1年Dクラス、比企谷HACHIMAN   作:いろはす@

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第7話:やはりこの学校の金銭感覚はまちがっている

入学式は終わった。このあとは、なぜか部屋に美少女たちが来ることが決定している。(理解不能)だから俺は、足早にコンビニへと向かっていた。おもてなしをするためだ。こちとら、伊達に専業主夫を夢見ちゃいない。渾身のフルコースをお見舞いしてやる。腕が鳴るぜ。こらそこ!コンビニメニューじゃ手抜きでしょ、とか言わない!

 

 

まあ、取り敢えずはタピオカミルクティーとプレミアムロールケーキを買っときゃ大丈夫だろ。え?専業主夫の意地はどうしたのかだって?バカ野郎!家事の基本は手抜きという名の効率化なんだよ!それに、まだ寮の部屋すら確認していないのに、どうやって手料理をしろと?(支離滅裂)

 

 

とにかくあまり時間がない。速攻で買い物を済ませるとするか・・・

 

 

「ククク・・・お前、比企谷だな?」

 

 

しかし、行く手を阻む雑魚3匹。ヤンキーと水色髪の美少女に、今朝のグラサン黒人さん。凄い組み合わせだな。

 

 

「俺は龍園翔。1年Cクラスの王だ」

 

 

()()、そうか・・・」

 

 

「・・・」

 

 

そこ笑ってくださいお願いしますごめんなさい!この微妙な空気に耐えられないから!

 

 

ていうかお前も新入生?俺と同い年とかウソだろ?その外見、明らかに留年してるでしょ?龍園だけに。ふははははっ!

 

 

「で、俺になんか用・・・すか?」

 

 

半分敬語になっちゃったよ。(泣)てかコイツ、いじめっ子の匂いがぷんぷんしてるんですけど。ここは無難に躱して、戦略的撤退あるのみ。別名、しっぽを巻いて逃げるとも言う。

 

 

「クククッ・・・てめぇはなぜだか、俺と同じ匂いがするんだよ」

 

 

え?!あなた見かけによらずそういう嗜好のひとなの?素行不良の匂いフェチとか希少キャラじゃね?小町に厳しく言われて、身だしなみには気を付けているつもりなんだけど、匂いとか言われたら小学校時代のトラウマが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(回想シーンスタート)

 

 

うわっこいつ、ヒキガエル菌が臭うぞ!やだー!先生!ヒキガヤ君が臭いでーす。あははは!

 

 

ほんと、子供って残酷。(号泣)

 

 

(回想シーン終了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・き、貴様ぁ!!私に思い出させたなぁっ?!!」

 

 

やったぞ小町。お兄ちゃん、殺る気スイッチが入ったよ。

 

 

「なっ?!!や、やっぱてめぇ、只者じゃねえな?!アルベルト!殺れ!」

 

 

「Yes,Boss. I hate handsome boys. So I crush you.」(わかったナリ。ワガハイ、イケメンは嫌いナリ。だからお前をぶっ飛ばすナリ)

 

 

言うが早いか、見た目に似合わぬスピードで迫りくる巨体。待て待て待て!暴力反対!話せばわかる!人類みな兄弟!あとなんで、同時通訳がコロ助風ナリ?

 

 

しかし残念だが、俺はあくまでラブコメ仕様のヘタレ主人公。ソードスキルも戦略級魔法も無い、ただの千葉県民なのである・・・

 

 

「なんてな」

 

 

6割の力でハチの放った回し蹴りがヤツの顔面を捉え、その巨体がぐらついた。ふぅ、待ちかねたぞ武蔵(ハチ)!待たせたな小次郎(八幡)。てかあのグラサン、全くズレないんですけど、まさか顔に貼り付けてあるの?

 

 

「コ、コノヤロウッ!!」

 

 

怒り狂ったアルベルトが吠える。てか、そこは日本語かい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからハチは、ドラゴンボーイと愉快な仲間たち相手に無双。え?戦闘シーン?さぁ、知らない娘ですね。さて、あとは一刻も早くコンビニ経由で寮に帰って、恐怖の女子会に備えるとしよう。だが・・・

 

 

ちょっとちょっと!どこ行くんですかハチ君?コンビニは反対方向ですよ?

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

で、どうしてこうなった?

 

 

「ふぅ・・・まぁ、こんなものか」

 

 

プライベートポイントを賭けて、空手部、柔道部、合気道部などなど体育会系の部活を連破した俺は、その足でゲーム系の文化部も制覇した。てかハチさん半端ねぇ。表すなら、まさしく『蹂躙』のひとこと。一度でいいから経験してみたかった中二病シチュエーションだが、実際目の当たりにするとドン引きだ。傍から見れば、やったのは俺なんだけどね。

 

 

フィジカルコンタクトのある競技は、試合開始と同時にほぼ瞬殺。痛いのは嫌なので攻撃力に極振りしたのは間違っていない。完全パクリの深夜アニメが出来上がってしまったが、実際に痛い思いをするのは俺なので、これは素直に助かった。てか、この文化系体型(どんな身体だよ?)で、まともに猛者揃いの上級生とやりあってたら、命がいくつあっても足りないまである。

 

 

で、文化部の方も似たりよったりの結果だ。囲碁将棋、百人一首にオセロ、トランプ、人生ゲーム、ウマ娘、艦これ・・・ルールの穴を突き、瞬時に慎重かつ大胆に最適な一手を導き出す思考回路。もはや人間業とは思えない。え?単なる運ゲーやクソゲーが混じってるって?はて、なんのことでしょう?

 

 

頭脳明晰スポーツ万能高身長眼鏡イケメンとか、これがチートというものなのか?超絶ハイスペックすぎて、もはや原形を留めていないまである。こんな八幡、初めて見たわ。てか、これってもう俺である必要性ないだろ。ぶっちゃけ、キリトでもカミやんでもスバルくんでも良くね?(暴論)

 

 

で、いまや俺の端末画面には、既に数千万を超える多額のポイントが表示されている。まさか本当に賭博紛いの荒稼ぎが出来るとは。ふはははははっ!(トランス状態)

 

 

って、大丈夫か?この学校。(素面)先輩たちの金銭感覚ヤバいだろ。一度に百万単位で賭けるとか、あのままだと確実に卒業後は身を持ち崩すぜ?

 

 

つか、これだけポイントがあれば、人生余裕で勝ち組だ。ちょろイン。先ずは手始めにマッカンの自販機を導入して、定期テストでは念のため、苦手な理数系科目は点数を事前購入してクリアするとしよう。あと、面倒な学校行事は全てパスできる権利や、遅刻欠席をチャラにする権利なんかも買っておくか・・・

 

 

あれれ?なんだかまっしぐらに負け組へと転げ落ちて行く気がするぞ?やはり俺のポイントの使い方はまちがっている?(あたりまえ)

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

そして、ようやく辿り着いたセブンイレブン高度育成高校店。なるほど・・・ここがはじまりの街(外の世界)への転移ゲートなのか・・・(ラノベの読みすぎ)

 

 

中へ入ると、思わぬ知り合いに遭遇した。相変わらず無表情な綾小路だ。その隣にいる澄まし顔の黒髪美少女は、自己紹介を嫌って退席したメンバーのひとり。早速お買い物デートとは、ひょっとしてあのふたり、あんな顔してむっつりスケベなのか?(ブーメラン)

 

 

そんなお二人様の会話が漏れ聞こえてくる。

 

 

「なあ、お互い名前ぐらい知っておいた方がいいだろ」

 

 

「拒否しても構わないかしら」

 

 

なるほど・・・悲しいな、綾小路。まあ頑張れ。所詮は他人事だ。俺は陰でエールを送って離脱を図ったのだが、またしてもが・・・

 

 

「おい、やめておけ。そんなツンデレ、構うだけ時間の無駄だ。むしろ放置プレイしてやりゃ、すぐにあちらから名乗ってくるさ」

 

 

だからなんでそうなる?

 

 

「え?そ、そうなのか?」

 

 

急な横槍に驚く綾小路だったが、その割にヤツの表情筋はほとんど動かない。

 

 

「あなた、誰?まさか綾小路君の友達・・・なんて居るわけなかったわね、ごめんなさい」

 

 

一方、さらりと毒を吐くツンデレさん。例の雪乃ちゃん?とそっくりな容姿だが、当然、名前は分からない。

 

 

「で、もう一度聞くけど、あなたは?いい加減、名前くらい明らかにすべきじゃないかしら」

 

 

「拒否しても構わないかしら」

 

 

「ぷっ」

 

 

いま、綾小路が笑った?

 

 

堀北へ同じセリフで意趣返しをした俺が、予想外の出来事に目を向けていると、

 

 

「まさかとは思うのだけれど、いまのそれ、私の口真似じゃないわよね?」

 

 

「逆に尋ねるが、それ以外の何に聞こえた?」

 

 

「・・・」

 

 

冷たい怒気を放ちながら、こちらを睨みつけるツン。一度目を閉じ、こめかみに指を当ててから・・・デレた。

 

 

「はぁ、堀北鈴音よ・・・教室ではむやみに話しかけないでちょうだい・・・って、あれ?」

 

 

嫌々ながら自己紹介した彼女が見たのは、コンビニから出てゆく男子ふたりの後ろ姿だった。言葉通り、ハチは放置プレイに出たのである。

 

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!私は堀北鈴音よ!聞いてるの?!」

 

 

「ほらな?」

 

 

「ああ、本当に比企谷の言う通りになったな」

 

 

大声で名乗りながら追いかけてくる堀北を見て、俺と綾小路は密かに目を見交わしたのだった。




次回第8話『やはり俺がチェスをするのはまちがっている』

ふふふ・・・今夜は帰りませんよ、ハチ君?

それを言うなら帰しませんよ、じゃね?
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