおうかな♪」

 

 

「させるかっ!私にとってもラストチャンスなんだ!何なら、ヤツの部屋の合鍵はここにあったりするぞ」

 

 

言いながら、見せびらかすようにカードキーを掲げる茶柱。もはや色々と手遅れである。

 

 

「なっ?!いつの間に・・・わかったよサエちゃん。なら3Pで手を打とうか」

 

 

「お前は実に愚かだな、チエ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待て待て待て待て!!俺の守備範囲は16歳から25歳までだ!(大炎上謝罪会見待ったなし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか俺、肝心の質問、忘れてない?(またもや大爆発)




次回第7話『やはりこの学校の金銭感覚はまちがっている』

入学初日に数千万ポイントゲットだぜ・・・!そんなの二次小説でも無理ですから!あほらし。
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