過労スタッフとサーヴァント(病み)の日常 作:かゆ、うま2世
月に行きたい
そう思ったことはないだろうか、いやある
誰だって前◯友作になりたい時はある。そういうものだ
「てことでよろしく頼むわ」
「…………」
「そんな目しないでよー!俺も月行きたいー!」
駄々を捏ねる俺を冷ややかに見下ろしているのはアーキタイプ:アースことアルクェイド。毎度毎度俺の部屋誰かいるよね
「……月に行く事に何の意味があると?」
「おっけー、愛歌に頼むわ」
「連れて行かないとは言っていません」
「行こ!早よ!!」
「…はぁ」
ため息と共に指を鳴らすと世界が変わり、そこは月面だった
「うおおおぉぉ!!すげえぇぇ!!」
「……なぜ息が?」
「人類全員が宇宙で呼吸できないとか思うなよ」
軽口を叩きながら地球を見る。白紙化現象で元々の色が消え失せて真っ白になった地球は正直見るに堪えない
「色んなとこ見に行こうぜ、国旗とか!」
「えぇ、ここなら邪魔も入りません」
「?何言って──」
「英雄王、根源の姫、邪神の──どうしました?色んな所を見るのでしょう?止まっている場合ではありませんよ」
胸騒動の関係者やんけ!!
終わった。色々と終わってしまった。月面だから逃げられないし、誰も呼べない。終わった
「や、違うじゃん。ね?」
「どんな言葉を並べようと結果は同じです」
「あ、あのさ?ほら、あれだよ。ちょっと説明しづらいけど、こう………仕方なかったんだよ、うん」
「それにしては随分と楽しんでいたように見えましたが」
「いや、それはその……」
言い訳を続けようとした瞬間、胸ぐらを掴まれた。基本穏やかな彼女からは想像もできない行動だ
「まだ言い訳を続けるつもりですか?貴方の口はそんな事の為に存在している訳ではないでしょう?」
「ヒン……」
「愛には愛で返す。礼儀でしょう?ちょうどここに、自分の気持ちを伝えるのに便利なものがあることですし」
そう言って俺の口元に指を置いた
ちくしょう、言うしかねえ……言わなければ終わるッ!
「……好き」
「求めているのは好意ではなく愛情です」
「……愛してる」
「合格です」
満面の笑みを浮かべたアーキタイプの姿が一瞬ブレたかと思うと、次の瞬間俺はベッドの上にいた。俺の前◯友作タイムがっ!?
「ここまで長かったですが、これでやっと相思相愛ですね」
「馬鹿言え、あれ一回きり──」
『愛してる』
「録音、していない筈がないでしょうに」
魔術か何かや、終わった。もう何もかもが終わった
「貴方は私のものだという証を、刻んでおきましょう」
「いっ…!?」
アースが俺の首筋を噛んだ。痛みと同時に身体中に電気が走るような感覚に襲われる
しかし血を吸ったのは一瞬で、思いついたような顔をしたかと思うと顔を離した
「もっと手っ取り早い方法があります」
そう言った彼女の顔は今まで見たことがないほど艶っぽく、妖しい魅力を放っていた。そして同時に俺は悟ってしまったのだ
あっ、喰われる
そう思った瞬間、部屋の扉が開いた
「マスター、暇だから遊びに来た…………」
「オベロン!?」
それからの事は……正直思い出したくない
次回はママです